今日の記事

インフルエンザ、例年より1カ月早く流行入り 厚労省(朝日新聞 2008年12月17日(水))

厚生労働省は17日、インフルエンザの全国的な流行期に入ったと発表した。例年より1カ月ほど早く、この10年間では昨冬に次いで2番目に早い流行入り。
厚労省結核感染症課によると、12月1〜7日の1週間に全国約4700の医療機関を受診した患者は7707人。1施設あたりでは、前週の0.83人から1.62人に増え、全国的な流行開始の目安にしている1.0人を超えた。
都道府県別では、山梨(4.2人)、山口(4.1人)、福井(3.9人)、兵庫(3.8人)、北海道(3.2人)などが多い。厚労省は「できるだけ人込みを避け、帰宅時のうがい、手洗いを心がけてほしい」と呼びかけている。



米原子力空母で合同訓練 被曝事故を想定(朝日新聞 2008年12月17日(水))

原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)が配備された米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)で16日、「日米合同原子力防災訓練」が行われた。GWの艦体や乗組員らも組み入れた訓練は初めてで、約340人が放射線測定やけが人の搬送に取り組んだ。
訓練は、GWの機関室内で微量の放射性物質を含む高温の水蒸気が噴出し、乗組員1人が被曝(ひばく)したとの想定。2次被曝を防ぎながら、被曝した乗組員を基地内の病院に運び、艦内外で働く日本人従業員にも状況や立ち入り制限区域が伝えられた。また、市警戒本部に情報を集約し、日米間の連携を確認した。
米海軍は、原子力艦の安全性について「万が一、放射性物質が艦外に出ても影響は基地内にとどまる」と主張している。合同訓練は昨年に引き続き2回目だが、日本側も米側の主張を受け入れ、基地外の一般市民が訓練に参加する形にはなっていない。



海賊への武器使用、武力行使にあたらず 政府見解(朝日新聞 2008年12月17日(水))

ソマリア沖の海賊対策への貢献策を検討している政府は、自衛隊が海賊取り締まりのために武器を使用しても、憲法が禁じる武力行使にはあたらない、との見解をまとめた。ただ、ソマリア沖の海賊はロケット砲などで武装しており、組織化されていて本格的な戦闘状態になる恐れもある。武器使用基準をどう定めるかなど、課題が多く残されている。
16日の衆院安全保障委員会で、中谷元・元防衛庁長官(自民)が憲法上の問題をただしたのに対し、内閣法制局の山本庸幸・第1部長は「海上警備行動が発令された場合、警察官職務執行法の範囲内で自衛官が行う武器の使用は憲法9条に反しない」と答弁した。国際条約は、海賊を「私有の船舶が私的目的のために行う不法な暴力、略奪行為」などと定めている。「国や国に準ずる組織」を攻撃するのは憲法が禁じる「武力行使」になるが、私的集団の海賊に自衛隊が武器を使っても違憲とは言えない、というのが政府の解釈だ。防衛相が海上警備行動を発令した場合、自衛官は警察官と同様、凶悪犯と見られる者が抵抗した場合などに武器使用が認められる。
ただ、現行の海上警備行動は「日本国民の生命または財産」を守るためのもので、防衛省は、外国の艦船を襲う海賊への対処は難しいとみている。このため政府や超党派の議員は、ソマリア沖を対象にした特措法や、海賊行為一般を取り締まる一般法(恒久法)の制定を検討している。(丹内敦子)



基金廃止、1400億円圧縮 社会保障費抑制(朝日新聞 2008年12月17日(水))

政府は16日、社会保障費の伸び2200億円抑制について、健康保険組合を財政支援する基金から約1400億円を財源に回し、抑制幅を圧縮する検討に入った。一般財源化する道路特定財源から約600億円を財源に回すことを決めており、圧縮幅は2千億円となる。抑制は薬の後発品使用促進による約200億円にとどまり、09年度予算での2200億円の抑制は事実上決着する。
政府が検討しているのは、財政難の健保支援などに使っている基金「特別保健福祉事業資金」1.5兆円を廃止し、その中の約1400億円を一般会計に回す案だ。
基金は、もともとは年金特別会計の資金。1.5兆円のうち、1400億円は基金の積み増し分として、一般会計から投入されたもので、いずれ一般会計に戻す予定だった。2200億円の積み上げを迫られた厚労省基金を廃止し、1400億円を一般会計に戻すことで、圧縮財源に充ててもらう方針だ。残り1兆3600億円は年金特会に戻す。
ただ、道路財源も健保支援資金も計上できるのは1年限り。社会保障費の伸びを継続的に抑えるという「骨太の方針06」の理念に反するもので、「数字のつじつま合わせ」という面が強い。
特別保健福祉事業は90年度から始まり、財源は、1.5兆円の運用収入を充てている。今年度は予算ベースで192億円。高齢者医療への拠出金増加で負担が重くなった健保組合や共済組合を財政面から支えるのが目的だ。廃止された場合、健保財政がさらに悪化する恐れがあり、厚労省は激変緩和措置も取る方針だ。(友野賀世、五郎丸健一)



消費増税「3年後」明記 政府、中期プログラム原案(朝日新聞 2008年12月17日(水))

政府は16日の経済財政諮問会議で、社会保障と税財政の将来像を示す「中期プログラム」の原案を決めた。麻生首相の指示に基づき、消費増税の時期を「11年度(3年後)より実施し、15年度までに段階的に行う」と明記。あらかじめ消費増税の道筋を定めるプログラム法などの整備も盛り込んだが、時期には一切触れておらず、国会提出のメドは立っていない。
消費増税の時期を明示することには、特に公明党の反発が強く、12日に決まった09年度与党税制改正大綱に盛り込まれなかった経緯がある。政府は与党側と調整のうえ、09年度予算案が決まる24日ごろまでに中期プログラムを閣議決定したい考えだが、表現を巡り、与党との調整が手間取る可能性もある。
諮問会議では、与謝野経済財政相が示した案を全員が了承。首相は記者団に「経済の動向を見て、3年後には消費税の引き上げをお願いしたいと申し上げた。そういう線で(原案が)出された。ぜひ、これを政府として実行していきたい」と語った。
原案は消費税収全額を社会保障給付と少子化対策に充てるとした。増税時期は明示したが、引き上げ幅には触れていない。「潜在成長率の発揮が見込まれるかなどを判断基準とし、予期せざる経済変動にも柔軟に対応できる仕組みとする」と、景気が回復していなければ増税を見送る「弾力条項」も盛り込んだ。
消費税引き上げに必要な法整備は10年に行うが、それに先だち、「中期プログラムを確実に実行するため、税制抜本改革の道筋を立法上明らかにする」とした。プログラム法の制定や09年度税制改正関連法案の付則への盛り込みなどが想定されている。
与党の中期プログラムプロジェクトチーム(座長・額賀福志郎財務相)は17日から政府原案を元に議論を始める。与党内には、首相が強くこだわる「3年後増税」の明記はやむをえないとの見方がでている。



「経営者の話を我々がいうのは、ちょっと」16日の首相(朝日新聞 2008年12月17日(水))

【中期プログラム】
――さきほど経済財政諮問会議が開かれました。その中で、政府が示した中期プログラムの原案に、消費税増税を含む税制抜本改革、これを3年後に実施するとの方針を示されました。総理の見解をお願いします。
「この前の時の記者会見でも、申し上げたと思います。経済の動向を見て、3年後には消費税の引き上げをお願いしたいと、そう申し上げたと記憶します。そういう線で、中期プログラムが出されたというように理解しておりますんで、私自身としては、ぜひ、これを政府として実行していきたいと考えております」
――政府原案の中期プログラムのなかにですね、中期プログラムの法制化が盛り込まれています。昨日、総理は、中期プログラムの法制化について「必要性は感じない」とおっしゃっております。
「ああ、中期プログラムを全、中期プログラム全体として法制化する必要はないと思います。ただ、中期プログラムの中に書いてあるように、税制の話とか手順の話が書いてある。それを、あの、法制化するということに関しては、これは、検討させて頂きます。全体として、おおい、あのプログラムを、中期プログラム全体を法制化するつもりは、つもりもありませんし、必要もないと思ってます」
――法律にして、国会の重みをもたせる考えには賛成でいらっしゃる。
「それは、ものに、ものによりけり、全体じゃありませんよ、重ねて言いますけども。税制のところとか、それに至るプログラムとか、いうものを法制化する、いう必要があるなら、それも一つの考え方だと思いますけど、はい、あのー」
――はい。
「みんな混線しているけど、それ、中期プログラムと、その話とは、また、違いますからね」
――通常国会に出される方向で。
「さあ、その手順として、通常国、うん、通常国会までに間に合うのかどうか、ちょっと、そこんとこは、また、検討します」


春闘
――次の質問です。
「はい」
――春闘に関してなんですが。
春闘? はい」
――経団連が来年度の春闘の経営側の方針を発表しました。
「うん」
――そのなかで、賃上げ抑制の姿勢を打ち出されるとともにですね、「雇用の安定についても努力することが求められる」という消極的な表現にとどまっています。総理の見解をお願いします。
「ああ、経営者の話を、ちょっと、我々がいうのは、いかがなものかと思いますけどね。しかし、いま、雇用っていうのは、これは、生活の一番の基本、糧(かて)だと思っています。したがって、いま、政府としても、この雇用対策というものに、非常に努力をしている最中。ぜひ、企業の側としても、いろいろ、社会的責任というものを感じておられる経営者の方々も大変多いように理解してますんで、ぜひ、そういう意味で、いまの現状というものが厳しいのは分かりますけれども、しかるべく、社会的責任を果たせるよう、企業も大いに努力してもらいたいと思います」
――実は「努力することが求められる」という部分は、元々の原案では、「最優先で」という強い表現だったが、総理は、産業界との懇談でも、強く先方に要請しておられましたが、そのなかで、色々表現が後退しているということについて、何か、お考えがあるか。
経団連の内部資料、内部資料について、私は、その種の情報を全然知りませんので、表現のしようがありません」


【古賀発言】
――古賀選対委員長が昨日、次の衆院選での比例代表での公明党との協力関係の見直しを示唆する発言を行いました。与党内で波紋を呼んでいます。総裁として受け止めを。
「あのー、正直、古賀選対委員長が、どういった気持ちで言われたんだが、私も、ちょっと、真意が、全然図りかねませんし、その話を聞いていませんので、その話、答えようがありませんけれども、公明党との間に連携をきちんととって、連立与党として、選挙に臨みたいと。基本です」



道路財源から600億円拠出 社会保障費の伸び抑制財源(朝日新聞 2008年12月17日(水))

政府・与党は16日、毎年度2200億円伸びを抑制するとしてきた社会保障費について、09年度は一般財源化する道路特定財源のうち600億円を財源に充てることで、抑制幅を圧縮する方針を決めた。残る1600億円は抑制する方向で、政府・与党で調整を続ける。
麻生首相が16日午前、首相官邸で金子国土交通相自民党保利耕輔政調会長道路特定財源一般財源化プロジェクトチームの谷垣禎一座長らと協議して決めた。当初はたばこ増税で抑制幅を圧縮する検討を進めていたが、与党が反対して断念。道路特定財源一般財源化し、主に道路など公共事業に使途を限定した地方向けの1兆円規模の地域活力基盤創造交付金(新交付金)から600億円を回すことで、圧縮を図ることとした。これにより、新交付金は9400億円になる。
自民党道路族らが道路整備予算の削減に難色を示していることから、600億円にとどめた。首相は16日昼、記者団に「ギリギリ詰めて600億円という話だった」と強調した。
残る1600億円分は、厚生労働省を中心に、抑制方法を探る方向で調整を進めている。ただ、雇用保険への国庫負担分を廃止して社会保障費を抑制する案については、雇用情勢悪化に伴って慎重論が強い。厚労省が検討している後発医薬品の使用促進は「200億〜300億円」(幹部)にとどまる。保利氏は「残る1600億円は苦心惨憺(さんたん)しているが、必ずやらなければいけないと思っている」と語った。



橋下知事「文科省はバカ、全員かわれ」 テスト非開示で(朝日新聞 2008年12月16日(火))

大阪府橋下徹知事は16日朝、全国学力調査都道府県教委の申し出があればデータを提供しないとした文部科学省の決定について、「馬鹿ですね。最悪。ついに霞が関は自分たちで責任を持つことすらできなくなった。日本の教育のため、文科省の官僚は直ちに全員入れ替わった方がいい」と厳しく批判した。
橋下知事は報道陣を前に、学力向上のためには府教委によるデータ分析が不可欠だとしたうえで、「国は(データ開示の責任を)府教委になすりつけてきた」「文科省が『出さない』と言えばいい」と非難。「もし市町村別データを『いらん』と言う府教委がいたら予算は一切つけないが、いらないなんて言うと思っているのか。馬鹿さ加減に感心する」とまくし立てた。鳥取県が学校単位のデータ開示に関する情報公開条例改正案をまとめたことについては「地方の実情に応じた判断。国がとやかく言うことではない」と話した。
橋下知事は10月、知事としては全国で初めて市町村ごとの平均正答率データを情報公開請求者に開示している。(尾崎文康)



文科相、内定解消への相談体制指示 経団連に防止要請も(朝日新聞 2008年12月16日(火))

学生の内定取り消しなどが増えている問題で、塩谷文部科学相は16日、閣議後会見で、「内定がまだ出ていない人も含めて、大学や専修学校、高校にしっかりした相談体制を整えるように指示した」と述べた。各学校の就職担当部署に文科省の職員を派遣したり、各団体との会合を臨時に開いたりして、実態の把握と対応を急ぐ方針も明らかにした。
また、塩谷文科相は15日、日本経済団体連合会など経済関係の4団体に「内定取り消しは本人に大きな打撃と失望を与えるとともに社会全体にも大きな不安を与える」として内定取り消し防止と、やむを得ない場合には別の就職先の確保などの対応をとるよう要請した。



自民7派閥領袖ら「政権支える」で一致(朝日新聞 2008年12月16日(火))

自民党津島派津島雄二会長ら党内7派閥の会長らが15日夜、東京都内のホテルで会談し、内閣支持率が急落した麻生首相を各派閥が連携して支えていくことで一致した。今後も定期的に集まり、国会運営でも麻生政権を支えていくことを確認した。
津島氏が呼びかけ、町村信孝官房長官古賀誠選対委員長、山崎拓元幹事長、伊吹文明財務相高村正彦前外相、二階経産相が出席。「苦しい時ほどみんなで支える」と確認し、「いろんな思いがあって支えている、ということは首相にもわかってもらわないといけない」との指摘も出たという。政界再編に向けた発言をする山崎氏に苦言を呈する声もあったという。
会合後、津島氏は「(派閥会長の会合は)党内各層の意見を集約する方法。総理にも真剣に耳を傾けてもらう」と記者団に語った。



自公、結束を確認=古賀氏の選挙協力見直し発言で(時事通信 - Yahoo! 2008年12月17日(水))

自民、公明両党の幹事長、国対委員長らは17日午前、都内のホテルで会談し、選挙協力を含め両党の結束を確認した。次期衆院選比例代表での公明党との選挙協力見直しに言及した自民党古賀誠選対委員長の発言をめぐり、ぎくしゃくした両党の関係修復を図るのが狙い。
この中で、自民党細田博之幹事長は「古賀氏から『お騒がせして申し訳ない』との話があった。本意は報道されているようなことではない」と説明。公明党北側一雄幹事長は「その通りだ」と了承した。



インフルエンザ:流行開始 昨年に次ぐ早さ−−感染研が発表(毎日新聞 2008年12月17日(水))

国立感染症研究所(感染研)は17日、全国約5000カ所の医療機関を対象に実施しているインフルエンザの定点調査で、定点あたりの患者数が1・62人(12月1〜7日)に上り、全国的な流行開始の指標になる「1・0人」を超えたと発表した。過去10年間で最も早かった昨シーズンに次ぐ早い流行入りとなった。感染研は予防接種などの対策を呼びかけている。【関東晋慈】
12月1〜7日の週に総患者数7707人に達し、前週(11月24〜30日)の1医療機関当たり0・83人(総患者数3911人)から増加した。
都道府県別では、山梨が4・2人、山口4・1人、福井3・9人と多かった。続いて兵庫3・8人、北海道3・2人、大阪3・0人、島根3・0人−−と関西地方中心に流行が広がっている。
感染の広がりは感染研のホームページ(http://www.nih.go.jp/)の「インフルエンザ流行レベルマップ」で確認できる。



「勝手に書けばいい」消費税明記の原案提示、与党に反発の声(読売新聞 2008年12月15日(月))

政府が16日の経済財政諮問会議で、2011年度の消費税率引き上げを明記した税制抜本改革の「中期プログラム」原案を提示したことを受け、与党は17日に額賀福志郎・元財務相を座長とするプロジェクトチーム(PT)を発足させ、原案への対応について協議を開始する。
与党では「原案は、与党の税制改正大綱の内容をはみ出している。賛成は難しい」(公明党幹部)と冷ややかな声が出ており、首相が目指す閣議決定までには、曲折がありそうだ。
公明党は与党PTのメンバーに坂口力・元厚生労働相を加えた。坂口氏は与党税制改正大綱を巡る調整で、消費税引き上げ時期明記に最も強硬に反対した「論客」。自民党が当初示した「消費税を含む税制抜本改革を11年度から開始し、15年度までに実施する」との文言を事実上、撤回させた。
坂口氏の参加に、自民党幹部は「調整難航は間違いない。与党税制大綱に続き、『衆院での再可決に必要な3分の2の賛成ができなくなる』と再び公明党が揺さぶりをかけてくる可能性が高い」と語る。
公明党幹部は「首相が原案をそのまま閣議決定しようとすれば、党の閣僚(斉藤環境相)は署名できないのではないか」と指摘する。
自民党内でも、「首相のメンツをつぶしてはいけないため、引き上げ時期の明記反対を声高に叫ぶ議員はいないが、『引き上げ時期明記は、衆院選前はやめてほしい』と思っているのが多数だ」(閣僚経験者)との見方が大勢だ。「11年に麻生氏が首相であるとは限らないのだから、勝手に書けばいい」との声も出ている。
首相は16日の経済財政諮問会議で、「責任与党たるもの、カネを使うことばかりをやっているわけにはいかない。原案に沿って、与党にも議論いただき、政府として決定したい」と述べ、増税時期の明記に反対する与党を強くけん制した。
首相周辺は、「首相は記者会見などで『3年後の消費税率引き上げ』を再三宣言してきた。消費税問題でぶれたら首相は終わりだ。これだけは、譲れない」と解説する。



社会保障費「圧縮」、健保支援廃止の1400億円で充当(読売新聞 2008年12月17日(水))

政府・与党は16日、2009年度予算案で社会保障費の自然増2200億円の抑制額を圧縮するための新たな財源について、厚生労働省が年金特別会計で行っている「特別保健福祉事業」を廃止し、余った約1400億円の財源を一般会計に繰り入れて確保する方向で最終調整に入った。
中川財務相と舛添厚労相が18日にも会談し、合意する見通しだ。ただ、抑制方針については、大部分を新たな財源確保で形式的に満たしたにすぎず、実際の抑制額は200億円となる。
政府・与党は16日午前、道路特定財源一般財源化に伴う新交付金地域活力基盤創造交付金」に充てる予定だった約1兆円のうち、600億円を社会保障費の財源に回すことを決定。さらに、厚労省は、価格の安い後発医薬品ジェネリック医薬品)の使用促進で、約200億円の社会保障費を削減する方針だ。
この結果、2200億円抑制を盛り込んだ09年度予算の概算要求基準(シーリング)は、〈1〉計2000億円の新たな財源確保〈2〉200億円の歳出削減――の二つの手段で維持できる見通しだ。ただ、2000億円は社会保障費の抑制にはあたらず「数字合わせに過ぎない」との批判も招きそうだ。
同事業は、年金積立金からなる年金特別会計に、特例で設けた約1兆5000億円の資金の運用益を、財政が悪化している健保組合に助成し、財政支援しているもの。90年度に始まり、08年度の予算額は192億円。事業廃止で約1400億円が余るという。今年7月に閣議了解されたシーリングでは社会保障費を2200億円抑制する方針を明記する一方、財源が確保できれば抑制額の圧縮を認めることを盛り込んでいた。



整備新幹線、部分着工で合意=財源確保は結論持ち越し−政府・与党(時事通信 - Yahoo! 2008年12月16日(火))

政府・与党は16日、整備新幹線に関するワーキンググループの会合を開き、北海道、北陸、九州・長崎ルートの未着工3区間の一部について、2009年度着工で合意した。これを受け政府は同年度予算案に、新規着工経費として数億円を盛り込む方針。ただ、課題だった財源問題については結論を持ち越しており、 09年末までの着工認可を目指し、さらに検討する。安定財源の確保など認可に必要な環境が整わなかった場合は予算執行は見送られる。
新規着工で合意したのは、北海道(新函館−札幌)のうち、札幌−長万部、北陸(金沢−敦賀)のうち、金沢−福井と敦賀駅部、九州・長崎(諫早−長崎)の長崎駅部。与党案を政府側が受け入れた。札幌−長万部については建設コストを抑えるため、在来線と線路幅が同じスーパー特急方式による整備も視野に入れる。
3区間全体の工事費は1兆2000億円程度に上る見通し。ただ、現時点では、最大約6000億円が捻出(ねんしゅつ)できるJRからの施設貸付料以外に目立った財源は見つかっていない。安定財源の確保は、収支採算性の確認やJRの同意などとともに、認可に不可欠な条件のため、政府・与党は貸付料以外にも幅広く検討を進め、09年末までの問題解決に全力を挙げる。



リニア調査期間、設定見送り=JR東海に地元調整努力促す−国交省(時事通信 - Yahoo! 2008年12月16日(火))

国土交通省は17日、JR東海が2025年に東京〜名古屋開業を目指す「リニア中央新幹線」で、着工の前提となる需要など4項目の調査指示について、期間設定を見送る方針を明らかにした。全国新幹線鉄道整備法に基づく調査指示で期間を設けないのは極めて異例。JR東海に対し、ルートや中間駅をめぐる地元との調整を万全に実施させるのが狙いだ。
調査は(1)輸送需要(2)技術開発(3)建設費(4)その他の4項目で「ルートや中間駅の地元調整が前提」としている。国交省が来週、JR東海に指示する見通し。
リニア建設をめぐっては、JR東海が想定する南アルプス直下を貫く「直線ルート」に対して、迂回(うかい)ルートを求める長野県が強く反発、「見切り発車」への警戒感が強い。一方、早期着工を求める山梨県は調査期間の短縮を要求。沿線自治体間も対立している。また、中間駅の建設費負担の調整も難航が予想される。
国交省は、従来3〜7年としていた期間を設けないことで、JR東海に地元調整の十分な努力を促したい考え。ただ、調整が難航した場合、着工、開業が遅れる懸念もある。



「派遣切り」で自殺志願保護、東尋坊でパトロール強化へ(読売新聞 2008年12月17日(水))

福井県坂井市東尋坊でここ数か月、派遣社員契約を突然打ち切られる「派遣切り」による生活苦で自殺を考える人が増えており、周辺海岸を自主パトロールし、自殺志願者を説得する活動に取り組むNPO法人「心に響く文集・編集局」(茂幸雄代表)は15日、市や地元観光協会に対し、自殺防止パトロールの活動を強化するよう求める要望書を提出した。
茂代表は「年を越せないと悩んで断崖(だんがい)に立つ人が年末にかけて増えるかもしれない」と危惧(きぐ)している。
NPOによると、10〜11月に保護した8人のうち5人が元派遣社員で、3人は「派遣切りによる生活苦で自殺を考えた」などと話したという。
11月初めに保護した東北地方の20歳代男性は、派遣契約の更新を待たずに突然、契約解除を言い渡された。男性は「寮を追い出され、1日1500円のネット喫茶で寝泊まりしたり、友人宅へ転がり込んだりしてしのいできたが、貯金も底をついた。もう限界」と涙を浮かべた。所持金は100円しかなく、茂代表らが差し出した餅をむさぼるように食べたという。
茂代表は「派遣切りなんて理由はこれまで1人もいなかった。国や自治体は緊急支援を早急に実施すべきだ」と訴えた。



ハローワーク 派遣切り相談窓口 「住」の悲鳴、初日で1267件(産経新聞 - Yahoo! 2008年12月17日(水))

■転居関連費用が最多
解雇された派遣社員などの住居確保支援のため全国のハローワークで15日始まった相談業務について、初日の相談は1267件あり、このうち転居に必要な敷金など経費に関するものが最多の255件、次いで雇用促進住宅への入居に関する相談が209件だったことが、厚生労働省のまとめで分かった。
このほか寮や住み込み付きの求人に関するものが多かった。都道府県別では、愛知が最多で247件、次いで広島155件、東京108件、神奈川92件、岡山70件、大阪56件と続く。
大阪ではハローワーク10カ所に窓口が設けられ、ハローワーク大阪東(大阪市中央区)には初日だけで5人が訪れた。
兵庫県内の工場に派遣で勤めた40代の男性は人員削減の第一陣として1カ月前に予告を受け、今月初めに退職。派遣会社の借り上げ住宅から退去を余儀なくされ、大阪市内の実家に身を寄せているが、「いつまでも親元にいられない」と窓口を訪れ、この日の相談ではただ1人、雇用促進住宅入居の見通しが立った。
このほか同住宅に入居するための家賃(約2万〜3万円前後)2カ月分に相当する初期費用が払えないなど家賃に関する相談が寄せられた。
ハローワークの担当者は「非正規労働者が、働きながら次の仕事を探すのは難しく、住まいがなければ路上生活になってしまう。当面の生活資金や仕事の経験など個々の事情に沿えるようにしていきたい」としている。



「新党」立ち上げを画策する第二次「加藤の乱」も不発か(週刊文春 - Yahoo! 2008年12月17日(水))

発足から三カ月足らずで支持率が半減し、早くも政権末期の様相を呈する麻生内閣。永田町では「森内閣と同じパターン」との評がもっぱらだ。
確かに両内閣はよく似た道筋をたどっている。ともに群馬県選出の首相(故小渕恵三元首相と福田康夫前首相)の突然の退陣を受け、自民党幹事長から総裁に昇格した。
しかし、大した仕事もしないうちに得意のはずの弁舌で失敗を繰り返し、潮が引くように人心が離れていくという、典型的な自滅パターンである。
森喜朗元首相は支持率急落後も粘り腰を発揮し一年余り政権を維持したが、参院選を前に「一桁の支持率の森首相では戦えない」と与党内から退陣要求の大合唱が起こり、総辞職を余儀なくされた。その森元首相に、真っ先に弓を引いたのは、当時、党内第二派閥・加藤派の会長だった加藤紘一元幹事長だ。野党が森内閣不信任決議案を提出すれば、盟友の山崎拓前副総裁のグループと連携して賛成もしくは欠席すると宣言し世間の耳目を集めた「加藤の乱」である。
最後は執行部に切り崩され、単身、本会議場に賛成票を投じに行こうとした加藤氏を側近の谷垣禎一国土交通相が涙ながらに「加藤先生、大将なんだから一人で突撃なんて駄目ですよ」と慰留したシーンをご記憶の方も多いだろう。
あれから八年。歴史は繰り返す。子分も離れ無派閥の一匹狼となった加藤氏が、また「乱」を起こそうと動きを速めているという。
山崎派議員の一人が証言する。
「加藤氏は次期衆院選後の政界再編をにらみ、新党を作ろうとしている。一九九三年の衆院選後にできた非自民連立政権で日本新党細川護熙代表が首相になったように、選挙結果によっては小さい政党にも首相の座が回ってくる可能性があると計算しているようだ」
この議員によると、加藤氏は旧加藤派のメンバーに声を掛けているほか、山崎氏にも「山崎派から何人か貸してくれないか。あなたは後から参加すればいい」と打診した。しかし、かつての“同志”からは色よい返事はなく、山崎氏も「俺が新党をつくると言っても誰も付いてこない。貸すなんて到底無理」と断ったという。
第二次・加藤の乱も不発に終わるのか――。
週刊文春2008年12月25日号「THIS WEEK 政治」より)



地方への1兆円、所管は国交省 自民党内に反発も(朝日新聞 2008年12月17日(水))

政府・与党は17日、09年度の道路特定財源の「一般財源化」に伴って新設する1兆円規模の地方への「地域活力基盤創造交付金」(新交付金)について、国土交通省が所管する方向で調整に入った。
自民党内には一般財源化の象徴として、道路整備を所管する国交省ではなく、地域活性化担当の内閣府に所管させる案もあった。国交省が予算配分を主導すれば一般財源化が骨抜きにされかねないとして、若手を中心に反発が起きることも予想される。
道路特定財源をめぐり、政府・与党は新交付金の使途を公共事業に限定する方針をすでに決め、自民党は「8割を道路に使う」(谷垣禎一国交相)ことを確認している。道路族の有力議員は、新交付金1兆円から約600億円を社会保障費の抑制幅を圧縮させる財源にあてる方針が決まったことをあげて「仕方ないが、その代わりに(所管は)国交省になった」と語った。