小泉首相:参院選「51議席」下回っても退陣せず(MSN-Mainichi INTERACTIVE)

小泉純一郎首相(自民党総裁)は29日、同党本部で新聞・通信各社のインタビューに応じ、参院選自民党が最低目標の51議席を下回った場合の対応について「世間の意思を問うのは衆院選ですから」と述べ、退陣する考えがないことを示唆した。政権選択の衆院選とは違い、参院選では首相の責任は問われないとの意見があることに対しては「そういう議論もある。判断するのはトップだから、状況を見ながら」と語った。

51議席を下回った場合の首相の政治責任については、安倍晋三幹事長が退陣の必要がないと明言しているのに対し、青木幹雄参院幹事長は「参院選に敗れた内閣は『死に体』なので、当然責任を取ると考えている」と語るなど、意見が割れている。首相が参院選の結果によって進退を問われることはないとの考えを示唆したのは、政権維持への強い意欲の表明であるとともに、選挙戦の厳しい現状認識の裏返しでもあるようだ。

さらに首相は「自民党を変える、と言って変えた。変えればつぶす必要はない」と述べ、「自民をぶっ壊す」というかつてのキャッチフレーズが不要になったとの考えを表明。外交課題では、日朝国交正常化について「(06年9月の総裁任期切れまでの)2年と言わず、2年以内に実現したい。悲観的にならないで、いい方向に考えたいと思う」と、任期中の実現に自信を見せた。憲法改正については「やろうとしても2年以内には無理だ」と断言する一方、教育基本法改正には任期中に取り組む意欲を示した。

小泉純一郎首相の主な発言内容は次の通り。

参院選

3年間の改革路線が問われる。現有議席を上回るように努力する。(信任は)現有議席を確保できるかだ。(下回った場合の政治責任は)どうなんですかね。衆院選ですから、世間の意思を問うのは。判断するのは、状況を見ながら。

▼自公選挙協力

地域の事情、候補者個人との関係があり、全国一様ではないが、全体的に順調。協力にはプラスとマイナスがある。自民党を支援していた立正佼成会は、民主党支援に回った。しかし、公明党との友好関係を大事にする。公明党に何らかの見返りを要求されている候補もいるし、(要求されて)いない候補もいる。

内閣支持率低下

イラク、年金も響いているのだろう。反省すべき点はある。不信を招いたのは未納・未加入問題、(強行)採決だろう。多国籍軍というと戦争に行くという誤解がある。だんだん分かってくれると思う。

内閣改造など

自民党を変えてきた。典型が道路公団と郵政。反対していたのを賛成させた。人事も派閥順送りをしない。「自民党を変える」と言って変えたのは事実だから、つぶす必要はない。改造はやはり9月末の党役員人事と合わせてだろう。選挙が終わってからゆっくり考えるべき問題だ。

民主党岡田克也代表も藤井裕久幹事長ももともと自民党。一緒にやってもおかしくない。岡田代表には持ち味を出して頑張ってもらいたい。しかし、私にライバルはいない。ライバルは自分自身。どんなに批判されても耐えなきゃいけない。

▼政策課題

来年には郵政民営化の法案が通常国会に提出される。党内のいろんな意見があるだろうが、ぜひ成立させないといけない。憲法改正は(06年9月までの任期中の)2年以内には無理だろう。教育基本法改正は選挙後、公明党との意見の相違をどうやって縮めていくか。憲法と一緒となると、ずいぶん遅れる。

▼外交課題

日朝国交正常化は2年と言わず、2年以内に実現したい。悲観的にならないで、いい方向に考えたい。そのためには日朝平壌宣言を誠実に履行することだ。拉致の問題、核の問題、ミサイルの問題、包括的に。日露関係は領土問題で少しでも前進できるように道をつけたい。