暮らしそのもの『国の基本』全103条 <第77条> 裁判員制度で今後注目も

最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
検察官は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

(前略)
この条文の「規則」は、あくまで訴訟の手続きや段取りなど裁判所の内部的なものを指す。(中略)
司法制度に詳しい議員の中には「近い将来、この条文が注目される可能性がある」とする見方がある。一般国民が裁判官とともに刑事裁判を行う裁判員制度が、二〇〇九年までに導入されるためだ。
国民が裁判に直接関与する裁判員制度は、「想定の範囲外」の事態も予想される。特に刑事裁判は、被告の人権を大きく左右する。そう考えると、「裁判員に関する手続きは、司法の枠の中の規則ではなく、国民がチェックできる法律に書く必要がある」という主張がわき起こってもおかしくない。
裁判員制度は昨年、関連法が成立したが、国民に大きな負担を強いることになりかねない制度を導入するにしては国会で十分な議論が行われなかったとの指摘もあった。
改憲論議の中で、この条についての議論がほとんど盛り上がらないのは、今も裁判員制度に対する国会議員の理解が足りないことを証明しているように思えてならない。

改憲論議に絡めて考えなければならないかどうかは別にして、どうもやはり、有事法制にしても何にしても、結局のところ国会議員達のアタマの中にどれほど「国民」という視野があるのか、ということに尽きるのではないか。「国」「国家」とは何か。それを考える前にまず、「国民とは何か」ということを真剣に考えている議員がどれほどいるのか。そうした議員をどうして国会に送り込めないのか。
「国民とは『お国』に命を捧げるための存在」などと嘯くような輩が国会でのうのうとしていていいのか。