「戦争をも辞さない国」へ

自民党:米以外とも兵器開発を検討 武器輸出3原則緩和も(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年1月5日(金))

自民党は、日本の武器輸出を禁じる「武器輸出3原則」について、兵器の多国間共同開発への参加解禁に向け、米国以外の国との共同開発の制限を緩和する方向で検討に入った。防衛費の圧縮圧力が高まる一方で、装備品の単価が高騰傾向にあり、開発費を抑制する狙いがある。
(中略)
「3原則」は、かつてはすべての武器輸出や共同開発を禁じるまで厳格化されたが、近年、同盟国の米国向けなどに限定し、徐々に緩和されてきた。04年12月の官房長官談話で、ミサイル防衛(MD)に関する米国との共同開発・生産を例外とすることを表明。(1)MD以外の分野での米国との共同開発・生産(2)テロ・海賊対策のための輸出−−についても「個別案件ごとに検討」することとしたが、米国以外の国が参加する共同開発・生産への参加は禁止されたままになっている。
(中略)
党内には「平和国家としての理念は維持すべきだ」との意見も多い。「なし崩し解禁」との批判をかわすため、緩和する場合の(1)共同開発の相手国(2)参加を認める分野(3)第三国への輸出管理−−に関する基準作りが焦点となりそうだ。
(中略)
◇ ことば…武器輸出3原則 (1)共産圏(2)国連決議の武器輸出禁止国(3)国際紛争当事国−−に武器の輸出を認めないとした67年の佐藤栄作首相の国会答弁。76年に三木武夫首相が3原則に該当しない国への輸出についても「慎む」と表明し、武器輸出を全面禁止。83年に米国向けの武器技術供与を解禁、04年にミサイル防衛に関する米国との共同開発・生産を例外とした。



防衛庁が「省」へと「昇格」し、制服組自衛官出身者が大臣となって軍備を直接動かせるようになれば、文民統制への信頼は大きく揺らぐことになる。併せて自衛隊法の改訂によって自衛隊の「専守防衛」についての定義が変更され、「海外派遣」も「本来任務」となり、海外での武器使用、戦闘への参加に道を開く第一歩となった。さらには武器の開発、調達、取引についてのタガも外されようとしている。このままでは、それこそ核装備についても議論だけでは終わらない事態となるかもしれない。
安倍首相は憲法改訂を参院選の争点にすると表明した。国民は今、「戦争をも辞さない国」へさらに一歩進むかどうかの選択を突きつけられている。政界だけではない。空前の利益を上げながら税金を払わずにいる銀行界を内包し、減税での優遇や賃金引き下げのお墨付きをもらおうと企む経済界までもが、国旗・国家への敬意を強制しようとし、公徳心を押し付け政府を後押ししようとしている。
憲法改訂では、最初はソフトに装うかもしれない。そして、憲法改正の発議及び承認要件(第九六条第1項)の緩和とセットでの賛成を迫るのではなかろうか。これを手に入れてしまえばあとは好き放題にするかもしれない。
杞憂であればいいのだが、そうでないとどうして言えようか。徴兵制は敷かない? 二度と戦禍を繰り返さない? 明文化しないものは、「武器輸出3原則」の例を見るまでもなく、最終的に元のまま守られるという保証はどこにもない。「強制をすることは断じてない」と明言していたはずの国旗・国歌法も然り、非核三原則にしても風前の灯なのかもしれない。このうえ憲法まで改訂して国民を縛ると言うのであれば、なおのこと不安を拭いきることができないではないか。
できれば衆院選とセットで選挙が実施されればなおいいのだが、各知事選、統一地方選はどうあれ、参院選ではしっかりと意思表明をしておく必要があると思う。そのうえで、現体制にはご退陣願い、衆院総選挙で改めて民意を突きつけられる道筋が実現できることを期待したい。