何のための辞任か

久間防衛相辞任:安倍首相、世論読み違え 「続投で収拾」見通し甘く(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年7月4日(水))

久間章生防衛相が原爆投下を「しょうがない」と発言した問題は3日、安倍晋三首相による擁護から一転、久間氏の辞任という参院選公示(12日)を目前にした安倍政権にとって最悪の事態となった。首相は発言直後から辞任の必要性はないとの立場だったが世論の反発は強く、年金記録漏れ問題に続き、再び世論を読み違えた格好だ。対応が後手に回り、傷口を広げた首相。任命責任が問われることで選挙戦のみならず、投票後の責任論議にも影響しそうだ。


参院自民・公明が「引導」
3日午後1時。首相官邸5階の首相執務室。安倍首相は久間氏と向かい合った。久間氏が切り出した。
「これ以上(政府・与党の)皆さんに迷惑をかけてもいけませんし、参院選が私の発言でマイナスになっても困る。一つのけじめをつけなきゃいかんと思いますので、辞任します」
「そうですか。その決意を受け止めます」
首相は硬い表情で、慰留もせずあっさりと辞意を了承した。久間氏はこの後、防衛省に戻った折、記者団に囲まれ「友人と昼食を共にしながら、辞めるなら早く決めた方がいいと思い、首相に辞意を伝えた」と選挙への影響を懸念しての自らの判断と強調した。
首相は2日に官邸に久間氏を呼んで厳重注意したばかり。6月30日、遊説先の愛媛県の車中で発言を知った際は「何でそんなことを言うんだ」と不快感をあらわにした。しかし、久間氏発言について記者団から問われると「米国の考え方について紹介したと承知している」と述べ、あえて問題視しない姿勢を強調した。
「いろいろ釈明しないでちゃんと謝罪してほしい」。1日、塩崎恭久官房長官自民党中川秀直幹事長が断続的に電話で連絡を取り合い、塩崎氏は久間氏の留守番電話に吹き込んだ。首相に近い政府・自民党幹部からは「久間さんはほんとうにしょうがない人」といった声が漏れたものの、同日の久間氏の陳謝会見を受け、「更迭は必要なし。続投」が首相サイドのコンセンサスになりつつあった。
しかし、事はそう甘くはなかった。「これでは選挙は戦えない」−−。参院選を控え、年金問題で世論の逆風にあえぐ参院自民党公明党の怒りは尋常ではなく、引導を渡す役割に動き出した。公明党が3日午前、久間氏の釈明を聞くため約束していた面会を直前にキャンセルしたことは、重要なシグナルとなった。
「安倍君が任命した人なんだ。結局そこに行き着く。佐田(玄一郎前行革担当相)君、松岡(利勝前農相)君、久間。全員論功行賞だからね」
さらに、参院自民党を束ねる青木幹雄議員会長は2日朝、周辺にこう漏らしていた。首相の任命責任にズバリ切り込んだ発言は、公務員制度改革関連法成立のため、首相が青木氏ら参院側の反対を押し切り強引に今国会の会期延長を押し通したしこりを物語っていた。<3面に続く>



久間防衛相辞任:首相後手、傷口広げ 参院選前、与党かばわず(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年7月4日(水))

<1面から続く>


「昨日の段階までは公明党は収束に向け動いていた」。久間章生防衛相辞任表明が伝えられた3日午後、公明党幹部はこう断言した。
異変はこの日朝、公明党から起きつつあった。太田昭宏代表らは「影響が大きすぎる」(同党幹部)として、表向きは発言せず、「音無しの構え」に徹していた。だが、支持母体の創価学会も含め同党内で、久間発言への怒りはすさまじかった。
実は久間氏は午前9時半からの同党国会連絡会議に釈明のため出席する約束になっていた。
その約1時間半前、同党の斉藤鉄夫政調会長から防衛省の西川徹矢官房長に電話が入っていた。
「久間防衛相が我が党の会議に出席していただく予定になっていますが、出席をキャンセルしてもらえませんか」
久間氏は8時半に住居の赤坂議員宿舎を出発。首相官邸での閣議を終えた後、記者団に「公明党の会議に出ますか」と聞かれ「いや、行かない」とだけ答え、そのまま防衛省に戻った。久間氏は出邸時も閣議前も口を結んで硬い表情で、公明党が面会を拒否したことにショックを隠せなかったようだ。
久間氏不在の公明党の会議では、浜四津敏子代表代行が「久間さんには辞めていただきたい」と強硬論を主張。「連立与党だからと言って、官邸の言うように久間氏をかばっていたら選挙が戦えない」との意見が大半だったという。
会議終了後、久間氏を待ちかまえていたテレビカメラに向かって浜四津氏は「党としては見解を決めていないけれども、私個人としては(女性を子供を産む機械に例えた)柳沢伯夫厚労相の発言も問題だったが、それとは質的に違う重大な発言だ」と強調。「自分の身の処し方を賢明に判断していただきたい」と自発的辞任を求めた。浜四津氏は同党と創価学会の女性層に大きな影響力を持つだけに、この発言の意味は重かった。
一方、午前11時から始まった自民党総務会では、ベテランの深谷隆司通産相が「怒りを感じる。抗議する」と発言。丹羽雄哉総務会長は総務会後の記者会見で「極めて不適切な発言」と強調。「反安倍色」の濃い加藤紘一元幹事長も「内閣がもっときりっとしていなければならない」と語った。選挙を戦う参院側からも東京選挙区で出馬する保坂三蔵参院議員が2日、辞任要求を唱えていた。自民党も「辞任コール」一色だったが、すでに公明党が一足先に久間氏に事実上、引導を渡していたのだった。
午後1時過ぎ、公明党北側一雄幹事長のもとに自民党中川秀直幹事長から「久間辞任」の電話があった。
久間氏も午後4時半過ぎの辞任会見で「今日の午前中あたりから、与党が困っているなと感じ始めた。選挙を控え自民党だけでなく公明党もやりづらいのではないかと非常に感じた」と認めた。
参院選を前に与党が大きな打撃を受ける中、1日の党首討論でも久間氏の発言を取り上げた民主党小沢一郎代表は3日「こういった政権を是とするか非とするか、それは主権者たる有権者が判断する」と語った。辞任劇が終わった後、ある参院自民党幹部は「もうこの内閣は死に体だなあ」とつぶやいた。


◇身内の論理、真摯な反省なく−−「しょうがない…九州では使い方が違う」
原爆投下を巡る「しょうがない」発言から、わずか3日で辞任に追い込まれた久間氏。だが、辞任の弁で目立ったのは「しょうがない」について「(出身地の)九州では使い方が違う」という独自の解釈だった。防衛政策の責任者が、戦争による自国民の被害を「しょうがない」で収めた発言を真摯(しんし)に反省する姿勢は、感じられなかった。「九州では『しょうがない』は『仕方ない』とあきらめのような(気持ちで)、過去のことについてよく使う。私の癖がちょっと出たのが、意図とは違った形で報道された」。久間氏は安倍晋三首相に辞意を伝えた後、記者団に独自の「しょうがない」論を展開した。
発言が飛び出した6月30日の講演以来、久間氏に一貫していたのは、自らの発言がもたらす影響への危機感の薄さだった。地元の長崎を含む被爆地などでの激しい反発を受け、久間氏は翌1日の記者会見で発言を陳謝した。だが、会見後には周辺に「政治家がこういうことで、いちいちストレスを感じたらやってられん」と漏らしていた。
しかし、3日に様相は一変した。辞意表明の直後、記者団に「長崎で私が(候補者として)引っ張り出した小嶺(忠敏)先生に影響があってはいけない」と力説。「私のグループでもたくさん(候補者が)出ている」とも述べた。地元の長崎選挙区や派閥(津島派)の事情に真っ先に触れたことに、辞任が「身内の論理」だったことをうかがわせた。
久間氏はこの日から身辺を警護するSPの人数を通常の2人から数人増強している。久間氏の発言には原爆を投下した米国を「恨まない」と述べたことに対する右翼団体の反発もあるとされる。【尾中香尚里、田所柳子】


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◇防衛相の辞任会見(要旨)
久間章生防衛相が3日、防衛省で行った辞任会見の要旨は次の通り。


<辞任理由>「しょうがない」という言葉が原爆投下を是認したように報道されたのも、発言が不用意だったと反省している。全国の被爆者、特に長崎や広島の方々に原爆、被爆を軽んじたと取られた節もあり、大変申し訳なかった。安倍晋三首相も一生懸命頑張り、戦後レジームからの脱却で改革を推し進める時に今度の(参院)選挙で足を引っ張っては申し訳ない。私の不用意な発言がマイナスにならないよう、既にマイナスかもしれないが、身を退くと決意した。これで選挙が堂々と与党として戦えると思う。
<講演の真意>原爆を否定したが、その後で「しょうがない」と言ったのは(出身地である)九州弁の口癖。私自身が核爆弾を是認したとは思ってなかった。脇が甘くきちんと言葉を選んで言う責務があった。今後の若い政治家に対し、言葉を選ばないと私みたいに誤解(を与えるの)で注意しないといけないという良い教訓を与えたと思う。
<防衛政策への影響>就任時に安倍首相から沖縄の問題をやるよう言われ、沖縄県の関係自治体と意思疎通や意見交換してきた。普天間問題はしばらくかかる。(移設先の環境アセス調査で)掃海母艦の派遣は間違っていなかったと思う。



「しょうがない、は口癖」 久間防衛相、反省一色(asahi.com 2007年7月3日(火))

「原爆投下はあってはならないこと。私が原爆や被爆を軽んじているかのようにとられ、(被爆者の)心情を考えたときに、申し訳なかった」。久間氏は3日、防衛省内で開いた辞任会見で頭を下げた。
辞任の理由については「不用意な発言が総理の姿勢にマイナスにならないよう……すでにマイナスになったかもしれませんが、私自身が身を引く決意をした」。
安倍首相に辞意を伝えた直後の心情を「ある意味ほっとした」と表現。「私のことで迷惑をかけていたが、これで参院選を堂々と戦える」。参院選への影響を避けるための急転辞任劇だったことをうかがわせた。
問題の発言は、先月30日、千葉県柏市内の大学での講演で飛び出した。「説明すればわかってもらえるという自信があったが、報道をみると言い方がまずかった。会場で質問があればその場で打ち消していた」。会見の場でもなお真意が伝わらなかったと強調した。
核兵器の使用について改めて問われると、「長崎が最後の核兵器使用であって欲しいし、長崎県民の悲願でもある。過ぎたことはしょうがないにしても」と説明。再び「しょうがない」が口をついて出た。
「九州弁ですぐ口癖で出るんですよ」と弁明し、「今さら言ってみたってしょうがないなって、ぽろっと最後に出た」と、講演で「しょうがない」を使った事情を自ら説明した。この点について福岡県出身の国語学者、田籠博・島根大教授は「九州で『しょうがない』が多用されるとは聞いたことがない。個人的な口癖かもしれないが、方言が理由にはなりえない」と指摘する。
辞任会見で久間氏は「私は語彙(ごい)が少なく、脇が甘いと言えば甘い。今振り返ると誤解されることが多かった」と反省してみせたが、これには防衛省内から疑問の声が出た。幹部らによると、久間氏の語彙は決して乏しくなく、2度目の大臣経験ということもあり、防衛に関する発言や答弁には安定感があったからだ。物議をかもす発言は、久間氏が信念や心情を吐露した時に飛び出したという。
反省一色の会見で、久間氏が自信に満ちた表情を見せたのは、大臣としての自身の仕事に触れた時。省昇格や米軍再編特措法の成立などを挙げ、「私の時になすべきことはできた」と語った。



久間防衛相辞任:被爆者「本気で陳謝?」 「歴史知らぬ」あきれ顔(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年7月4日(水))

原爆投下を「しょうがない」と発言した久間章生防衛相が3日辞任表明したのを受け、被爆者が毎日新聞の取材に応じた。「被爆者の心を踏みにじった」「歴史を勉強していない」と怒りの声を上げると同時に、被爆地・長崎選出の久間氏が「参院選への影響を考えた」と釈明した態度にやりきれなさをにじませた。
「辞任なさったのはよかったと思う」。長崎平和推進協会写真資料調査部会長の深堀好敏さん(78)=長崎市=は自宅でテレビニュースを見て、辞任を知った。発言について「核使用を認めることは核の保有を認めること。核廃絶に取り組む被爆者や被爆地の気持ちを無にするものだ」と批判した。さらに「選挙のために辞めたという感じ。陳謝の気持ちが本当にあるのだろうか」と憤りを隠せなかった。
長崎市被爆した語り部、広瀬方人さん(77)=同市=は歴史認識の欠如を指摘。「戦争を終わらせたのは、ソ連の参戦が直接の原因というのが定説だ」とあきれた。また、「原爆を正当化する発言は米国と同じ。日本の核武装に対する懸念を助長するのではないか」と話した。
長崎大学長の土山秀夫さん(82)=同市=も「原爆投下の歴史を勉強していない」と断罪した。土山さんによると、2発目の長崎への原爆投下はプルトニウム型原爆の実験的意味合いが強かった。だからこそ「(久間氏が)歴史を知らずに長崎への投下を正当化したことにあきれ果てた」と話した。
原爆の悲惨さを訴えた漫画「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さん(68)=埼玉県所沢市=は「恥ずかしくて大臣を続けていられなかったんでしょ。『はだしのゲン』でも読んでほしいね」と、皮肉たっぷりに話した。広島で被爆。父と姉、弟を亡くした。被爆者や原爆に対する偏見や無知に傷つきながらも描いた「ゲン」。原爆に負けず、たくましく生きるその姿は、子どもたちに勇気も与えた。「原爆は、戦争を利用した最悪の人体実験だったと思う。歴史を認識してほしい」と改めて訴えた。


◇緊張感欠く官邸団−−政治評論家の有馬晴海さんの話
久間さんの失言は重いものだが、女性にとっては柳沢伯夫厚生労働相の「産む機械発言」も重いはず。安倍首相が柳沢さんをかばい通したのとは違って久間さんの辞任を了承したのは参院選が近いため。大臣の任命責任より、選挙に悪影響を与える責任の方が大きいと考えたからとしか思えない。安倍内閣に問題が起きるのは、安倍首相にリーダーシップがなく、「仲良し官邸団」で緊張感がないからだ。身内に甘く、今回も最初は久間さんを擁護した。安倍首相は国民の方を向いていない。


◇国民常識から遊離−−政治評論家の森田実さんの話
ここまでたちの悪い失言が繰り返される内閣は初めてではないか。これは自公連立与党が巨大なうえ、長期政権となったために国民の常識から遊離してしまったためだ。久間氏が辞任したのは参院選への影響を考慮しただけでなく、米国追従の政府の姿勢が露見したため、政府が早く問題を収束させたかったためだろう。国民の常識を持った政治家を大臣に任命しないと、失言が続いてこうしたトカゲのしっぽ切りが繰り返される。



久間防衛相辞任:論功人事、また失態 安倍内閣、9カ月で3閣僚交代(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年7月4日(水))

久間章生防衛相が原爆投下に関する発言で引責辞任を表明したことで、安倍内閣は発足からわずか約9カ月で3人の閣僚が交代する異常事態となった。論功行賞で起用した閣僚が問題を起こし、安倍晋三首相が擁護するパターンが今回も繰り返されたが、最後は参院選への影響などを憂慮した与党包囲網に辞任を余儀なくされた。久間氏をかばって対応が後手に回った首相の判断と任命責任が改めて問われそうだ。【佐藤千矢子】
久間氏は、昨秋の自民党総裁選で出身の第2派閥・津島派の独自候補擁立を阻止し、首相の大差での総裁選出に貢献した論功行賞で2度目の防衛庁長官(当時)として入閣。今年1月の防衛庁の省昇格で初代の防衛相となった。だが閣僚就任後の久間氏は、イラク戦争について「日本は政府として(イラク戦争を)支持すると公式に言ったわけではない」、米軍普天間飛行場の移設を巡っては「(米国は)あんまり偉そうに言ってくれるな」と語るなど、「問題発言」が相次いだ。
佐田玄一郎行政改革担当相は事務所経費の不透明な処理の発覚で昨年末に辞任、松岡利勝前農相は資金管理団体が高額な光熱水費を計上していた問題で批判を浴び5月28日に自殺した。両氏とも総裁選時の論功行賞で入閣し、首相が擁護した末に、佐田氏は辞任、松岡氏は自殺という結末を迎えた。「女性は産む機械」発言で辞任が取りざたされた柳沢伯夫厚生労働相も論功行賞人事での入閣組だ。
首相は「久間発言」について周辺に怒りをあらわにし、「右からも左からもたたかれる発言だ」と弁解の余地はないとの認識を示していた。にもかかわらず首相は6月30日の久間発言の直後には「米国の考え方の紹介」と問題視しない姿勢を見せ、翌日には「国民に誤解を与える発言は厳に慎まなければならない」と修正。さらに首相が2日、久間氏を首相官邸に呼んで叱責(しっせき)した後は、官邸には一件落着ムードさえ漂った。こうした対応の混乱ぶりには政権の危機管理能力も問われそうだ。
問題発言で閣僚が引責辞任するのは、小渕内閣で00年2月に越智通雄金融担当相(当時)が金融検査の「手心」発言で辞任して以来。また小泉政権の5年5カ月間で辞任・罷免した閣僚が4人だったのに比べると、安倍内閣の9カ月間ですでに閣僚辞任が2人、自殺による交代が1人というのは、ハイペースといえる。


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■閣僚の失言など安倍政権の混乱■

06年10月 ●中川昭一政調会長北朝鮮の核実験に関連し「憲法
        でも核保有は禁止していない」(民放番組)

       ●麻生太郎外相が日本の核保有論議について「議論を
        しておくのも大事なことだ」(衆院外務委員会)

   12月 ●政府税制調査会本間正明会長が公務員宿舎の入居
        問題で辞任

       ●「政治とカネ」を巡る問題が表面化。佐田玄一郎行
        革相が不透明な事務所経費問題で辞任

07年 1月 ●松岡利勝農相、伊吹文明文部科学相の事務所費問題
        が発覚

       ●久間章生防衛相がブッシュ大統領イラク戦争開戦
        の判断について「間違っていたのではないか」(日
        本記者クラブでの会見)。米軍普天間飛行場移設に
        関連し「私は米国に『あんまり偉そうに言ってくれ
        るな。日本のことは日本に任せてくれ』と言ってい
        る」(長崎県諫早市での講演)

       ●柳沢伯夫厚生労働相が「(女性は)子供を産む機械」
        (松江市での集会)

    3月 ●松岡農相が議員事務所の光熱水費問題について「ナ
        ントカ還元水や、暖房とか別途そういうものが含ま
        れる」(参院予算委)

    5月 ●松岡農相が自殺

    7月 ●久間防衛相が広島、長崎への原爆投下について「あ
        れで戦争が終わったという頭の整理で、今しょうが
        ないなと思っている」(千葉県柏市での講演)。発
        言の責任を取り辞任を表明

(肩書は当時)



久間防衛相の辞任:省内に大きな衝撃…幹部ら大あわて(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年7月3日(火))

防衛省では、防衛相の辞任に大きな衝撃が走り、記者会見では久間防衛相が釈明を繰り返した。
同省11階の第1省議室。午後4時半、久間氏はさばさばとした表情で現れた。「核廃絶に否定的ということはありえない」「辞任は選挙への配慮と同時に、(発言が)被爆者のみなさんの気持ちを軽んじたと受け取られたため」と弁明を重ねた。
久間氏によると、辞任を決めたのはこの日午前中。「選挙を控え与党として困ってるな」と感じ始めたという。「長崎が最後の核兵器の使用であってもらいたいと、まぁもう過ぎたことはしょうがないんですが」と続けた後「今もね、しょうがないっていったけど」と言い直す場面もあった。
さらに「被爆地の(原爆反対の)署名運動をしている高校生が、記事の見出しだけ読んで私が原爆を是認してるように思われると残念」と無念そうな表情も浮かべた。最後に真珠湾攻撃歴史認識を問われ「東条英機氏がやってみないとわからないと抑え込んだが、過去のことをああすればよかったと言っても始まらない。しょうがない……」と言いかけ、「そんな感じですかね」と苦笑交じりに締めくくった。
これに先立つ午後1時過ぎ、防衛相辞任のニュース速報に守屋武昌防衛事務次官は携帯電話を片手に「まだ正式には聞いてない」とエレベーターに駆け込むあわてぶり。6日付で公表予定だった「防衛白書」も印刷済みで、久間氏の写真入り「刊行によせて」の2ページ分の差し替えも間に合わないという。
後任に小池百合子氏が就任することにも驚きが広がった。男性が約95%を占める同省のトップに女性が立つのは初めて。ある幹部は「久間さんの辞任以上の驚き。自衛隊では将官クラスの女性はまだいない」と話した。



久間防衛相辞任:後任に小池補佐官 安倍首相、久間氏任命「責任ある」(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年7月4日(水))

安倍晋三首相は3日午後、閣僚辞任を表明した久間章生防衛相(66)の後任に、自民党小池百合子首相補佐官(54)を起用することを決めた。4日午後、皇居での認証式を経て就任する。女性の防衛相は、前身の防衛庁長官時代を含めて初めて。首相は久間氏辞任の影響を最小限に食い止めるため後任人事を急いだが、野党側は首相の対応を含め任命責任を厳しく追及する構えだ。
安倍政権での閣僚辞任は、昨年12月末に事務所経費の不透明な処理をめぐって辞任した佐田玄一郎行政改革担当相に続いて2人目。5月28日には松岡利勝前農相が自殺しており、閣僚の交代は3人目となる。
久間氏の辞任を了承したことについて、首相は3日夕、首相官邸で記者団に「政治家、閣僚として大変重い決断だ。この決断を尊重した」と説明。自らの任命責任については「当然ある」としたうえで、「私には改革を進めていく使命がある。この使命を果たしていかなければならない」と述べた。
後任に決まった小池氏は、小泉内閣環境相と沖縄北方担当相を務め、安倍政権発足時には首相補佐官に就任。首相の公約である日本版NSC(国家安全保障会議)創設の法案を取りまとめた。
首相は記者団に「安全保障担当の補佐官として安全保障政策に精通し、さまざまな情報も把握している。各国の外相、防衛相とも面識がある」と起用の理由を説明した。小池氏は「日本の防衛を確実なものにしていきたい」と記者団に語った。小池氏の後任補佐官(安全保障担当)は当面置かない。


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小池百合子氏(こいけ・ゆりこ)
首相補佐官、環境・沖縄北方担当相。カイロ大。衆院東京10区。当選衆院5回、参院1回。54歳。町村派