運動会延期

折からの雨で、運動会が延期になった。
いや、本当は小学校のサイトに「決行します」というのを見て行ってみたところ、子どもたちを雨に濡らして立たせたまま開会式をやっていたのだが、一向にやむ気配がないので仕方なく中断し、1時間近くも父兄らを待たせたあげくようやく延期が決まったのだった。
前日の夜から降り続いていた雨は娘がウチを出かける頃にもまだ降っていて、延期になるのかどうかわからないから授業の用意も持たせて送り出した。その後も雨脚が弱くなることもなく空も暗いままでどうにも雨が上がるようには見えなかったけれど、「決行します」と書いてあるので「何でこんな天気に」と妻と憤慨しながら小学校に向かった。とても小雨とは言えない雨の中、小学校に着いてみると校庭に生徒たちを並ばせて校長のあいさつが始まった。4年生以下は上着を羽織っている子も多かったけれど金管バンドや5・6年生は体操服のまますでに10分は雨の中に立たされていて、彼らの座るはずの椅子も荷物を掛けたままびしょ濡れの状態。
校長は「雨の中、元気よく立つ姿は頼もしい」だの「ピンポイント天気予報によればこの雨は必ずやみます」だのとおっしゃり、PTA会長も「校長先生のおっしゃる通り、私もこの雨はやむと思います」とお追従を口にする。「子どもたちの元気な姿を見るのを楽しみにしている遠方からいらした来賓、父兄の方々に申し訳ないのでどうしてもやる」という。何なんだろうか、この人たちは。
あげくに「子どもたちの健康を第一に考えて、本日の開催を中止にするかどうかを10時の時点で判断します」との告知があって子どもたちは教室に入り待機。近くに住む父兄らはいったん帰ったりもしたけれど、ほとんどは校庭で立ったまま。体育館も待機場所として開放されたが、場所取りをしているわけだし、ぬかるむ校庭に敷いてしまったシートを持って歩くのもバカらしいのでその場を動かない。
10時をだいぶ過ぎても「判断」とやらの通知はなかなかされず、一部に不穏な空気すら流れ始めた20分頃になってようやく、校長がマイクを持って校庭に立った。「必ずやむ」と言った意地があるのか待たせた手前申し訳ないと思ったのか、傘も差さずに校庭のまん中で「本日はこれで中止、日を改めて開会式の後から開催します」「せっかく来ていただいたので、急遽授業公開とします」と頭を下げた。濡れた大荷物を持って校舎に入るのも憚られるし、雨の中1時間半近くも待たされて疲れたので、妻と二人でブーブー言いながらそのまま帰宅した。
「子どもたちの健康を第一に」というなら、最初からやらなければいい。ピンポイントでどんな天気予報だったかは知らないが、朝の時点ではどこからどう見てもすぐにやみそうには見えなかったし、百歩譲っていずれやむとしても、それを期待して我慢できるほどの小雨じゃなかった。天気予報は「予報」であって外れることもある。「降水確率」はあくまで確率だし、10%刻みの発表なんだから例え「0%」でも「1〜9%」の「降る確率」はあるわけだ。校長が何の根拠で自信を持って「必ずやむ」と言ったのか、まったく理解できない。
それに、最近はどこの学校でもそうなのかもしれないが、何かの行事が開催されるかどうかよくわからないときの連絡は何もされない。事前に「開催されるかどうかわからないときは、両方の支度をして登校するように」という通知がある。学校に問い合わせは禁止だ。連絡網が回ってくることもない。小学校のサイトで通知があることもなかったし、今回だって人に聞いて確認してみたら書いてあった、というような状態で、事前に知らされていたわけではない。
学校の密度も高いし、朝っぱらから花火で合図というのも迷惑がられるだろう。人数が多い学校なら問い合わせが殺到すれば手が足りなくて困るというのもわからないではない。でも、だからといって「両方用意してこい」というのもどうかなぁ、と思うのだ。お弁当も持っていかなければならないし、今日みたいに雨が降っていれば、それ以外に体操服やらの荷物もある。習字だの図工だのがある日ならなおさらだ。低学年の子にはかなりの負担になる。
どこをどう振り返ってみても、「子どもの健康を第一に考え」たとは思えない対応だった。
この運動会の顛末に限らず、こういうゴリ押しの姿勢というのは、日本中にいくらでもある事例であるように思う。