逐条点検 日本国憲法(東京新聞)

暮らしそのもの『国の基本』全103条


<第14条> 関心高まる男女平等

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。栄典の授与は、現にこれを有し、または将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

明治維新により、江戸時代の身分制度士農工商」は廃止となり、「四民平等」が実現した。だが、これはあくまで表面上の話。実際は、特権的な華族制度が残ったし、女性には選挙権は与えられず、刑法でも男女差別は歴然としていた。
こうした反省から、伝統的な身分制度をやめ、法の下の平等を保障して、あらゆる差別をなくすことにしたのがこの条文だ。
憲法が念頭に置く「平等」は、能力と努力次第で成功も失敗もする「弱肉強食」の競争社会ではない。能力や年齢、性別などに一定の配慮をすることで、すべての国民が自由を享受できる社会を目指している。
飲酒や喫煙に年齢制限を設けたり、収入によって税率を変えたりしているのは、この考えに基づいている。
ただ、社会が多様化するにつれて、平等をめぐる国民意識も少しずつ変化している。女性の社会進出に伴い、労働条件や家庭内の家事・育児の役割分担、夫婦別姓に大きな関心が集まっている。
また、今議論になっている「女帝」容認論は、皇位継承に関する二条と、それに伴う皇室典範の問題として扱われることが多いが、一四条との関連で議論されることもある。すなわち、女性が天皇になれないのは、「法の下の平等に反するのではないか」という考えだ。