上田清司埼玉県知事「従軍慰安婦いない」

従軍慰安婦いない」県議会で知事発言 政府公式見解と矛盾(朝日新聞 2006年6年28日(水)朝刊)

上田清司知事は27日の県議会の一般質問の答弁で「慰安婦はいても、従軍慰安婦はいない」と発言した。従軍慰安婦問題については93年に当時の河野洋平官房長官が旧日本軍の関与を認める談話を出しており、「政府の公式見解を否定するもの」と発言の撤回を求める動きも出ている。
上田知事は、県平和資料館(東松山市)に展示されている年表の91年の蘭に「従軍慰安婦問題など日本の戦争責任論議多発」と書いてあることを挙げ、「古今東西慰安婦はいても、従軍慰安婦はいない。民間の業者が連れて行ったりするのであって、軍そのものが連れて行ったりするわけは絶対にない」と発言した。
さらに「自虐的な感情を抱かせることなく、真実、日本の正確な立場を学べるようにするのが大事」「こうした間違った記述は修正しなければならない」と話し、有識者で作る同資料館の運営協議会に展示内容の見直しを要請した。
議場から「そうだ」「間違っている」と賛意と反発の声が上がり、一時騒然とした。
従軍慰安婦問題を巡っては93年、政府が公文書や関係者を調査し、「慰安所は当時の軍当局の要請により設営されたもので、旧日本軍が直接または間接に関与した」「業者が募集した場合も本人の意思に反して集められた事例が多い」と日本軍の関与を認めている。
議会後、共産党県議団は「知事の答弁は政府の公式見解を否定するもの」との談話を発表し、発言の撤回を求めている。



上田知事「従軍慰安婦いなかった」 資料館記述、検討の意向(WEB埼玉 2006年6月28日(水))

上田清司知事は二十七日、県平和資料館(東松山市)の昭和史年表にある従軍慰安婦の記述について「古今東西慰安婦はいても従軍慰安婦はなかった。こういう間違った記述は修正しなければならない」と述べた。県議会一般質問で小島信昭議員(自民、岩槻区)の質問に答えた。同館は学識経験者ら十四人で構成する平和資料館運営協議会などで対応を検討する意向という。
県によると、年表は同館通路に常設展示されている。「ヨーロッパ・アメリカ」「アジア・太平洋」「日本」「埼玉」の四地域に分け、太平洋戦争を中心とした昭和を主な対象に出来事を列記。記述は一九九一年の項で、「従軍慰安婦問題など日本の戦争責任論議多発」と紹介されている。
小島議員は「戦後復興から現代までの、特に世界の平和に貢献してきたはずの日本の紹介がない」とし、「生涯学習として学ぶ施設として広く利用されている施設が偏った内容でいいのか」などとただした。
上田知事は「自虐的な感情を抱かせず、真の真実、真の史実を学べるようにするのが大事」と答弁。同館の年表に触れ「兵のいるところに集まってきたり、兵を追っ掛けて民間の業者が連れていったりするのであり、軍そのものが連れていったりするわけは絶対にない」と述べた。
また「自虐史観になっていないか、きちっと検討しなければならない」とし、「協議会で見直しをしてもらい、県議会でもチェックしてほしい」と話した。