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内閣支持22%、「首相適任」小沢氏逆転 朝日世論調査(朝日新聞 2008年12月7日(日))

朝日新聞社が6、7の両日実施した全国世論調査(電話)によると、麻生内閣の支持率は22%で、前回調査(11月8、9日)の37%から急落した。麻生首相民主党の小沢代表のどちらが首相にふさわしいかの質問でも、麻生氏を挙げる人は30%(前回49%)に大きく下がり、小沢氏の35%(同23%)が初めて上回った。「選挙の顔」としての首相の優位性は完全に失われ、発足2カ月余りですでに政権末期の様相だ。
内閣支持率は、福田内閣末期とほぼ同じ水準にまで一気に下がった。不支持率は64%(前回41%)。その理由では「政策の面」が63%に達する。自民支持層でも内閣を支持する人は54%(同72%)にとどまり、「麻生離れ」が進んだ。無党派層の支持も11%(同26%)に下がった。
麻生首相に「実行力がある」とする人は21%で、「そうは思わない」の68%が圧倒した。発足当初は「実行力がある」が54%、「そうは思わない」が28%だった。
定額給付金を含む追加の補正予算案の提出を来年1月の通常国会に先送りしたことについては、「納得できる」23%を「納得できない」60%が上回った。来年度予算編成の基本方針で、これまでの財政再建路線を転換して、景気対策のため支出を柔軟に増やすとしたことには、「評価する」48%、「評価しない」35%で、一定の支持を受けた。
麻生首相のこれまでの仕事ぶりの評価を聞くと、「期待外れだ」が最も多く44%、次に多いのは「もともと期待していない」の40%で、「期待通りだ」は12%、「期待以上だ」は1%だった。
首相にふさわしいのが麻生氏か小沢氏かの問いでは、過去5回の調査でいずれも麻生氏が小沢氏に倍以上の差をつけてリードしていた。背景には野党支持層の一部や無党派層からも支持を受けていたことがあったが、首相への失望感の広がりから、それらが急速に失われたようだ。
衆院の解散・総選挙の時期については、「早く実施すべきだ」が51%で「急ぐ必要はない」の40%を上回った。「早く実施」は10月下旬の調査では33%まで下がっていた。
「いま投票するとしたら」として聞いた衆院比例区の投票先は自民28%(同30%)、民主36%(同33%)など。無党派層で民主に投票するという人が31%(同23%)に増え、民主がリードを広げた。政党支持率は自民27%(同30%)、民主23%(同24%)など。

〈調査方法〉6、7の両日、全国の有権者を対象にコンピューターで無作為に電話番号を作る「朝日RDD」方式で調査した。対象者の選び方は無作為3段抽出法。有効回答は2074人、回答率は58%。



毎日世論調査:内閣支持21%に激減 「首相に」も小沢氏(毎日新聞 2008年12月8日(月))

毎日新聞は6、7の両日、電話による全国世論調査を実施した。麻生内閣の支持率は21%で10月の前回調査から15ポイント下落、不支持率は17ポイント増の58%だった。「麻生太郎首相と小沢一郎民主党代表のどちらが首相にふさわしいと思うか」という質問への回答は、麻生首相が21ポイント減の19%、小沢氏が3ポイント増の21%で両者が初めて逆転。「選挙の顔」と「党首力」を期待されて就任した首相が今後、厳しい政権運営を迫られるのは必至の情勢となった。


◇失言、政策迷走…不支持は58%に
内閣支持率21%は安倍政権最低の07年8月調査の22%を下回る数字。自民党が大敗した参院選直後の調査で、安倍晋三元首相は1カ月余後に退陣を表明した。また福田政権下の08年5月の18%、6月の21%、7月の22%と同水準となった。
支持理由は「首相の指導力に期待できるから」が前回調査比14ポイント減の19%。不支持理由も「首相の指導力に期待できないから」が14ポイント増の27%となり、政策決定を巡る政権の「迷走」や首相の失言などが支持激減に影響したとみられる。
首相の不用意な発言や漢字の読み間違いへの評価は「首相の資質を疑う」が48%で「目くじらを立てるほどのことではない」の42%を上回った。
どちらが首相にふさわしいかは「どちらもふさわしくない」が14ポイント増の54%。9月は麻生首相42%、小沢氏19%、10月は麻生首相40%、小沢氏18%だったことから、麻生首相と答えた層が「どちらもふさわしくない」という回答に流れたことがうかがえる。
一方、定額給付金への評価は「評価しない」が70%で「評価する」の21%を圧倒。政府が08年度第2次補正予算案提出を09年1月召集の通常国会に先送りしたことも「支持しない」61%、「支持する」24%で麻生内閣が政策的にも支持を集めていないことが浮かんだ。


◇早期の解散求める声が多数
世論調査には次期衆院選に関する質問も盛り込んだ。いつ解散すべきだと思うかを五つの選択肢で尋ねたところ(1)「直ちに解散すべきだ」28%(2)「来年度予算成立後の来年春」25%(3)「来年1月の通常国会冒頭」17%(4)「任期いっぱいまで解散の必要はない」15%(5)「来年夏ごろ」2%−−の順で、早期の衆院選を求める世論が浮かび上がった。
「自民と民主のどちらに勝ってほしいか」との質問への回答は民主46%、自民29%。自民は前回調査比7ポイント減で、民主も2ポイント減だったが、両党の差はさらに広がった。今、衆院選が実施された場合の比例代表の投票先も民主36%(前回比2ポイント減)、自民22%(同3%減)だった。【坂口裕彦】


【調査の方法】 6、7日の2日間、コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDS法で調査。有権者のいる1615世帯から、1031人の回答を得た。回答率は64%。



麻生内閣の支持率半減21%…読売世論調査(読売新聞 2008年12月7日(日))

読売新聞社が5〜7日に実施した全国世論調査(電話方式)で、麻生内閣の支持率は20・9%となり、11月初めの前回調査(40・5%)からほぼ半減した。
不支持率は66・7%で約25ポイント跳ね上がった。
麻生首相民主党の小沢代表のどちらが首相にふさわしいかでも、麻生氏は前回比21ポイント減の29%に落ち込み、14ポイント増やした小沢氏の36%を初めて下回った。
国民的人気の高さを背景に自民党総裁選で圧勝して誕生した麻生政権だが、わずか2か月余で“刷新効果”は消え去った。与党は強い衝撃を受けており、今後、自民党内で首相交代を求めたり、新党含みの動きが表面化したりする可能性もある。
麻生内閣の支持率は「危険水域」とされる3割を割り込み、8月の本社面接調査で28・3%だった福田内閣末期より低い水準に落ち込んだ。
内閣を支持しない理由は「政策に期待できない」32%が最も多かったが、「首相に指導力がない」29%(前回9%)、「首相に安定感がない」25%(同13%)が急増した。有権者が首相の資質に失望したことが、支持率急落を招く大きな要因になったようだ。
最優先課題である経済・景気対策への評価も厳しい。内閣が今の経済情勢に「的確に対応していない」は83%を占め、追加景気対策のための第2次補正予算案提出を年明けに先送りしたことを「妥当ではない」とする人も67%に上った。
また、首相が問題発言や失言を繰り返していることが政権運営に悪影響を及ぼしていると見る人は77%に上った。
政党支持率も、自民は27・2%(前回比5・2ポイント減)と低下し、民主の28・2%(同4・8ポイント増)に逆転された。さらに、次期衆院比例選での投票先では、民主が40%、自民24%となり、麻生内閣発足以来初めて民主が自民を上回り、大きく差をつけた。
ただ、衆院選後の望ましい政権では「政界再編による新しい枠組み」33%がトップで、「自民党民主党による大連立」25%がこれに続いた。「民主党中心」は21%、「自民党中心」は12%だった。有権者の約6割は「自民か民主か」の二者択一を超えた新しい政治を求めていることになる。
衆院解散・総選挙の時期は「年明けの早い時期」36%、「今すぐ」22%で、早期実施を求める声が約6割を占めた。「来年春ごろ」22%、「来年9月の任期満了までに」14%は、いずれも前回から大きく減った。



麻生内閣、支持率急落25.5%(産経新聞 2008年12月8日(月))

共同通信社が6、7両日に行った全国電世論調査で、麻生内閣の支持率は25.5%と11月の前回調査から15.4ポイント急落した。不支持率は61.3%と前回から19.1ポイント急増。
麻生太郎首相(68)と民主党小沢一郎代表(66)の「どちらが首相にふさわしいか」への回答は、小沢氏が34.5%(10.1ポイント増)で、麻生氏の33.5%(17.5ポイント減)を初めて逆転した。麻生首相の一層の求心力低下は避けられず、来春以降とみられる衆院解散・総選挙の時期について難しい判断を迫られるのは必至だ。
内閣不支持の理由は「経済政策に期待が持てない」28.3%、「首相が信頼できない」19.8%、「首相に指導力がない」18.7%の順で多かった。首相の政策のぶれ、一連の失言を厳しく評価したといえそうだ。



社説:内閣支持激減 「もう任せられない」が世論だ(毎日新聞 2008年12月8日(月))

発足以来3カ月足らずで麻生内閣の支持率が21%に落ち込んだ。毎日新聞が6、7日に実施した全国世論調査によると支持率は10月から15ポイントもダウンし、不支持は58%に達した。麻生太郎首相の下で現実に行われている政治の迷走ぶりも深刻で、もはや政権は末期的症状を呈し始めているといっていい。
雇用不安など経済状況が一段と厳しくなる中、国民の支持を得られない首相が今後も漫然と政権を担当し続けることを私たちは憂慮する。改めて早期の衆院解散・総選挙を求めたい。
支持率21%は政権を投げ出した福田前内閣の最低水準18%(今年5月)にほぼ匹敵する。これまでは「麻生首相小沢一郎民主党代表のどちらが首相にふさわしいと思うか」の質問では、麻生首相が倍以上、上回っていたが、今回は小沢氏がわずかながら逆転した。これも首相には痛手だ。
支持激減の理由は定額給付金道路特定財源一般財源化などの方針や発言がぶれたり、ふらついたりしていることだろう。それに他者への配慮を著しく欠いた失言や漢字の誤読が拍車をかけていると思われる。
実際、調査では定額給付金を「評価しない」と答えた人が70%に達し、第2次補正予算案提出を通常国会に先送りした点も61%が「支持しない」と答えた。多くの国民は首相が掲げる政策や政権運営そのものに疑義を抱き、「もはや、この内閣に任せておけない」と不安すら感じ始めているのではなかろうか。
自民党内でも既に「麻生離れ」が進んでいるが、責任は首相にだけあるのではない。次期衆院選で自民、民主のどちらに勝ってほしいかとの質問では、民主党も伸びてはいないものの、自民党はさらに差をつけられた。首相の人気が落ちると一転、政権を支えなくなる党側の無責任さにも国民の厳しい目が向けられている表れといえるだろう。
今回の結果により麻生首相はますます衆院選を遠ざけようとするのだろうか。一方、自民党には再度、総裁選を行い首相交代でしのごうという動きが出てくるのだろうか。いずれにせよ政権与党は混乱し、思い切った経済対策どころではなくなる可能性が大きい。
だが、これまで「選挙より景気対策」との首相の姿勢に一定の理解を示していた世論に変化が出ている点を重く受け止めた方がいい。衆院選の時期について今回は「直ちに解散」と答えた人が最も多く、遅くとも来春までにとの声が大半だった。
それは迷走を続ける今の状況こそ政治空白だと少なからぬ国民が考えているからだろう。首相も与党もこの悲鳴に近い声に耳を傾けるべきである。この際、与野党で一致できる経済対策を第2次補正に盛り込んで早急に成立させたうえで、解散し、有権者の信を仰ぐのが一番有効と考える。



「国民は政権完全に見放した」野党が攻勢強める構え(読売新聞 2008年12月7日(日))

麻生内閣の支持率急落を受け、民主党など野党は「国民が麻生政権を完全に見放した」(鳩山民主党幹事長)として、早期の衆院解散・総選挙を求め、さらに攻勢を強める構えだ。
鳩山氏は7日、石川県羽咋市で開かれた次期衆院選候補の集会で、「(同県選出の)森元首相はゴールデンウイーク明けぐらいまでには(2009年度)予算案を通せと(言っている)。とてもそのようなことは望めない。通常国会期間中に麻生内閣は必ず倒れる。早ければ1月にも解散はある」と述べ、来年1月召集の通常国会では徹底した対決姿勢を取る考えを示した。
民主党は、与党が通常国会冒頭に提出する方針の08年度第2次補正予算案と関連法案の審議を勝負所と見ている。2次補正の柱である定額給付金は、自民党内でも批判が強い。憲法衆院優越規定で自然成立する予算案と違い、予算関連法案は自民党から17人が造反すれば、与党は衆院の3分の2以上の多数で再可決できなくなる。「いずれ政権は立ち往生する。こちらから動く必要はない」という判断だ。
このため、今国会では独自の経済・雇用対策関連法案を参院に提出し、2次補正を通常国会に先送りした政府・与党の「無策ぶり」を浮き彫りにする構えだ。
輿石東参院議員会長は7日、「民主党政権担当能力があることをアピールし、政権を取っても大丈夫だという安心感を得ていきたい」と強調した。
民主党内には「今国会会期末に衆院への内閣不信任決議案や参院への首相問責決議案を提出し、首相を追い込むべきだ」という意見も出始めている。「自民党の自壊は予想以上に早まっており、年内に新党結成の動きが出る可能性もある。揺さぶりを強めた方が得策だ」というわけだ。
栃木県が地元の山岡賢次国会対策委員長は7日のフジテレビの番組で、一緒に出演した同県選出で自民党渡辺喜美・元行政改革相に「自民党から出て行けと言われているなら、どんどん出ていただいてウエルカムだ。(渡辺氏の)選挙区に、うちの候補者はいない」と早期離党を促した。



来年1月解散に期待 公明・太田代表「早いほうがいい」(朝日新聞 2008年12月7日(日))

公明党の太田代表は7日のテレビ朝日の番組で、衆院解散・総選挙の時期について、「(来年)1月という(通常国会)冒頭もあり、(来年度予算成立後の)4月もある。早い方がよい」と述べ、第2次補正予算案の提出など景気対策に手を打ったうえで、1月にも解散するのが望ましいとの考えを示した。
また、太田氏は景気対策について、「(09年度から)2年間かけて10兆円以上は当然必要だ」と述べ、2次補正や来年度予算案に雇用対策や公共事業の前倒しなどを積み増すよう求めた。



内閣支持率急落、与党「麻生離れ」拍車 野党は解散攻勢(朝日新聞 2008年12月8日(月))

麻生内閣の支持率急落により、与党内では「麻生離れ」に拍車がかかり、政界再編は不可避との見方も広がりだした。民主党など野党側は早期の衆院解散を迫るなど攻勢を強める構えで、年末から年明けにかけて政局が緊迫するのは避けられない情勢だ。
「非常に厳しい私への評価だと受け止めている。景気対策・雇用対策への期待に十分こたえられていないという批判だと思う」。麻生首相は8日昼、首相官邸での政府与党連絡会議で、支持率急落についてこう述べた。河村官房長官は記者会見で「麻生カラーが影を潜めたのが、その結果につながったのではないか。叱咤(しった)激励と受け止めたい」。
一方、自民党の幹事長経験者は「すでに統治能力すらなくなっている。(党内で)様々な動きが出てくるだろう」。渡辺喜美元行革担当相は6日の日本テレビの報道番組で「政治の世界はカオス(混沌)に突き進んでいる」と政界再編の可能性を指摘した。
公明党幹部は「最悪だ。だから、こうなる前に選挙をやれと言ったんだ」。「麻生降ろし」には否定的な見方を示しながらも、「選挙後は新しい流れに身を任せるしかない」とも語った。
民主党鳩山由紀夫幹事長は8日、記者団に対し「麻生内閣は国民から完全に見放された。国民が不信任案を突きつけている状況だ。年内の総辞職もありうる」と発言。直嶋正行政調会長は同日、愛知県議会内で開いた政策説明会で「選挙が先にいけばいくほど民主党政権の可能性が高まる」と話した。



世論調査:支持率急落…「非常に厳しい数字」麻生首相(毎日新聞 2008年12月8日(月))

麻生太郎首相は8日昼、首相官邸で開かれた政府・与党連絡会議で、毎日新聞などの世論調査で、麻生内閣の支持が激減したことについて「非常に厳しい数字。私への評価と受け止める。(国民が期待する)景気、雇用対策に十分にこたえていないことへの批判と思う。危機に対応すべくしっかりした政策を進めていかなければならない」と語った。
河村建夫官房長官は8日午前の記者会見で、「どちらが首相にふさわしいか」とする世論調査の質問で、民主党小沢一郎代表が逆転し首相を上回ったことについて、「麻生節、麻生カラーが影を潜めた結果だ。本来の麻生首相らしく、前向きに明るく強く取り組めば、支持を取り戻すことができる」と強調した。
一方、民主党鳩山由紀夫幹事長は8日午前、「国民が麻生内閣に不信任を出した。今こそ選挙をやれという国民の声が高まっている」と述べ、麻生首相に早期の衆院解散を求めた。さらに「今年中に大きな変化がある。内閣総辞職も視野に入れる必要がある」とも述べ、麻生首相が年内に退陣する可能性があるとの見方を示した。【坂口裕彦、佐藤丈一】



猫の目大臣交代、白ける官僚 「もう死に体」政治と距離(朝日新聞 2008年12月8日(月))

農林水産、防衛は6人ずつ――。昨年1月から2年弱の大臣の数だ。国土交通省には「5日大臣」もいた。この間、首相は3人、組閣と内閣改造が計4回。他の省庁も大臣がすべて交代している。大臣を支えるべき官僚たちが、そんな政界の足もとを見透かし始めている。
「内閣が危機的な状況で、今の大臣はもう死に体」
麻生政権への支持率の急落を受けてある省の幹部が言い切った。だが、政治に距離を置く姿勢は今に始まったことではない。
11月初旬。この省で「レクチャー(レク)」と呼ばれる官僚から大臣への所管事項の詳しい説明会があった。麻生政権発足後の9月末にもしたが、この時は、あえて「最低限の説明」に。「衆議院の解散、総選挙がありそうだったから。あっという間に大臣が代わるなら詳しく説明しても仕方ない」と幹部。その後、解散見送りが強まったためやり直したという。この幹部は「こんなに長く在任するなんて大臣が一番驚いているんじゃないか」と突き放す。
2年弱で大臣が6回代わった農林水産省。この間、所管の世界貿易機関WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は山場だった。「外国の閣僚が顔見知りで互いの事情が頭に入っていればいいが、大臣がこうも頻繁に代われば、そのたびにあいさつからだ」と省幹部は深刻だ。
昨年6月、自殺した松岡利勝氏の後を継いだ赤城徳彦氏は1週間後の記者会見で、閉塞(へいそく)した省内のムードの一新を狙った課長らがまとめた資料を配布。「新赤城農政プランだ。世界に発信していきたい」。だが、事務所費と「絆創膏(ばんそうこう)」問題で、就任2カ月で事実上更迭。省幹部は「以後、プランが語られることはなくなった」。
以後、若林正俊氏を挟んで遠藤武彦氏に代わるが、8日後、自身がトップを務める農業共済組合補助金受給問題で引責辞任。再び若林氏を挟んで太田誠一氏に。が、就任早々、食の安全を巡り、「消費者がやかましいから」と発言し、翌年度予算の骨格が固まる重要な時期に自らの事務所費問題が浮上。その後に発覚した事故米問題で、人体に影響はないとして、「だからじたばた騒いでいない」と発言、また引責辞任した。ようやく石破茂現大臣に慣れ始めたところで、波乱含みの政局を迎えている。
同省幹部が「安定した人に長くやってほしいが、私たちにはどうしようもない」と言えば、石破氏も「(大臣は)セレモニー要員じゃない。頻繁な交代で利益を得る人は誰もいないと思う」と話す。
同じく6人の大臣がいた防衛省では、官僚の暴走さえ起きた。昨夏まで4年余、事務次官として君臨した守屋武昌被告(64)=収賄罪などで公判中=は次官として最後の日となった07年8月31日、上機嫌で迎えの車に乗り込んだという。その日の朝刊が異例の「常勤顧問」として就くことになると伝えていたからだ。小池百合子高村正彦両大臣の入れ替わり時期に「院政」を狙ったが、その人事を「新聞で知った」という高村氏の激怒で振り出しとなった。
今年9月、中山成彬氏が就任5日で辞任した国土交通省。成田空港の土地収用に時間がかかる理由を「ごね得」などとした発言が引き金だったが、同省幹部は「地権者が立ち退かないのは金銭目的ではなく、国に対する抗議です、とわざわざ説明する必要もない」と考えた「甘さ」を反省している。別の幹部は自嘲(じちょう)気味に話した。
「私たちも、短期的にしか物事を考えられなくなってきている気がする」



中川元幹事長、政界全体がひっくり返る再編あり得る(産経新聞 2008年12月7日(日))

自民党中川秀直元幹事長は7日、フジテレビの報道番組「新報道2001」で、政界再編について「誰が離党するとか、私がそうするとかの小さなレベルの話ではない。民意は、改革派が与野党から出てきてやるような、政界全体がひっくり返るようなものを望んでいると思う」と語った。
小泉構造改革路線の否定が決定的になれば、民主党の「改革派」議員との連携も含め、再編があり得るとの認識を示したものだ。中川氏は再編に動くかどうかのタイミングについて「(衆院選後の)その瞬間に判断する」と表明。自身の離党については「今、いう段階ではない」と語った。
また、民主党小沢一郎代表が語った衆院選の選挙管理を行う超大連立については「国民の理解が得られない。予算を通して選挙するだけなら党首同士が話し合って決めればいい。選挙管理なら、そのまま麻生さんに内閣をやってもらって選挙してもいい」と否定的な考えを示した。



道路財源:1兆円新交付金、政府与党が決定(毎日新聞 2008年12月8日(月))

政府・与党は8日午後、首相官邸道路特定財源一般財源化に関する合同会議を開いた。道路整備を中心とした公共事業に使う1兆円規模の「地域活力基盤創造交付金」(仮称)創設などを盛り込んだ基本方針を決定した。福田康夫前首相が打ち出した09年度からの一般財源化は、麻生政権下で道路事業との関連を色濃く残した形で決着した。
合同会議には、麻生太郎首相と関係閣僚、自民党細田博之幹事長、公明党太田昭宏代表らが出席した。
交付金は現行の「地方道路整備臨時交付金」(約7000億円)に代わるもので、8割程度は引き続き道路整備に充てられる見通し。「一般財源化の趣旨に反する」との批判を踏まえ一部を離島への航路、空路整備に使うことも検討する。首相が目指した地方交付税の増額は道路財源とは別枠で処理する。
揮発油(ガソリン)税などの暫定税率は、見直しを「税制の抜本改革時に検討」することとし、原則維持する。ただ、公明党自動車重量税などの税率引き下げを主張しているため、税負担の時限的な軽減措置を来年4月から実施する。
政府は関連法案を来年の通常国会に提出する。【三沢耕平】



麻生首相:7割の宗教では労働は罰 持論を披露(毎日新聞 2008年12月8日(月))

麻生太郎首相は7日、視察先の熊本県天草市内のホテルで演説し、高齢者の就労問題に関連して「世界中、労働は罰だと思っている国の方が多いんじゃないの。7割ぐらいの宗教の哲学は労働は罰だから」などと、独自の宗教観、労働観を披露した。
そのうえで、日本人については「我々は働くというものは正しいと思って育ってきた。(日本では)神々は働いていたんだから。神々が行うなら善行に決まっている」と指摘。「労働は神が与えた罰と思っている国と、神と一緒にやる善行と思っている国では、労働に対する哲学が違う。それが日本の持っている底力」と述べた。【塙和也】



首相「7割の宗教で労働は罰」 日本は「善」と認識(日本経済新聞 2008年12月8日(月))

麻生太郎首相は7日の熊本県天草市での演説で、高齢者雇用問題に触れた中で「世界中、労働は罰だと思っている国の方が多い。旧約聖書では神がアダムに与えた罰は労働。旧約聖書キリスト教イスラム教、足したら世界の何割だ。7割くらいの宗教の哲学は労働は罰だ」と述べた。日本については「天照大神高天原を見たら神々は働いていたと古事記に書いてある。我々は働くのは正しいと思っている」と指摘した。



地方への1兆円、海路と空路にも 政府・与党方針(朝日新聞 2008年12月8日(月))

政府・与党は7日、道路特定財源一般財源化に伴って09年度新設する1兆円規模の「地域活力基盤創造交付金」について、原油高騰や過疎などで業績が悪化した離島の海路や空路を経営する第三セクターなどへの支援にも使えるようにする方針を固めた。
自民党のプロジェクトチーム座長の谷垣禎一国土交通相交付金の8割を道路整備に充てるとしているが、政府・与党は間口を広げることで一般財源化のイメージを強めたい考えだ。



自民、改革志向影ひそめる 朝日・東大調査(朝日新聞 2008年12月8日(月))

景気対策のため財政出動をいとわず、終身雇用が一般的だった「日本型」の仕組み。ほとんどの政党がこうした仕組みを維持したいという志向を強めていることが、次期衆院選の立候補予定者を対象にした調査で明らかになった。特に自民党はその振れ幅が大きく、小泉首相のころの改革志向は影をひそめていた。
9月の麻生内閣発足後、朝日新聞社東京大学谷口将紀研究室が共同で立候補予定者約900人を対象に調査、735人の回答を分析した。
自民党は「郵政解散」に伴う05年衆院選では「日本型」を改革する方向へ軸足を移したが、今回はその前の03年よりも「日本型」に戻った。特に変わったのが財政出動への姿勢。「当面は景気対策のために財政出動を行うべきだ」という考えに「賛成」「どちらかと言えば賛成」と答えたのは計77%で05年(17%)から60ポイントも跳ね上がった。「公共事業による雇用確保は必要だ」も賛成派は58%と05年(42%)を上回った。
民主党では「財政出動」賛成派は05年(14%)から倍増したが、それでも31%。「公共事業」は42%が反対派で05年(39%)と同水準だ。民主党も「日本型」維持に動いたものの、改革志向を保った。
安全保障・外交政策では、自民党タカ派色を強めた。「集団的自衛権を行使すべきだ」では73%が賛成派で、05年(50%)より増えた。民主党は「防衛力はもっと強化すべきだ」で賛成派が17%と05年(32%)より減るなどハト派化した。
このため、両党の政策位置は05年より開き、対立軸は見えやすくなった。(高橋純子)



「子供産んだから少子化相」発言、首相は「関係ない」(朝日新聞 2008年12月7日(日))

麻生首相は7日、自民党笹川尭総務会長が小渕少子化担当相の初入閣の理由を「子どもを産んだから」と指摘したことについて、「小渕さんが子どもを産んだから大臣になったわけではない。指名した本人が言ってんだから」と述べ、笹川氏の見解を否定した。訪問先の熊本県天草市で記者団の質問に答えた。



少子化相起用「子ども産んだから」ではない、と首相(読売新聞 2008年12月7日(日))

麻生首相は7日、自民党の笹川総務会長が小渕少子化相の麻生内閣入閣は「子どもを産んだからだ」などと発言したことについて、「小渕さんが子どもを産んだから閣僚になったわけではない。指名した(首相)本人が言っているんだから」と述べ、少子化相の出産経験と入閣の関係を否定した。
遊説先の熊本県天草市で、記者団の質問に答えた。
鴻池祥肇官房副長官が講演で、日教組批判発言などで辞任した中山成彬・前国土交通相の発言を「正しい」と擁護したことに関しては、「確認していない。それは官房長官(が対応する)」と述べるにとどめた。



大阪市教委、全小中高への携帯持ち込み禁止を通知(産経新聞 2008年12月7日(日))

子供たちの間で携帯電話のサイトを通じた“ネットいじめ”が増えていることを受け、大阪市教委が学校への携帯電話の持ち込みを原則禁止するよう、市内の全小中学校・高校約450校に通知していたことが6日、分かった。携帯持ち込みをめぐっては、大阪府橋下徹知事が学力低下防止を理由に政令市の大阪、堺両市を除く府内の公立小中学校で、原則禁止する方針を打ち出している。理由は異なるとはいえ、大阪市教委も持ち込みを制限することで、携帯禁止の流れが加速しそうだ。
同市教委が市立中学校・高校の全生徒を対象に9月、実施した携帯電話などに関するアンケート調査で、回答者の約1割に当たる約6400人がインターネットのブログや掲示板などで悪口を書かれたと回答。出会い系サイトに絡むトラブルも報告されており、市教委は携帯電話をめぐる問題への取り組みを徹底する必要があると判断した。
通知によると、「学習活動に必要でないものを学校へ持ち込まない」との観点で、携帯電話の持ち込みを原則禁止するよう各校に要求。その上で、小学生の登下校時の居場所確認など、安全確保のためやむを得ない場合のみ、学校長の判断で携帯電話の持ち込みを許可することにした。
また、持ち込みを認める場合にも、登校時に学校で一時的にあずかり、下校時に返却することとし、保護者への周知と協力体制を築くよう求めている。
市教委はこのほかの対策として、ネットいじめに対する電話相談窓口を設置し、「悪質な書き込みがある」と通報があった学校裏サイトなど約10件のサイトの管理者に削除要請。府警のサイバー犯罪対策の捜査官を招いた教員らの研修会も行う。
携帯持ち込みについて、橋下知事は3日、原則禁止とする方針を表明。これを受けて、塩谷立文部科学相が5日、現場での対応について教育委員会を対象にした実態調査をする方針を示している。



わが子に「学校」はいらない(AERA(12月15日号) - 朝日新聞 2008年12月8日(月))

――ゆとり教育の反動から再び「お受験」が過熱している。
だが、受験エリートが社会で通用するとは限らない。
教育に携わる親たちがわが子の選択肢から「学校」を捨てた。
編集部 澤田晃宏――


都内にある私立大学教授のAさん(46)の長男(8)が通う学校は、東京・杉並区の緑豊かな蚕糸の森公園を抜けた先にあった。
見た目は普通の一軒家。午前8時半になると、19人の子どもたちが畳の部屋に集まり、一人の大人を車座に囲む。「おっちゃん」と呼ばれる大人が、
休みの日は何をしてた?」
ある子が柔道の試合に出場した話をすると、別の子が、
大外刈りって何?」
そこで実際、技をかけた。
この学校は2004年8月に開校した東京コミュニティスクール(以下TCS)。「おっちゃん」は校長の市川力さん(45)。人の話を聞くとともに好奇心のキッカケを作る「おっちゃんの部屋」は、朝の会の目玉だ。時事問題が上がることも多い。
TCSは学校教育法で定められた小学校ではない。籍を置く地元の公立学校にTCSでの学習状況を伝えることで、公的な出席記録や卒業認定がされる。
Aさんは長男が2歳の頃から、いろんな小学校を見学した結果、TCSを選んだ。
「自分が受けてきた教育への批判を込めた。息子にはいい教育を受けさせてあげたい」
一方的な伝達形式の日本の教育では世界に通用しない――。根底には大学院時代、アメリカへの留学体験がある。語学力以前に、プレゼンスキルがなく、議論に参加できない。悔しかった。相手に伝える力、主体的に学ぶ力が最も重要だと感じた。


■小学1年で富士山登頂
大学教授として目の前の学生の質の低下も肌で感じている。
あるとき、学生を挑発した。
「君たちのことを夫に話すと、『世も末だ』って言われた」
反応を期待したが、学生は「ポカーン」。一人に尋ねると、
「世も末って、どういう意味の言葉なんですか?」
予習をする習慣もなく、10年前と同じテキストは使えない。世の中への関心も低い。消えた年金問題にもポカーン。
「あんたたち、年金貰えなくていいの!」
思わず怒鳴った。本も新聞もろくに読まない。彼らは何しに大学に来ているのか……。
「偏差値が高い=選択肢が広がると言われますが、やりたいこともわからないのに、いくら選択肢があっても仕方がない」
高校教諭のBさん(40)も、長男(8)をTCSに入れた。年間72万円の学費は苦しいが、何物にも代えがたい体験を積む息子の成長に満足している。
小学校1年生で富士山に登頂し、北海道では水揚げされる生きた魚も見た。今夏、長野での農作業体験では、雨の中、一日中ゴザを被って過ごしたという。
「将来ホームレスでも生きていけるな」
「うん」
と、息子は微笑んだ。
1年前にあれほど欲しがっていた「ニンテンドーDS」も、今は欲しいとは言わない。
TCSでは1カ月ごとに時間割りが変わる。午前中は「基礎学習」、午後は「テーマ学習」が中心。「玉石混交」という3年生のテーマでは石、川、地形を調査し、大地のメカニズムを知る。実際に川の上流域の石を調べ、翌週には中流域の石と見比べる。化石を見つける子もいれば、火打ち石になるかもと好奇心を広げる子もいる。TCS特有の体験学習を通した探求型の学びだ。


■大人は好奇心サポート
理事長の久保一之さん(42)は初等教育をこう考えている。
「大事なのは学ぶ意欲。それが続く限り人は成長します。小学生は一番大きな好奇心を持っている。好奇心は作るものじゃなく、大人が潰さないようにサポートするのが重要なんです」
TCSに子を通わせる親には共通点がある。Aさんだけでなく、Bさんにも、自分の子ども2人を通わせる久保さんにも留学経験がある。他にも外資系企業勤務だったりと、日本の外の世界を知る親が目立つ。
Bさんは言う。
「21世紀に生き残る人材として、自主的に学ぶ力を育む体験型学習が必要と感じた。好奇心の種を摘み取られたくない」
さらに、定時制高校に勤めた経験から一クラス最大6人という少人数も魅力的だという。
「自分の名前を漢字で書けない生徒でも、寄り添ってあげれば驚くほど成長は早い。どの子も認められたいと思っている」


■自分の判断でかかわる
少人数では社会性が育たないのでは、という懸念もあるが、それこそが強みだ。受け入れる側も受け入れやすいため、質の高い体験学習が行える。
さらに久保さんは、
「30、40人学級だと、気に入らない相手は無視すればいい。でも、この人数だと、どの人ともかかわらざるを得ない。異年齢集団で、自分の判断で人とかかわることで本当のコミュニケーション力が生まれます」
久保さんの長男は今年、長男自身が選んだ私立中学を受験する。ただ、塾に通わせる予定はない。Aさんも、子どもが私立中に進むとしても、塾に行かせるつもりはないという。中学卒業後は、一度働いてみるなど、試行錯誤の時期があってもいいと考えている。
沖縄県読谷村にあるよみたん自然学校の代表を務める小倉宏樹さん(36)は、絵に描いたような学歴エリートだ。灘中灘高から東大を経て、丸紅に入社した。
だが、27歳で退社する。
30歳を前に、やりたいことがわからない。答えがあることは簡単にできるけど、新しいことに取り組めないオレは何なんだ? これは自分の受けてきた教育に問題があるのでは――。
折しも山一證券など大企業が次々経営破綻していた。安定なき時代を生きるには、従来の教育では通用しない。漠然と、教育の仕事をしたいと考えた。
大学時代に野外教育として参加した小学生のキャンプで、自然学習の面白さを体感していた。就職後も休日は自然学習を行うNPO活動に参加していた。知り合いのNPO関係者が沖縄で野外教育をやり、そこで研修生を募集していると知った。
迷いはなかった。
00年に沖縄に移住し、翌年には結婚。沖縄で生まれた長女は3歳になった。
都会で子どもを育てるつもりはなかった。地元の人の厚意で場所を借り、昨年4月によみたん自然学校「幼児の学校」をスタートさせた。自身の2人の子どもを含め、現在7人の幼児が通っている。


■子どもを信頼していい
豊かな自然に囲まれ、子どもたちは自分でやりたいことを決める。ある子は海に行き、ある子は花の実を採りに行く。スタッフは隣でただ見守る。
あるとき、子どもたちと魚を取りに海へ行った。網ですくっても取れない。ある子は網を固定し、そこへ魚を追いやる作戦に、別の子は海草を網に入れてカムフラージュする作戦に出た。
小倉さんはこう話す。
「自分のやりたいことをやっているときは、いろんな発想をし、その中で試行錯誤をする。それが学びだと思う。大人は子どもをもっと信頼していい」


■キッカケ作りが「学校」
神戸フリースクールの田辺克之さん(64)は、フリースクール歴19年のベテランだ。子どもの不登校に悩む親に、自身の学校で育てた次男(26)の話をする。
「うちの息子も12ぐらい髪の色が変わったけど、最後は黒に収まった。親は焦らんでも、一通りやらせてやればエエねん」
次男が不登校になったのは、小学4年生のとき。学校に預けていた教育を自分でやれる。田辺さんはむしろ喜んだ。
「いい大人に出会わず、将来を考えず、素通りさせたくない。そのためにいろんな大人に出会い、いろんな体験をさせたい」
フリースクール入学後、次男は自転車屋に入り浸り、大人に交じってツーリングに出かけた。毎日のように釣り場に出かけ、釣り人から教えを受けた。彼自身が先生を見つけてきた。
卒業後は、インド、ネパールに旅に出た。貧乏旅行でどうやって宿賃を交渉したのか。
「そんなもん、世界中ボディーランゲージや!」
力強く成長する息子の姿を確かに感じていた。次男は今、スクールの手伝いをしながら、10代から興味を持って取り組んでいたコンピューター関連の会社で働いている。
フリースクールには、ネイルアートの先生や取材に来たカメラマンも講師として呼ぶ。予算のない中でストリートミュージシャンなどの協力も得て、子どもたちが今までにない大人に出会い、大人に対する信頼を生む場所を作ってきた。毎年、フィリピンに子どもたちを連れて行き、異文化も肌で感じさせている。やりたいことができる場所やキッカケ作りが「学校」の役割だと田辺さんは思っている。
神戸フリースクールには、しばしば教員を目指すボランティアの大学生が訪れる。たいてい、スクールの風景に驚く。学校に行っているはずの時間に、テラスで談話したり、農作業をしたり、ギターをひいたり……。
ある大学生が残した言葉を、田辺さんは忘れない。
「もう一度、ちゃんと子どもをやりたい」



「解雇予告無効」いすゞ藤沢工場非正規従業員申し立てへ(朝日新聞 2008年12月8日(月))

期間従業員派遣社員約960人が今月26日での契約打ち切りを通告されたいすゞ自動車藤沢工場(神奈川県藤沢市)で、約10人が近く、解雇予告の無効を求める仮処分を横浜地裁に申し立てる方針を固めた。
約10人は20〜50代の男性の非正規従業員で、同工場の製造ラインの作業員としてすでに3〜6年勤務している。当初の契約期間は来年4月までだったが、先月突然、契約打ち切りを通告されたという。7日までに、今月結成された全日本金属情報機器労働組合(JMIU)いすゞ自動車支部に加入した。
同社は景気後退による減産を理由に、藤沢工場と栃木工場(栃木県大平町)で計約1400人の非正規従業員の契約を打ち切る予定。栃木工場の4人も4日に仮処分を宇都宮地裁栃木支部に申し立てている。



【新型インフルエンザ】外出を6割に抑えれば、感染者数は15分の1に 国立感染研試算(産経新聞 2008年12月7日(日))

発生すれば日本で17万〜64万人が死亡するとも推定される「新型インフルエンザ」で、国内での発生後に人々が外出を自粛すると、患者数を大幅に抑えることができるとの試算を、国立感染症研究所の大日康史・主任研究官がはじき出した。
試算では、国内の新型インフルエンザ患者第1号を「東京の八王子市在住、丸の内で勤務するビジネスマン」と想定。海外出張先で新型インフルエンザに感染して帰国したが気付かず2日出勤した−と仮定し、学校閉鎖や企業の事業縮小などの感染拡大防止策を取る場合と、何も対策を講じない場合とで、首都圏で感染者の増加がどう違うかをコンピューターによるシミュレーションで比べた。
すると感染拡大防止策を講じ、電車の利用など外出者が普段の6割程度にまで減った場合、国内第1号の患者帰国から1週間後(第1号が感染10日目)の感染者数は8154人と、何もしなかった場合の想定12万6591人のおよそ15分の1に抑えられるとの結果が出た。
また同じ試算で、何も対策をしない場合、発生2カ月後には首都圏で住民の52%が感染するとの結果がでた。これは国の想定の2倍にあたる。しかし「外出制限により例年のインフルエンザの感染率と同程度に抑えることができる可能性がある」(大日さん)。
新型インフルエンザが発生すれば人間には免疫がないためパンデミック(大流行)になるといわれ、感染拡大対策の柱の一つに、外出制限がある。厚生労働省新型インフルエンザ対策ガイドライン改定案は、国内で患者が1人でも確認されたら、発生した都道府県単位で学校を休校にし、コンサートなどのイベントの開催や混雑する公共交通機関の利用の自粛を要請することを盛り込んでいる。
大日さんは「備蓄のワクチンや抗インフルエンザ薬が新型インフルエンザに確実に効くのかどうかはわからない中で、外出を控えることが唯一、確実な感染防止策。出勤を控えるには、欠勤ではなく在宅勤務と見なすなど、対応を決めておくことが大切だ」と話している。



生きたがん細胞だけ発光=東大などが蛍光分子開発−早期診断・治療に期待(時事通信 - Yahoo! 2008年12月8日(日))

体内に注射すると、生きているがん細胞だけに取り込まれて蛍光を発する分子を開発したと、東京大と米国立がん研究所(NCI)、オリンパスの研究チームが 8日、米医学誌ネイチャー・メディシン電子版に発表した。現在、がん診断に使われる陽電子断層撮影装置(PET)や磁気共鳴画像診断装置(MRI)に比べ、微小ながん細胞の検出精度が高く、胃や肺、乳がんなどの早期診断・治療が進むと期待される。
東大大学院薬学系研究科の浦野泰照准教授と小林久隆NCI主任研究員らは、体内でがんが生じた際に「抗体」が形成され、がん細胞に取り込まれた後、たんぱく質の分解・再生を担う小器官「リソソーム」に運び込まれることに注目。リソソーム内は周囲と違って弱酸性であることから、抗体と結合し、弱酸性の場合だけ蛍光を発する分子を開発した。
 がん患者では、内視鏡を使った検査や手術にこの蛍光分子を使える。がん細胞が死ぬとリソソームが弱酸性でなくなり、光らなくなるため、治療効果も見えるという。



生命:隕石の衝突が起源 物材研と東北大、実験に成功(毎日新聞 2008年12月8日(日))

隕石(いんせき)が海に衝突した瞬間を実験で再現し、アミノ酸など生命のもとになる生物有機分子を作り出すことに物質・材料研究機構茨城県つくば市)の中沢弘基(ひろもと)名誉フェローと東北大の研究チームが成功した。地球上の生命の起源を解明するうえで新たな材料を示すとして8日、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」電子版に掲載された。
実験は隕石に含まれる炭素、鉄、ニッケル、初期地球の大気にあった窒素、水をカプセルに詰め秒速1キロの高速で衝突させた。その結果、アミノ酸、カルボン酸、アミンの3種類の生物有機分子が生成した。
有機分子の起源については諸説ある。中沢名誉フェローは40億〜38億年前、初期の地球の海に隕石が衝突し、衝撃で有機分子が生成したと提唱しており「仮説が実証された。生命を作る部品がどうやってできたか分かった」としている。【石塚孝志】