ティム・スペクター「双子の遺伝子−「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける」読了

双子の遺伝子――「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける

双子の遺伝子――「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける

図書館から。
エピジェネティクス」で紹介されていた本。
こちらは難しいことは一切書かず、多くの事例を整理して並べて章立てしてあり、とてもわかりやすい読み物になっている。
一卵性双生児は遺伝子的にはまったく同じである。
一般人としては、そうであれば少なくとも肉体的にはほぼ同一、身体能力とか病気耐性も同じではないか、ややもすると「不思議な共感」みたいな能力を持っているのではないか、というようなイメージを持ちがちだ。
しかし、研究者の間では「双子なのに違う」というのは常識で、遺伝子が同じなのになぜ違うのか、というところからいろいろなことがわかってくる、というお話。
基本的には「エピジェネティクス」と同じくメチル化とかヒストン修飾ということになるのだが、その機序となるともっと複雑で、父母、祖父母の環境、嗜好や性癖なども子や孫に影響を与えるという、いわゆる「獲得形質」の遺伝についても興味深く読んだ。
新たな知見で蒙を啓かれ、真摯に取り組むことによりさらに新たな地平に到達する、という科学的立場をきちんとベースにしながら、面白く読むことのできる一冊。