巨人、渡辺オーナー辞任 スカウトで金銭授受判明し引責(asahi.com)更新版

巨人、渡辺オーナー辞任 スカウトで金銭授受判明し引責(asahi.com)更新版

プロ野球巨人は13日、東京都内で記者会見を開き、今年秋のドラフト会議で獲得を目指していた明治大学一場靖弘投手(22)に、スカウトが約200万円の現金を渡していたと公表した。渡辺恒雄オーナー(78)は道義的責任をとり、同日付で辞任した。金銭授受にかかわった土井誠社長、三山秀昭球団代表、高山鋼市・球団副代表の解任と堀川吉則会長の辞任も発表した。滝鼻卓雄読売新聞東京本社社長が新オーナーに就任する。
会見した滝鼻氏によると、昨年12月末から今年7月上旬にかけて数回にわたり、食事代、交通費、小遣いなどの名目で合計約200万円を渡した。こうした行為は学生野球憲章で禁じられている。一場投手は一部を使ったことを明らかにしたが、同日、全額を小切手で返金したという。スカウト活動を巡る不透明な金銭の授受はこれまでもうわさになっていたが、公になるのは極めて異例だ。
一連の不正は、外部からの告発を受けて調査を始めた。その結果、昨年12月にスカウトから三山氏に「一場投手の獲得が厳しい状況にある」と報告があり、三山氏、土井氏が金銭を渡すことを認めたことが分かった。
渡辺氏は「プロ野球をどう発展させるかを真剣に議論している重大な時期にルール違反を犯した責任は重く、道義的な責任を痛感している」などとするコメントを発表した。読売新聞グループ本社の会長、主筆などの役職は続ける。
渡辺氏は96年に球団オーナーに就任した。ドラフト改革やフリーエージェント制導入などに影響力を発揮してきた。12球団オーナー会議議長を務めており、近鉄オリックスの球団合併、球界再編問題でも主導的な役割を果たしてきた。同氏の辞任により、これらの議論への影響は避けられない。9月8日に予定されている同会議には滝鼻新オーナーが出席する。
一場投手は大学球界を代表する右腕で、巨人志望が明らかになっていたが、この日、白紙に戻す意思を示した。明大野球部はこの日、一場投手を謹慎処分とした。今後、所属する東京六大学野球連盟に報告し、日本学生野球協会の処分を待つ。