ようやくお辞めになるようだ

発足からこのかた、多数の閣僚、関係者に不祥事が発覚し、辞任、更迭、自殺とまともな人材を「適所」に配置できず、国会にあっては強行採決を連発して議会政治の根幹を揺るがし、選挙で歴史的大惨敗を喫しながら権力に恋々とし、「職を賭して」だか何だか意気込みを語っていたハズの安倍氏が、とうとう、というかようやく、首相の座を降りることになったようだ。
これで内閣は総辞職、新首相を選び直して再出発ということになるわけだが、少しはマシな人物にちょっとだけの間でもきちんと仕事をしてもらわなければならない。もちろん、まともな仕事ができずに衆院選にでも突入できればそれに越したことはないが、1年近くもロクなことをしなかった行政府の後始末くらいはしてもらわないと困る。


安倍首相:辞任の意向固める 政権の維持困難と判断(毎日新聞 2007年9月12日(水))

安倍晋三首相は12日、辞任する意向を固め、与党幹部に伝えた。首相は参院選惨敗後、内閣改造による政権立て直しを図っていたが、臨時国会テロ対策特措法の延長問題の展望が開けないうえ、「政治とカネ」の問題をめぐり激しい攻勢にさらされることが確実なことなどから、政権の維持は困難と判断したとみられる。政権が昨年9月に発足して以来1年をたたずに辞任に追い込まれたことで、後継総裁問題は混迷が予想される。
首相は12日、自民党麻生太郎幹事長、大島理森国対委員長らに電話、「代表質問には答えられない」と辞任の意向を伝えた。麻生幹事長は首相の辞意について記者団に「ずっと前から(首相の辞意を)聞いていた。安倍首相は『自分では議会での求心力がない』と言っていた」と語った。また、自民党幹部によると、首相は「わたしは代表質問に出るわけにはいかない。健康上の理由だ」と伝えてきたという。首相は11日、「風邪」を理由に公務を途中で中断していた。10日に召集された臨時国会では首相の所信表明演説に対する与野党各会派による代表質問が12日に予定されていたが、急きょ、中止された。
首相は7月29日に投開票された参院選年金問題などの影響で自民党が惨敗したにもかかわらず、続投を決意。8月27日に内閣改造を行い、政権の立て直しを図ったが、遠藤武彦前農相が補助金の不正受給問題で辞任に追い込まれ、大きくつまづいた。加えて、参院与野党が逆転した今国会ではインド洋に海上自衛隊を派遣するテロ対策特措法の期限が11月1日に切れることに伴う延長問題で、民主党が反対姿勢を崩しておらず、法案成立が危ぶまれる事態に。政府・与党は新法制定で事態打開を目指したが、首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のため訪れたシドニーで9日記者会見した際、給油活動継続について「職を賭す」と表明。活動継続できなかった場合は退陣する意向を示していた。首相の辞任をめぐっては、今週末発売の一部週刊誌が安倍首相に関連するスキャンダルを報じる予定だったとの情報もある。
首相の退陣表明を受けて自民党は後継総裁選びに着手する。麻生氏、福田康夫官房長官らの名があがっている。
(後略)



安倍首相辞意:衝撃の一報…列島にショック広がる(毎日新聞 2007年9月12日(水))

(前略)
◇居座りは無理
▽ 政治評論家・森田実氏の話 来るべきものが来ただけで当然と受け止めている。参院選で国民から事実上の不信任を突きつけられ、国民が信任しない政権が「衆院じゃないから」という理屈で居座るのはもともと無理だった。どんな独裁政権でも国民の信任が得られないと長持ちしない。衆院解散のエネルギーは首相自身にも政権にも残っていないことが、首相の最近の表情から読み取れた。臨時国会前から既に安倍首相には辞めるという選択肢しか残っておらず、後は時期の問題だと考えていたので全く驚きはない。


◇遅すぎるぐらい
▽評論家、室伏哲郎さんの話 辞任は当然だ。むしろ遅すぎるくらいだ。7月の参院選で、安倍晋三首相は「私と民主党小沢一郎代表のどちらを首相に選ぶのか」と国民に迫った。国民は選挙結果を通じてその意思を示したのに、首相は前言を翻し、何もなかったかのように居座り続けた。安倍政権は実質的に何もしていない。零点だ。後継に選んだ小泉純一郎前首相の責任も大きい。



野党もここで腰砕けにならずぐっと踏ん張って、ぜひとも衆院選に持ち込んでいただきたい。これからが正念場だと。