上橋菜穂子「天と地の守り人 第2部・第3部」読了

天と地の守り人〈第2部〉 (偕成社ワンダーランド 33)

天と地の守り人〈第2部〉 (偕成社ワンダーランド 33)

天と地の守り人〈第3部〉 (偕成社ワンダーランド)

天と地の守り人〈第3部〉 (偕成社ワンダーランド)

図書館から。
最後の2冊は一気に読んだ。実に苦い思いを残して読み終えた。児童文学という枠組みで描き得なかったこともあるだろう。が、しかしだからこそ、もう少し丁寧に書き込んでもよかったのではないか、わかりやすくてもよかったのではないか、と思う点がいくつもある。
特に最後の三部作では、所詮チカラでしか解決のできないことがある、穢れなき平和というモノはあり得ない、というようなメッセージになってしまいはしないか、と危惧する。結局剣を取らざるを得ず、為政者として、多くの屍のうえに、ある種の諦めというか切り分けというか、そのようなものとともに民草の暮らしを成り立たせるべく奮闘するチャグムは大いに悩み抜いたはずだが、その果ての第一歩を踏み出す際の幼い弟妹とのエピソードはあれではあまりに頼りないのではないか、と思うのだ。
星読みとか呪術とかいろんなものをちりばめすぎているかもしれない。消化不良のところもある。描ききれなかったんじゃないかと思われる人物もアチコチにいる。それでも、読み応えのある、大きな構想の物語ではあった。
バルサとタンダのエピソードは涙なくしては読めなかった。これからまだ国々の軋轢があるかもしれない。願わくばすべての人々に幸あらんことを。