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裁判員候補4割、調査票を返送 辞退希望含む12万人(朝日新聞 2008年12月20日(土))

最高裁は19日、来年1年間の裁判員候補者として通知を送った約29万5千人のうち、4割にあたる約11万8500人から辞退の希望などを確認する調査票の回答が返送されてきた、と発表した。該当する項目がない場合は返送する必要がないが、最高裁は現時点では内訳を集計しておらず、返送されたすべてが辞退希望かどうかは不明だ。
候補者への通知は11月28日に一斉に発送された。調査票の回答は通知に同封されており、返送の締め切りは今月15日だった。マークシートに記入する方式で(1)病気や高齢など1年を通じて認められる辞退の理由があるか(2)1年間のうち特に忙しいため裁判員になることを避けたい月があるか(3)住所を移転したか――などを書き込む。
最高裁は年明け以降に一括して内訳を集計する方針で、結果は2月下旬ごろに取りまとめる予定。
一方、候補者が転居してあて先不明になっていたり、受け取りを拒否されたりして、届かずに戻ってきた通知は16日朝までに約2700通あったという。(中井大助)



新タイプ抗がん剤で副作用死? 厚労省が注意喚起を指示(朝日新聞 2008年12月20日(土))

がん細胞だけを狙い攻撃する新しいタイプの抗がん剤「ソラフェニブトシル酸塩」(販売名ネクサバール錠)を今年12月までに使った腎細胞がん患者2人が、副作用が疑われる急性肺障害で死亡していたことが19日わかった。厚生労働省は同日、医師らに注意喚起するよう販売企業に指示した。
同剤は「分子標的薬」の一つ。進行して切除が不可能だったり、転移したりした腎細胞がんに使われる。05年12月に米国で初めて承認され、現在は世界78カ国で承認。日本では今年4月に発売された。製造販売元のバイエル薬品などによると、使用患者数は11月までで約2千人。
同社が厚労省に報告した内容によると、投与患者4人が間質性肺炎などを発症し、うち2人が亡くなった。急性肺障害は承認前には見つかっていなかった副作用と考えられるとして、厚労省は同社に対し、薬の添付文書に「重大な副作用」として追記するよう指導した。



太陽光発電の貨物船、完成 神戸の造船所(朝日新聞 2008年12月19日(金 ))

太陽光発電を動力の一部に使う自動車運搬船が神戸市の三菱重工業神戸造船所で完成し、19日午前、「通電式」が行われた。燃料代の節約や二酸化炭素の排出削減が目的で、開発した日本郵船新日本石油によると、大型船の動力源に太陽光を用いるのは世界初という。
船は全長200メートル、幅32メートル。甲板に328枚の太陽光パネルを設置し、12軒の家庭の消費電力にあたる40キロワットを発電して、エンジンや照明、換気装置などにあてる。自動車6200台を積むことができ、トヨタ自動車が世界各地への運搬に使う。
ただ、太陽光で起こした電気は船全体の必要量の1%程度で、通常の燃料の重油も併用する。今後は風雨や高波などの影響を調べ、さらに大型の発電装置を積んだ船も開発していく方針だ。



農水省、汚染米を食用売却 タイ産、市場には流出せず(朝日新聞 2008年12月19日(金))

農林水産省は19日、同省が10月に食用として売ったタイ産米から見つかったカビ状物質から、カビ毒の「アフラトキシンB1」が検出されたと発表した。カビ毒が検出された米を使った食品は出荷停止され、市場には出回っていないという。事故米問題で政府は「汚染米を流通させない」と打ち出したばかりだった。
農水省によると、カビ毒が検出されたのは、今年6月にタイから輸入された3508トンの一部。輸入義務のあるミニマムアクセス米で、米粒を砕いた状態で輸入された。麻袋とコンテナ袋に詰めて輸入され、厚生労働省は麻袋の一部を抽出して検査したが、カビ毒は検出されなかった。
農水省から24トンを購入した米加工業者が10月22日に米の搬入を受けた際に、1トンずつ詰めた袋の一つから180グラムのカビの塊を見つけた。ほかの23袋には異常はなかった。
連絡を受けた農水省がカビの塊を検査機関で分析したところ、今月に入ってカビ毒のアフラトキシンB1の検出が確認されたという。アフラトキシンB1は強い発がん性があり、食品衛生法で検出されてはならないとされている。
これまでに、輸入米からカビ毒が検出されたのは、04年のベトナム産、06年の米国産と、同年の中国産の3回。いずれも事故米として工業用に売却して食用への不正転売を招いたが、今回は同省が食用として売却した米の中からカビ毒が初めて検出された。
農水省は、輸入されたときのコンテナ袋に入れた状態のまま倉庫に保管。売却時は、袋の外側から変色やカビの発生はないか目で確認しただけで、袋の中身までは確認せず、購入業者に渡してきたという。同省は「引き渡し前に袋を開けて詰め替えるなどして目視を徹底する」という。
同じ船で輸入されたタイ産米は計87トンが3社に売られているが、今回の分を除きカビ毒は見つかっていない。
農水省総合食料局は、問題の米を使った食品が市場に流通していないとして、「消費者に注意をお願いする必要がない」ことを理由に売却先の業者名や所在地は一切公表していない。いつの入札で売却したかについても、「業者名の特定につながるため、公表できない」としている。(歌野清一郎)



全国教育振興会に業務停止命令 通信講座でウソの説明(朝日新聞 2008年12月19日(金))

経済産業省は19日、資格教材などの電話勧誘販売業大手・全国教育振興会(東京都)に、特定商取引法違反(不実告知など)で、新規の勧誘などの一部業務を3カ月間停止するよう命じた。同社は11月20日に事実上倒産しているが、経産省は同社に業務停止中も既存客のアフターケアをするよう要請している。
経産省によると、同社は「東京商科アカデミー」「東京法科アカデミー」などと名乗って雑誌で70余りの通信講座を宣伝し、「資格を取ったら就職先を紹介する」などと事実と異なる説明をして競合大手の3〜5倍の価格で教材を売っていた。7月までの9カ月間、20代の女性を中心に約4700人から申し込みを受け付けたという。
また、8日間のクーリングオフが認められているのに、「学籍番号が出たのでやめられない」と告げたり、民間の資格なのに「国がつくった新しい資格」とうその説明をしたりしていたという。
経産省消費経済対策課は「不況で若者らの間で資格への関心が高まっているが、複数の業者を比較したり、ネットで情報収集したりすることが大切だ」としている。



資金枯れ、工事止まる師走 資材高に不動産不況追い打ち(朝日新聞 2008年12月19日(金))

景気の悪化に伴い、工事が中断したビルやマンションが各地で増えている。建設を心待ちにしている人たちに影響が出ているほか、治安面の不安を訴える声も。不動産市況の急降下と金融危機という二重苦が、街に影を落としている。
むき出しになった鉄骨。散乱するコンクリートの塊。東京・JR新橋駅近く、約1100平方メートルの再開発事業の解体工事の現場から、工事音はほとんど聞かれなかった。
その一角にあった3階建てのビルには、1946年創業の老舗(しにせ)中華料理店「新橋(しんきょう)亭」の本店が入っていた。作家の谷崎潤一郎や政財界の大物がひいきにしていたことで知られる。老朽化のため、不動産開発会社の「アーバンコーポレイション」(広島市)が、11年に11階建てのビルに建て替えて、新橋亭は他のテナントと一緒に入る予定だった。
ところが、アーバンが今年8月、約2558億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請し、経営破綻(はたん)。解体工事が中断してしまった。「ここは華僑である創業者の血と汗が流れている場所です。(悪い)夢を見ているようだ」。新橋亭の4代目社長の呉祥慶さん(40)は話す。
アーバンの破綻は、同社の再開発物件を買う見込みだった投資ファンドが資金不足になったのに加え、国内の金融機関も融資に慎重になったためだ。米国のサブプライムローン問題が影響した。
解体作業は今月、再開されたが、なかなか進まない。アーバンの広報担当者は「更地にした後、予定通りビルを建てるかどうかは、経営再建を支援するスポンサー企業の意向で決まるので、今は明言できない」。
新橋亭はいま、すぐ近くの新館で営業しているが、収容力は本店があった時代に比べ、500人に半減した。ビルの完成が遅れれば、新しい厨房(ちゅうぼう)での調理を楽しみにしていた本店のコックも60歳の定年を迎える。呉社長は「本店の料理を心待ちにしているお客さまがいる。このコックの定年後の雇用継続も考えなきゃいけない」と話す。
東京のベッドタウン・千葉県船橋市でも、老朽化した無人の4階建ての旧公務員住宅5棟が残る。解体後、民間業者が7階建て、計232戸のマンションを建てる予定だったが、不動産不況や建築資材高騰のあおりで民間業者の作業が中断した。再来年春の完成予定は大幅に遅れそうだ。
また、同市内には8階建て、計85戸の新築マンションが建つが住民はゼロ。今年7月に完成したものの、施工業者が経営破綻。販売業者が引き渡しに難色を示し、売り出しができない状態が続いている。販売業者は「将来、マンションの補修などの際に問題が起きる可能性があるとして購入者が不安がるため」という。無人マンションの近くに住む男性(63)は「通路に照明をつけてもらったが、夜は真っ暗で不気味だ」と話す。


■上場企業倒産、建設関連7割
不況の影響を受け、不動産開発や建設関連の企業の経営破綻が相次ぎ、今年の上場企業の倒産件数の約7割を占める。国民生活センターには、マンションの購入予定者から「手付金100万円の返還を求めたが、返せないと言われた」(近畿・40歳代男性)といった相談が寄せられているという。
倒産法制に詳しい永井和明弁護士は「1千万円超の手付金を払った買い主などには、銀行が返還を保証する場合もある。だが、業者が破産して返済の原資に乏しい場合などは、マンションの引き渡しもなく、手付金も返還されない可能性もある」と指摘する。
不動産経済研究所の福田秋生・企画調査部長によると、バブル経済崩壊後には、高値で売るために、10年ほどマンションの工事を「塩漬け」にして、不動産市況の回復後に再開して「新築」として売り出した事例もあったという。
福田部長は「工事が止まったマンションは首都圏だけで数十件はあるだろう。今後、2年間は不動産市況の回復は期待できないのではないか」と話す。(益満雄一郎、吉井亨)



市議報酬アップ撤回、不況が後押し 秋田、請求2度目で(朝日新聞 2008年12月20日(土))

秋田県にかほ市議会で19日、4月に6万9千円上げたばかりの市議会議員報酬を元に戻すための条例改正案の採決があり、賛成14、反対9で可決された。改正案は市民団体の直接請求で提出。5月に同様の請求があったときは否決されたが、今回は景気後退の中で市長も議員報酬引き下げを議会側に求めていた。
同市議会は今年4月、「他市の水準に合わせる」として議員報酬を引き上げ、一般市議で28万9千円とした。
これに対し、市民団体「にかほ市を良くする会」が反発。市側に議員報酬引き下げのための条例改正案を提出するよう5月に続き、2度目の直接請求を行った。同会の国松東一郎代表は「金融不安が追い風になり、市民の声がようやく届いた」と語った。
市の人口は約2万9千人。全国市議会議長会によると、07年末で人口5万人未満の市の一般市議の平均報酬月額は32万4600円。(福井悠介、伊藤耕平)



国民栄誉賞、支持率上昇に効果ある?(朝日新聞 2008年12月20日(土))

麻生首相が作曲家の故・遠藤実氏に贈ることを決めた国民栄誉賞。表彰の基準は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与える顕著な業績」(同賞の規定)と抽象的なため、これまでも時の政権が支持率上昇を狙って授与してきた側面もあるとされる。その効果のほどは――。
国民栄誉賞第1号は77年の福田赳夫内閣での王貞治氏。これまで計15人に贈られた。
朝日新聞世論調査で、賞を贈った前後の内閣支持率の変化をみると、上昇が9回、下降が4回、横ばいが2回。支持率が上がった例が多いものの、国民栄誉賞のおかげかどうかははっきりしない。
森政権は00年10月、高橋尚子氏に授与したが、支持率は23%から18%に下落した。宮沢政権は92年の参院選直前に長谷川町子氏への授与を決め、選挙対策との指摘も受けたが、支持率は33%のままで特に変化はなかった。小泉元首相が01年10月、イチロー(本名・鈴木一朗)選手に授賞を打診し、辞退された例もある。



「3年後増税」閣議決定へ 中期プログラム、公明が容認(朝日新聞 2008年12月20日(土))

政府・与党は、将来の社会保障の全体像と消費増税を含む税制抜本改革の道筋を示す「中期プログラム」を、年内に閣議決定する方針を固めた。消費増税の時期を書き込むことに難色を示してきた公明党が、景気回復の道筋に重点を置いた記述にすることを条件に、麻生首相がこだわる「3年後」の明記を容認する姿勢に転じたためだ。
与党が22日に中期プログラムに対する考え方をまとめ、政府が24日に閣議決定する方向だ。政府・与党内の対立が解消されたことで、この問題をめぐる政局の混乱は当面、回避された。今後は、中期プログラムに盛り込まれた税制抜本改革の道筋を、来年1月召集の通常国会で法制化するかどうかに焦点が移る。
先に与党がまとめた09年度税制改正大綱では増税時期の明示を見送ったが、中期プログラムの政府原案は首相の強い意向で「2011年度(3年後)より実施」と明記。公明党は反発し、自民党内の一部からも異論が出ていた。
公明党は19日の与党の会合で、社会保障の機能強化や景気回復への道筋をより強く打ち出すよう要請。同党幹部は「首相の顔をつぶすわけにはいかない」と述べ、条件つきで増税時期の明記を認める考えを示した。表現は今後詰めるが、景気回復を前面に出すことで、消費増税に向けた道筋が政府原案よりも明確ではなくなる可能性が高い。



民主、再び天下り根絶法案 事前規制撤廃し現実路線へ(朝日新聞 2008年12月20日(土))

民主党は19日、政府による国家公務員の天下りあっせんを禁止する新しい「天下り根絶法案」をまとめた。早期退職を組織的に促す「肩たたき」の慣行も禁じ、職員の定年を65歳に段階的に引き上げる規定を盛り込んだ。来年の通常国会への提出をめざす。
今回の法案では、07年通常国会に提出した法案にあった「離職後5年間の営利企業への再就職禁止」といった事前規制を撤廃したのが特徴。官民交流促進や職員の士気に配慮するなど、政権交代をにらんで現実路線を強くにじませた内容になっている。
要綱では、基本理念として(1)公務の公正性確保(2)職員が意欲と誇りを持って働けるようにする(3)多様な人材確保と官民人材交流を阻害しない――などと掲げた。
あっせん禁止規定では「政府は組織的な再就職あっせんを行わない」と明記。「公務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合」とする例外規定を併記した。政府があっせんを一元化する「官民人材交流センター」は廃止するとした。
各省のあっせんの動機となっている「肩たたき」は定員・予算削減による人員整理を除き、全面的に禁止。一方、同期入省組から事務次官1人が最終的に残るピラミッド型人事制度を改めるため、定年を段階的に65歳まで引き上げる。高年齢職員の給与抑制や年齢に応じた職種の新設などを検討することも明記した。
詳しい制度設計は法施行後1年以内に行い、国家公務員法など関連法を整備する。



「就職は目的意識ないと」 首相、ハローワークで若者に(朝日新聞 2008年12月20日(土))

麻生首相は19日、東京・渋谷の「ハローワーク渋谷」を視察し、求職に訪れた24歳の男性に「何がやりたいか目的意識をはっきり出すようにしないと、就職というのは難しい」と声をかけた。男性は派遣社員として働いていた自動車工場の契約が打ち切られ、職探しに東京に来たという。
首相は就職活動の心構えを伝えたかったようだが、民主党鳩山由紀夫幹事長はこの発言について記者会見で「誠に的はずれだ」と批判。「なかなか自分の思い通りの仕事が見つからない状況だからこそハローワークで探そうとしている。『しっかりやれよ』と言葉をかければ、彼らもやる気が出る」とたしなめた。



今後3年間の重点IT施策の策定を指示 首相(朝日新聞 2008年12月19日(金))

麻生首相は19日、官邸で開いたIT戦略本部で、雇用確保や内需拡大に役立つIT施策を今後3年間で重点的に行う緊急プランを、来年3月までにまとめるよう指示した。首相が「全治3年」とする経済危機の克服に役立てるねらいがある。
また、15年までの中長期的な新IT戦略を来年6月までに策定するよう関係閣僚に求めた。政府は06年にもIT新改革戦略を策定したが、新技術が次々に出たため、見直しが必要だと判断した。



34都道府県で保険料率アップの見通し 協会けんぽ(朝日新聞 2008年12月19日(金))

中小企業のサラリーマンが加入する協会けんぽ(旧・政府管掌健康保険)の保険料率について、厚生労働省は19日の自民党の会合で、都道府県別の試算を示した。現在は全国一律の料率(8.2%、労使折半)だが、来年9月までに都道府県別に設定される。試算では34都道府県で、現在より高くなる。
厚労省協会けんぽは、料率上昇を抑えるため、積立金を1500億円程度取り崩す方針。この場合、現在より料率が高くなるのは21道府県にとどまる。料率は来年2月に決まる見通しだ。
試算は07年度の医療給付受給者状況調査などからはじき出した。最も高いのは北海道(8.88%)で、最も低いのは長野県(7.84%)。(南彰)

■試算で保険料率が現在より高くなる都道府県
北海道、佐賀、徳島、福岡、香川、広島、長崎、大分、熊本、山口、大阪、石川、岡山、鹿児島、高知、秋田、和歌山、奈良、青森、島根、兵庫


※積立金を投入すれば高くならない
宮崎、鳥取、福井、神奈川、愛媛、福島、沖縄、宮城、富山、京都、岐阜、愛知、東京



一般会計88.5兆円、当初比5兆円増 09年度原案(朝日新聞 2008年12月19日(金))

中川財務相は19日、09年度政府予算の財務省原案の骨格を明らかにした。一般会計の総額は08年度当初比5兆4900億円増の88兆5500億円となり、当初予算で過去最大となった。特別会計の「埋蔵金」を税収不足分の財源に充てる一方、新規国債発行額も同7兆9500億円増の33兆2900億円に膨らんだ。
原案は20日に各省庁に内示。麻生首相が重点化枠の3300億円の配分を決め、24日に政府案を閣議決定する。
公共事業費などの政策的経費である「一般歳出」は同4兆4500億円増の51兆7300億円。基礎年金の国庫負担引き上げで2兆3千億円、経済情勢に応じて使い道を決める「経済緊急対応予備費」1兆円などが加わる。
地方交付税など自治体への配分は首相の「1兆円増額」の指示で同9600億円増の16兆5700億円。借金返済に充てる国債費は同800億円増の20兆2400億円。
歳入では、税収を同7兆4500億円減の46兆1千億円と見込む。急速な景気悪化で法人税収などが大きく落ち込むためだ。「埋蔵金」の財政投融資特別会計の準備金流用など税外収入が同4兆9900億円増の9兆1500億円。国債発行額は当初では4年ぶりに30兆円を超える。
財政の健全性の目安となる基礎的財政収支は13兆500億円の赤字。赤字幅は08年度当初の5兆1800億円から2倍以上になる。政府は11年度に国と地方を合わせた基礎的財政収支を黒字化させる目標だが、大幅な税収増がない限り先送りは必至だ。
政府系金融機関などに資金供給する09年度の財政投融資計画は同約2兆円増の15兆8600億円。企業の資金繰り支援のため、10年ぶりの増額になる。(五郎丸健一)



米軍再編予算、689億円を追加要求 防衛省(朝日新聞 2008年12月19日(金))

防衛省は19日、09年度予算の米軍再編関係費として689億円を追加要求したと発表した。今年度比3.6倍の伸びで、沖縄の米海兵隊のグアム移転費として346億円を計上。日米合意に基づく14年の再編完了に向け、今回初めて移転費を盛り込んだ。
追加要求分は20日に示される09年度予算財務省原案で認められる見通し。
海兵隊のグアム移転費は、2014年までに総額103億ドル(約9100億円)のうち日本側が61億ドル(約5400億円)を負担する仕組み。移転先施設の土地造成や設計費に使用されるという。また、3500戸分の家族住宅を整備するための調査費などに7億円を計上した。
沖縄の普天間飛行場移設関連費には96億円(今年度50億円)。初めて代替施設の本体工事分として護岸工事費3億円を計上したが、09年度中に沖縄県知事の許可が出る見通しは立っていない。14年までに約160ヘクタールの海面埋め立てや1600メートル滑走路2本の整備が予定されるが、総額は未定。基地周辺の自治体に渡す再編交付金は91億円(同62億円)、空母艦載機の岩国基地への移駐事業関連費として102億円(同58億円)を計上した。



若者雇う農山漁村支援 総務省、09年度から(朝日新聞 2008年12月19日(金))

総務省は19日、都市部に住む若者を雇う地方自治体を支援すると発表した。「地域おこし協力隊員」(仮称)として、来年度から始める。
雇用情勢が厳しいなか、フリーターや仕事のない若者を雇うことで、人口流出が続く農山漁村の定住者を増やすのがねらい。農林業など自然や環境の保護につながる仕事を想定し、若者が3年ほど生活できる賃金に相当する地方交付税自治体に配分する。



日銀利下げ「おお歓迎します」19日の首相(朝日新聞 2008年12月19日(金))

【日銀の利下げ】
――よろしくお願いします。日銀は今日、政策金利の誘導目標を0.1%に引き下げることを決めました。総理の評価をお聞かせください。
「おお歓迎します。タイミングとしても、時機を得たもんだと思いますけれどね。世界の景気がさらに下ぶれする可能性っていうのは、よくいわれていますから、そういったことを考えたときに、やっぱり、こういった対応がなされるというのは、金利の話ばっかり聞いておられますけれども、その他の決定含めて、時機を得たもんだと思って歓迎してます」
――総理、先日の、12日の会見で……。
「12日? 今日何日?」
――19日です。
「ああ1週間前の話。はい」
――金利などについて流動性確保のための施策を期待するというふうにおっしゃってますが、今回の決定については、総理としてはご期待に沿うものでしたか。
「ああそういうことを私の口から期待することは期待するのは無理です。中央銀行の施策について歓迎します。それしか言って、言うつもりはありません」


内閣支持率
――時事通信世論調査内閣支持率が16.7%で、2割の大台を割り込みました。総理にふさわしい人という点でも、小沢代表が34.8%、麻生総理が23.9%と10ポイント近く差がつきました。この数値の受け止めと政権運営、厳しさが増すということもありますが、今後どう対応されるおつもりでしょうか。
「この前にも同じような質問をいただいたと記憶しますが、世論調査に関して、内閣支持率等々、これ私への評価だと思って厳しく受け止め、かつ真摯(しんし)にその話を聞かなきゃいかんもんだと思っています。内容につきまして、対応につきましては、こら今予算を編成し、二次補正をやり、我々としては、きちんとして一次、二次、本予算と、きちんとこういった予算を作り上げて、そして景気というものを考えた場合には、年度にきちんとスタートができるように、4月1日にスタートできるように全力をあげたいと思っております」
(首相秘書官が「はい終わります」)


【公邸への引っ越し】
――総理、総理、総理、総理、総理、総理、お引っ越し、総理、もう1問だけすみません。お願いします。
「こういうのを答えると、またみんなまねするからやめよう」
――総理、あの、総理、それでもう1問だけ。(私邸から首相公邸への)お引っ越しを近くされるというお話がありますが……。
「ああ検討中」



地方税収、過去最大4兆円減に 09年度見込み(朝日新聞 2008年12月19日(金))

総務省は19日、09年度の地方税収の見込み額は36兆1860億円になると発表した。08年度当初見込みよりも4兆2843億円少なく、前年度からの減少額は過去最大。景気後退で法人事業税、法人住民税の法人2税が大きく減ることなどが響いた。
08年度の税制改正では、都市部に偏りがちな法人事業税の約半分を国税に衣替えし、09年度から地方法人特別譲与税として税収の少ない自治体に手厚く配分する仕組みにした。これに伴う地方税の減収を差し引いても、3兆4747億円の減少となる。
税目別に見ると、法人事業税3兆696億円(前年度比47%減)、法人住民税2兆6639億円(32%減)。ほかにも自動車取得税2533億円(37%減)、軽油引取税9277億円(6%減)、不動産取得税4507億円(5%減)など、消費冷え込みの影響が表れた。
地方税収は08年度、過去最高の40兆4703億円を見込んでいるが、これも1兆8千億円ほど落ち込む見通し。過去の税収(決算額)は03年度の32兆1894億円を底に上昇を続けてきたが、07年度の39兆5273億円をピークに下降に転じることになる。



民主、衆院に解散要求決議案提出へ(朝日新聞 2008年12月19日(金))

民主党は19日、参院で可決された雇用対策4法案が衆院で否決された場合、衆院に解散要求決議案を提出する方針を決めた。同決議案の提出は89年以来。可決されても法的拘束力はないうえ、与党の反対で否決される見通しだ。
参院にも、参院議決の尊重を求める決議案を提出する。内閣不信任案や首相問責決議案の提出は見送り、第2次補正予算案や09年度予算案が提出される通常国会での攻防に向けて「温存」する。
民主党は雇用問題の深刻化を受け、二つの決議案提出で「衆院は早急な雇用対策を求める民意を反映していない」とアピールする。雇用対策4法案は24日の衆院本会議で否決される見通しで、決議案提出も同日になるとみられる。



野党の雇用4法案、参院で可決 与党、衆院で否決方針(朝日新聞 2008年12月19日(金))

19日午前の参院本会議で、民主、社民、国民新党提出の雇用対策4法案が野党の賛成多数で可決され、衆院に送られた。18日の委員会採決に加わらなかった共産党も、賛成した。一方、自民、公明両党と改革クラブは採決直前に退席し、棄権した。
可決されたのは、採用内定の取り消し規制、派遣労働者等解雇防止緊急措置、住まいと仕事の確保、有期労働契約遵守(じゅんしゅ)の4法案。
与党側は「2時間半の質疑で拙速」「国会閉会直前の野党の単なるパフォーマンス」と反発。この日の本会議に提出した参院厚生労働委員長の岩本司氏(民主)の解任決議案の趣旨説明でも、衛藤晟一氏(自民)が「与党は法案にでなく、拙速な採決に反対だ。野党にも反対の声があるのに強行された」。これに対する反対討論で民主党は「国民生活の不安解消は与野党共通の課題。与党はなぜ手をこまぬいているのか」と反論。決議案は野党の反対多数で否決された。
民主党輿石東参院議員会長は可決後、「景気対策放棄という麻生内閣の実像を見せてくれた」と記者団に語った。一方、自民党村田吉隆・国会対策筆頭副委員長は会見で「衆院で継続するに値しない」と述べた。4法案は衆院で否決する方針だ。
民主、社民、国民新の野党3党はこの日、「政府が言ってきたことでは対応できない」(直嶋正行民主党政調会長)と、中小企業や住宅ローンの借り手が返済期限延長などを求めた場合、金融機関ができるだけ応じるよう求める法案も参院に提出。昼には東京・有楽町で民主党議員らが街頭演説に立ち、「自民党は法律を来年出すというが、来年では間に合わない」と気勢をあげた。



天下りあっせん、首相が承認へ 監視委員空席で(朝日新聞 2008年12月19日(金))

各省の天下りあっせんを承認する再就職等監視委員会の委員が野党の反対で決まっていないため、政府は18日、麻生首相の権限で天下りを承認する方針を固めた。天下り承認の権限は法律上、首相が監視委に委任するとされていることから、監視委員が空席の場合、首相自身が権限を行使できると判断した。
政府は19日の閣議で、監視委員5人が空席のまま、監視委員会を31日に設置することを決定。あわせて天下りをあっせんする官民人材交流センターも立ち上げる。しかし、天下り全廃を掲げる民主党との間で新たな火種になりそうだ。
昨年の国家公務員法改正に基づき、天下りのあっせんは官民人材交流センターに一元化されることになった。ただ、3年間は移行措置として監視委が承認した場合に限って各省があっせんできることになっている。政府は監視委員の同意人事を今年の通常国会や今国会に提出したが、民主党などが「監視委の仕組みを認めれば『天下り』を認めることになる」として反対し、不同意。一人も決まっていない。



首相の天下り承認「官僚内閣そのもの」 民主・鳩山氏(朝日新聞 2008年12月19日(金))

民主党鳩山由紀夫幹事長は19日の記者会見で、各省の天下り麻生首相の権限で承認することにした政府方針について「『天下りをなくせ』という多くの国民の声を自ら否定するように、総理があっせん承認しようという話だ。法の規定に沿わない官僚内閣そのもの」と批判した。
本来、承認を担う再就職等監視委員会委員の国会同意人事民主党の反対で空席になっていることには「システムそのものに反対」と強調。民主党は、首相から監視委に承認権限を委任した法規定をとらえて「首相に権限はない」と解釈し、「脱法行為」として争点にすえる方針だ。



未就職の高校生を臨時職員に 雇用対策、福岡県が方針(朝日新聞 2008年12月19日(金))

福岡県は18日、就職できなかった県内の新卒高校生を4月1日から臨時職員として採用する方針を決め、具体的検討に入った。人数は未定。自動車産業を中心に派遣社員の契約打ち切りなどが進んでいる現状を踏まえ、介護や農業分野に再就職を誘導するための就職相談会も開催する。
方針は同日設置された緊急雇用対策本部(本部長・麻生渡知事)の初会合で示された。
県によると、未就職の新卒高校生の臨時職員採用については、就職氷河期といわれた03、04年度に各46人、45人を半年間、週4日勤務させ、残りの1日で就職活動をできるようにしていた例がある。
北九州市も、「雇い止め」にあった契約社員などへの対策の一環として、市内や市周辺の企業から契約解除された非正社員らに対し、市営住宅を安く提供する方向で検討している。提供は20戸程度になる見込みで、18日にも場所や家賃、賃貸期間などの詳細を固める。



ビートたけしに出馬要請? 麻生、都内で“極秘会談”(夕刊フジ - Yahoo! 2008年12月19日(金))

麻生太郎首相が18日夜、人気タレントのビートたけしと極秘に会談していたことが分かった。永田町では解散・総選挙も取りざたされているだけに、さまざまな憶測を呼んでいる。
麻生首相はこの日、午後7時半から、東京・赤坂の日本料理店「浅田」で開かれた、自民党古賀誠選対委員長らとつくる「士志の会」の会合に出席。
首相動静によると、この会合は約2時間で終了したが、その後も首相は約1時間ほど同店に滞在しており、この時間にたけしと会談していたとみられる。
会談の内容は明らかになっていないが、たけしは人気政治討論番組「ビートたけしのTVタックル」の司会を務めている。
それだけに、永田町では「毒舌で知られるたけしだが、国民的人気は衰えないまま。同じ毒舌の首相だけに、支持率アップ策などを伝授してもらったのではないか」、「解散・総選挙が近いだけに、たけしに出馬を打診したのでは」などとの観測が広がっている。



麻生内閣支持、17%に激減=「党首力」小沢氏が逆転−時事世論調査(時事通信 - Yahoo! 2008年12月19日(金))

時事通信社が12〜15日に実施した12月の世論調査によると、麻生内閣の支持率は16.7%と前月から22.1ポイントも激減、不支持は前月比28.2 ポイント増の64.7%に上昇した。「首相にふさわしい政治家」を問う質問でも、麻生太郎首相を挙げた人は23.9%にとどまり、34.8%の小沢一郎民主党代表に引き離された。内閣支持率が2割の大台を切ったことで、衆院解散・総選挙の時期や自民党内の「麻生離れ」の動きに影響を与えるのは必至。今後、首相は一段と厳しい政権運営を強いられる。
調査は、全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は66.3%だった。
政党支持率では、自民党は前月比5.2ポイント減の18.6%。一方、民主党も同0.9ポイント減らして13.4%にとどまり、同党が依然として自公政権に代わる受け皿になっていないことを示した。このほか、公明4.3%(同0.1ポイント増)、共産2.0%(同0.6ポイント増)、社民1.1%(同 0.3ポイント増)。支持政党なしの無党派層は、同6.0ポイント増えて58.2%となった。



国連総会:死刑停止決議案を採択 日本は昨年に続き反対(毎日新聞 2008年12月19日(金))

【ニューヨーク支局】国連総会は18日、死刑執行の一時停止などを求める決議案を賛成多数で採択した。決議採択は2年連続。日本は昨年に続き反対した。賛成国は昨年より2カ国増えた。
決議案は欧州連合(EU)やオーストラリア、イスラエルなどが提案した。賛成は106カ国。反対は日本や米国、中国など46カ国(昨年54カ国)、棄権は34カ国(同29カ国)だった。



在日米軍再編:経費、来年度予算案3.6倍に グアム移転事業本格化で(毎日新聞 2008年12月20日(土))

09年度予算案の在日米軍再編関連経費が約689億2000万円になることが、防衛省財務省の調整で19日固まった。06年5月の日米政府の合意(ロードマップ)に基づき、在沖縄米海兵隊のグアム移転に関する施設整備などの事業が09年度から本格化するため、今年度予算の約191億円から約3・6倍に膨らむ。
再編関連経費の内訳は▽グアムでの海兵隊施設建設予定地の敷地造成やアクセス道路整備などの事業費約346億円▽普天間飛行場キャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部への移設にかかわる隊舎工事費など約93億円▽米軍再編に協力する自治体に支払う再編交付金約91億円−−など。
グアム移転は、ロードマップで定めた2014年までの完了に向け、09年度が事業本格化の初年度に当たる。ただ、完了までに上限28億ドル(約2500億円)とされた日本側負担は、厳しい財政事情から今後も検討課題になりそうだ。
一方、普天間移設をめぐっては、沖縄県など地元側が代替施設の沖合移動を求めて政府との協議が難航しており、本格的な事業の予算計上は見送る。【松尾良】



自衛隊イラク派遣:支援活動終了 C130輸送機、帰還−−愛知・小牧基地(毎日新聞 2008年12月19日(金))

航空自衛隊によるイラク人道復興支援活動が終了したのを受け、クウェートを拠点にイラク国内に人員や物資を輸送していたC130輸送機3機のうち最初の1機(原田範朗機長)が19日、所属する愛知県小牧市小牧基地に帰還した。基地では、クルーの家族や隊員約800人が出迎えた。
C130輸送機は沖縄で入国手続きを終え、午前11時41分、基地に隣接する県営名古屋空港(同県豊山町)に着陸し、そのまま基地に入った。機を降りたクルーら13人は、約4カ月ぶりに出迎えの家族と再会し、無事の帰国を喜び合った。原田機長は、出迎えの石野次男基地司令らに「任務を終え、帰国しました」と報告した。
04年から始まった支援活動は、C130輸送機による空輸が821回にのぼり、多国籍軍兵士や国連関係者など約4万6500人、物資約673トンを輸送した。派遣隊員は延べ約3500人。12月12日にすべての任務を終了し、撤収が始まった。
残り2機は順次、クウェートに残っている派遣隊員約150人は来週中に帰国する。【花井武人】



次期戦闘機見送り、F15改修対象拡大へ 政府安保会議(朝日新聞 2008年12月20日(土))

政府は20日の安全保障会議で、中期防衛力整備計画(05〜09年度)を見直し、次期主力戦闘機(FX)7機の調達を見送るとともに、それを補うため、現在の主力戦闘機F15の能力を向上させる改修対象を26機から48機に増やすことを決めた。
FXの機種選定で有力候補だった米国製ステルス戦闘機F22ラプターの禁輸解除の見通しが立たないため。FX調達は次期中期防(10〜14年度)に先送りされる。中期防には改修に伴うF15の38機分のレーダー部品の購入も盛り込まれた。



「霞が関を壊して」橋下知事、キアヌ・リーブス氏に(朝日新聞 2008年12月20日(土))

ハリウッド俳優のキアヌ・リーブスさんが19日、大阪府庁で橋下徹知事と対談した。人類滅亡を宣告にやってくる宇宙人役で主演した映画のPRで来日した。
お忍びで何度も大阪を訪れているというリーブスさんが「大阪は照明が素晴らしい」と持ち上げると、御堂筋などのイルミネーションに力を入れる橋下知事は大喜び。
町を破壊するシーンもある映画にかけて「霞が関を一番壊してほしい」という橋下知事の依頼に、リーブスさんは「知事にお任せします」と切り返して笑いを誘った。



訃報:上田哲さん死去、80歳…NHK記者から社会党議員(毎日新聞 2008年12月20日(土))

社会党衆院議員の上田哲(うえだ・てつ)さんが17日午後7時23分、肺炎のため死去した。80歳。親族だけで密葬を行う。「お別れの会」を予定しているが、日時、場所は未定。喪主は長女山口久美子(やまぐち・くみこ)さん。
東京生まれ。滋賀県で県立高校教師をする傍ら、京都大を卒業。NHK社会部記者としてポリオ根絶のため生ワクチンの投与を求めるテレビキャンペーンを展開。映画「われ一粒の麦なれど」のモデルになった。その後、NHK労組委員長も務めた。68年の参院選全国区で100万票を超す得票で初当選。2期務めた後に衆院(旧東京2区)に転じ、当選5回。86年に土井たか子氏、91年には田辺誠氏と党委員長選挙を戦い、敗れた。
議員時代は外交・防衛問題を中心とした党の「花形弁士」で、故田中角栄元首相を「上田哲の質問が一番困る」とうならせたエピソードで知られる。
93年に落選後、社会党の連立政権入りなどを批判して離党。「護憲新党あかつき」を結成し、委員長に就任した。その後、東京都知事選や衆院選参院選に出馬したがいずれも落選した。
社会党」再建を試みたり、「老人党・東京」で候補者アンケートを実施。1000ページに及ぶ「戦後60年軍拡史」を06年に著すなど、晩年まで政治への意欲を示し続けた。【佐藤丈一】



国と地方の借金総額は800兆円に、先進国で最悪(読売新聞 2008年12月20日(土))

2009年度末に、国と地方が抱える借金の総額が800兆円の大台を突破することが確実になった。
財務省が20日発表した09年度の国債発行計画によると、過去に発行した国債の借り換えを含む国債発行総額が132兆2854億円で、08年度当初予算と比べて5兆9954億円増えた。
国債の発行総額が前年度を上回るのは4年ぶりだ。09年度末の国債発行残高は約581兆円で、08年度末と比べて約18兆円増える見通し。この結果、国と地方を合わせた借金の総額である長期債務残高は09年度末で804兆円を超える。国内総生産(GDP=約510兆円)の1・6倍に上る巨額の借金で、国民1人当たりに換算すると約455万円に達し、日本の財政は先進国で最悪だ。
発行総額の内訳は、借り換え分が1兆5506億円減の90兆9914億円、新たな借金となる新規国債の発行額が約8兆円増えて、33兆2940億円と、当初段階で30兆円を上回るのは4年ぶりだ。このほか、財投債を4000億円減の8兆円発行する。



高校生内定取り消し76人、さらに悪化のおそれも(読売新聞 2008年12月20日(土))

9月から採用試験が解禁された高校生の就職活動で、いったん内定を得たのに、景気悪化の影響で取り消しを通告されるケースが相次いでいることが19日、「日本高等学校教職員組合(日高教)」の調査でわかった。
取り消しにならないまでも、来年4月からの自宅待機をすでに命じられている生徒もいる。日高教が把握している内定取り消し者は、全国で76人。厚生労働省が先月25日時点で調査した29人を大きく上回り、1か月もたたないうちに高卒予定者の就職戦線が悪化している現状が浮き彫りになった。
日高教は今月11日、27道府県の地方組織に調査を依頼し、19日時点で内定が取り消された生徒の数をまとめたほか、地方組織のない20都県については、教育委員会や労働局の発表をもとに集計した。それによると、高卒予定者が内定取り消しになったのは長崎県が12人で最も多く、岡山県11人、鹿児島県9人、山形県8人と続いている。
このうち愛知県では、自動車部品工場から内定を受けていた生徒が今月になって、突然、「4月からラインが止まるので、やむを得ず内定を取り消す」と通告された。この生徒は、再び就職活動を始めたが、景気悪化の影響で高校生の求人が激減しており、希望の職種は見つからないままだという。同県では、まだ就職していないにもかかわらず、「4月から自宅待機をしてくれ」と会社側から命じられた生徒もいた。
山形県では、生徒が採用試験を受けた後、合否の連絡がなかなか来なかったため、会社に問い合わせたところ、いつの間にか求人票が取り下げられ、求人自体がなかったことになっていたという。静岡県では事務職から販売職への変更を打診された生徒が断ったところ、「内定を辞退したことにしてくれ」と一方的に言われたケースもあった。
文部科学省によると、来春卒業予定の高校生の就職内定状況(10月末時点)は前年同期比0・6ポイント減の66・8%で、6年ぶりの減少。日高教によると、現場の教諭からは「今後、さらに内定取り消しが増加するおそれがある」という声が相次いで寄せられているという。
日高教の藤田新一書記長は「社会に踏み出す第一歩の所で生徒たちを失業者にしていいのか。企業は、内定を取り消すことの重大さをもっと考えてほしい」と訴えている。



骨髄移植、2月以降の実施困難に…医療機器の在庫不足で(読売新聞 2008年12月20日(土))

国内の骨髄移植の9割以上で利用されている米バクスター社製の医療器具が在庫不足となり、来年2月以降の移植が一時的に難しくなる可能性が出ていることが19日、わかった。
新工場の稼働開始の遅れが原因。毎月百数十件ずつ実施されている国内の骨髄移植手術に支障が出る恐れもあるため、厚生労働省は22日、器具を輸入・販売する日本法人「バクスター」(東京都中央区)の担当者を呼び、調査に乗り出す。
問題になっているのは、骨髄液の採取、濾過(ろか)に使う器具で、骨髄を移植された患者に血栓ができるのを防ぐのに欠かせない。
バクスター社は、この器具の製造部門を昨年3月、投資グループに売却し、米国内の工場も閉鎖。日本法人は在庫が切れる来年1月末以降、器具の製造を引き継いだ別会社の中米ドミニカ工場から輸入する予定だったが、品質・安全確認の遅れで、工場の稼働開始が3月以降にずれ込み、供給が途切れる見通しになった。