はてな住所登録パブリックコメント

つまるところこの騒動は、住所を含む個人情報を収集してはてなが何をやりたいのかが明確に示されていないことに尽きるのではないか。
さらに言えば、収集した個人情報をどう管理し、どのような場合に開示するのかが曖昧で、個人情報を引き渡さなくてはならないユーザを納得させることがてきていないということだろう。
いわゆる「ウェディング事件」でのはてなの対応とその後のフォローのお粗末さを指摘するユーザは多い。
こうした事例が、ユーザの側から見れば「未解決」のまま残されたままになっており、そしてそれがユーザの不安を払拭できない理由の一つになっているのだとしたら、はてなとしてはまずそこから真摯に対応することを始めなくてはならないのではないだろうか。
はてなは好きだ、だけど今のままでは少し不安があると表明しているユーザを散見する。


それともう一つ、今回の住所登録要請に関してはどうもまず登録ありきで、ユーザに登録してもらうための基盤を作ることとユーザに対する告知が後回しになった点も指弾の対象となっている。
このパブリックコメントを開始するにあたっても、いつから始めるという告知もなくいきなり始まり告知は後回し、メールでのお知らせは他のニュースとの混載でトップの項目でもないから、事情を知らない人であれば見落としているだろう。
人によって違いはあるだろうが、おおかたのユーザにとっては非常に大切な、優先順位の第一番目にあるような事柄であるのに、どうもはてなの意識は「ついで」なんじゃないだろうか、と疑ってしまうような対応だ。
しかも、住所登録を促す通知メールはユーザ全員に送ったようだが、今回のメールには但し書きがないところを見ると、全員ではなくメールマガジンに登録された人たちだけであるらしい。
前回の全員メールが不評だったことをさっ引いても、こんな対応では、「パブリックコメントなんか集まらない方がいい」と思ってるんじゃないか、とまで疑いたくなる。
準備不足も含め、はてなにとってユーザとはいったい何なのか、そこからもう一度考え直し、認識を新たにしてみてはどうだろうか。


さて、前置きが長くなってしまったが、三つの選択肢が示されたのに対し、私は現時点では3番目を選ぶ。

そして、もう一度体制を練り直し、よーく考え直し準備を整えてから仕切り直していただきたい。


翻って、自分のタチ位置を確認してみると、こうだ。
なぜはてなを選んだかといえば、まず無料であること、そしてユーザ登録に際して個人情報を詳細に入力しなくてもよかったことが理由になる。
ユーザの中にネットを通して注目すべき人たちが多かったという点も挙げておこう。
約半年ユーザとしてはてなを使ってみて、今後個人情報を詳細に登録することが必要になった場合、はてなを続けていくかどうか、つまりはてなにどれほど魅力を感じているか、正直なところ微妙ではある。


仕切り直し後にやはり住所登録が必要だということになった場合には、以下の条件が必要であろうと思う。
法律的なことなど専門的なことについてはもっと知識のある方々にお任せして、ここではわかる範囲で並べ立てておく。


プライバシーポリシーには、収集した情報をどう使うのか、範囲、用途、目的、使い方等を、各項目ごと特定できるように記述する。
「こんなコトに使いたい」とか「将来こんな風に使う予定」などはいくらでも範囲を広げられるからダメ。
収集した情報をどんな場合に開示するのか、条件を特定して記述する。
「など」や「ほか」の入らない文章に。
収集した情報をどんな理念または体制で管理するのか、曖昧でないカタチで表明する。
プライバシーポリシーは、ユーザがみたいと思ったときにどこからでも参照できるよう、すべてのページに網羅的にリンクを張る。
特に個人情報を入力したり参照したりする作業を行うページには、積極的に誘導を行うなどの仕組みが必要だろう。


登録する住所は住民票上の住所なのか居所なのかを明確に指定して、登録された住所が本当に求めるところの「正しい」住所なのか全員に対して確実な方法で確認する。
また、今まで個人が特定できない方法で登録されていたユーザが受けるサービスと、個人が特定できる方法で登録されるユーザが受けるサービスとは本質的に異なるものとなるが、それを「はてな」としてきちんと定義付けしてユーザの地位を明確にしなくてはならない。
住所を登録したユーザに対しても「今までとサービス内容は変わりません」では話にならないのだ、ということを、はてなスタッフにはしっかり認識しておいていただきたい。


あとは作業の順序を間違えないで欲しい。
まずプライバシーポリシーの策定を始めとする、個人情報を扱う体制の整備をしっかりと行う。
そして、それをきちんと全員に漏れなく、事前に余裕を持って周知徹底する。
住所登録を始めるのは、それからだ。


はてなは会社である以上営利を求めているわけで、それがどこから生まれているかとすればユーザに他ならないだろう。
ユーザがたくさんいてこそはてなは儲かるワケなのだから、その根本のところを忘れずにいてほしいものだ。


以上、条件さえ整えば、住所を登録するのにまったくのところ吝かではない。