文民統制はどうなるのか

防衛参事官制度見直し「検討は必要」 石破防衛庁長官asahi.com

石破防衛庁長官は2日午前の記者会見で、自衛隊制服組の最高幹部が、防衛庁内局(背広組)が制服組を統制する「参事官制度」の廃止を石破長官らに提案していた問題で、「白紙的にどういうものがあるかという自由討議の段階だ」と述べ、庁内で制度の検討を進めていることを認めた。そのうえで、「よりよい文民統制を確保するためにシステムについて不断の検討は必要だ」と述べ、制度見直しに前向きな姿勢を示した。

石破氏は、参事官制度について「本当に文民統制という意味で有効に機能してきたかどうか」と疑問を呈した。そのうえで、「あらゆる議論を排除すべきではない。本当の意味での文民統制を実現しなければいけない」として、新たな制度を構築する必要性を認めた。

背広組と制服組との関係については「車の両輪として機能することが大事だ」とし、「(両者の意見を)政治の側が判断できる努力が求められる」と語り、文民統制における政治の果たす役割を強調した。

一方、細田官房長官は2日午前の記者会見で、制服組の提案について「承知していない」と述べたうえで、「民主主義の形態が大きく変化している。21世紀の日本型の議論が必要ではないか。制服を着た人が暴走するのではないかと短絡的に考えるのは当てはまらない」と語った。

防衛参事官制度:防衛庁、見直しを検討 制服組の権限強化(MSN-Mainichi INTERACTIVE)

防衛庁が、文官(背広組)による自衛官(制服組)への統制を認めた「防衛参事官制度」などの見直しを検討していることが2日、分かった。古庄幸一海幕長が同制度を廃止して制服組の権限強化を求めたことがきっかけで、文官優位の文民統制のあり方をめぐって論議を呼びそうだ。

防衛参事官は背広組から10人が指定され、このうち5人が官房長や各局長に充てられる。長官を補佐するとともに、制服組に対する幅広い監督権が認められている。同制度は自衛隊創設当初、旧軍関係者が入っていたため、同関係者を統制するために設けられた。

古庄海幕長は先月16日、庁内で防衛大綱の見直しを議論する「防衛力のあり方検討会議」で、05年度末に制服組の最高ポストとして統合幕僚長が新設されるのに伴い、防衛庁設置法9条が規定する防衛参事官制度の廃止を求めた。さらに海幕長は文官のトップである防衛事務次官が持つ権限を制服組に移すことも提案した。制服組の間には以前から同制度の見直しを求める声があり、自民党国防部会も3月下旬、「同制度や中央組織の見直しが必要だ」と提言している。

一方、背広組は「防衛参事官制度は文民統制を維持するために必要だ」(幹部)と反発している。2日に開かれた防衛力のあり方検討会議でも、同制度見直しについて議論されたが、背広組と制服組の意見が一致せず、石破茂防衛庁長官が議論を預かったという。

石破防衛庁長官は同日の記者会見で「よりよい文民統制を確保するために、システムは不断の検討が必要だ。コンセンサスを得ないで(同制度廃止のために)法律を変えることはない」と語った。

細田博之官房長官は記者会見で、同制度見直しの検討について「政府として承知していない」と述べた。

古庄海幕長集団的自衛権、将来的に認められるべき」 (asahi.com

憲法解釈上、行使を禁じられている集団的自衛権について、防衛庁の古庄幸一海上幕僚長は20日の定例会見で、このままの状態では「国際的に十分な活動ができない」として、将来的に認められるべきだとの考えを示した。憲法改正論議が続く中で、自民党を中心に行使を認めるべきだとの声が出ているが、反対の声も根強い。制服組のトップの発言は、論議を呼びそうだ。

海上自衛隊は01年11月から、テロ対策特別措置法に基づき、インド洋で他国艦艇への洋上給油活動を続けている。集団的自衛権の行使は認められていないため、対テロ作戦に参加する他国の艦艇が攻撃されても、自衛隊が応戦することはできない。

こうした状況を念頭に、古庄海幕長は「我々は決められた範囲でやるが、それでは国際的に十分な活動はできない。もし(集団的自衛権などの制約が)解決できれば、任務が拡大されても柔軟に対応できる」と見直しへの期待を語った。

海幕長の発言は、自衛隊が国際協力活動を今後、拡大しようとすれば、制約が活動の障害になるとの見方を示したものだ。今回の発言について、海幕長は「状況が変化している中で、必然として出てくる問題だということで発言した」と説明。「政治的にものを申すことは、みじんも考えていない」と話した。

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防衛庁の古庄幸一海上幕僚長集団的自衛権についての憲法解釈見直しの必要性に触れたことについて、福田官房長官は20日の記者会見で「どんな風に言ったか、前後もある。よく見てみないと」とコメントを避けた。一方、集団的自衛権の行使を認めない政府の憲法解釈については「考え方は変わっていない」と述べた。