誰に対して「腹が煮えくりかえるほど怒っている」のか
君が代斉唱時の来賓起立状況調査へ 戸田市教委(WEB埼玉 / 2006年06月20日)
質問:高橋秀樹戸田市議会議員(民主クラブ)
「(国歌斉唱時に起立しない保護者・来賓について)放置すれば、日本国家の崩壊につながりかねない」
答弁:伊藤良一戸田市教育長
「私も腹が煮えくりかえるほど怒っている」
「何らかの措置を検討しなければ」
「教育委員会として(起立状況)調査をする」
戸田市教育委員会学務課
「(保護者については)事務局としては対象でないととらえている」
「調査というよりは照会。子どもを指導している立場として、来賓、保護者には協力をお願いしている」
いったい誰に対して「腹が煮えくりかえる」ほど怒っているのか。来賓として招待しておきながら、気に入らないと態度が悪いと悪態をつく。公僕であるならばなおさらのこと、それこそ不敬の極みではないのか。どこの国のどの時代の話だろうか。調査して、その後どうするのか。品川区では*1、起立しない来賓を招待しない方針を打ち出したことがある。同じようなことをするのか。
「国家の崩壊」だの「腹が煮えくりかえる」とは穏当でない、著しく「不適切」な発言じゃないのか。だいたい「腹が煮えくりかえる」は個人の感情であって、こんなことを基準に強要と反動調査をやられてはたまらない。これでまたいろいろなところで取り上げられると「誤解を招いたとしたら本意でない」などとシラを切るに違いない。この議員とやらには、どうして国家が崩壊するのかきちんと説明してもらいたいものだ。
東京新聞の記事はもう少し詳しい。
起立せぬ親と来賓調査 君が代 式典で徹底図る(東京新聞 / 2006年06月20日)
(前略)
君が代斉唱をめぐっては、東京都教委が、起立しなかった教員を処分するなどしているが、教委に指導権限のない来賓や保護者までも調査対象とするのは異例だ。
関係者によると、十三日の定例市議会で、民主クラブの高橋秀樹市議が「保護者や来賓で起立しない人がいる」と指摘。これに対し、伊藤教育長は「(事実なら)はらわたが煮えくりかえる」「『内心の自由だ』と言う人がいるようだが、生徒たちの前で規律を乱すようなことはあってはならない」と答弁し、調査する意向を示した。
伊藤教育長は、本紙の取材に対しても「表現は適切でなかったかもしれない」としながらも「式典は規律や礼節を学ぶ大切な場。来賓らには子供の模範となってもらいたい」と不起立を批判。市立の全小中学校長に、今春の入学式・卒業式の君が代斉唱で起立しなかった来賓の氏名や保護者の人数の報告を求める考えを明らかにした。
(後略)
さっそく「表現は適切でなかったかもしれない」と開き直ったらしい。戸田市では、教員や児童・生徒の不起立は「チェックしていないし、報告も受けていない」そうだ。これもよくわからない話。
入学式や卒業式はいったい誰のためにあるのか。観閲式でもあるまいに、一挙手一投足まで思い通りにしないと気が済まないか。公立の学校は、行政は、いったい誰のためにあるのか。
*1:今はどうかわからないが