暮らしそのもの『国の基本』全103条 <第76条> 矛盾抱える特別裁判所

すべて司法権は、最高裁判所および法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法および法律にのみ拘束される。

(前略)
七六条は、立法権が国会、行政権が内閣に属するのと同じように、司法権は裁判所に属することをうたっている。
最高裁下級裁判所としては、裁判所法に基づいて高裁、地裁、家裁、簡裁が置かれている。裁判官は、どこからも、だれからも命令、圧力を受けることなく、法律だけに従って裁判を行う。
(中略)
衆院憲法調査会では、憲法判断を専門に行う憲法裁判所の新設を求める意見が多数を占めたが、自民党憲法起草委員会は「設置しない」という結論を出した。国会と自民党の考えが明確に割れた、数少ない部分だ。
同起草委は九条二項を改正し、自衛軍を保持するとの要綱をまとめているが、軍を設置することになれば、戦前の軍法会議に相当する「軍事裁判所」の設置問題が浮上する。この問題は、まだ党内で結論は出ていない。
憲法裁判所、軍事裁判所が設置されることになれば、この条の二項部分は、削除もしくは大幅修正されることになるだろう。

三権分立は何のためにあるのか。