エリザベス・ムーン「くらやみの速さはどれくらい」読了

くらやみの速さはどれくらい (海外SFノヴェルズ)

くらやみの速さはどれくらい (海外SFノヴェルズ)

図書館から。
テーマは「健常(ノーマル)とは何か」。自閉症の主人公を通して、ノーマルであることとそうでないことの基準は何か、ノーマルであることを求めることによって何を失うか、ということを丁寧に問いかけた内容。
読み進めていくうちに設定は近未来ということがわかってくるけれど、あえてSFと宣言しなくてもまったく違和感はない。フェンシングやその他の視覚的なイメージを想起させるシーンをうまく配置してあって、映像化することもある程度前提にして構成したのかもしれない。
夢は手に入れるけれど結局は愛を失うことになるというエピローグはやはり必要だったかもしれないけれど、少し後味に苦さの残る結末だった。
400ページを越えるにも関わらず1週間で読めてしまった。面白かった、ということだろう。