呆れた「規範意識」

<事務所費>伊吹文科相団体が会合・飲食費や交通費に流用(Yahoo!ニュース - 毎日新聞 2007年1月10日(水))

伊吹文明文部科学相衆院京都1区)の資金管理団体が賃料のかからない議員会館を所在地としながら多額の「事務所費」を支出したと政治資金収支報告書に記載し、一部を会合・飲食費や交通費に流用していることが10日、明らかになった。
(中略)
伊吹氏の資金管理団体「明風会」は05年の政治資金収支報告書に事務所費として4146万円を計上した。
(中略)
秘書官は、東京と京都の3カ所の事務所の家賃で計約1700万円と、切手代、通信費などを挙げたほか「飲食を含む会合費としても300万〜400万円かかっているし、夫人や秘書の京都との往復交通費もかかる」と話した。
政治資金規正法施行規則によると、事務所費は「家賃、電話代、切手代など(中略)、事務所の維持に通常必要とされるものを指す」とある。飲食費や交通費は明示されていない。明風会は01〜04年にも毎年4200万〜4700万円の事務所費を計上している。
(中略)
伊吹氏のほかにも、議員会館を主たる事務所としながら高額な事務所費を計上しているケースがある。中川氏の資金管理団体「昭友会」は05年に3096万円の事務所費を計上。
(中略)
01年には7656万円、02年には6479万円を計上するなど年による大きなばらつきもある。
松岡農相資金管理団体松岡利勝新世紀政経懇話会」は05年、事務所費3359万円を計上するなど過去5年間で毎年2400万円以上を報告している。
一方、野党側でも発覚。10日、民主党松本剛明政調会長資金管理団体「松本たけあき後援会」が05年、約1866万円を事務所費として支出していた。
(後略)



文中「中川氏」とあるのは自民党政調会長中川昭一氏。自民党の三氏はタダのはずの議員会館を事務所としながら家賃が必要だというデタラメを計上しているわけで、彼らが主張するところの「規範意識」のカケラもない所行だ。彼らには国民の血税も渡されており、それを不正に利用した疑いもある。民主党も人ごととは言えず、まったくもって嘆かわしい限りだ。
領収書を取れないものがあるそうだ。いったいどんな支出なのだろう、想像もつかない。
各氏は口を揃えて「問題はない」「適法だ」「違法性はない」と主張しているが、そもそも問題がないかどうか、適法か違法かは本人が判断することではない。自信をもって逆風に立ち向かおうというのであれば、公明正大に明細を示し、他の判断に委ねてみたらどうか。そうでなければ理解は得られまい。
このように不透明な輩たちが「規範意識」の「伝統」のと口角泡を飛ばし臆面もなく教基法を勝手に改訂してしまったのだ。こんな不埒な閣僚を擁する内閣や公党首脳は即刻退陣、強行した数々の愚挙も白紙に戻し、国民に信を率直に問い直して真摯な態度で出直すべきだ。
実はこの問題、昨年9月の総裁選直前に報道されている。


政治資金:05年収支報告 実家事務所に家賃 明細不要、“不透明”記載次々に(MSN Japanニュース 毎日新聞 2006年9月8日(金))

(前略)
賃料がない議員会館の部屋を「主たる事務所」とし、家賃が中心の「事務所費」に2000万円以上支出している国会議員の資金管理団体が少なくとも4団体あった。伊吹文明自民党伊吹派会長の政治団体は、4146万円を計上した。
(中略)
3359万円計上の松岡利勝衆院議員(自民)の事務所は「内訳は報告の必要がないので控えさせていただく」とコメントした。
(中略)
議員会館に「主たる事務所」を置き、高額の「事務所費」を計上した資金管理団体

代表者    事務所費 主な使途と言い分
伊吹文明氏  4146万円 他の事務所の賃料、交通・通信費
松岡利勝氏  3359万円 内訳は報告の必要がない
中川昭一農相 3096万円 法の定める事項以上の詳細は回答しない
亀井静香氏  2418万円 説明の必要はない。無駄に使っていない

 ※1万円未満切り捨て



これらがどうしてもっと大きく報道されなかったか、まったくもって不可解としか言いようがない。これらが大問題になってさえいれば安倍内閣は発足できなかったかもしれないし、伊吹氏だって文科相になれなかったかもしれないし、そうなると教基法のくだらない改訂だって本格的に阻止できたかもしれないのに。朝日新聞の(意図的に?)タイミングを外した姿勢に嫌気がさして毎日新聞に替えたけれど、これではまったく意味がなく歯がゆいばかりだ。