種村季弘氏、死去

訃報:種村季弘さん 71歳 死去=ドイツ文学者(MSN-Mainichi INTERACTIVE)

◇欧州文化の裏面史に光
ヨーロッパ文化の裏面史に光を当て、文芸から美術まで多彩な評論活動で知られたドイツ文学者の種村季弘(たねむら・すえひろ)さんが8月29日、胃がんのため静岡県内の病院で亡くなった。71歳。葬儀は近親者で済ませた。自宅は非公表。喪主は妻薫(かおる)さん。
東大独文科卒。東京都立大教授、国学院大教授を歴任。ヨーロッパの精霊や妖魔を論じた著書「怪物の解剖学」など該博な知識に基づき周辺的なものや異端に新たな視点を与えた。文芸評論に、精神分析の手法を取り入れた「壺中天奇聞」「夢の舌」がある。ユーモアに富んだ「書物漫遊記」などのエッセーでも人気を集めた。他の著書に「ビンデンのヒルデガルトの世界」など。
体調を崩し、1カ月ほど前から入院していた。

独文学者・評論家の種村季弘さん死去(asahi.com

博覧強記の独文学者・評論家で本紙書評委員の種村季弘(たねむら・すえひろ)さんが、8月29日午後8時25分、胃がんのため静岡県内の病院で死去した。71歳だった。通夜・葬儀は近親者で済ませた。本人の遺志により、お別れ会などは予定されていない。喪主は妻薫さん。自宅は神奈川県湯河原町吉浜1953の6。
33年東京に生まれ、東大文学部独文科を卒業。独文学の翻訳、幻想小説や美術、演劇に関する評論、神秘思想研究など多彩な執筆活動を展開。作家の故渋澤龍彦氏や劇作家の唐十郎氏らと共に70年代の前衛芸術を引っ張った。
種村季弘のネオ・ラビリントス」(河出書房新社)で泉鏡花文学賞を受賞した。
温泉や飲み屋を歩き回るエッセイストで「徘徊(はいかい)老人」としても知られ、昨年末に出版された「江戸東京《奇想》徘徊(はいかい)記」(朝日新聞社)では江戸や明治の名残を探るなど、洒脱(しゃだつ)な紀行文の名手でもあった。
80年代に本紙文化面の「文芸時評」を担当した。02年からは2度目の本紙書評委員を務めており、今年4月にはエッセー集「畸形(きけい)の神」(青土社)を出版した。最近は入退院を繰り返しながらも執筆活動を続けていた。

種村季弘氏=ドイツ文学者(YOMIURI ON-LINE)

幻想文学、神秘思想などの評論・翻訳で知られたドイツ文学者、種村季弘(たねむら・すえひろ)氏が8月29日午後8時25分、胃がんのため死去した。71歳だった。喪主は妻、薫(かおる)さん。
東大独文科卒。出版社勤務を経て、1960年代半ば以降、ヨーロッパの底流に流れる異端文化に着目した文筆活動を展開。怪物や悪魔などの神秘思想、幻想文学や秘教的な芸術の評論や翻訳を次々に出し、仏文学の澁澤龍彦とともにカリスマ的な存在感を放った。
95年、芸術選奨文部大臣賞。99年、泉鏡花文学賞を受賞。著書は100冊以上に及び、代表作に「怪物のユートピア」「パラケルススの世界」、それらを集成した「種村季弘のラビリントス」10巻などがある。
2000年まで国学院大学教授を務め、近年は「人生居候日記」など隠者的な姿勢を示す随筆も増えていた。がん治療を受けながらも創作意欲は衰えず、今年4月、力作評論「畸形(きけい)の神」を刊行し、注目を集めた。

種村季弘氏(幻想文学評論、独文学者)(Sankei Web)

幻想文学の評論などで知られるドイツ文学者の種村季弘(たねむら・すえひろ)氏が八月二十九日午後八時二十五分、胃がんのため死去した。七十一歳。東京都出身。近親者のみで密葬をすませた。喪主は妻、薫(かおる)さん。自宅は公表しない。