憲法改正草案:大綱素案、白紙撤回へ 策定作業が大幅遅れ(MSN-Mainichi INTERACTIVE)
自民党執行部は4日、党憲法調査会(保岡興治会長)の起草委員会がまとめた憲法改正草案の大綱素案を白紙撤回する方針を決めた。参院自民党が素案の内容に反発しているのに加え、策定の経緯が不透明との批判が根強いため、党内論議の集約は困難と判断した。執行部は憲法改正草案作りの全体計画も見直す考えで、年内に予定していた大綱策定は大幅に遅れ、来年3月以降となる可能性が出てきた。内容も見直されるのが必至だ。
素案は、国会の二院制に関し、参院議員の間接選挙や任命制、閣僚の兼任禁止を盛り込むなど衆院の優越性強化を打ち出した。これに、参院自民党が「事実上の(衆院だけの)一院制だ」と猛反発し、当初は二院制部分だけを撤回する収拾策も検討された。しかし、党内で「(素案は)一部の議員だけで作った」との批判が収まらないことから、素案全体を撤回することにした。
執行部は党憲法調査会に対し、都道府県連や国民からも幅広く意見を募って意見集約をやり直すよう指示。全党的な合意形成を図るため、小泉純一郎首相をトップに党役員などで構成する協議機関を新設することを検討している。
素案の白紙撤回により、党憲法調査会が予定していた来年1月18日の自民党大会での大綱承認は見送られる。大綱の策定時期については「衆参両院の憲法調査会が来年5月にまとめる最終報告書を待って、自民党の大綱を策定すればいい」(幹部)といった案が浮上している。
自民党は来年11月の立党50年に合わせ、憲法改正草案を策定することを決めている。