手術入院時の医療費について

今日の支払いを済ませてから、この間届いたレセプトを持って会計に質問がある旨申し出ると、奥の事務所から職員が来た。コピーしてもいいかと言うのでかまわないと答えた。
その職員の説明では、審査の際にチェックされた項目が「重複」として判断されて認められなかったようで、病院としては、医師が再度その項目が必要であったとの理由を添えて再審査の請求を出している、とのこと。もし審査が通れば保険組合の高額医療費還付の額が見直されるのではないかと思われるが、万が一また却下になった場合には病院から医療費が返還されることはありません、という。
病院としては必要な医療行為をすでにしてしまっていて、それを保険適用範囲内として処理しているから、患者に対しての請求を変更することはないということだそうだ。つまり、患者には審査が通ろうが通るまいが保険適用として3割の自己負担分を請求するけれども、残りの7割は、審査が通れば保険組合から払ってもらえるし、審査が通らなければ支払ってもらえない、ということらしい。
素人考えとしては保険組合の審査が通らなかったということは「保険外診療」ということになるんじゃないか、などと考えてしまうのだが、そうであれば10割自己負担のところを病院が7割引きでやってくれたとするとありがたかったのかな、なんてふと思ってみたりもする。しかしそもそも混合診療は認められていなかったんじゃないかと思うし、病院としては「審査機関との見解の相違」とおっしゃるのだけれど、患者からは取り敢えず3割取っておく、みたいな姿勢があるような気もするし、何だか釈然としない。「病院としては赤字として計上するしかないんですよ」と言う職員に、「赤字と言うことは、結局は市民が税金で負担しているってことでしょ」と言うと「その通りですね」と恐縮していたが。
純粋に金銭面だけからすれば、再審査が通って病院は残りの7割分を保険組合から受け取ることができ、ウチとしても高額医療の還付が追加となればウレシいし、八方丸く収まることに…なるとしても何となく、どうも引っかかる。
ひとつには、こうした状況になったとき、患者が気がついて積極的に動かないとなにもわからないということがあるように思う。病院としてはウチからのアクションを待つこともなくすでに再審査の請求をしているとのことだったから、何もしなかったとしても、3ヶ月もすると高額医療還付の額に「見直しがありました」なんて通知が保険組合から来て「ラッキー」と思っておしまい、もしくは結局再審査は通らずに「何だか還付が少なかったみたいだけど…」と思いつつ日々が過ぎていく、てなことになっていたのだろう。
保険診療の仕組みの問題だとは思うのだが、専門的なこは皆目わからない。医療側としては、必要な診療を保険適用を前提に施すのだろうけれど、要は、それが本当に保険適用とされるかどうかは審査が通るまでわからない、ということらしい。そうであれば、事前に基準を明らかにして(いや、たぶん某かの基準はもちろん明らかにされていると思うけれど)、グレーゾーンになりそうなところをあらかじめチェックして審査を通るように工夫するというような…方法を考えてみるけれど、そうすると審査というものが形骸化しかねないのだろうとすぐに気づく。世に言う偽装だのなんだのの構図に似ているし、医療の世界でもきっと善意に基づかない申告もあるのではないだろうかとも想像する。
それならば、今の法制度、仕組みの中で何かできることはないのか。いろいろ考えたけれど、保険適用の仕組み上今回のようなことが起こる可能性がありますが、病院としては適正な請求をしているので審査が通らなくても請求額を変更することはありません、というような通知を受診前に提示する、というようなことがあると今よりは少しわかりやすいかもしれませんね、とこれは話をした職員にも伝えて、病院としても何か善処できる余地があれば検討するよう伝えてみる、とお答えいただいた。それが本当に正しいことなのかどうかはわからないのだけれど。
過去においては、過去においては、例え市立病院だろうと、いや市立病院であればこそこんな問い合わせをしても「決まってることですから」と木で鼻を括るような答しか返ってこなかったかもしれないことを思えば格段の進歩とも言えるかもしれない。だけど、そうした面では改善が見られてきているのに、それぞれが悪意を持たずに行ったことが何となくつまずいてしまうような仕組みは、やっぱり何となく素直に受け止められないように思う。決まりは決まりで適正に運用してもらわなくては困る行政機関だからこそ、現場でのこうした問題に日々直面しているであろうことは、「離婚してから300日」問題の例を挙げるまでもなく想像に難くない。
本当は、たぶんこんなことよりももっと他にも重大な、早急に改善が必要な項目がそれこそ山のようにあるだろう。そう考えるとやはり、認識にいくつも問題がありそうな人物をこの分野の長に据えておくのはどうも得策とは思えないのであった。*1
誰のための、何のための保険制度なのか。何とかならないものかなぁ。

*1:またまた「失言」しちゃったみたいだし。