核保有に言及

「核保有、議論はあっていい」…中川・自民政調会長(YOMIURI ON-LINE 2006年10月15日)

自民党の中川政調会長は15日のテレビ朝日報道番組で、北朝鮮の核実験実施発表に関連し、「(日本の)憲法でも核保有は禁止されていない。核があることによって(他国に)攻められる可能性が低くなる。あるいは、やれば、やりかえす、という論理は当然あり得る。議論は当然あっていい」と述べた。
中川氏は「どう見ても頭の回路が我々には理解できないような国が(核兵器を)持ったと発表した。これは何としても撲滅しないといけない」とも語った。
これに対し、公明党の斉藤政調会長は同番組で「我々は絶対に核を持たない。議論することも世界が疑念を抱くから駄目だ」と反論した。
中川氏は番組後、記者団に「(日本には)非核三原則という重いルールがあるから、今すぐ(三原則を)取っ払うことはしない。私は核兵器を持つべしという前提で議論しているのではない。持つことのメリット、デメリットもある」と発言の真意を説明した。
一方、自民党の中川幹事長は神奈川県厚木市で記者団に「政調会長の発言は、感情論でも、理想論でもなく、冷静な戦略論として、首相の言う非核三原則を守ることの根拠を作る(ための議論を行う)意味だと受け止めている」と語り、火消しに躍起になった。安倍首相も15日の大阪府茨木市での演説で、「非核三原則は国是として守っていく」と強調した。
民主党鳩山幹事長は同市での演説で、「北朝鮮が核を持ったら、日本も核を持つという発想になったら、核が(世界に)拡散してしまう。とんでもない話だ」と、中川政調会長の発言を批判した。



北朝鮮核実験:「日本の核保有も選択肢」中川政調会長(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2006年10月15日)

自民党中川昭一政調会長は15日、テレビ朝日の討論番組に出演し、北朝鮮の核実験問題をめぐる日本の核保有論について「(日本に)核があることで、攻められないようにするために、その選択肢として核(兵器の保有)ということも議論としてある。議論は大いにしないと(いけない)」と述べた。その上で「もちろん(政府の)非核三原則はあるが、憲法でも核保有は禁止していない」と強調した。
与党三役クラスの有力政治家が、公の場で核保有の議論を提起した例はこれまでなかった。
中川発言に関連して、安倍晋三首相は同日、遊説先の大阪府茨木市での街頭演説で「北朝鮮核武装宣言しようとも、非核三原則は国是として守っていく」と述べた。【堀井恵里子】
◇与党の政策責任者という立場
自民党中川昭一政調会長は15日、テレビ朝日の番組で核保有論議を提起したが、政府・与党内で直ちに議論が広がる状況にはない。北朝鮮の核実験を国際社会が一致して非難している時だからこそ、なおさら「国際的タブー」になっているだけに、政府・与野党から批判が相次いだ。
中川氏はテレビで「(日本に)核があることで、攻められる可能性が低い、あるいはない、やればやり返す、という論理は当然ありえる」とも述べた。03年11月の衆院選挙期間中に毎日新聞が実施した全候補者アンケートでは「日本の核武装構想について、国際情勢によっては検討すべきだ」と回答している。中川氏は「私は核兵器を持つべしという前提で議論しているのではない」とも記者団に語ったが、与党の政策責任者という立場では、国内外に影響が広がりかねない。
中川発言について、久間章生防衛庁長官は15日、毎日新聞の取材に「今そういう議論はない。そういう必要もない。米国の核の傘の中で、日米安保条約に基づいてやっているのが一番いいし、それで十分だ」とはっきり否定した。
閣僚の一人は「核を持つなら米国の傘の中にいる必要がなくなる。持ったところで、数百発も持つ中国に対抗できるわけでもない」と指摘。
自民党加藤紘一元幹事長も、毎日新聞の取材に「中川氏がどういうつもりで発言したのか分からないが、(このような発言に)ブレーキをかけないと世界中で誤解されてしまう」と述べた。
一方、民主党鳩山由紀夫幹事長は大阪府茨木市内での演説で「(中川発言は)目には目をみたいな話。北朝鮮が核を持ったら日本も持つという発想は、世界全体に核が拡散してしまう論理になる。日本は唯一の被爆国として核を持たずに、世界の核廃絶に向けリーダーシップを発揮しなければならない」と批判した。【中川佳昭、山下修毅】



保有論議に野党反発 自民内にも否定論(東京新聞 2006年10月15日)

自民党中川昭一政調会長が15日の民放番組で必要性を指摘した日本の核保有をめぐる論議に対し、野党各党は反発した。
同番組で民主党松本剛明政調会長は「わが国が(核を)持つという選択をする必要はない。将来も持たないというスタンスを堅持すべきだ」と指摘。共産党小池晃政策委員長は「日本は唯一の被爆国であり、核を持たない」と強調し、社民党阿部知子政審会長も「外(国)からどう見られるかもあり、日本が核を持つ抑止論は成り立たない」と反対した。
一方、自民党でも中川秀直幹事長が「安倍晋三首相は国会で非核三原則を守ると答弁しており、私は高く評価している」と記者団に述べ、核保有に関する議論は必要ないとの認識を示した。(共同)



非核三原則」堅持を強調 塩崎官房長官asahi.com 2006年10月16日)

塩崎官房長官は16日午前の記者会見で、自民党中川昭一政調会長が日本の核保有について「議論は当然あっていい」と発言したことに関連し、「政府としては非核三原則、一切の核兵器保有しないという原則は堅持。核不拡散条約の規定によって一切の核兵器保有し得ないという原則についてまったく変わらない」と、核兵器保有の可能性を否定した。
中川氏の発言については「一般論としておっしゃったと思うが、政府としてコメントする筋合いではない」と述べた。