経団連「武器禁輸再考を」 防衛予算減に危機感(asahi.com)

経団連「武器禁輸再考を」 防衛予算減に危機感(asahi.com

日本経団連奥田碩会長)は20日、武器輸出を禁じている「武器輸出3原則」と「宇宙の平和利用原則」の見直しを求めて「今後の防衛力整備のあり方」と題する提言をまとめた。経団連は、防衛予算の削減が続く中で、輸出禁止が今後も継続すれば防衛産業の技術・生産基盤を失いかねない、との危機感を抱いている。今後、政府が今年、防衛大綱と中期防衛力整備計画(01〜05年度)を見直す日程をにらんで、政府への働きかけを強める方針だ。

提言は、国際的に装備・技術の高度化が進み、多国間の共同運用が増加する中で、日本が共同開発プロジェクトから取り残され、防衛装備の技術、コスト面で立ち遅れる懸念を指摘。一方、朝鮮半島におけるミサイル、核開発など日本の安全保障環境の脅威が増大しているため、日本の安全保障に支障をきたす、としている。

また、日本政府が米国と共同研究を進めているミサイル防衛(MD)でも、共同生産や対米輸出を実現させるうえで、3原則が障害になる、と経団連はみている。

こうした認識をもとに、提言は「一律の禁止ではなく、国益に沿った形で輸出管理、技術交流、投資のあり方を再検討すべきだ」と原則の見直しと柔軟な運用を求めている。

また、防衛目的の利用が認められていない日本の衛星について「国際的には侵略・攻撃を目的としない利用は認められている。国際的な解釈に合わせるべきだ」と主張している。

冷戦終結後の防衛予算の抑制によって、防衛庁が発注する航空機や艦船などの「正面装備品」の新規契約総額は、90年の1兆727億円をピークにほぼ一貫して減少。03年度には7630億円に落ち込んでいる。

経団連は95年、2000年にも、3原則の見直しを提言。今年2月の自民党首脳との懇談でも見直しを強く要望していた。

武器三原則見直しを批判 経団連提言で河野議長(北國新聞 - 共同通信社

河野洋平衆院議長は21日午前、都内で講演し、日本経団連が武器輸出三原則の見直しを求める提言をまとめたことについて「もっと武器を輸出できるようにしようとの提言が出てくるのは、安易に看過できない」と経団連の姿勢を強く批判した。

さらに「経済界だけの話なら経済界の人に反省を求めたら良いが、政界と連動して(見直し提言が)出てきたとしたら非常に由々しき問題だ」と指摘した。

また先の参院選の結果に関し「非改選の議席を合わせると(与党で)過半数を占めているが、今選挙では過半数を得られなかったという事実はしっかり受け止めてもらいたい」と述べ、小泉純一郎首相ら党執行部に自省を求めた。その上で、首相の政権運営に対し「もっともっと相手の意見を聞いて、丁寧に説明するという基本的な態度が重要だ」と注文をつけた。