暮らしそのもの『国の基本』全103条 <第37条> 裁判迅速化へ整う制度

すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与えられ、また、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

一項は、刑事裁判の公平、迅速、公開の要件を定めている。裁判に迅速さが必要なのは、不当に長く人を被告人の立場に縛り付けておくことは、人権侵害にあたるという考え方からだ。「遅すぎる裁判は、裁判の拒否だ」とも言われる。
(中略)
迅速な裁判は、被告人の権利であると同時に、被害者や遺族の人権という面からも重要だ。その観点から、二〇〇三年には「裁判の迅速化に関する法律」が成立。一審は二年以内に終わらせることを目標に定めた。
憲法制定後、五十数年たって、やっと三七条の精神に沿った立法が行われたことになる。
昨年には、一般国民が裁判官とともに重大事件の刑事裁判を行う裁判員制度が、〇九年までに導入されることが決まった。政府は、この制度の導入も、裁判の迅速化につながると期待している。
(後略)

長すぎる裁判は人権侵害だけでなく、当事者を除く人々の事件への関心を風化させる。判決が出ても、「あぁ、あの・・・」「え? まだやってたの?」なんて情けない反応しかできなくなってしまう。何しろ日常でも、その事件だけでなく同じような、あるいはもっと過酷な事件が発生したりしているのだ。
裁判員制度によってどのように裁判が変わっていくのか、市民が人を裁くという次元にどう関わっていくのかまだよくわからない。