今日の記事

揺らぎ始めた「3分の2」 政権に見切り、分派活動(朝日新聞 2008年12月9日(火))

朝日22%、読売21%、毎日21%――。全国紙が8日、麻生内閣の支持率急落を一斉に報じ、麻生首相のままでは与党が総選挙を戦えないことが鮮明になってきた。自民党の下野が現実味を増すなか、政界再編に活路を見いだそうとする動きも出てきた。
首相批判の急先鋒(きゅうせんぽう)である渡辺喜美元行革担当相が8日、国会近くのホテルで開いたパーティー自民党中川秀直元幹事長、小池百合子元防衛相らに加え、民主党枝野幸男政調会長松本剛明政調会長も駆けつけた。
中川氏が「渡辺喜美は我が党改革派のど真ん中にいる。そう遠くないときに本当の出番、勝負どころを迎える」と持ち上げれば、枝野氏も「民主党に来て一緒にやっていただけるのか。わからないが、国のために頑張っていただければ」とエールを送った。小池氏も「この国の仕組みを根こそぎ変えるかという点では、民主党と共通する課題を抱えている」と呼応した。
渡辺氏は塩崎恭久官房長官らとともに衆参の中堅・若手24人で、第2次補正予算案の今国会提出を求める有志議員の会(通称・24人の会)を結成。衆院解散も2次補正も先送りした首相を批判し、政界再編の意欲を示す。
「17人を超えたら衆院再可決ができなくなることを、ずっと意識してやっている」
24人の会の一人は言う。衆院議員17人が造反すれば再可決に必要な「3分の2」を割り、麻生政権はたちまち立ち往生してしまうのだ。
自民党執行部にも、動揺は広がる。
自民党国会議員の7割から8割が、麻生政権で選挙をやって与党にいられるのかと疑問を持っている。私たちは、がけっぷちにある」
石原伸晃幹事長代理は5日、自らのパーティーでこう語った。前日、所属する山崎派幹部に「24人の会に参加したいが、どうすればいいか」と相談し、引き留められていたという。
「3分の2」を盾に分派活動を始めた中堅・若手議員たち。政権瓦解(がかい)の引き金を、誰が、いつ引くのか。



支持率「非常に厳しい数字だと思っている」 8日の首相(朝日新聞 2008年12月8日(月))

内閣支持率急落】
――マスコミ各社の世論調査で……。
「はい」
――麻生内閣の支持率が20%台前半まで急落しました。また、総理にふさわしい人物として、小沢民主党代表が総理を上回りました。総理はどのように受け止めますか。
「あの、非常に厳しい数字だと思っています。あの、私への評価だと思って受け止めております。景気対策、なかんずく雇用対策のところが不十分だという意見なんだというように、私自身は、そう思っていますんで、きちんとした政策立案をあげて、それに答えていく、いうことだと思っています」
――総理は先ほどの自民党役員会で「支持率低下は、すべて私の責任だ」とおっしゃったと聞いています。どこに原因があると思いますか。
「いま、答えは申し上げたと思いますが」
――そこがすべて総理の責任だったと思われるか。
「そういうもんだとか、あの、あの、基本的には、支持率というものは、ま、特定の方が、とかなんか、あれば別ですけれども、基本的には、いま、特に、そういった、閣僚がという話はありませんから、基本的に、そう考えるのが順当だと思っていますけど」
――また、世論調査では、早期の解散総選挙を求める声が過半数にのぼった社もある。これを受けて、野党側は「国民は麻生内閣を見放した」として、早期の解散総選挙に向けて攻勢を強めて、さらに与党内からも、政界再編を臭わす動きが出ていますが、こういった動きはどう考えるか。
「政局より政策、というのに、全く変わりはありません。きちんとして、この予算案を仕上げていく、というのが政策だと思っていますから。ずーっと同じことしか申し上げてないと思います。与党内で色んなご意見があるというのは、あの、色々、何? 聞かされることはありますけれども、きちんと、そういったご意見もある、ということも踏まえて対応していくもんだと思っております」


【地方への交付金1兆円】
――政府与党で新たな1兆円規模の地方交付金を創設することが決まりました。これは総理がかねがねおっしゃっていた「地方が自由に使える金」1兆円との区別……
「まず、最初に、この道路特定財源という話は、歳入として、道路にしか使えないものを一般財源化するということを5月の閣議で決めた。そのときは、できっこないではないか、というご意見もいろいろありましたけれども、それはきちんとできるようになった。一般財源化するということが、歳入の段階できちんと決まったというのは、ものすごく大きかったと思います。これが、今から法律として、きちんとでてくることになんだと思いますが、僕は、歳入の面においては、正しい答えが出せたんだと。きちんと、そのときの、5月のころの疑問っていうのに、きちんと答えていると思っています。二つ目、歳出の件につきましては、1兆円ということを色々言われていますけれども、少なくとも、道路ではなくて、公共事業とか、ソフトとか、色々な形で使える形になっていると思いますんで、それなりの成果だと思っています。ただ、足りない分、地方で足りない分については、交付税等々で対応したいと思います」
――今回の交付金は、そもそも一般財源化と言えないのではないか、という意見がありますが。
「あ、それは見解の違いでしょう」


【中国海洋調査船
――中国船籍の船舶が、尖閣諸島周辺を領海侵犯しましたが……。
「2隻です」
――2隻ですね。今後、日中韓首脳会談が週末に行われるときに、どうお考えですか。
「ああ、はなはだ遺憾ですな。明らかに領海侵犯ですから」
――首脳会談で言われることは。
(首相立ち去る)



「おちょくってるようでごめんなさいね」9日の首相(朝日新聞 2008年12月9日(火))

【雇用対策】
――今日新たに政府は雇用対策をまとめられましたが、狙いについてお聞かせください。
「まとめが出ました? それは質問としては正しくないと思います」
――この間与党で、政府案、政府としてとりまとめると。
「あのー、新たに政府、政府として、きちんとした雇用対策というものが、緊急の課題として、我々は検討すべきではないかと。なかんずく、いわゆる2次補正というようなことになってくると、年内の話でいきますと、少なくとも今、時間がいきなり短縮された方々(※雇い止めされた非正規労働者らを指すと思われる)に、3日で出ろとかいう話になると、そら県外からそこに来てる人たちもいますから、そういった意味では、そこの企業に対して、今後とも、少なくとも残っていられるようにさせてくれと。少なくとも直ちに年内に出ろというような話ではなくて、出ら、いられるようにしてもらいたい。少なくとも、それに関して、直ちに後に人が来るあてがないと思われますから、そういった意味ではしてもらいたい。また、借り上げ住宅の場合がありますから、その場合にも、いろいろなことを考えないけませんが、それに対しては、残してもらうというのを条件に、政府として補助、企業に対してしかるべき補助をするから、そちらも直ちにいうことはやめてもらいたいとか、雇用促進事業団っていうの、事業だっけ、雇用促進事業団(※現在は雇用・能力開発機構)の持ったところで、あれ(※雇用促進住宅を指すと思われる)、廃止になる予定のあれがありますから、あれ、確か1万2、3千戸あったと思ったな。それに対しては、新たに入居をしてもいい。また今出なくちゃいけないことになってる人たちは、いるようにしたらいい、入れるようにしたらいい、今入ってる人は直ちに出なくてもいい等々いろんな、あのー、個別のところを、各省いろいろ持っておられるところがあると思いますんで、そういったものを年内の雇用対策として考えたらどうだ、どうだという話をした。うーん、なんかいろいろ言いましたね」
――総理……。
「はい」
――雇用対策について……。
「はい」
――与党のほうでは……。
「はい?」
――2兆円ということを……。
「はいはいはい」
――政府としてはどのように考えていますか。
「ああ、内容がよく詰めら、詰めて、詰められていませんから、これ新たに検討します。ここんところは」


【党内からの首相批判】
――総理、党内で若手中堅議員がいろいろな会合を開いておりまして、中には公然と総理の政権運営を批判する議員も出てきていますが、どのように受け止めてらっしゃいますか。
「あのー、正直申し上げて、僕はどういう話をされてんだか知りませんけど、そら総理に対する質問? 総裁に対する質問?」
――……。
「そういうの、ちゃんとさっと答えきるようにしとかなきゃだめよ。ね、あのー、正直言って、総理に対する質問なんでしょう、今の場合は。おちょ、おちょくってるようでごめんなさいね。なんとなく総理と総裁の区別ついていない質問が最近多いから言っただけなんだけど、あのー、いろんな意見が出るのはいいことだと思ってますよ。正直な、正直申し上げて。あのー、そのなんか、いろいろな動きのマイナスの面ばっかりじゃありませんから。あなたの話聞いてると、すべてマイナスの面にしか聞こえませんけれども、がんばれという声も別にあったりしますから、僕はいいことだと思ってますけれどね。いいです」



笹川・自民総務会長:「入閣は出産経験」発言で陳謝(毎日新聞 2008年12月9日(火))

自民党笹川尭総務会長は9日昼の記者会見で、小渕優子少子化担当相が入閣したのは出産経験があるからだと評した6日の発言について「子供を産んでないとなれないかのような印象を与えたのは大変申し訳ない」と陳謝。そのうえで「小渕先生は群馬県の宝で、少子化対策基金を積み、すばらしい業績を残している」と持ち上げた。
笹川、小渕両氏はともに群馬県選出衆院議員。【山田夢留】



小渕氏「激励の気持ちでは」 笹川氏発言、一方でくぎも(朝日新聞 2008年12月9日(火))

小渕少子化担当相は9日の記者会見で、自民党笹川尭総務会長が小渕氏初入閣の理由として「子どもを産んだから」と発言したことについて、「子どもを持つ立場でしっかり少子化担当大臣をやってくれというお気持ちでおっしゃったのではないか」と述べた。そのうえで「責任ある立場の人が誤解を招く発言をするのは、国民にとっていいことではない」とくぎを刺した。
会見で小渕氏は「(少子化問題は)子どもがいるいないにかかわらず、男性、女性にかかわらず、皆さんで考えていく課題だ」とも指摘した。
一方、笹川氏は9日の記者会見で、「申し訳ない。決して子どもがいなければ(少子化担当相を)できないとは発言していない。おわびを申し上げる」と釈明した。



中学生以下全員に保険証 無保険問題で救済法案可決(朝日新聞 2008年12月10日(水))

保護者が国民健康保険国保)の保険料を滞納して「無保険」状態になった子どもを救済するための国保法改正案が10日、衆院厚生労働委員会で全会一致で可決された。滞納世帯であっても、中学生以下の子どもには6カ月の短期保険証を交付する内容。今国会で成立する見通しだ。
施行は来年4月の予定。改正法案では、保険料を1年以上滞納して保険証を返還させられた世帯でも、15歳に達してから初めての年度末までの子がいる場合は、子ども名の保険証が発行される。通常1年の保険証期限は、半年とする。その後は更新される。
無保険の子の救済を巡っては、民主、社民、国民新の野党3党が先月末、18歳未満の子どもに一律に保険証を交付できるようにする同法改正案を提出。その後、自民、民主両党が「子どもに保険料滞納の責任はない」との認識で一致。対象年齢を下げるなどの修正で成立に合意した。半年ごとの更新は、「保険料を払っている世帯との不公平感や滞納の助長となる」との懸念から与党が求めた。
ただ厚生労働省は短期保険証の発行に伴い、状況把握のため世帯主らと面談などをすることを市区町村に求めている。半年ごとの更新手続きの際に保護者と連絡が取れないなどの理由で、更新されない恐れがある。舛添厚労相は10日の同委員会で「(更新の切れ目がないよう)ガイドラインをつくり、指導していきたい」と答弁した。
厚労省によると、無保険の中学生以下の子どもは全国1万8240世帯、3万2903人(9月現在)。医療機関の窓口でいったん医療費を全額払うため、治療が必要な時も受診を控えがちになると指摘されている。厚労省民主党の求めに応じて今週、初の全国調査をした。
現行では、世帯主が保険料を1年以上滞納した場合、自治体の判断で保険証の返還を求める。ただ、滞納が1年を超えるとすぐに返還させている例もあるため厚労省は今年10月、「個別の事情に配慮した対応」を自治体に要請した。自治体側からも、法改正で子どもの医療を確保するよう求める声が上がっていた。



国庫負担引き上げ、財源は財投特会 自公幹部が確認(朝日新聞 2008年12月10日(水))

自民、公明両党の幹事長、政調会長国会対策委員長が10日、東京都内で会談し、基礎年金の国庫負担割合を来年4月から2分の1に引き上げる財源(2.3兆円)について、財政投融資特別会計金利変動準備金を充てることを確認した。準備金の流用には法改正が必要で、来年1月召集の通常国会に関連法案を提出する。
近く予定される世界貿易機関WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の閣僚会合については、コメなど農作物の関税引き下げで合意した場合、日本の農家に打撃となることから「与党として日本の農業を守る立場からきちっと意見調整すべきだ」とし、週内にも両党幹事長が閣僚会合に出席する農林水産、外務、経済産業の各閣僚と協議することで一致した。



自民の「24人の会」一気に倍増 「反麻生色」は薄まる(朝日新聞 2008年12月9日(火))

塩崎恭久官房長官渡辺喜美元行革担当相ら自民党の中堅・若手でつくる「速やかな政策実現を求める有志議員の会」の第2回会合が9日、党本部で開かれた。11月下旬に24人で発足したが、この日、48人に倍増した。
新たに加わった中には、2次補正予算案の早期提出など、政策面の要求に賛同した議員も多く、全体として「反麻生」色は薄まっている。
出席した議員は25人。塩崎氏は「倒閣運動ではないかという話も出ているが、そういうレベルの話ではない。自民党も生まれ変わって議論し、行動してこそ国民の信頼を勝ち得る」とあいさつした。
会合では「問われているのは政治姿勢。首相は景気対策と言っているが実行していない」など麻生首相に批判的な意見が出る一方で、「今の自民党は反麻生などと言っている場合ではない」など政権批判を自重すべきだという意見も出た。



国家公務員、ボーナス3400円減 首相は410万円(朝日新聞 2008年12月10日(水))

国家公務員に10日、冬のボーナスが支給された。管理職を除く一般職(平均35.2歳)の平均支給額は69万2900円で、昨冬よりも3400円(0.5%)減った。人事院勧告に基づく給与改定で今年度は給与もボーナスも据え置きとされたが、昨冬0.035カ月分引き上げられた勤勉手当が、今年は6、12月に分割されたため支給額が減った。
特別職にも支給され、対象期間の半年分を試算すると、最高裁長官595万円▽衆参両院議長554万円▽閣僚434万円▽事務次官348万円▽国会議員330万円など。麻生首相には国会議員としてのボーナスに、就任2カ月半分の特別職のボーナス80万円を加えた計410万円が支給された。



「派遣切り許せない」 広がる怒り、労組結成・加盟次々(朝日新聞 2008年12月10日(水))

「派遣切り」など、非正社員の中途解雇や雇い止めが相次ぐなか、派遣社員らが労働組合をつくったり加盟したりして、解雇の撤回を求める動きが広がっている。
12月末までに派遣社員200人の削減を予定している日産ディーゼル工業(埼玉県上尾市)で働く派遣社員3人は8日、解雇通告と退寮通告の撤回を求めて「派遣ユニオン日産ディーゼル工業支部」を結成。9日早朝に、本社前で「派遣切りは許さない!」と書いたビラを出勤してきた従業員たちに配った。
委員長の荒井健太郎さん(27)ら3人は、先月18日にそれぞれが所属する派遣会社から「12月18日付で解雇する」と言われたという。また、解雇から3日以内に退寮するよう求められた。3人はいずれも中途解約。荒井さんは「本来は1月末まで契約があった。労働者の都合を全く考えないやり方だ」と憤る。今後、雇用の継続などを団体交渉を通して求めていく。
一方、今月下旬での非正規労働者960人の契約打ち切りが決まったいすゞ自動車藤沢工場(神奈川県藤沢市)の派遣社員らも9日、都内で会見し、労働組合に加入したうえで会社に解雇撤回を要請したと発表した。
労組によると、期間社員7人が全造船機械労組に加入し、派遣労働者13人は個人加入の労組「湘南ユニオン」に加入。両労組などが8日にいすゞに対し、解雇撤回や就業あっせんなどを要請した。
組み立てラインで派遣で働く長岡利道さん(43)は「4人の子どももいて、家のローンもある。会社の利益のために頑張ってきたのに、急にクビを切られるとは。年の瀬が迫ってきたが、年を越せるのか」と不安をあらわにした。



内定取り消し学生に100万円を提示 日本綜合地所(朝日新聞 2008年12月10日(水))

マンション分譲大手の日本綜合地所(東京都港区)に内定を取り消された大学生らが9日、加入した東京東部労組の関係者らとともに同社と初の団体交渉を行った。同社はこれまで学生らに示していた補償額を増額させ100万円を提示したが、学生らは納得せず交渉は決裂。同社は11日に再回答を行う。
団交に臨んだのは男子学生3人。同労組や学生らによると、出席した総務部長ら4人が冒頭に謝罪。「留年して再度就職活動をせざるを得ない学生もいる」として、補償金の額をこれまで示していた42万円から100万円に増額する提案をした。
だが、留年した場合の学費や生活費、資格取得のための教材費や交通費、精神的な苦痛に対する慰謝料などを考えると「とても納得できない」として学生らは拒否。同社が「生活費については補償の必要はない」という認識を示したこともあり、話は最後まで平行線をたどったという。
再び就職活動を始めているという学生らは「全く誠意が感じられずがっかりした」として不信感を募らせた。



陸自のヘリから東京湾に?部品落下(朝日新聞 2008年12月10日(水))

陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉県木更津市)は9日夜、千葉県の木更津飛行場から東京湾上を飛行したヘリコプター「UH―60」が、重さ170グラムの部品を落としたと発表した。東京湾で落下したものと見ている。
ヘリは機体確認のために9日午後2時55分に木更津駐屯地を離陸。千葉県富津市の富津岬や金谷を飛び、午後4時に戻ってきた後の点検で部品落下が分かった。なくなっていたのは機体上部の赤外線妨害装置の部品で、繊維強化プラスチック(FRP)製。厚さ1.6ミリ、直径約30センチの丸形のカバーという。



インフルエンザ、関東で流行開始(産経新聞 - Yahoo! 2008年12月10日(水))

インフルエンザ患者の報告が、千葉県や栃木県などで急増し、関東地方も今シーズンの流行が始まったことが9日、国立感染症研究所の調査で分かった。関西では11月上旬にすでに流行入りが確認されており、来週にも全国的な“流行宣言”が出される見通しとなった。
感染研によると、11月30日までの1週間の患者数は3911人で、1カ所当たりの報告数は0・83人。前週の0・56人から大幅に増え、流行の目安である「1カ所当たり1人」に肉薄した。
関東では、栃木(1・71人)と千葉(1・34人)の両県で目安を超えており、今後、東京都や埼玉県などにも流行が広がるとみられる。
ウイルスのタイプ別では、A香港型(42・1%)が最も多いが、B型(37・9%)やAソ連型(20・0%)も確認され、「どのタイプが主流になるかは現時点では不明」(感染研)という。都道府県別では山梨県(3・55人)が最も多く、島根県(3・42人)、兵庫県(2・26人)、大阪府(2・09人)、福井県(2・06人)と続く。



<ノーベル賞>益川さん、ギリシャ文字のサインお披露目(毎日新聞 2008年12月10日(水))

ストックホルム河内敏康】英語は苦手だが、ギリシャ文字なら得意−−。10日(日本時間11日)の授賞式でノーベル物理学賞を受ける益川敏英京都産業大教授(68)が、ギリシャ文字を使った愛用のサインを報道陣にお披露目した。大学院生のころから使っており、益川さんは「研究仲間十数人はこれで読める」とちょっぴり得意げだった。
「益」には、マスをかたどった字を崩したものを使用。「川」には、ギリシャ文字のカッパ「κ」や、オメガ「ω」、アルファ「α」を組み合わせた。「敏英」の頭文字として、ローマ字の「T」によく似たギリシャ文字のタウ「τ」を用いるバージョンもあるという。いずれも物理の世界ではなじみの深い文字ばかりだ。
色紙には、ギリシャ語の「フィロソフィア(哲学)」という言葉もよく書く。益川さんは「フィロソフィアは(知を愛するという意味から)愛知。私は愛知県出身ですから。遊びが好きなんです」と言って周囲を和ませた。



太陽質量の400万倍=銀河系中心のブラックホール−欧州チーム(時事通信 - Yahoo! 2008年12月10日(水))

地球がある銀河系(天の川銀河)の中心にある超巨大ブラックホールの質量は、太陽の約400万倍もあると、欧州南天天文台(ESO)が10日発表した。ドイツ・マックスプランク研究所などの研究チームが、周囲を回る若い恒星の動きを16年間、精密に観測して導き出した成果で、ブラックホールの謎の解明が進むと期待される。



たばこ:増税濃厚 麻生首相、自民税調に事実上要請(毎日新聞 2008年12月10日(水)

麻生太郎首相は10日午前、自民党本部で自民党税制調査会津島雄二会長と会談し、「09年度予算で社会保障費の抑制方針の達成が大変厳しい」と述べ、党税調の協力を求めた。政府は舛添要一厚生労働相が今月初旬、中川昭一財務相に「たばこ税増税がなければ厚労省の予算編成は厳しい」などと要請しており、首相は党税調に対して事実上、09年度税制改正でのたばこ税引き上げを要請した。
政府は、小泉政権以来の社会保障費の自然増2200億円抑制について「限界に近づいている」(麻生首相)として、09年度予算で歳出削減幅を圧縮、千数百億円分はたばこ税増税で確保する方針に転換している。自民、公明両党の税調は同日午後の与党税制協議会で対応を協議するが、首相の要請で3年ぶりとなるたばこ増税が濃厚になった。引き上げ幅は1本当たり3円(1箱当たり60円)を軸に検討される見通しだ。
たばこ税を1本1円引き上げた場合、約400〜500億円の税収増になるとの試算もあるが、たばこの国内販売量は下落傾向にあり、税収も微減が続いている。このため、自民、公明の税調協議では「増税に踏み切れば、たばこ離れが加速し逆に税収減になりかねない」(自民党税調幹部)との声も出ていた。
たばこ税をめぐっては、06年度税制改正大綱でも、国債発行額の抑制を目指す小泉首相(当時)の強い意向で自民党税調の反対論を押し切って、1本約1円のたばこ増税に踏み切ったケースがある。【赤間清広】



消費増税の時期「うまく明記を」 麻生首相が指示(朝日新聞 2008年12月10日(水))

麻生首相は10日、自民党税制調査会幹部と同党本部で会談し、税制抜本改革の道筋を示す「中期プログラム」に、将来の消費増税の時期を明記する必要があるとの考えで一致した。
政府・与党が近くまとめる中期プログラムでは、消費増税の時期についてどこまで踏み込むかが焦点になっている。首相は、津島雄二党税調会長、柳沢伯夫同小委員長に「消費増税の時期をうまく書いてもらいたい」と要請。党側は「時期は書かざるを得ない」と応じ、首相も了承した。
首相はまた、09年からの住宅ローン減税を過去最大水準とする与党の方針について、さらなる拡大を求めた。社会保障財源として注目されている「たばこ増税」については、「頭を悩ませている。まだ考えたい」と述べるにとどめた。



国保法改正案:衆院厚労委で可決 「無保険」の子救済へ(毎日新聞 2008年12月10日(水))

国民健康保険国保)で「無保険」状態となった中学生以下の子どもを一律に救済する国保法改正案が10日、衆院厚生労働委員会与野党共同の委員長提案で提出され、全会一致で可決した。来週中にも成立する見通しで、来年4月1日から施行される。
現行法は、親が保険料を滞納して保険証の返還を求められれば、子どもも同時に無保険になる。改正案は、中学生以下の子どもを一律に給付停止の除外対象とし、滞納世帯であっても、子どもには期限6カ月の短期保険証を交付するよう市町村に義務付ける。
滞納が続いても、子どもの保険証は半年後に更新されるほか、来年4月の時点で無保険の子どもには、速やかに保険証を交付することも明記した。無保険の子は、厚労省の全国調査で約3万3000人が判明した。
これに先立ち、民主、社民、国民新の野党3党は10日午前、先に衆院に提出していた18歳未満を一律に救済する独自の改正案を撤回した。【平野光芳】



「民主に一度、政権任せてもよい」65%に増加…読売調査(読売新聞 2008年12月10日(水))

読売新聞社が6〜7日に実施した面接方式の全国世論調査によると、「民主党に一度、政権を任せてもよい」と思う人は65%で前回10月調査から7ポイント増えた。
「そうは思わない」との答えは31%(前回比7ポイント減)に低下した。安倍内閣福田内閣に続いて麻生内閣も“政権末期”をうかがわせる支持率急落にあえいでいることで、与野党政権交代を容認する世論は全体の3分の2近くに広がった。
民主党に政権を任せてもよいと思う人は、自民支持層でも前回の38%から今回は45%に増えた。公明支持層は1割強が約4割となり、与党支持層でも自公政権の限界を感じているようだ。無党派層では61%が66%に増加した。
政権担当能力の有無を聞いたところ、自民党は「ある61%―ない35%」、民主党は「ある50%―ない43%」で、評価は自民党が上回った。ただ、前回に比べて「政権担当能力がある」は自民党は6ポイント減、民主党は4ポイント増で、その差は21ポイントからほぼ半減した。
自民支持層で自民党政権担当能力があると答えた人は89%で前回91%からわずかに減った。無党派層では60%が53%に落ち込んだ。
調査は全国の有権者3000人を対象とし、1747人から回答を得た(回収率58・2%)。



09年度予算:新規国債、35兆円規模 健全化後退、鮮明に(毎日新聞 2008年12月10日(水))

政府は9日、09年度予算編成で、新規国債発行額を34兆〜35兆円とする検討に入った。景気悪化の影響で法人税を中心に09年度の税収見積もりが大幅に落ち込むため。新規国債発行額が当初予算ベースで30兆円を超えるのは4年ぶりとなる。小泉政権発足時に掲げられた「国債発行30兆円枠」を大きく上回る規模で、財政健全化路線からの転換が鮮明になった。
09年度は基礎年金の国庫負担引き上げなどの影響で国の政策経費を示す一般歳出が51兆円台と、初めて50兆円を突破。予算全体の規模を示す一般会計総額も80兆円台後半と当初予算としては過去最高となる見通しだ。一方、08年度の税収は当初見込み(53・6兆円)から6兆〜7兆円下振れし、47兆円程度にとどまるとみられる。
この結果、08年度当初予算で25・3兆円としていた新規国債発行額は、歳入不足を穴埋めするための赤字国債増発で33兆円前後まで膨らむ。【清水憲司】



年金国庫負担増、来年4月実施=財源は「埋蔵金」で−政府・与党方針(時事通信 - Yahoo! 2008年12月10日(水))

政府・与党は10日、来年4月から基礎年金の国庫負担割合を、現行の三分の一から2分の1に引き上げ、財源には「埋蔵金」と呼ばれる財政投融資特別会計金利変動準備金を充てる方針を固めた。引き上げに必要な2.3兆〜2.5兆円を2009年度予算案に計上する。法律では引き上げの前提として「安定財源の確保」を定めているが、消費増税のめどが付かないまま「埋蔵金」流用で見切り発車する。



「10兆円対策」を首相に申し入れ=太田公明代表(時事通信 - Yahoo! 2008年12月10日(水))

公明党太田昭宏代表は10日午前、首相官邸麻生太郎首相に会い、来年度から2年間で10兆円以上の経済対策を実施するよう申し入れた。これに対し、首相は「景気対策財政再建、経済成長戦略、その時々に何が一番大事かをしっかり踏まえてやりたい」と述べ、臨機応変に対応する考えを示した。



脱ダム高まる中 「新たに100基必要」国交省が試算(朝日新聞 2008年12月10日(水))

全国の1級河川でおおむね100〜200年に1度あるような規模の大洪水を防ぐためには、計画中のダム以外にもさらに100基以上造る必要があると国土交通省が試算していることがわかった。各地でダム計画に反対の声が上がるなか、論議を呼びそうだ。
国交省は、97年の河川法改正を機に、1級河川109水系について、それまでの長期目標の見直しを進め、「河川整備基本方針」を順次策定。河川ごとに「100年に1度の大雨」など対応すべき治水安全度の基準を決めている。基本方針は本年度中にすべて出そろう見込みで、現時点で策定済みの104水系の試算を朝日新聞が入手した。
国交省の試算によると、大雨が降った際に、ダムや遊水地などの「洪水調節施設」でため込む必要があると見積もる水量は、東京ドーム約6千杯分にあたる計76億9800万トン。34億4800万トンはすでにあるダムなどでまかなえており、14億4200万トンは建設中または計画中の約150の施設で対応する。
しかし、4割弱にあたる残る28億700万トンは新たな施設による対応が必要とした。平均的なダムの100基以上分に相当する。
流域面積が国内最大の利根川水系では、3億8千万トンを上流部にため込む想定だが、完成施設分は約3割の1億1500万トン。必要性を疑問視する声が根強い八ツ場(やんば)ダム(群馬県)では6500万トンをカバーする予定だが、それでも全体の5割を超える2億トンは未対応としている。
9月に地元の熊本県知事が反対表明した川辺川ダム計画のある球磨川水系では、同ダム計画を中止すれば1億600万トンの8割以上にめどが立たないことになる。
国交省は今後、直近の20〜30年で取り組む具体的なダム計画などを盛り込んだ「河川整備計画」をそれぞれの水系で定める。数十年ごとに整備計画の策定と実行を繰り返し、基本方針に定めた長期目標を達成するという。(松川敦志)


■堤防強化が先
今本博健・京大名誉教授(河川工学)の話 基本方針が想定するだけのダムを今後すべて建設できるとは思えない。国民が求めるのは「絵に描いた餅」のような壮大な計画ではなく、現実的な対策だ。現実を直視した治水政策を真剣に模索すべきときがきている。日本中をダムだらけにしても、堤防が脆弱(ぜいじゃく)なままでは意味がない。ダム偏重を改め、多くの水を安全に川に流せるよう、各地の堤防強化を推進するのが先だ。



医療安全情報:事故例集 受け取りは全国の病院の半数以下(毎日新聞 2008年12月10日(水))

医療事故や医療ミスの実例を紹介して再発防止に役立ててもらおうと、厚生労働省所管の財団法人・日本医療機能評価機構が無料配布している「医療安全情報」を、全国約9000病院の過半数が受け取ってないことが分かった。年間約1億2000万円の予算が使われている国の医療事故情報収集事業の成果が現場で生かされていない格好で、機構は11日から全病院に改めて情報の活用を要請する。【清水健二】
国の医療事故収集事業は、04年10月にスタート。責任追及と切り離すために匿名で情報を処理し、厚労省の業務委託を受けた同機構が分析。事故やミスが相次いで注意喚起が必要と思われる事案は、医療安全情報としてファクスで病院に流すことになっており、これまで「手術部位の左右取り違え」「人工呼吸器の回路接続間違い」など24回発行された。
しかし、機構が過去に2度、全国の病院に文書を送って医療安全情報を受け取るよう要請したが、同意したのは全国9108施設の半数以下の4232施設にとどまる。医療事故や事故手前の「ヒヤリ・ハット事例」の収集に参加している病院も、医療法で報告が義務付けられている大学病院などを除くと約1000施設しかない。
同機構に集まる事故報告は年間1500件近くに上り、発生原因や当事者の勤務状態なども分析している。医療安全情報の内容について、病院から不満などは寄せられておらず、関心の低さが受け取らない主な理由とみられる。
後信・医療事故防止事業部長は「せっかく集めた実例が不必要なはずはなく、病院は関心も持たずに『事故防止対策を取っている』と言っても説得力がない。医療界の信頼を高めるためにも、せめて情報は受け取ってほしい」と話している。