逐条点検 日本国憲法(東京新聞)

暮らしそのもの『国の基本』全103条


<第40条> 規定ない被害者の権利

何人も、抑留または拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

裁判で無罪判決が出た場合、身柄を拘束された身体的、経済的、精神的な苦痛に対する補償を国に要求できると定めている。
この条文に基づいて、刑事補償法が補償内容や要件を規定。
(1)逮捕、起訴され、無罪が確定するまで抑留、拘禁された(2)刑の確定後、刑の執行として身柄拘束されている間に再審が認められて無罪になった−などの時に、拘束日数に応じて補償金が支払われる。金額は一日当たり、千円以上一万二千五百円以下の範囲で裁判所が決める。
容疑者、被告人の権利を手厚く保護している三一条からこの条文までについては、大きく改正しようという声はほとんどない。
その代わりに注目されているのは、犯罪被害者の権利だ。
憲法では、犯罪被害者の権利についての条項は全くない。最近の事件などでは、被害者やその家族のプライバシーがあらわにされ、救済されることもなく、不幸に追い打ちをかけられている例がよくみられる。
このため、改憲の際には、被害者の権利も盛り込むべきだという意見が、与野党問わず多い。
自民党憲法起草委員会の「国民の権利及び義務」に関する小委員会は十七日に示した論点メモで、「被害者の権利を守るためには、従来の基本的人権規定の適用だけでは十分でない」と指摘。民主党鳩山由紀夫元代表の試案でも、「犯罪行為による被害者又はその遺族は、法律の定めるところにより、国の救済を受けることができる」と明記している。
これで、全十一章ある中で最も長い「国民の権利及び義務」の章が終わり、次の条から「国会」の章に入る。