日本脳炎:重い副作用報告で予防接種緊急中止勧告 厚労省(MSN-Mainichi INTERACTIVE)

日本脳炎:重い副作用報告で予防接種緊急中止勧告 厚労省(MSN-Mainichi INTERACTIVE)

予防接種法で接種を受けることが努力義務となっている日本脳炎の予防接種について、厚生労働省は30日、ワクチン接種をしている市町村に事実上の緊急中止勧告を出した。ここ10年は患者が年数人しか出ていないうえ、一時的に呼吸停止し、寝たきりになる重い副作用が報告されたため。理論的により安全性の高いワクチンの供給が来年にも始まる見通しで、同省はそれを待って接種を再開したいとしている。
ただし、日本脳炎が流行している東南アジアへの渡航者などをはじめ、希望者には、公費による接種を認める。同省は従来、16歳になるまでに合計5回の予防接種を勧めてきた。年間延べ約400万人が受けている。
日本脳炎は、蚊の一種のコガタアカイエカが運ぶウイルスが原因で脳炎を起こす病気。66年以前には全国で年間1000人を超す患者が出ていたが、03年は2人、04年は4人だった。
一方、接種の副作用で、03年度に80人が被害を受けた。うち脳炎・脳症を起こした人が8人。他にアナフィラキシーと呼ばれる急性のアレルギー反応や39度以上の発熱などが起きた。
昨年は、山梨県の14歳の女性が接種後に呼吸停止などを起こして寝たきりになり、神経障害などが出る急性散在性脳脊髄(せきずい)炎(ADEM)と診断された。厚労省の疾病・障害認定審査会は今月、「接種の副作用であることが否定できない」と結論した。91年以降、ワクチン接種後のADEMは今回を含め14例発症し、うち5例はまひなどが残る重症だった。
日本脳炎ワクチンは蚊が飛ぶ季節前の5月末〜7月に接種するのが通例で、同省は「シーズン前でないと意味がない」と緊急中止勧告に踏み切った。