教育を乗っ取ろうとする輩

つくる会」の歴史教科書、都立の中高一貫校で採択(asahi.com

新しい歴史教科書をつくる会」の主導で編集された歴史教科書(中学生用・扶桑社版)が、26日に開かれた東京都教育委員会で、来春開校する都立中高一貫校の教科書として採択された。扶桑社版教科書をめぐっては「戦争を美化している」などの批判もあり、全国的にはほとんど使われていないが、都立の普通校での採択は初めて。
都教委の審議は午前10時から公開で始まり、6人の委員が8社の歴史教科書を比較した資料を基に検討。北朝鮮による拉致問題の扱いや、神話・伝承を知り、日本文化や伝統に関心を持たせる資料かどうかなどについて違いを研究した結果、5人が扶桑社版教科書を推した。
扶桑社版教科書を使うことになったのは、都立初の中高一貫校となる白鴎高校付属中学校(仮称、台東区)。来年度は1年生のみ約160人を募集する予定で、「日本の伝統文化の教育に力を入れる」ことを特色として掲げている。
都教委は01年、養護学校2校と1分教室向けに扶桑社版の教科書を採用。文部科学省によると、同教科書を使う公立校は現在、都立養護学校のほか、愛媛県立の中高一貫校3校と養護、ろう学校の一部だけで、私立を含めた採択率は0.097%にとどまっている。
扶桑社版教科書については中国、韓国が「侵略戦争の本質を隠している」などと検定段階で反発し、日本政府に表現の修正などを要請。文部科学省も137カ所にのぼる検定意見を付け、修正後に合格となった。しかし、「歴史を歪曲(わいきょく)している」「女性蔑視(べっし)の表現が目立つ」との批判がある。
都立養護学校で採用された01年、都教委には全国から「戦前の侵略戦争や植民地支配を肯定している」などと採択に反対する意見が多数寄せられた。今回も、市民グループが全国から集めた約2万8000人の署名を都教委に提出するなどの反対運動が起きていた。

つくる会」教科書:来春新設の一貫校で採択−−都教委(MSN-Mainichi INTERACTIVE)

東京都教育委員会は26日午前の定例会で「新しい歴史教科書をつくる会」が執筆した扶桑社の歴史教科書を、来春新設する都立初の中高一貫校の中学校で採択することを決めた。同社の教科書については「歴史観に偏りがある」との指摘があり、01年8月の全国一斉選定の際には各地で論議を呼んだ。一般公立中としては、昨年開校した愛媛県中高一貫校3校に続く採択となり、来年夏の一斉選定に影響を及ぼしそうだ。
都庁で開かれた定例会には、清水司委員長と米長邦雄内館牧子、鳥海巌、国分正明の各委員、さらに横山洋吉都教育長の6人が出席した。歴史教科書については、8冊の中から6人による無記名投票の結果、同社の教科書に5人が賛成した。
投票後、内館委員は「扶桑社は拉致問題を扱っていないが、どうなんですか」と委員会で述べ、米長委員は「(養護学校への)導入の時、健常者にふさわしいと採択が決まった経緯もある。この中高一貫校が伝統文化を重視するということと関係なく、一番いいと判断し、これ(扶桑社)にマルをつけた」と語った。
採択が決まったのは、都立白鴎高を改編して新設する白鴎高校付属中学校。都教委は10年春までに同校を含む10校の中高一貫校を設置する計画で今後、他の9校でも採択される可能性が高い。
庁舎前では、同高の卒業生らが、都庁を訪れる都民や都職員にビラを配りながら「日本の侵略を美化する教科書を採択しないで」と訴えた。会議室前には20人分の傍聴券をめぐり、173人の希望者が詰め掛け、職員や警備員ともみ合いになる場面もあった。
公立学校の教科書は各自治体の教育委員会が選定する。都教委は01年8月、都立養護学校の一部について公立としては全国で初めて同社の歴史教科書を採択した。選定作業は4年ごとに実施され、その間に開校する学校に関しては開校前年の夏に選定される。


………………………………………………………………………………………………………


■ことば
◇「つくる会」の歴史教科書
00年7月に文科省に検定申請し、01年4月に合格した。戦前の「韓国併合」を「合法的に行われた」と記述したり、朝鮮人や中国人の「強制連行」に触れていないなどとして中国や韓国からも強い反発を受けた。「つくる会」によると、現在、使用している中学校は私立が8校、公立は都立養護学校2校1分教室のほか、愛媛県中高一貫校3校と養護学校4校。

東京都が「つくる会」歴史教科書を採択(YOMIURI ON-LINE)

東京都教育委員会は26日午前、台東区に来春開校する都立中高一貫校で使う教科書として、「新しい歴史教科書をつくる会」(八木秀次会長)のメンバーらが執筆した扶桑社の歴史教科書を採択した。
公立の普通校での採択は、愛媛県中高一貫校(計3校)に次いで全国で2例目。
つくる会の歴史教科書が採択されたのは、都立「白鴎高校白鴎高校付属中学校」。同校は都教委が設置を進める中高一貫校の第1号。来年度入学する1年生160人(予定募集定員)が使うことになる。
つくる会の教科書は中学生向けの歴史と公民の計2冊。公立校では、2001年に都立養護学校愛媛県立養護・ろう学校で採択された後、翌年、同県の中高一貫校でも採択された。圧倒的多数を占める区市町村立の中学では採用されていないが、同会によると、私立では全国で8校が採用しているという。
一方、「つくる会の教科書阻止東京ネット」(市民団体など76団体)は、これまでに約2万8000人の反対署名を集め、都教委に提出している。
採択の度に波紋を呼ぶ「つくる会」の歴史教科書。この日も都教委の定例会が開かれた都庁の会場は、20席の傍聴席のほとんどが反対派のメンバーで埋まったが、大きな混乱はなく、採択は淡々と進んだ。
6人の教育委員は、都立白鴎高校付属中で使用する歴史教科書について、紙に記入して投票。5人がつくる会の教科書に投票したことが事務局側から明らかにされた後、協議に入った。委員からは、神話の記述について若干の意見が出たが、ほどなく委員長が採択を宣言。傍聴席は、結論を予想していたのか静まりかえったままだった。
この日、反対派のメンバーは早朝から約30人が都庁舎前に集まり、つくる会の教科書採択に抗議する声明文を配った。


◆採択の度に抗議と波紋◆
採択時には大きな議論を巻き起こす「つくる会」の歴史教科書だが、すでに使用している学校現場で目立った混乱は生じていない。
中高一貫愛媛県立松山西中は昨年から、つくる会の歴史教科書を使い始めた。学校側は「副教材も使い、多角的に歴史を見るようにしている。第2次世界大戦の部分は(教師が)他の教科書も参考にするなど、気をつかっている」とし、「生徒、保護者、教師からの苦情はない」。ただ、「他の教科書に比べ、人物名などの分量が多く、授業で十分扱いきれない面もある」とも指摘した。
同県立の今治東、宇和島南の2校も「苦情や混乱はない」としている。
私立の岡山理大付属中(岡山市)の鈴木誠喜教頭は「教師はどの教科書を使っても、それをどう料理するかが大事」と強調し、つくる会の教科書が大東亜戦争という表現を使っていることについて、「その呼び名を使う人と反対する人がいる。平面的な歴史教育ではなく、生徒にいろいろなことを考えさせることができる」と評価する。
つくる会の教科書への注文として各校が指摘したのは、「図が少ない」「物語風で面白いが、中学生には難しい」などだった。

扶桑社の歴史教科書採択 中高一貫校に東京都教委(Sankei Web)

来年4月に開校する東京都立初の中高一貫教育校、白鴎高校付属中学校(台東区)で使う歴史教科書について、都教育委員会(委員長・清水司東京家政大理事長)は26日、「新しい歴史教科書をつくる会」主導の教科書(扶桑社発行)を採択した。投票の際は教育委員6人のうち5人が支持、採択に異論は出なかった。
本年度、使用している公立校は都立養護学校2校、愛媛県立ろう・養護学校5校、中高一貫教育愛媛県立中学3校の計10校。
都教育委員は、清水委員長と元文部事務次官の国分正明氏、元丸紅会長の鳥海巌氏、将棋棋士米長邦雄氏、脚本家の内館牧子氏、横山洋吉教育長の6人。内館氏以外は2001年8月、一部の都立養護学校用に扶桑社の歴史と公民の教科書を採択した際と同じ。
この日の定例委員会では、投票結果を受けて委員が協議。内館氏は「記紀神話の記述で女の子が恥ずかしがるかもしれない描写がある」などと述べた。米長氏は「3年前、この教科書が一番良いという見解を出している」と強調。国分氏は採決の際、「戦争に導くような教科書ではない」と語った。
都立白鴎高・付属中は「日本人のアイデンティティー育成」を教育の柱の一つに掲げ、中学で三味線や和太鼓を取り入れた「邦楽」、高校では「日本文化概論」の授業も実施する。