今日の記事

ねんきん特別便未配達、社保庁から11月にリスト届く(朝日新聞 2008年12月4日(木))

ねんきん特別便」約4万5千通を含む計12万通の郵便物が未配達のまま放置された問題で、郵便事業会社は3日、社会保険庁から11月中旬に未配達の指摘を受けていたことを明らかにした。2日の記者会見では、同社幹部が「社保庁からの確認要請はなかった」と答えていた。
郵便事業会社が3日夜までに調査したところ、社保庁から11月14日と同17日に計219件の未配達情報リストが銀座支店に届いていたという。同社はその後、リストに記載された郵便物を「事故調査システム」に入力。配達支店は、あて先に書かれた住所や氏名をもとに、顧客に聞き取り調査を実施した。輸送ルートの中継支店となる新越谷(埼玉県越谷市)や新大阪(大阪市)も支店内に残留郵便物があるかどうかを調べたが、JR貨物の梅田駅(大阪市)構内にコンテナごと郵便物が放置されていたため、分からなかった。
同社渉外広報部は、「本来なら社保庁の指摘を重く受け止め、輸送ルートの確認もすべきだった」としている。



ゆるキャラ縄文時代から?かわいい土偶出土 奈良・橿原(朝日新聞 2008年12月3日(水))

奈良県橿原市縄文時代晩期(約3千年前)の大規模集落跡から、目と口が丸い形をした土偶が出土した。県立橿原考古学研究所などが3日発表した。
縦14センチ、幅6センチ。左手部分が失われている以外は、ほぼ完全な形。足を広げ、何かを叫んでいるようにも見える。祭祀(さいし)に使われた後に遺棄されたらしい。
可愛い姿に関係者から「元祖ゆるキャラ」の声も。奈良で話題の平城遷都1300年祭のキャラ「せんとくん」や「まんとくん」の大先輩だったかもしれない。



「5年前より医師減」研修病院の4割 日本医師会調査(朝日新聞 2008年12月3日(水))

全国の研修病院の約4割が、5年前と比べて医師数が減っていることが3日、日本医師会が実施した病院アンケートで明らかになった。地域別では、東北と中四国地方で減った病院の割合が大きく、診療科では産婦人科と内科の深刻度が際だった。
全国2668病院から回答があった。このうち新卒医師が最初に研修するなど地域医療の中核とみなされる研修病院(大学病院を除く)1018施設について解析したところ、5年前と比べて医師数が減ったと回答したのは41%。
地域別で医師数が減った病院は東北(47%)、中・四国(44%)、近畿(42%)の順に多かった。診療科別では、産科・産婦人科(39%)、内科(38%)、精神科(34%)で医師数が減った割合が高かった。
日本医師会は「内科では外来診療をやめる事例が、産婦人科では病棟閉鎖などが多くなった」と分析している。



正社員削減「このままだと自殺者」 日本IBM労組(朝日新聞 2008年12月3日(水))

「このままだと自殺者が出るかもしれない」。約1千人規模で正社員の人員削減を進めている日本IBMの労組側が3日、東京都内で記者会見し、「10月下旬から始まった退職勧奨が徐々に強まり、48時間以内に退職を選ばないと解雇すると迫られる社員もいる。法的手続きも検討したい」と訴えた。労組には10月下旬以降、退職勧奨を巡る相談が約80件寄せられている。
会見したのは、全日本金属情報機器労働組合(JMIU)幹部と、同労組日本アイビーエム支部の組合員ら。5人が退職勧奨された際の体験を語った。
「このままでは解雇もあり得る」。面談での「退職勧奨」を断った木村剛さん(58)は11月中旬、上司からこんなメールを受け取った。「脅しだと思いました」
勤続24年の中村明さん(51)は、1日付で発足した新しい部署に配属された。上司からは「退職勧奨を断った人を集めて新組織を作ったので、行ってもらう」と説明された。今のところ席はそのままで、これまで通り仕事を続けている。「仕事をやっていようがいまいがこうした仕打ちを受ける。これからどうなるか、不安だ」
支部には、社員9人から「上司に48時間以内に退職届を出さなければ解雇すると言われた」との相談が寄せられ、その後、全員が退職を決めた。退職勧奨された社員の妻から「このままでは夫が自殺するかもしれない。退職強要をやめさせてほしい」という相談も来ている。
同社広報は「上司が業績の上がらない社員と今後のキャリアについて面談することはあるが、人員削減が目的ではない。個別の面談内容については把握していない」とコメントしている。(古知朋子)



無保険の子に保険証発行へ 与野党が法改正合意(朝日新聞 2008年12月4日(木))

保護者が国民健康保険国保)の保険料を滞納して「無保険」状態になった子どもが全国に約3万3千人いる問題で、自民、民主両党は3日、制度を見直して救済する方向で合意した。子どもだけに保険証が交付できるよう国保法を改正する。公明、共産、社民、国民新の各党も賛成する方向で調整しており、今国会での成立を目指す。
厚生労働省によると、無保険の中学生以下の子どもは全国1万8240世帯、3万2903人。医療機関の窓口で、いったん医療費を全額払うため、治療が必要な時も受診を抑制しがちになると指摘されている。
自民、民主両党は、「子どもには保険料滞納の責任がない」との認識で一致。18歳未満の子どもには一律に保険証を交付できる規定を盛り込んだ野党3党提出の国保法改正案を軸に調整を進める。
保険料を払っている世帯との不公平感や、滞納の助長となることを懸念する与党側に配慮し、モラルハザードを防ぐ規定を設ける考えだ。
現行制度では、特別な事情がないにもかかわらず保険料を1年以上滞納した場合、自治体の判断で保険証の返還を求める。
子どもだけに保険証を交付することについて、厚労省は「世帯単位の原則が崩れ、法律違反の疑いがある」と反対している。これに対して、自治体側からは「制度の整合性が過剰に優先され、子どもたちへの手当てが遅れた」(泉田裕彦新潟県知事)など批判の声が上がっている。
3月に廃止された老人保健制度では、滞納が続いても高齢者に個別に保険証が交付されていた。(南彰)



補給支援法案、16日にも採決 参院外交防衛委(朝日新聞 2008年12月4日(木))

インド洋での海上自衛隊の給油活動を1年延長させる補給支援特措法改正案の採決をめぐり、参院外交防衛委員会北沢俊美委員長は3日の理事懇談会で、同改正案を18日までに採決したいとの意向を示した。野党側が求めている文民統制についての集中審議日程などについて、与野党間の調整が付けば、16日にも委員会採決される見通しだ。



国籍法改正案、5日成立へ 与野党、付帯決議案にも合意(朝日新聞 2008年12月4日(木))

参院採決が先送りされていた国籍法改正案の付帯決議案について与野党が3日、合意した。母親が外国人で、日本人の父親から生後認知された婚外子日本国籍を取得しようとする際、「父親と認知された子とが一緒に写った写真の提出をできる限り求める」との文言を加え、偽装認知に懸念する議員に配慮した。
この日の参院法務委員会理事懇談会では、付帯決議案の内容とともに、同改正案を4日に委員会採決することでも合意。改正案は5日の参院本会議で成立する見通しだ。



首相に「緊急雇用対策本部」設置を要請へ 連合(朝日新聞 2008年12月4日(木))

連合の高木剛会長は、4日に予定されている麻生首相との「政労会見」で、非正規労働者の解雇や雇い止め、新卒者の内定取り消しなどについて抜本的な対策を検討する「緊急雇用対策本部」の設置を求める方針を固めた。
世界同時不況で深刻な雇用情勢となっていることから、失業者への就労・住宅・生活支援の実施、非正規労働者雇用保険に入るための要件緩和などを提案。第2次補正予算案に労使の意見も反映させた緊急雇用対策を盛り込むことを求める。
また、政府が検討している雇用保険の国庫負担引き下げについては、「失業率の悪化が予想される現状では許されない」として、社会保障費の伸びを2200億円抑制する政府方針の撤回を求める。2兆円規模の「定額給付金」は、中低所得層や生活困窮者に限定し、物価上昇分に相当する家計援助を行うことも要望する。



財政棚上げ、説明なき政策転換 政府が予算編成基本方針(朝日新聞 2008年12月3日(水))

政府は3日、来年度予算編成の基本方針を閣議決定した。社会保障費の伸びの2200億円抑制や公共事業費の3%削減などを定めた概算要求基準(シーリング)は維持するとしたが、その枠外で財政出動を容認する方針も盛り込んだ。事実上、小泉政権以来の財政再建路線を当面棚上げする「説明なき政策転換」に踏み出した。
基本方針は原案にあったシーリングの「堅持」を「維持」に弱めたうえで、世界的な金融危機を受けた景気テコ入れのため、「状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行う」と明記した。政府・与党内では、補正予算やシーリング外の特別枠の活用で公共事業費などを積み増す案が検討されている。
麻生首相は3日夜、首相官邸で記者団に「100年に1度の経済状況に、いかに対応するかを考える。福田さん、安倍さんの時代と、今年9月以降は経済情勢が違っている」と述べる一方、「景気対策とシーリングの維持は別に両立しないわけでもなんでもない」と強調した。
首相はもともと財政出動に積極的で、ひずみが表面化した小泉改革路線を転換することが与党内から期待されていた。ただ、財政再建路線の転換を明言すれば、「改革後退」と批判され、与党内に新たな亀裂を生みかねない。政権が弱体化するなか、転換する方針を打ち出すことはあえて封印。首相としては将来の財政再建の旗は降ろさず、シーリングの抜け道を使って、景気対策のための歳出増を探ろうという考えだ。
特に自民党執行部が2日、3年間凍結を求める考えで一致した社会保障費の「2200億円抑制」については、予算編成の基本方針に「新たな安定財源の確保について検討する」と明記。新たな財源が見つかった分だけ、抑制する額を小さくする方針だ。
政府・与党は新たな財源として、たばこ税を1箱当たり40〜60円上積みする案を検討中。1本3円(1箱60円)引き上げれば、1千億円程度の増収が見込め、社会保障費の抑制を1200億円程度にとどめられる。河村官房長官は3日の記者会見で、新たな財源が確保できれば「そういうこと(社会保障費の抑制額の圧縮)になる」と明言した。
このほか、1月召集の通常国会冒頭に提出する08年度第2次補正予算案に加え、早くも09年度補正予算案で追加歳出をする案も検討している。シーリングとは別に3年間で10兆円規模の特別枠を設ける構想も浮上している。
首相はシーリング維持との両立を強調するが、景気対策を優先するならシーリングを形だけ維持するのではなく、新たなルールを設けないと、ゆるんだタガを締め直すことは難しい。結果的に財政規律維持も財政出動も中途半端に終わりかねず、狙い通りに税収が増えなければ、国の借金が膨らんで大幅な増税を迫られるリスクも出てくる。(田伏潤)



自治体の半数以上「滞納で無保険状態の子でも容認」(朝日新聞 2008年12月3日(水))

世帯主が国民健康保険の保険料を滞納したことで「無保険」状態になった子どもが約3万3千人いる問題で、全国986自治体が滞納しても子どものいる世帯には保険証の返還を求めていないことが2日わかった。全自治体の約55%で、このほか、子どもだけに保険証を交付するところもあった。
厚生労働省自治体に対して、特別な事情がない限り、国保の保険料を1年以上滞納した世帯には保険証を返還させ、代わりに資格証明書を出すよう求めている。
山井和則衆院議員(民主)の質問主意書に対する政府の答弁書などによると、厚生労働省が調査した全国1798市区町村のうち、(1)保険証の返還を求めない自治体が551(2)子どものいる世帯には返還を求めない自治体が435あった。新潟県長岡市は、子どもだけに保険証を交付していた。
厚労省は、子どもだけに保険証を発行するのは「世帯単位の原則が崩れ、法律違反の疑いがある」(国民健康保険課)と指摘している。
ただ、こうした対応に自治体から不満があがっている。泉田裕彦新潟県知事と古川康佐賀県知事が2日、厚労省の江利川毅事務次官に、子どもだけの保険証発行ができるよう法改正を求めた。(南彰)



夜勤や能力配慮、介護報酬手厚く 厚労省がたたき台(朝日新聞 2008年12月3日(水))

厚生労働省は3日、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の介護給付費分科会に、来年4月に介護報酬を改定する際の基本方針のたたき台を示した。介護従事者の人材確保や待遇改善のため、夜間勤務など負担の大きい業務に報酬を手厚くし、担当する従事者の経験年数や能力に応じて報酬を上積みする方針。
厚労省は年内にも同分科会での議論を経て、具体的な報酬単価を決める予定だ。
来年の改定では、全体で3%報酬を引き上げる。厚労省が示したたたき台は、(1)夜勤など負担の大きい業務への人員確保に対する評価(2)専門的知識や能力を持った従事者らを評価(3)地域区分ごとの単価設定を、より地域の実情にあわせた設定となるよう改める、という3本柱。
これに沿った形で、各サービスごとの改定方針を示している。全サービス共通で、有資格者を一定割合以上雇用している事業所には報酬を手厚くする。
さらに認知症ケアの充実も重視し、認知症対応型グループホームへの報酬を充実させることや若年性認知症へのサービスも評価する。
また、介護報酬アップを従事者の賃金増加につなげるため、事業所に対して、自主的に従事者の給与を公表するよう求めている。



橋下知事「不要な国事業の負担しない」 来年度予算方針(朝日新聞 2008年12月3日(水))

大阪府橋下徹知事は3日、国道や1級河川の整備などで地方自治体が負担する国直轄事業負担金について、府の財政事情に関係なく、国から求められるまま支出するのはおかしいとして、不要な事業と判断した場合は来年度予算案に計上しないよう府幹部に指示した。法律で定められた負担金を都道府県が予算計上しないのは極めて異例だ。
この日の部長会議で考えを伝えた。橋下知事は「国に払うよりも、まずは府の都市整備に回すべきだ。府の都合に関係なく、国が(必要な事業の)優先度をつけるのはおかしい」と述べた。国所管法人84団体への委託料など(08年度約218億円)についても「基本的には支払わない」として内容の精査を指示した。
国の事業に使われる国直轄事業負担金は法律で地元負担が義務づけられ、国道なら3分の1を支出しなければならない。府の場合、来年度は425億円が見込まれている。府は今後、国と協議しながら府としての優先順位をつけ、必要と判断した範囲しか予算案に計上しない方針だ。
会議後、橋下知事は報道陣に「府は職員の退職金、人件費までカットしている。国の直轄事業の進め方は府のペースにあわせてもらう。優先順位をつけて、必要か不要かを考える」と述べた。
橋下知事はこれまで、国土交通省近畿地方整備局淀川水系河川整備計画案を巡り、「府の財政状況をみると整備局と優先順位は一致しない」と指摘するなど、負担金を問題視してきた。このうち滋賀県の大戸川ダムについては京都府滋賀県知事らと共同で先月、反対を表明している。
国直轄事業負担金の制度については、全国知事会が廃止を求めるなど、地方分権の視点から批判が強まっている。大阪府は来年度、1千億円以上の税収減が見込まれ、厳しい財政運営を迫られている。



遺伝子組み換え:武田薬品が研究所着工、住民反対 神奈川(毎日新聞 2008年12月4日(木))

武田薬品工業大阪市、長谷川閑史社長)は3日、神奈川県藤沢、鎌倉両市にまたがる旧湘南工場跡地で、新研究所の建設に着手した。人体に危険性がある遺伝子組み換え微生物を扱う実験施設を含むため、地元住民は新研究所の建設に反対している。同社は「県条例に基づく環境影響評価(アセス)の手続きが終了し、着工した」と説明した。
新研究所(31万平方メートル)は、大阪市茨城県つくば市の新薬開発研究施設を集約するもので、微生物の拡散防止措置が必要な「P3レベル」の施設がある。環境アセス審査書の縦覧手続きが今月2日に終わり、この日旧工場の解体を始めた。09年5月に新研究所の建物工事を始め、11年3月の完成を目指す。
一方、微生物の拡散などを不安視する住民は「武田問題対策連絡会」(約100人)を結成。同社が今月7、16日に予定していた「説明・対話集会」直前の工事着手に反発を強めている。【永尾洋史】



住基台帳データ:愛知・幡豆町が自衛隊に提供 07年(毎日新聞 2008年12月4日(木))

愛知県幡豆町が07年1月、自衛隊員の募集や広報をしている自衛隊愛知地方協力本部名古屋市中川区)に対し、町に在住する15〜22歳の357人分の住所、性別、氏名のデータを渡していたことが3日分かった。町職員が住民基本台帳から抜粋し、協力本部の担当者に手渡していた。
町住民課によると、06年までは同本部の担当者が住民基本台帳の閲覧を町に申請し、自ら台帳を閲覧して必要な情報を書き写していた。しかし、07年は「閲覧がスムーズにいくようデータでほしい」と要請され、住民課の職員が1日がかりでデータをそろえて提供した。対象者の同意も得ないままだった。
住民基本台帳の閲覧は、申請者が自治体の許可を得て行わなければならないが、同課の判治正久課長は「住民基本台帳法に基づいており、違法ではない」と話している。職員の負担が大きいため、今年は便宜を図るのをやめ、協力本部も従来通り申請後に自ら閲覧、抽出したという。
自衛隊愛知地方協力本部の渉外広報室は毎日新聞の取材に「調査しないと分からないが、基本的にそういう事はやっていない」とコメントした。【佐野裕】



地方交付税:別枠で1兆円程度増額へ 首相が強い意向(毎日新聞 2008年12月4日(木))

政府は3日、09年度予算案で、地方自治体が自由に使える地方交付税を1兆円程度増額する方針を固めた。景気後退の影響を受ける地方への予算配分増に麻生太郎首相は強い意向を示しており、道路特定財源一般財源化に伴って新設する、使途を公共事業に限る1兆円規模の地方向け交付金とは別枠とする。首相は、道路特定財源と別枠にすることで、道路建設に充てるべきだと主張した自民党道路族などとの対立を回避する意向だ。
首相は10月30日に追加経済対策を発表した際「道路特定財源一般財源化に際し、1兆円を地方に移す」と述べた。だが道路特定財源の国分の税収3.3兆円(08年度当初予算)のうち、地方に配分されている約7000億円の「地方道路整備臨時交付金」や他の補助金との関係が明確でなく、政府・与党内は「1兆円」の解釈をめぐって対立。自民党は「交付税では自治体の借金返済などに充てられ、道路が整備できなくなる」として、公共事業に使途を限った新交付金の創設案を3日に了承した。
首相周辺によると、首相は当初、一般財源化する道路特定財源の中から1兆円の交付税を配分する意向だったが、与党側の反発に軟化。道路特定財源とは別に、交付税自体の1兆円増額で収拾を図ることになった。
全国の地方自治体が必要な投資的経費や公務員の給与関係経費、公債費などの「基準財政需要額」から、地方税収や地方債といった「基準財政収入額」を引き、不足分が地方交付税として配分される。新たな名目で基準財政需要額に約1兆円を積み増し、交付税を増額することを軸に検討する。【西田進一郎】



後期高齢者医療:自民、保険料負担半減検討 独自案作成へ(毎日新聞 2008年12月4日(木))

大阪市信用金庫は3日、大阪府内にある取引先の中小企業1167社を対象にした年末賞与の支給状況調査を発表した。「支給する」と答えた企業は62.3%で、98年の調査開始以来最も低く、昨年末と比較しても9.1ポイント減で、減少幅も過去最大だった。
支給企業の割合が減少したのは2年連続。他に「少額の手当てを出す」と回答したのは29.9%。「全くなし」は7.8%で、昨年末に比べて2.7ポイント増加した。一方、支給する企業でも、1人当たりの支給額(税込み、単純平均)は28万3085円(昨年末比0.95%減)で、減少は6年ぶりになる。
調査は11月中旬に実施し、1109社(95.0%)から有効回答を得た。従業員20人未満が911社を占めている。【久田宏】



「父子写真提出」を付帯決議、国籍法改正案成立へ(読売新聞 2008年12月3日(水))

参院法務委員会は3日の理事懇談会で、日本人と外国人の間に生まれた子供の国籍取得要件から父母の婚姻を外すことなどを内容とした国籍法改正案を4日の委員会で採決することを決めた。
採決に当たって、虚偽認知の防止策を盛り込んだ付帯決議を行うことも決めた。同改正案は与党と民主党などの賛成により、5日の参院本会議で可決、成立する見通しだ。
付帯決議には、〈1〉国籍取得の届け出に疑義がある場合、父親と子供が一緒に写った写真の提出をできる限り求める〈2〉施行状況を半年ごとに国会に報告し、科学的な確認方法の導入を検討する――ことなどを盛り込む。
国民新党は3日、参院統一会派を組む民主党に対し、「DNA鑑定などを義務づけなければ偽装認知が起きる危険性がある」として法案の修正を提案したが、民主党は受け入れなかった。国民新党は採決で反対する方針だ。



クラスター爆弾:日本など約90カ国、禁止条約に署名 市民主導、来年にも発効(毎日新聞 2008年12月4日(木))

オスロ澤田克己】不発弾が市民に被害を与えているクラスター爆弾の使用、製造、保有を禁じ、被害者支援や不発弾処理を定める「クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)」の署名式が3日、オスロの市庁舎で開かれた。署名国は約90カ国になる見込み。30カ国の批准後、約半年で発効する。有志国と非政府組織(NGO)が主導する軍縮条約としては、対人地雷禁止条約(99年発効)に続き2例目。「市民主導の軍縮外交」が新たな地平を切り開いた。
署名式には中曽根弘文外相ら約50カ国の閣僚を含む100カ国以上の代表が参加。主催国ノルウェーのストルテンベルグ首相が「クラスター爆弾が永久に禁止されることを確認する日になる」と開会を宣言。同国に続き、条約作りに尽力したニュージーランドアイルランドオーストリアなどが署名。中曽根外相も署名した。
条約案はノルウェーなど有志国とNGOが進める軍縮交渉「オスロ・プロセス」で今年5月、107カ国の賛成で採択されていた。
条約はクラスター爆弾の使用や保有、製造、輸出入を即時禁止し発効後8年以内の廃棄を義務付けた。軍縮関連の条約として初めて被害者支援を規定。爆弾使用国の不発弾処理への協力も定めた。
ノルウェーアイルランドバチカン市国の3カ国は3日の署名式で、同条約の批准書を国連に手渡した。対人地雷禁止条約は発効まで1年3カ月かかったが、今回は来年にも発効するとの見方が出ている。一方、同爆弾を大量に持つ米露中イスラエルなどは条約に参加していない。署名式参加国でもロシアに対する安全保障上の懸念を持つフィンランドが署名を見送った。


==============
クラスター爆弾禁止条約骨子◆
一、使用、開発、製造、貯蔵、保有、移転(輸出)の即時禁止
一、発効後8年以内に保有在庫を廃棄
一、不発弾の除去、廃棄を10年以内に完了。爆弾使用国は除去、廃棄を援助する
一、被害者に医療、社会復帰、心理的な支援を提供
一、批准国が30カ国に達して6カ月目の月初めに発効


==============
■ことば
クラスター爆弾
戦闘機から投下または地上から発射され、空中で爆弾の容器が分解し、数個から数千個の子爆弾をまき散らす。米国、ロシア、日本など75カ国が保有する。イラクレバノンなど約30カ国・地域で使用された。紛争後も不発弾が残り、市民、特に子供に被害が出ている。




クラスター:河村官房長官「米中露に署名促す」(毎日新聞 2008年12月4日(木))

河村建夫官房長官は4日の記者会見で、クラスター爆弾禁止条約の署名について「人道上の配慮が優先され、(署名に)参加でき大きな意義を見いだしている」と述べ、日本が署名した意義を強調した。河村長官はさらに「署名していない米国や中国、ロシアに対しても、他国と一体となって呼びかけることが大事だ。人道上の見地からも、世界のすう勢は廃止の方向だ」と語り、未署名の米国などに働きかけていく考えを示した。【坂口裕彦】



地域限定ワンセグ参入続く 実証実験、早くも主導権争い(フジサンケイ ビジネスアイ - Yahoo! 2008年12月3日(水))

電通KDDI、京セラなどが、繁華街やイベント会場など限定された範囲で、携帯電話に映像を配信する「エリア限定ワンセグ」の実証実験を相次ぎ始めている。店舗情報や映画のプロモーションなど、いつでも持ち歩ける携帯の特徴を生かしたさまざまなコンテンツ配信が始まりつつある。総務省はまだ商用サービスは認可していないが、近い将来の承認をにらみ、各社の“前哨戦”が本格化する。
エリア限定ワンセグとは、テレビのUHF放送に使用される電波の周波数帯のすき間を利用するワンセグ放送。数メートルから数百メートルの範囲で映像や文字データなどを配信でき、ワンセグ対応携帯電話やカーナビなどで受信できる。特定範囲に放送できるため、地域に即した情報配信ができると期待されている。
電通子会社で、広告制作を手がける電通テック(東京都中央区)は3〜7日、東京都新宿区内の商店街「新宿モア4番街」で、店舗情報や近隣映画館のプロモーション映像などを配信する実験を開始する。利用者へのアンケートや受信状況などの成果を踏まえ、将来はさまざまな街頭やイベント会場での広告宣伝ツールに育成したい考えだ。
KDDIも、京セラコミュニケーションシステムや京都放送などと共同で、11月28日から12月6日まで、京都市内で実験を実施中だ。KDDIは10月にも、東京都中野区で開催された「中野まつり」で、地域のケーブルテレビ会社などと共同で、エリア限定ワンセグ実験を行った。
各社が実験を本格化した背景には、ワンセグ対応携帯電話の急速な普及がある。調査によれば、今年4〜9月に国内で販売された携帯電話端末中、ワンセグ対応端末は7割に上った。放送免許を管轄する総務省も、需要の高まりが予想されるエリア限定ワンセグは、近く商用サービスを認可するとみられる。



アッカ・ワイヤレスと京急タクシー、タクシー車内でのネット接続を実験開始(RBB TODAY - Yahoo! 2008年12月3日(水))

アッカ・ネットワークス子会社のアッカ・ワイヤレス、京急グループ京急交通および京急横浜自動車は3日、日本初となるタクシー内での無線LANブロードバンド・インターネット接続サービスの商用トライアルを開始した。
HSDPAとWiFiを組み合わせ、タクシー内での無線環境を整えることによって実現したもので、無線設備を搭載した京急タクシーに乗車した際に、 WiFi対応の携帯音楽プレイヤーやゲーム機、パソコンなどでのインターネット接続が可能となる。営業地区は、品川地区、みなとみらい21地区が予定されている。接続料無料で商用トライアルを3日〜2009年1月31日まで実施し、その後有料サービスへの移行を検討するとのこと。さらに今後はこのネットワークを活用し、タクシー内のデジタルサイネージを利用したタイムリーな地域情報やCMなどの掲示、決済サービスなどの整備が検討される予定だ。



年金記録改ざん140件で社保職員関与 厚労省調査(朝日新聞 2008年12月4日(木))

厚生年金の支給額の算定基礎となる標準報酬月額の改ざん問題で、改ざんされた可能性が高い受給者2万人に、社会保険庁が内容の確認を求めたところ、改ざん当時、事業主や役員だった人ら1408人が「記録に誤りがある」と回答した。うち、140人が、社会保険事務所の職員が改ざんに関与したと指摘し、25人は、かかわった職員の名前も挙げたという。
舛添厚生労働相が4日午前開かれた参院厚生労働委員会の答弁で明らかにした。社保庁が、コンピューター管理する厚生年金の記録約1億5千万件の中から、改ざんの可能性が高い記録約6万9千件を抽出。10月から年金受給者本人を訪れて直接説明し、内容の確認を求めてきた。
舛添厚労相によると、11月9日までに2524人から回答を得た。内訳は、事業主1107人、役員568人、従業員795人など。うち、「記録が間違っている」と、改ざんの疑いを指摘したのは1408人いた。
さらに、140人が社保事務所の職員が改ざんにかかわったと回答。25人は、改ざんに関与した職員名などを挙げたという。
これまで明らかになった元職員や事業主の証言によると、保険料を滞納した事業主らが社保事務所に相談に行った際に、滞納分を帳消しにする方法として、職員から記録改ざんを指示されたり、示唆されたりしたという。
舛添厚労相は「細かい解析までは行っていない。大急ぎで精査し、公表する。かなり具体的な名前まで出したのが25件あった。極めて深刻だ」とした。
記録改ざん問題をめぐっては、外部による調査委員会が、一部の社保事務所で「現場レベルでの組織的な改ざん」を認定する報告書をまとめたばかり。舛添氏は、第三者を入れた委員会を設けて、詳細な調査を続けることを表明。その結果により、「処分が必要な時には厳正に処分する」とした。
約6万9千件は、(1)標準報酬引き下げとほぼ同時に脱退(2)標準報酬の5等級以上の極端な引き下げ(3)半年以上さかのぼって標準報酬を引き下げの3条件に合致したもの。標準報酬月額はほぼ月給と同額で、改ざんされると将来受け取る年金額が減ることになる。



三陸沖震源に地震、宮城で震度3(朝日新聞 2008年12月4日(木))

4日午前8時17分ごろ、三陸沖を震源とする地震があり、宮城県栗原市登米市大崎市石巻市山形県中山町などで震度3の揺れを観測した。気象庁によると、震源の深さは約10キロ、地震の規模(マグニチュード)は6.1と推定される。
また同日午後零時11分ごろ、三陸沖を震源とする地震があり、宮城県石巻市で震度3の揺れを観測した。気象庁によると、震源の深さは約10キロ、地震の規模(マグニチュード)は5.7と推定される。



わび状添え、ねんきん特別便配達 放置の郵便事業会社(朝日新聞 2008年12月4日(木))

年金の加入記録などを記した「ねんきん特別便」4万5千通が2カ月以上、配達されずにJR貨物の梅田駅に放置されていた問題で、配達業務を請け負った郵便事業会社は4日朝、「わび状」を添えて特別便の配達を始めた。
配達先の大阪、京都、奈良、滋賀、三重の2府3県の98支店で一斉に作業を開始。大阪東支店(大阪市)では午前9時から、用意した封筒に社員5人が「多大なご迷惑をお掛けしました」などと記したわび状と特別便を入れ、50人分の配達に出発した。



運転免許の欠格期間最長10年に 道交法施行令改正案(朝日新聞 2008年12月4日(木))

警察庁は4日、危険運転致死傷やひき逃げなどで運転免許が取り消された後、再び免許が取得できるようになるまでの欠格期間の上限について、現行の5年から10年に引き上げることなどを柱とした道路交通法施行令改正案をまとめた。酒気帯び運転も厳格化され、1回の違反でも免許取り消しの場合もある。
危険運転致死の欠格期間は5年だったが、改正案では8年に。同致傷は5〜7年に引き上げられる。さらに、ひき逃げの場合は10年となる。また酒酔い運転で事故を起こした場合も現行の2〜5年から3〜7年に、ひき逃げなら10年となる。ひき逃げだけの場合でも3年だ。
酒気帯び運転の処分も重くなる。呼気中のアルコール濃度が1リットル当たり0.25ミリグラム以上の場合、これまでなら免許停止90日相当で済んでいたが、改正案では免許取り消しで欠格2年。0.15〜0.25ミリグラム未満でも事故を伴えば免許取り消しとなる。
一方、来年6月から75歳以上の高齢運転者に対する認知機能検査が始まるのに伴い、認知機能の低下した人が犯しやすい違反行為として信号無視や一時不停止、進路変更禁止違反など15行為を定めた。同検査で認知症のおそれがあるとの結果が出たうえ、更新の前後に15行為の違反が一つでもあれば臨時適性検査を受けなければならない。
5日から1月3日まで一般から意見を募って来年6月の施行を目指す。



酒気帯び運転:一発退場 呼気0.25ミリグラムで取り消し−−警察庁改正案(毎日新聞 2008年12月4日(木))

警察庁は4日、昨年6月の道路交通法改正に伴う道交法施行令の改正案を公表した。酒気帯び運転の行政処分の基礎点数は、呼気1リットル中のアルコール濃度0.25ミリグラム以上は13点から25点に引き上げ、免許取り消し相当とする。同0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満は6点から13点となり免許停止90日相当になる。
また、改正道交法で免許取り消し後の欠格期間の上限が5年から10年に引き上げられたことを受け、危険運転致死傷は結果の重大性に応じて5〜8年(現行5年)▽酒酔い運転などは原則3年(同2年)で、事故を起こした場合は3〜7年(同2〜5年)−−に欠格期間を引き上げる。いずれもひき逃げを伴う場合は10年とする。
飲酒運転については福岡市で06年8月に発生した3児死亡事故をきっかけに道交法が改正された。警察庁によると、昨年9月の改正道交法施行から1年で、飲酒運転事故は22.8%減、ひき逃げ事故は14.5%減となった。5日から来年1月3日まで国民から意見を募集する。【長野宏美】



国籍法改正案を可決 婚外子虚偽認知に歯止めも 参院委(朝日新聞 2008年12月4日(木))

日本人の父親と外国人の母親の間に生まれ、生後に認知された婚外子日本国籍取得について、両親の結婚を要件から外すとした国籍法改正案が4日午前、参院法務委員会で全会一致で可決された。一部の議員から偽装認知が増えることへの懸念が出ていたのをうけ、半年ごとの国会報告などを盛り込んだ付帯決議案も賛成多数で可決された。改正案は5日の参院本会議で可決、成立する見通しだ。
改正案は、両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めないのは「不合理な差別で違憲」とした今年6月の最高裁判決を受け、政府が11月初めに閣議決定し、国会に提出された。同18日に衆院で全会一致で可決されたが、その後も与野党双方の議員らに「偽装認知のような不正ビジネスを許しかねない」などとする慎重論が出ていた。
このため、先週予定されていた参院での委員会採決は延期。自民、民主両党を中心に慎重派議員に配慮する付帯決議案の検討を進めていた。
今回まとまった付帯決議案には、改正国籍法の施行状況を半年ごとに国会に報告する▽父子関係を科学的に確認するDNA鑑定導入の必要性を検討する ▽国籍取得の届け出に疑義がある場合は父親に聞き取り調査をし、父子が一緒に写った写真の提出を求める――などが盛り込まれた。



録:厚労相「56%事実と違う」 改ざん調査で答弁(毎日新聞 2008年12月4日(木))

厚生年金保険料の算定基準となる標準報酬月額(給与水準)の改ざんを巡り、改ざんの疑いの強い記録の持ち主の受給者約2万人に行っている戸別訪問調査について、舛添要一厚生労働相は4日、これまでに56%が「(標準報酬月額の)記録が事実と違う」と答えたことを明らかにした。受給者本人から確認したことで改ざんが裏付けられた。このうち25件は社保庁職員の氏名などを具体的に上げ、職員から改ざんの働きかけがあったという。
同日午前の参院厚生労働委員会蓮舫議員(民主)の質問に答えた。
舛添厚労相によると、既に戸別訪問した受給者2524人中、1408人が「記録が違う」と回答。また、改ざんに社保庁職員が関与した疑いがあるとの回答が140件あり、具体的に当時の職員の氏名などがあげられたケースが25件あった。
舛添厚労相は「25件でも相当具体的なことが言われていて極めて深刻だ」と述べた。【野倉恵】



新銀行東京:「都の責任重大」金融庁が指摘(毎日新聞 2008年12月4日(木))

東京都の出資で設立された新銀行東京(新宿区)が経営危機に陥った問題で、金融庁が「都が過大な融資計画の作成に関与していた」と指摘していたことが分かった。石原慎太郎知事ら都側は「旧経営陣が常識外れの経営をした」などと釈明してきたが、金融庁の指摘により都の責任論が改めて高まりそうだ。
金融庁は4月から同行の検査に入っており、10月の結果通知で「都の責任は重大」と指摘したとみられる。
新銀行は都が1000億円を出資し、05年4月に開業。それに先立つ04年2月、都は業務運営指針のマスタープランをまとめ、開業3年後に融資・保証残高を9300億円積み上げ、54億円の黒字を実現するという「融資拡大路線」の目標を掲げた。同行は開業後、事業計画を繰り返し見直したが、都側はその都度、新銀行側に「マスタープランの数値が基軸」と目標達成を要求。旧経営陣は融資拡大路線を続け、社外取締役も機能しなかった。【永井大介木村健二】



教科書検定:概要公表へ 議事録は作らず 文科省(毎日新聞 2008年12月4日(木))

文部科学省は4日、非公開としてきた教科書検定の審議内容について、検定終了後に概要を公表することを盛り込んだ検定制度の改定案をまとめ、教科用図書検定調査審議会の作業部会で了承された。来年度の検定から適用される見通し。昨年、沖縄戦の集団自決を巡る高校教科書検定で審議の密室性に批判が集まったことなどを受けた措置だが、議事録は作成せず詳細は公開しないため、さらなる公開を求める声も出そうだ。
現行制度では、教科書会社からの申請に対し、文科省の教科書調査官が「調査意見書」と合否判定案を作成。それを基に、同審議会の日本史など分野別の小委員会と、教科別の部会で議論して検定意見書をまとめる。公表していたのは(1)申請教科書(2)検定意見書(3)修正表(4)教科書見本−−で、「なぜその意見が導かれたか」につながる情報は含まれなかった。部会や小委員会は議事録も作成せず、文科省は「公表すれば(委員らの)自由な意見交換を妨げる」と説明してきた。
改定案によると、調査意見書と判定案を公表。各部会・審議会で出たどのような意見により何が決まったのかが分かる「議事概要」も作成し、検定作業後に何らかの方法で公表するとした。だが、意見交換の詳細などが分かる議事録は作成せず、発言者の氏名は公表しない。
一方、審議会委員がどの部会や小委員会に所属しているかは公表していなかったが、検定作業後に公表する姿勢を示した。沖縄戦の問題を巡っては「調査官の人選経緯などが不透明」との批判もあったが、調査官の氏名と略歴を公表する。
さらに「委員に沖縄戦の専門家がいなかったため、調査官の意見がそのまま通ったのでは」という指摘があったことなども踏まえ、部会や小委員会であらかじめ重点事項を定め、専門委員を増やしたり、外部の専門家の意見を聞くことを可能とする改善策も盛り込んだ。
検定意見書の伝達方法についても、現在は教科書会社が意見書を渡されたその場で質問しなければならないが、内容を伝えた後に質疑応答の場面を設けるなどの改善を行う。
文科省は「(検定の)緊張感が高まり信頼性も上がる」と説明している。【加藤隆寛】


◇ことば 沖縄戦を巡る教科書検定問題
07年3月、沖縄戦の集団自決に日本軍の強制があったと記述した高校教科書に文部科学省が検定意見を付け、教科書会社は修正・削除。沖縄県民らの反発が強まったことを受けて政府が軌道修正し、当時の渡海紀三朗文科相が訂正申請に応じる姿勢を示したため、教科書会社は11月に訂正申請。再度行われた検定で「(日本軍の)関与」などの表現が認められた。渡海文科相は今年2月、教科用図書検定調査審議会に制度のあり方についての審議を要請していた。



超新星:16世紀の爆発「光のこだま」観測(毎日新聞 2008年12月4日(木))

デンマーク天文学者ティコ・ブラーエが1572年に見つけた超新星爆発のタイプを、国立天文台や東京大などの研究チームが突き止め、4日付の英科学誌ネイチャーに発表した。宇宙の膨張を探るのに役立つ成果という。
この超新星爆発カシオペア座の方向で発生し、ティコは地球に向かってまっすぐ飛んできた光を観測した。研究チームはすばる望遠鏡(米ハワイ州)を使い、光の一部が周辺の塵(ちり)に反射、地球に遅れて届く「光のこだま」をとらえ、その特徴を分析した。
その結果、爆発したのは白色矮星(わいせい)と呼ばれる小さく高密度の恒星で、地球からの距離は約1万2000光年と判明した。このタイプは宇宙の膨張を左右するダークエネルギーの存在を示したことで知られる。臼田知史・国立天文台准教授は「宇宙の進化や超新星爆発の仕組み解明に役立てたい」と話す。
ティコは惑星運動の法則を見つけたケプラーの師匠で、肉眼でみえる星の位置をすべて覚えたと言われるほど観測し、天文学の発展に大きく貢献した。【下桐実雅子】



橋下知事 携帯持ち込み禁止 小中生対象、年度内実施へ(産経新聞 - Yahoo! 2008年12月4日(木))

大阪府橋下徹知事は3日、府内の政令市(大阪、堺)を除く公立小中学校で、児童生徒の携帯電話持ち込みを原則禁止とする方針を明らかにした。府教育委員会の調査で、携帯電話への依存傾向が強いほど、学習時間が短いという結果が示されたため。市町村レベルではすでに取り組んでいる自治体もあるが、文部科学省は「都道府県単位では聞いたことがない」としている。市町村教委への通達後、年度内にも実施される見通し。
橋下知事はこの日の定例会見で、「行政が私生活に介入すべきではないという反論はあるかもしれないが、学校に携帯電話は必要ない。まずは保護者の責任でルールを守らせてほしい」と強調した。
その上で、府教委が今年7月に実施した携帯電話利用実態調査の結果を踏まえ、「(携帯に依存していたら)学習時間が短くなるのは当然。大阪の学力の問題はここから入らなければ」と述べ、学力向上策の一環としても位置づける考えを示した。
例外については「両親が働いていて安全確保のために持たせている場合」などを挙げた。違反者への対応は学校ごとに決めるが、府教委は「返却を前提に、いったんは取り上げるという毅然(きぜん)とした対応が必要」としている。
府立高校については、通学範囲が広いことなどから持ち込みは認めるが、校内での使用は禁止とした。
府教委では、児童生徒の1日の通話時間やメール送信回数を集計し、「依存傾向」を3段階に分類。その結果、学習時間が30分以下の子供の割合は、依存度が強いほど高くなる傾向がみられたという。
すでに府内の小学校は88・1%、中学校は94・2%が持ち込みを禁止しているが、府教委では「禁止していても実際は持ち込んでいるケースが多いはず。今回の方針を機に『携帯依存』からの脱却を促したい」と話している。
携帯所持の是非をめぐっては、政府の教育再生懇談会が今年5月の中間報告で「必要のない限り持たないよう保護者や学校が協力する」と提言している。



教科書検定調査官の氏名・意見内容公開へ 文科省が案(朝日新聞 2008年12月4日(木))

「密室審議」の批判が強い教科書検定をめぐり、文部科学省は4日、透明性をもたせる改善案をまとめた。検定を左右する立場にありながら、これまで表に出なかった同省の教科書調査官について、示した意見(調査意見書)を検定終了後に公表するほか、氏名や職歴、担当教科も公開。文科相の諮問機関・教科用図書検定調査審議会検定審)も審査終了後に委員の担当教科や議事概要を公表し、教科書づくりに不当な介入がなかったか事後的に検証できるようにする考えだ。
教科書検定をめぐっては、沖縄戦の集団自決をめぐり、06年度の高校日本史の検定で「日本軍の強制」の記述を軒並み削らせたことが問題化。不透明な検定制度に批判が高まり、昨年、渡海文科相(当時)が改革を表明した。
検定は、教科書会社が申請したものについて、大学の准教授クラスや高校教員などから採用される文科省職員の教科書調査官が意見書をつくり、それをもとに検定審が結論を出す。ただ、チェックする量が膨大で調査官の役割は大きく、検定審は調査官の意見に追随しているだけだという指摘もあった。
調査官はいわば検定の「陰の主役」だが、採用基準や役割があいまいで、どんな意見を示したのかもわからず、「国の意向ありきで検定を進めているのではないか」という批判が強かった。「調査官の意見書や氏名、職歴の公表」という文科省の方針は、「ブラックボックス」という批判に応えるために考えられたという。
ただし、文科省が固めた調査意見書などの公表案はあくまで検定終了後のもので、検定にかかわる検定審の傍聴は認めず、すべてが決まるまで審議内容を明かさないという立場は変えていない。検定審の詳しい議事録の作成も見送る方向で、同時進行で審議を点検する手だてを閉ざしている。文科省は「静かな環境のもと、中立で活発な議論を委員に保証するため」と理由づけ、検定審にはかった上で年内に決定したい考えだが、今後、さらに公開を求める声も上がりそうだ。(上野創)