統計学の常識

テスト復活の背景に「学力低下の懸念」(TBSニュース 2007年4月24日(火))

43年ぶりに行われた全員参加が原則の学力テスト。その復活の背景には、学力の低下を懸念する動きがありました。
77億円もの費用をかけて復活させた今回の学力テスト。その背景のひとつに、4年前に出たこんなデータがありました。2003年、OECD経済協力開発機構が実施した調査で、日本は「読解力」が41カ国中14位だったのです。
「競い合う心、切磋琢磨することは必要だと思います。実施にあたって懸念はないものと考えております」(中山成彬文科相(当時)〔2005年8月〕)
こうした状況に、おととし、当時の中山文部科学大臣は全員参加の学力テストの復活を決めたのです。
学力テストが初めて行われたのは1961年。しかし、日教組が生徒の選別につながるなどとして激しく反発。ボイコットも繰り返されました。こうして、弊害が表面化する中、64年を最後に当時の文部省は全員参加の学力テストを中止したのです。
そして、今回、文部科学省は「学力の底上げ」などを狙いに復活させましたが、専門家などの間からは、「生徒間の選別や学校間の競争の過熱化に再びつながる」という懸念の声もあがっています。
「授業数を犠牲にして、先生方は予想問題ばかりやっています。予想問題まで売られています。こういう状況になってきているのでは、本当の学力はつかないと思います」(教育評論家・尾木直樹氏)

Q.学力を測るなら、サンプリングでもよいのでは?)
「サンプリングよりも全体を調査したほうが、実情がよくわかるのは統計学の常識ですよね」(伊吹文明文科相

今回のテストの結果は9月に発表の予定。全国と都道府県の平均のみ公表され、学校別の成績の公表は学校の判断に委ねられています。