宮城沖震度6弱

ドーン猛烈な横揺れ…天井の建材、プール客直撃(Yahoo!ニュース - 読売新聞)

プールの天井から、夏休み中の親子連れなどの頭上に骨組みやパネルが降り注いだ。
16日正午前、東北や関東の広い範囲を襲った宮城県沖を震源とする地震仙台市内では、屋内プールの天井から建材が落下して十数人が負傷したほか、市営地下鉄が全線でストップ、エレベーターが止まって人が閉じ込められるトラブルも相次いだ。
同県で震度6を観測するのは一昨年7月の宮城北部地震以来。震度6弱を記録した同県川崎町の住民たちは、「ドーンという音の後、1分近くも横揺れが続いた」「壁づたいにやっとの思いで外に出た」などと、引きつった表情で発生直後の様子を語った。
天井の壁がはがれ落ち、白い建材がプールの水面やプールサイドにめちゃめちゃに散乱している。多数のけが人が出た仙台市泉区松森の市営の運動施設「スポパーク松森」周辺は救急車やパトカーのサイレンが鳴り響き、近くの住民たちは、けが人の搬出作業を不安そうに見つめた。
スポパーク松森の女性従業員によると、地震直後、まずウオータースライダー付近の天井が崩れ始め、長さ25メートルで8コースある室内プールに建材の破片が次々に落下。泳いでいた人にも直撃した。
当時、プールには265人がいた。プールサイドで監視員をしていた宮本康司さん(20)によると、天井の一部が落ちてきて、さらに揺れが強くなると、天井の真ん中付近から建材が一気に崩れ落ちてきた。
けが人の救出作業中、破片で指を切ったという宮本さんはそう語った。
近所に住む無職男性(70)は「ラジオでニュースを聞いて駆けつけた。孫をプール遊びに連れてこようと、楽しみにしていたが、オープン直後にめちゃくちゃに壊れるようでは不安でしかたがない」と話した。
同施設は、7月1日にオープンしたばかり。25メートルプールや流水プールなど五つのプールとウオータースライダー、温浴施設などがある。16日は夏休み期間のため、営業時間を1時間繰り上げて午前9時からオープンしていた。
仙台市環境局によると、問題の天井は直径約40メートルの建材のほとんどがはがれ落ち、天井の板を支えるワイヤも大半が大きく折れ曲がった。天井は室内プールでよく使われているという「岩綿吸音材」が張ってあり、地震でその岩綿吸音材が落ちてきたという。同局の担当者は未確認情報としながら、「落下物の大きさは、一番大きいものでプールの面積の3分の1程度のものもあった」と語った。
東北大学病院には、スポパーク松森から男5人、女3人の計8人が搬送された。同病院救急部によると、いずれも軽傷で、男性1人が歯を折って口から血を流していたほか、女性の1人は動転して自力で歩くことができず、ストレッチャーで院内に運ばれていった。
一方、宮城県大河原町役場に入った連絡によると、町内のショッピングセンターのガラスが割れ、買い物客の男性(30)と男児(9か月)の親子がけがをした。
また、震度6弱を記録した川崎町役場では、地震発生直後、本棚が大きく揺れ、中に入っていたファイルや書類がバラバラと床に落ちた。休みの職員が多く、3階建ての庁舎にいた職員は通常の半数ほど。職員たちは強い横揺れが続く中、壁伝いに外に避難するのがやっとだった。総務課の職員は「庁舎の建物はしっかりしているが、民家や農家のハウスなどがどうなっているのか心配。早急に調査したい」と語った。
自宅2階で掃除中に揺れに見舞われた川崎町在住の自営業佐藤昭光さん(57)は「こんな地震は初めて。2階がもげて家が壊れるんじゃないかと思った」と語った。最初にドンという縦揺れを感じた直後、大きな横揺れに襲われ、棚の本や神棚の物がバラバラと落ちてきたという。佐藤さんは「いつまで続くのかと思うぐらい長く感じた。めまいがした」と話した。