小熊英二・上野千鶴子・鶴見俊輔「戦争が遺したもの」読了

戦争が遺したもの

戦争が遺したもの

図書館から。対談だったから、どんどん読めた。とても面白かった。
「<民主>と<愛国>」を読んだなら必読じゃなかろうか。改めて小熊英二の取り組んだ姿勢を感じることができるし、あの分厚い本でさえ書き残したこと、書いたけどたぶん書き足りなかったことの一端が少なからず明らかになっているし、三日間の対談がみっちり書かれてなお溢れている。この対談のテープ起こしは貴重な資料になるんだろうなぁ。上野千鶴子もあとがきに書いているが、お互いが非常に真摯に向き合った対談だったようだ。
鶴見俊輔は「ヤクザの仁義」と言うけれど、「男気」*1ってことかな。一匹狼で親分子分の関係じゃない(たぶん兄弟分というのとも違う)自分にできる限り嘘をつかないでいようとする者同士の敬意みたいなもの、という風に理解したけれど、つまり思想などというものではなく、生き方を通じた共感なのだってことかしら。市井の民としてはそこまで突き詰めなくても生きていけると思うけれど、それぞれが大切にしているモノ、コトを尊重し合うことができるかってことに繋がっているのかな、と考えた。
「<民主>と<愛国>」にしてもこの本にしても、自分だけではきっと手に取ることがなかったと思う。はてなを通じて、いろいろな人たちからこうしていろいろな本や何かを紹介して貰えてとても幸せだ。ありがとう。

*1:本当は「イ夾」と書きたいけど出ない。