グレッグ・イーガン「祈りの海」読了

祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)

図書館から。
本当は「ディアスポラ」を借りたかったけれど、これは他の図書館にあって予約が必要だったので、取り敢えず借りたもの。中短編が11編おさめられた日本版のオリジナル短編集で464ページというなかなかのボリュームだけどどんどん読み進めて、遅読のモノとしてはかなり早く、通勤読書だけでなんとか2週間ちょっとで読み終わった。
とても面白かった。最初の2編を読んだあたりではまだ、「こんな話を面白い、という風にだけ感じるような歳になっちゃったんだな」なんてヘンな感傷を抱いたのだけれど、「自分」というモノ、コト、アイデンティティとか何とか、そんなことがテーマなんだと気づいてから安心して面白がれるようになった。視覚的にもイメージを広げてくれる語り口で、映画になると興味深そうなものが多かった。数学が専門でプログラマの経験もあるとのことで、量子力学や認識学などの「ことば」がたくさん出てくるけれど、それらの概念がきちんと理解できていなくたってちゃんと面白く読めるように書いてあるのもいい。
「祈りの海」は終盤にかけて展開が見えてきてしまうところもあったけれど、それでも最後まで読もうという気はなくならなかった。
次は「ディアスポラ」、さっそく予約した。