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シチズン夕張、派遣29人解雇へ 寮から退去要請も(朝日新聞 2008年12月22日(月))

北海道夕張市に本社工場を置くシチズン時計グループのシチズン夕張は、派遣社員29人の契約解除を決めた。これを受けて派遣会社も来年1月中の解雇を通知した。財政再建団体の同市では誘致企業も雇用機会も少なく、派遣社員らは年末になっての突然の解雇通知に途方に暮れている。
シチズン夕張は84年に設立され、腕時計の歯車など精密部品の加工・製造を手がけている。今年10月には、3億円以上をかけて新工場を完成させ、電子部品の増産態勢を整えたばかりだった。
関係者によると、11月ごろから金融危機の影響が深刻化し、受注が大幅に減少。生産を縮小してきたが、対応しきれず、従業員224人中64人の派遣社員のうち、派遣大手の日総工産横浜市)の11人、日研総業(東京都大田区)の8人は今月初め、1月9日付で解雇を通告された。19日にはさらに両社の10人の派遣社員が1カ月後の解雇を通告されたという。
解雇を通告された中村繁夫さん(38)は、今年10月に1年契約で更新されたばかり。市内の自宅で高齢の両親を養っており、「派遣元からは同条件で道東の食品会社を紹介すると言われたが、単身で転居することなどできない」と21日、地元の夕張労働組合総連合の労働相談を訪れた。
解雇通告を受けた人の中には入寮者もおり、退去要請を受けているという。(本田雅和



来春の花粉「西高北低」 近畿地方は「非常に多い」(朝日新聞 2008年12月22日(月))

来春の花粉は、今年に比べて東日本や西日本で多く、北日本で少ない。気象情報会社が日照時間や花芽の成長から、飛散予測をまとめた。
日本気象協会は、この夏の平均気温や降水量などと過去の飛散状況を基に予測。平均気温の低かった東北や北海道は今年に比べると少ない。平均気温が高く、降水量が少なかった南関東から西日本は今年より多いという。近畿地方では、スギやヒノキの花芽の成長が早く、「非常に多い」とみる。
ウェザーニューズ社は、6〜9月の日照時間を重視しながら最高気温や降水量と合わせて予測した。北日本で少なく、東日本―西日本で多いという。これまでの分析で、花粉は晴れた日に多く飛ぶ傾向があるが、「高気圧に覆われた晴れ」の日の方が、「西高東低の冬型の気圧配置の日の晴れ」よりも深夜まで飛んでいる傾向があるという。
同社は毎春、携帯電話サイトの利用者らに花粉観測機「ポールンロボ」を貸し出している。軒下などに設置して、花粉の飛散数とともに気温、湿度、気圧を観測。全国各地の観測データとその日の症状をインターネット経由で送ってもらっている。来春はこれまでの2.5倍の500台を使って観測し、気象条件と花粉症の関係を分析する。



たばこが原因で死亡、年間20万人 対策に増税必要?(朝日新聞 2008年12月22日(月 ))

たばこが原因で病気になり、死亡する人は、年間20万人近くにのぼるとみられることが、厚生労働省研究班(主任研究者=祖父江友孝・国立がんセンター部長)の調査でわかった。研究班は「健康対策として、増税を含めたたばこ対策がもっと必要だ」と指摘している。
国内の四つの疫学調査データを解析した。80〜90年代に40〜79歳の男女約29万7千人に喫煙習慣などを尋ね、約10年間追跡。2万5700人が死亡していた。喫煙率は男性54%、女性8%。
たばこを吸っていて病気で亡くなるリスクを、吸わない人と比べると、男性では(1)消化性潰瘍(かいよう)(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)7.1倍(2)喉頭(こうとう)がん5.5倍(3)肺がん4.8倍(4)くも膜下出血2.3倍。女性では(1)肺がん3.9倍(2)慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)3.6倍(3)心筋梗塞(こうそく)3倍(4)子宮頸(けい)がん2.3倍などだった。
また、過去に喫煙歴がある人も含めると、男性のうち27.8%、女性の6.7%が、たばこに関連した病気で死亡していた。
こうしたデータをもとに、05年の死亡統計にあてはめて計算すると、年間死亡者108万4千人のうち、たばこ関連の死亡者は男性16万3千人、女性3万3千人。05年時点の喫煙率は男性39%、女性11%のため、たばこに関連した病気になり死亡する人は今後、男性で減り、女性で増えると予想される。
解析の中心となった同センターの片野田耕太・がん対策情報センター研究員は「増税のほか禁煙治療をもっと広めるなど、総合的な対策を進める必要がある」と話している。(田村建二)



内定取り消しで留年、青学大が授業料減額へ(朝日新聞 2008年12月22日(月))

青山学院大は、企業から内定を取り消された学生が、単位などの卒業要件を満たしていながら留年を希望した場合、授業料を減額する方針を決めた。就職には新卒が有利とされるため「もう一度新卒として活動したい」という学生を支援する。来春から1年間だけの特別措置という。
これまでも不足単位がごく少ない学生には、授業料の半額近くを免除してきたが、減額幅をさらに広げる。具体的な額は検討中。同大では卒業要件を満たしていると、たとえ希望しても留年できないが、特別に在学を認める。上倉功進路・就職センター事務部長は「学生の経済的負担を極力軽くしたい。留年のために故意に単位を落とす必要もなくなった」と話す。
内定取り消しにあった同大の学生は、大学側が把握しているだけで8人。うち7人は経営破綻(はたん)、1人は「業績不振」が理由だった。半数以上が就職活動を再開している。(古知朋子)



「なんで自分がホームレスに」 派遣切り、急増の年末(朝日新聞 2008年12月22日(月))

最低気温が3度台まで下がった11月下旬の週末。買い物客でごった返す名古屋駅前で、大きな荷物を抱えた女性2人が立ちつくしていた。
自動車部品工場を20日ほど前に解雇され、寮を追われた沖縄県出身の女性(46)と、寮で同室だった鹿児島県出身の友人(48)。
電球100万個のイルミネーションが2人を照らす。女性は目の前にそびえる高層ビルを見上げている。トヨタ自動車の営業部隊が入る高さ247メートルの「ミッドランドスクエア」。07年春に全面開業した。その年、トヨタの生産台数は世界一に躍り出た。
あの絶頂期からわずか1年半。世界的な経済危機で、トヨタは赤字の瀬戸際にまで追い込まれた。減産の波は下請け、孫請けへと広がる。市街の炊き出しの列には20〜40代の働き盛りが目立ち始めた。
女性も今夏まで数カ月間、トヨタの工場で請負社員として働いた。内装部品の組み付けは重労働だった。ある日、せきが止まらなくなった。肋骨(ろっこつ)にヒビが入っていたことがわかり、職場を変えた。
「あのトヨタがこんなに景気が悪くなるなんて」
風が強くなり、女性はしわが目立ち始めたコートの襟を立てた。「夜、屋根のないところでじっとしてるとね。なんで自分がこんな目にって考えちゃう。悔しいよね」

3年前の秋。女性は那覇市のバスターミナルにいた。人材派遣会社の面接会場だ。夫の暴力で離婚、小さな子どもが2人いた。沖縄では月10万円も稼げない。子どもを施設に預け、出稼ぎに行くと決めた。求人誌は、東海地方の製造現場の仕事で埋まっていた。簡単な面接で採用が決まり、そのまま人材会社から旅費を受け取って愛知に向かった。
最初の職場はペットボトル工場。1日10時間以上、休日返上で働き、給料は月30万円近くになった。子どもには月3万円、季節の変わり目には洋服を送った。
3カ月〜1年の契約期間ごとに電機や自動車の部品工場を転々とした。会社の都合で解雇されても、別の寮付きの仕事がすぐ見つかった。ただ、待遇は徐々に悪化。トヨタの後、8月から請負で働いていた自動車部品工場では手取り月10万円だった。
トヨタ三菱自動車の減産で、この3次下請けの工場も人が余ってきた。工場の会議室に呼ばれたのは10月20日過ぎ。「すみませんが、今月いっぱいでお願いします」。まだ契約期間は残っていたが、「この状況では仕事はない」。
さっそく次の職場を探したが、寮付きの仕事はもう皆無だった。数日後、追い打ちをかける通告があった。「別の人が入るので、31日午後4時までに寮を出ていって」
元夫が訪ねてくるかもしれないので実家には帰れない。所持金は8万円。駅前のベンチで夜を明かそうとしたが、南国育ちの身に寒さがこたえた。一晩1680円のマンガ喫茶に飛び込んだ。
お金が尽きると、ゲームセンターで閉店まで寒さをしのぎ、その後は広い多目的トイレに毛布を敷いて夜明けを待った。

ボランティアの助けで区役所に相談に行き、2人は12月から名古屋市の施設に入ることになった。「やっとお風呂に入れる」。友人は笑みをこぼした。だが、女性は仕事が見つからなければ子どもの健康保険料も払えない。不安げな表情は変わらない。
輸出増に沸き、人材会社を通じて全国から働き手を吸い寄せた愛知県。雇用者数はこの5年間で20万人以上膨らんだ。それが今、猛烈な勢いで縮んでいる。
派遣切り、即ホームレス。非正規労働者の解雇は、年末にかけてピークを迎える。(江渕崇、兼田徳幸)



「派遣切り」豊田市が救済へ 臨時職員100人採用検討(朝日新聞 2008年12月22日(月))

トヨタ自動車が本社を置く愛知県豊田市は、同社の業績悪化などの影響を受けて職を失った非正規労働者を市の臨時職員として雇用する方針を固めた。来年1月中旬以降に実施したい考えで、100人前後の採用を検討している。
急速な景気の低迷を受け、トヨタ自動車はピークの05年6月に約1万1600人いた期間従業員を、来年3月末までに3千人に減らす予定。系列の部品メーカーでも人員削減の動きが進んでいる。こうした状況を受け、契約打ち切りなどで失職した派遣労働者らを支援することにした。
約100人の臨時雇用を目指すが、規模については、不透明な部分もある。市議会12月定例会に異例の一般会計減額補正予算案を提出するなど、市の財政状況自体がすでに悪化しつつあることに加え、臨時雇用者向けにどのような仕事を創出できるかも固まっていないためだ。
02〜04年度に国の緊急地域雇用創出事業で臨時職員を採用した際には、市の出先機関の資料整理や林業トロールなどの仕事を確保したが、今回は年度途中に突然の雇用創出を迫られるため、各部局とも頭を悩ませている。
地方自治体による労働者救済の動きは、大分キヤノン非正規社員の大量削減などで職を失った人を、大分市が臨時職員として採用するなど、全国に広がりつつある。



ゲーム機のコイン返却口、指入れたら切断 奈良の2歳児(朝日新聞 2008年12月21日(日))

21日午後2時15分ごろ、奈良県香芝市畑3丁目の衣料品店ファッションセンターしまむら香芝店」1階のゲーム機コーナーで、同県大和高田市内の男児(2)がゲーム機のコイン返却口に手を入れ、左人さし指を切断された。香芝署が同日、発表した。男児は病院で縫合手術をしたが、3カ月の重傷。
同署によると、男児はこの日、母(32)ら家族4人で店を訪れ、キャラクターが対戦するテレビゲーム機(高さ160センチ、幅60センチ、奥行き90センチ)で遊んでいた。男児がゲーム機の下方部にあるコイン返却口(縦、横各3センチ、奥行き7センチ)に左人さし指を入れたところ、第1関節付近から切断されたらしい。返却口には内側に入り込む金属製のふたがついていて、指は、このふた部分に挟まって切れたとみられる。
同店がゲーム機のレンタル業者に確認したところ、同様の事故は報告されていないという。同署がゲーム機を任意で回収して詳しい原因を調べている。



ジョンと歩むヨーコさん、途上国に学校 8年で85校に(朝日新聞 2008年12月21日(日))

アーティストのオノ・ヨーコさんが、アジア、アフリカに小中学校を建設するためのチャリティーコンサートを続けている。夫のジョン・レノンの命日にあたる今月8日も「ジョン・レノン スーパー・ライブ2008」を日本武道館で開いた。プレゼントした学校は22カ国、85校になる。
8日のコンサートでは、絢香奥田民生、ゆずら15組22人がレノンの曲を歌った。最後は全員で歌う「イマジン」。チケットの売上金でフィリピン、ベトナムエチオピアなどの7カ国に10校を建設する予定だ。
ユニセフ(国連児童基金)によると、小学校に行けない子どもは世界で9300万人いる。オノさんは「親を亡くしたり、家を失ったりした子どもがたくさんいる。あまりにも不公平で、助けなければという強い気持ちからでした。食料は食べたらそれっきり。でも教育は身につければ一生のもの」と学校建設という支援を選んだ。
第1回のコンサートは01年。米国で同時多発テロが起き、アフガニスタン空爆が始まった翌日の開催だった。5回目以降、チケットは発売と同時に完売する人気で、今回も1万3千枚を用意し、すぐに売り切れた。「世界が平和になるまでこのコンサートを続けたい」という。
「今、世界は経済ショックで絶望的になっている。だからこそ、美しい夢をみんなで見て、世界を明るくすることが大事なのです」
世界中のみんなが幸福に、と願うオノさんの夢は大きい。でも「私の夢は案外早くかなうかも」とほほえむ。「みんな戦争に嫌気がさしているでしょう。戦争して傷つけあうより、平和に暮らす方が楽だってわかってきたんじゃない?」
現在75歳、世界を飛び回る日々が続く。「愛のもてないことをする時間は私にはない。愛していることをする。それが一番体にいいのよ」



裁判員候補3人、制度反対訴え実名会見「裁きたくない」(朝日新聞 2008年12月21日(日))

弁護士や学者らが呼びかけてできた団体「裁判員制度はいらない!大運動」が20日、東京都内で、制度への疑問などから裁判員になりたくないと主張する裁判員候補者3人の記者会見を開いた。いずれも60代の男性で、実名を公表して「人を裁きたくない」「制度そのものを廃止して欲しい」などと訴えた。
会見に参加したのは東京都内の会社員(65)と千葉県内の元教員(65)、ITコンサルタント(63)。11月末に最高裁が候補者に発送した通知を受け取ったという。
会社員は「人は裁かないという信条を持っており、裁判所から呼ばれても裁判員になることは拒否する」。元教員は「通知はそのまま最高裁に送り返した。残りの人生はつつましく暮らしたいと思っており、いまさら人を裁いて嫌な気持ちを抱いてあの世に行きたくない」と話した。
また、ITコンサルタントは「法律の目的も理解できず、国会で真剣に議論されたかも疑問だ」と語った。
裁判員法は裁判員やその候補者について、名前や個人を特定する情報を公開してはならないと定めているが、罰則規定はない。「大運動」事務局長の佐藤和利弁護士は「私たちは制度自体が違憲だと思っており、あえて候補者が実名で会見することで制度廃止を求める声を表に出したいと考えた」と説明した。(中井大助)



宮城・栗原などで震度3 別の震源、立て続け(朝日新聞 2008年12月20日(土))

20日午後7時29分ごろ、関東東方沖を震源とする地震があり、宮城県栗原市福島県郡山市などで震度3を観測した。気象庁によると、震源の深さはごく浅く、地震の規模はマグニチュード6.5と推定される。
午後7時55分ごろにも、宮城県北部を震源とする地震があり、栗原市で震度3を観測した。震源の深さは約10キロで、規模はマグニチュード4.0と推定される。



中期プログラム22日与党合意 消費増税「3年後」明記(朝日新聞 2008年12月22日(月))

自民、公明両党は21日、消費増税などの道筋を示す「中期プログラム」の与党プロジェクトチーム(PT)の幹部会合を開き、22日に幹事長・政調会長会談を開いて与党合意を目指すことで一致した。麻生首相のこだわる消費増税の時期について、「3年後」は明記される方向だ。
政府原案は「経済状況の好転後に消費税を含む税制抜本改革を11年度(3年後)より実施」とした。これに対し、公明党は景気回復の道筋に重点をおくべきだとして「11年度までに経済状況を好転させた後、消費税を含む税制抜本改革を実施」とする案を提示。会合では「3年後」は残しつつ、原案の一部を修正する方針を確認した。
また、消費増税で確保した財源の使い道として、年金の最低保障額の引き上げや医療・介護従事者の報酬増、子育て支援の拡充など、社会保障制度の機能強化に重点的に充てることでも一致。こうした内容をプログラムにも盛り込む方向で調整する。



「日中戦争なら核報復を」 佐藤首相、65年訪米時に(朝日新聞 2008年12月21日(日))

1965年1月に訪米した当時の佐藤栄作首相がマクナマラ国防長官との会談で、その3カ月前に中国が初めて実施した核実験をめぐり「(日中で)戦争になれば、米国が直ちに核による報復を行うことを期待している」と表明、核戦争を容認していた様子が、22日付で外務省が公開した外交文書で明らかになった。
長官との会談は1月13日に行われた。前年10月に実施された中国の核実験をめぐり、長官が「今後2〜3年でどう発展するか注目に値する。日本は今後、核兵器の開発をやるのかやらないのか」と迫ったのに対し、首相は「日本は核兵器の所有、使用はあくまで反対」と米国の「核の傘」の下にいる立場を強調した。
続いて首相は「核兵器の持ち込みとなれば、これは安保条約で規定されており、陸上への持ち込みについては発言に気をつけて頂きたい」と断ったうえで「(中国との)戦争になれば話は別で、米国が直ちに核兵器による報復を行うことを期待している。その際、陸上に核兵器用施設をつくることは簡単ではないが、洋上のものならば直ちに発動できると思う」と述べた。長官は「なんら技術的な問題はない」と応じた。
このやりとりは、60年1月の日米安全保障条約改正時の密約が前提にあるとみられる。「洋上」は艦船を指し、核を搭載した米艦船の寄港は、密約によって日米間の事前協議が不要とされていた。
一方、その前日のジョンソン大統領との会談では、首相が「中共(中国)の核武装にかかわらず、日本は核武装は行わず、米国との安全保障条約に依存するほかない。米国があくまで日本を守るとの保証を得たい」と求め、大統領は「保証する」と述べた。
この会談で首相が「中共が核を持つなら日本も持つべきだと考える」と発言したことが98年、米国の公文書で明らかになっている。今回公開された外交文書でこの発言は確認できなかった。
ただ、マクナマラ長官に対しては「技術的にはもちろん核爆弾をつくれないことはない」「宇宙開発のためのロケットを生産している。これは必要があれば軍用に使うことができる」と発言している。
「日本は核武装できる」としながら「核武装せず米国に期待する」と表明した佐藤氏はその後、「非核三原則」などが評価され、74年にノーベル平和賞を受賞した。(石塚広志、稲田信司)

米国在住のマクナマラ元国防長官(92)は、朝日新聞の電話取材に応じた。65年1月13日付の佐藤首相との会談録にある日本の核軍備への言及の真意について「中国の核実験に対し、日本がどう反応するか懸念を抱いていた。日本が軍拡競争に巻き込まれていたら核が地域に拡散していたと思う」と述べた。
また、日中が戦争に陥った場合に米国に核による報復を首相が求めた点については「発言は確認できない」としながら、「中国の核開発に脅威を感じ、米国が日本を守るという確約を得たかったのではないか。中国にも米国の核抑止力を知ってほしいと思っていたのかもしれない」と語った。

〈菅英輝・西南女学院大教授(日米外交史)の話〉佐藤首相は「核は戦争を避けるため」という建前を超え、「核で報復を」と踏み込んだ。当時の国内世論のもとでこうした発言が表面化すれば、政権は吹っ飛ぶ可能性すらあった。米国が日本の核武装を懸念していることを佐藤首相はよく知っており、相手に警戒心を持たせる意図で核武装をほのめかしている。中国の核保有が現実となっていく中で、より確実な安全保障を取りつけるための外交カードの意味合いが強い。

〈核持ち込みをめぐる日米密約〉60年1月の日米安保条約改正時に、日本国内での核兵器貯蔵・配備は日米間の事前協議が必要としたが、秘密合意で核兵器を積んだ米艦船の寄港、航空機の領空の一時通過などの場合、事前協議は不要とした。00年に米政府の公文書で明るみに出た。日本政府は密約の存在を否定している。

外務省は22日付で、60年代を中心とする外交文書を公開した。76年から始まった公開の21回目となる今回は、日本の首相訪米▽国連への各国加盟状況▽核実験停止会議、などに関する資料がある。22日から東京・麻布台の外交史料館で閲覧できる。



消費税「2015年までにプラス5%」 与謝野経財相(朝日新聞 2008年12月21日(日))

与謝野経済財政相は21日のテレビ朝日の番組で、消費税率の引き上げ幅について「(プラス)5%まで段階的に実施していく」と述べた。政府が閣議決定する社会保障と税財政の将来像を示す「中期プログラム」では引き上げ幅は示さないが、2015年度時点で税率10%を目指す考えを示したものだ。
中期プログラムの政府原案では「経済状況の好転後、消費税を含む税制抜本改革を11年度より実施し、15年度までに段階的に行う」と記されている。
引き上げ手順について、与謝野氏は「緩やかに1%ずつという説も、2%上げて後で3%上げた方がいいという説もある。いきなり11年に5%というのは、経済に対するショックが大きい」と指摘。「25年時点を考えれば、その世代の人たちはもう一度考えないといけない」とも語り、将来的にさらに引き上げが必要となる可能性を示唆した。
一方、自民党中川秀直元幹事長は同じ番組で、政府原案をめぐり「経済回復をするまで増税しません、とは書いてない。庶民の景気実感としてはデフレ不況で、そこで増税したら風邪をひいている人に冷や水を浴びせるようなものだ。デフレ下での増税は失敗する」と、11年度からの引き上げに疑問を示した。



「自民党内で独自の政策ビジョン」 中川秀・元幹事長(朝日新聞 2008年12月21日(日))

自民党中川秀直元幹事長は21日、大分市内で講演し、政界再編について「数合わせの大連立や、生き残りのための新党は国民の理解を得られない。自民党内で30年先の日本を描くビジョンの旗を立て、後は天命に従って動く」と述べた。総選挙後の再編につながる新たな政策ビジョンを党内で独自に打ち出し、総選挙に臨む考えを示したものだ。
中川氏は政策ビジョンについて「小泉改革の市場活性化は避けて通れなかった。民主党の小沢代表は『大きすぎる政府』に戻す政策で、与党の一部にもいる。我々は、政府と市場の向こうにいる地域社会という第三極を元気にする政策をやる」と述べた。



説明なき政策転換、「景気の麻生」迫力欠く 財務省原案(朝日新聞 2008年12月21日(日))

麻生首相は09年度政府予算の財務省原案で、景気対策重視にかじを切った。一般会計総額は当初予算で過去最大。国債発行も膨らみ、概算要求基準(シーリング)は事実上崩壊した。ただ、小泉政権以来の財政再建路線からの転換に説明もないため、首相が打ち出した景気対策はメッセージ性が乏しく、迫力を欠いたものになった。
首相は20日の閣議で、「100年に1度の危機的な世界の金融経済情勢の中で、国民生活と日本経済を守る強い決意が表れた極めて重要な予算だ」と訴えた。河村官房長官は記者会見で、「生活経済防衛予算」と命名した。
元々、財政出動に積極的な首相は当初、財政再建路線の明確な転換を模索。社会保障費の2200億円抑制や公共事業費の3%削減を定めた「骨太の方針06」について、森元首相に電話し、「撤回を宣言しようと思う」。就任前の7月に決まったシーリングについても「撤回したい」と漏らした。森氏は「安倍、福田政権で続けてきたことに引きずられる必要はない」と応じた。
しかし、財政再建路線の転換を明言すれば「改革後退」と批判され、自民党内の亀裂も生みかねない。内閣支持率が低下し、政権が弱体化する中、「撤回宣言」は封印。3日に閣議決定した予算編成方針では「状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行う」と明記する一方、党内の亀裂と世論の批判に対する懸念もあり、「シーリング維持」と言い張るという、わかりにくい「二正面作戦」をとらざるを得なかった。
その結果、予算編成は財務省による帳尻合わせに終始。2200億円抑制の財源は、当初当てにしたたばこ増税がかなわず、安定財源とは言えない「埋蔵金」でしのいだ。基礎年金の国庫負担でも2分の1への引き上げ時期をめぐって二転三転し、結局、必要な約2兆3千億円は埋蔵金で賄うことに。実態としてシーリングは崩壊した。20日閣議決定した08年度2次補正予算案を抜け道に使う手法も目立った。
確かに補正では「麻生カラー」がにじむ。信用保証協会の緊急信用保証枠の6兆円から20兆円への拡大は、経営者出身の首相が重視する中小企業への貸し渋り対策につながる。政府による銀行保有株式の買い取りでは20兆円を手当て。首相周辺は「インフレを起こしかねないほど思い切った対策」と強調する。
首相は09年度予算案で残る3330億円の重点化枠の配分を自ら決定。予算案を閣議決定する24日に記者会見し、国民に「首相主導」をアピールする予定だ。しかし、路線転換を宣言して国民の理解を得る説明をするというプロセスを欠いた今回の予算編成からは、首相の思いほど大胆なメッセージは伝わってこない。(田伏潤)



09年度財投計画、10年ぶり増額 地方向け資金膨らむ(朝日新聞 2008年12月20日(土))

財務省は20日、09年度の財政投融資計画を発表した。総額は前年度の当初計画比14.4%増の15兆8632億円で、10年ぶりの増額。景気悪化を受け、企業の資金繰り支援や地方自治体の地方税収減を穴埋めするため、政府系金融機関自治体への資金供給が膨らんだ。
日本政策金融公庫への資金供給は前年当初比53.1%増の6兆3866億円。同公庫の貸付資金を拡充し、資金繰りに窮する企業を支援する狙いだ。財投計画の規模は政府系金融機関の再編などで削減が続いてきた。総額は増えたが、ピーク時(96年度)の約4割の水準。(松村愛)



09年度予算、家計なら…月収9万円減でも大盤振る舞い(朝日新聞 2008年12月20日(土))

日本の財政を、平均的なサラリーマン世帯「太郎さん一家」に置き換えると――。
太郎さんが勤める「日本株式会社」は、取引先(米国)の経営危機の影響で業績が悪化し、毎月の収入(税収)が前年より9万円も減った。でも、一家には支出がかさむ事情が目白押しだ。
しのびよる危機への備え(経済緊急対応予備費)などで生活費(一般歳出)は5万円も増加。田舎の親族の生活も苦しいからと仕送り(地方交付税など)も1万円増。世間体(選挙)を気にしたのか、大盤振る舞いだ。
一方、町内会の奉仕活動(海外無償資金協力と技術協力)は3400円。美化活動(環境省所管予算)も2400円。ご近所(国際社会)から後ろ指を指されそうだ。
代々、浪費癖のある一家。借金(国債残高)は実に約8千万円。元利払い(国債費)の負担で月収ではやりくりできず、新たな借金(新規国債)を繰り返してきた。
それでも3代前の純一郎さん以降、「浪費と新たな借金は抑える」と約束し、我慢してきたが、今年は裏庭に隠してきた先祖代々のお金(埋蔵金)まで掘り返す始末だ。明日のため、子どもに投資すべきなのだが、教育費(文科省所管予算)は6万円だけ。目の前の収支合わせに追われる。(神谷毅)



「強行採決ではなく迅速採決」 参院議長、民主党を擁護(朝日新聞 2008年12月20日(土))

江田五月参院議長が20日、岡山県井原市で講演し、民主党参院で雇用対策4法案の採決を強行したことについて、「迅速採決とは言えるかもしれないが、強行採決とかいう話じゃない。(会期末の)25日までわずかしかない。だから急いで採決して国を督励して行動させようとやった」と述べ、採決を主導した同党の対応を擁護した。
江田氏は「(与党は)『暴挙』『野党のパフォーマンス』と言うが、野党にパフォーマンス以上のことを求められるか。野党も肩に力が入りすぎているかもしれないが、根本的にはもう一歩与党が出てきてほしい」とも語った。



衆院解散要求決議案 小沢代表、与党内の賛同に期待(朝日新聞 2008年12月20日(土))

民主党の小沢代表は20日、同党が会期末に提出する衆院解散要求決議案について、「自民党の中でも早く総選挙を実施すべきだという正論があることは事実だ」と指摘し、採決の際、与党から賛同者が出ることに期待感を示した。前橋市で記者団の質問に答えた。
小沢氏は「どうせ何もしないでダラダラしているなら早く選挙をして、国民の支持を得た政権が思い切った政策を実行することを大多数の人は望んでいる。雇用対策を政府・与党が否定するなら、もう早く選挙をやろうという趣旨だ」とも説明した。
09年度政府予算の財務省原案については「各省庁の積み上げを前提にして、お金がないないと言っている。私どもが政権を取ったら、国民のためにどういう政策を実行したいのかの優先順位に従い、予算編成を根本から変える」と批判した。



自民国対委員長「解散ない」 予算の年度内成立期す(朝日新聞 2008年12月20日(土))

自民党大島理森国会対策委員長は20日、青森県十和田市で講演し、定額給付金を盛り込んだ08年度第2次補正予算案を1月中旬、09年度予算案を2月上・中旬にそれぞれ衆院を通過させ、ともに年度内に成立させたいとの考えを示した。大島氏は「使える手段はすべて使う。解散はしない」と述べ、予算関連法案は衆院で与党の「3分の2」によって再可決する構えもみせた。
政府・与党は、補正予算案は通常国会冒頭の来年1月5日、予算案は同月19日をめどに提出する方針だ。



定額給付金、年齢算定の基準日は2月1日に 総務省通知(朝日新聞 2008年12月20日(土))

政府の第2次補正予算案に盛り込まれた総額2兆円規模の定額給付金について、総務省は20日、年齢算定の基準日を09年2月1日にすることを決め、市町村に通知した。同月2日以降に生まれた人は給付の対象外になる。
給付額は1人あたり1万2千円だが、「18歳以下」「65歳以上」は8千円上乗せされて2万円。この「18歳以下」は90(平成2)年2月2日以降に生まれた人、「65歳以上」は44(昭和19)年2月2日以前に生まれた人とする。
年齢計算に関する法律」によると、年齢は誕生日前日に加算する。このため、44年2月2日生まれの人は1日に65歳となって2万円給付の対象になる。一方、90年2月2日生まれの人は法律上、1日に19歳になるが、誕生日に年をとると考えるのが普通の生活実感のため、2万円給付の対象に含めた。
外国人は、(1)永住者・特別永住者(2)日本人や永住外国人の配偶者(3)就労・留学・研修目的の在留者――らが給付対象となり、200万人強とみられる。観光客ら短期滞在者や不法滞在者は対象外。



死刑:今年の執行数が確定者数上回る 執行の加速鮮明に(毎日新聞 2008年12月22日(月))

今年1年間に死刑を執行された人数が、9年ぶりに年間の死刑確定者数を上回ることが確実になった。21日までに15人が死刑を執行された一方、死刑判決の確定者は10人。厳罰化の流れや確定死刑囚の増加を背景に、刑執行を加速する法務省の姿勢が鮮明になった。
法務省の統計によると、99年は5人に死刑が執行された一方、確定者数は4人で、執行者数が確定者数を上回ったが、00〜07年の執行者数は1〜9人、確定者数は2〜23人で推移し、常に執行者数が下回っていた。
だが、今年の死刑執行は鳩山邦夫元法相下で3回(2月3人、4月4人、6月3人)、保岡興治前法相下で1回(9月3人)、森英介法相下で1回(10月2人)と、ほぼ2カ月に1回のペースで計5回行われた。このうち連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤死刑囚は判決確定から2年4カ月で執行され、確定から執行までが短期化していることも特徴だ。
一方、今年の死刑確定者は▽オウム真理教事件林泰男死刑囚(51)=3月確定▽静岡・三島の女子短大生焼殺事件の服部純也死刑囚(36)=同▽ 埼玉・本庄の保険金殺人事件の八木茂死刑囚(58)=8月確定▽下関駅通り魔事件の上部康明死刑囚(44)=同=ら10人だった。
年間の死刑確定者数は04年の14人以降、05年11人、06年21人、07年23人と2けたに乗り、年末時点の確定死刑囚数は05年の77人から急増し、現在は100人になっている。【北村和巳】



浜岡原発:1、2号機の廃炉を地元に申し入れへ…中電(毎朝日新聞 2008年12月22日(月))

中部電力は21日、運転停止中の浜岡原子力発電所静岡県御前崎市)1、2号機(出力計138万キロワット)の廃炉と、同原発6号機の新設計画について、22日午前の取締役会で正式決定する方針を明らかにした。
決定した場合、三田敏雄社長が同日にも御前崎市など地元自治体を訪れ、廃炉・新設計画の申し入れをする。【中井正裕】



支持率反転へ首相も努力を=自民・中川秀氏(時事通信 - Yahoo! 2008年12月21日(日))

自民党中川秀直元幹事長は21日、大分市で講演し、麻生内閣の支持率急落に関し、「どんなことがあろうと麻生内閣を支えるが、麻生太郎首相も国民の支持が反転するよう精いっぱい頑張っていただかないといけない」と注文を付けた。
中川氏は「世論調査に表れているのは『小泉改革以前に戻ってはならない』という民意だ」と指摘。無駄な行政支出の削減を徹底することや公務員給与の抑制などを挙げ、こうした政策課題に積極的に取り組むことが「(小泉改革路線の)逆コースではないという1つの証しになる」と強調した。



在日米軍再編に689億円、普天間移設の進行が焦点に(読売新聞 2008年12月21日(日))

2009年度予算の財務省原案に、在日米軍再編の経費として、今年度の3倍以上の約689億円が盛り込まれた。
今後は、米海兵隊普天間飛行場沖縄県宜野湾市)移設や在沖縄海兵隊のグアム移転などが日米の合意通りに進むかどうかが焦点となる。
浜田防衛相は20日の記者会見で、「(再編は)政府全体で考えていかなければいけない問題だ」と強調した。外務省は「米国に対して『再編をしっかりやる』とのメッセージを送った」(幹部)と歓迎した。
しかし、最大の懸案である普天間飛行場の移設は、移設先の沖縄県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部で環境影響評価(アセスメント)が進むものの、県と地元自治体は施設をさらに沖合へ移動させるよう計画の変更を求め、調整は難航している。
米側が現時点で、沖合移動に否定的であるため、仲井真弘多沖縄県知事は年明けに訪米し、オバマ政権の意向を探る“独自外交”に乗り出す。知事は「要求が通らなければ移設に必要な公有水面埋め立てを認めない」との構えだ。
来年の早い段階で、日本政府、沖縄県、米政府の調整がつかない場合、「2014年までに移設を完了する」とした日米合意の実現は困難になる。普天間飛行場の移設問題が決着しなければ、海兵隊のグアム移転や、米軍嘉手納飛行場以南の人口集中地域にある6施設・区域の土地返還も宙に浮くことになる。
グアム移転は100億ドルを超える巨費が絡むが、既に、今後の見通しの不確実さを理由に、米財政当局が予算計上に異論を唱える場面もあった。何より、両政府間で合意した案が、再び覆される事態になれば、「同盟関係へ与える影響は深刻」(外務省幹部)だ。次期衆院選で政権獲得を目指す民主党も、沖縄の米軍基地の「国外移転」を掲げており、予算案が示されたにもかかわらず、先行きは不透明さを増している。



海賊対策、政府に焦燥感…対米関係で中国に「後れ」懸念(読売新聞 2008年12月21日(日))

国連が各国に貢献を求めているアフリカ・ソマリア沖での海賊対策で、米英仏など十数か国に加え、中国も軍艦派遣を正式発表し、日本政府内には焦燥感が出ている。
米国は中国と、情報共有などで協力する考えで、来月のオバマ政権発足時までに日本の貢献策を示せなければ、新政権との関係構築で中国に後れをとるとの見方も出ている。
政府・与党は、海上保安庁海上自衛隊が海域を限定せずに海賊取り締まりが可能な一般法を検討する一方、成立に時間がかかることを予想して、自衛隊法の海上警備行動発令による海自派遣や、ソマリアの事案に限った特別措置法での対応も視野に入れている。
国連安全保障理事会が16日、ソマリアの陸海空で必要な海賊対策を認める決議案を全会一致で採択したこともあり、ただちに海自派遣が可能な海上警備行動案を有力視する見方もある。ただ、この場合、保護の対象が日本籍船や日本人が乗る船に限られるため、防衛省内では「外国船を見捨てれば批判を招く」(幹部)と慎重論が強く、政府の方向性は定まっていない。
その間に、中国が本腰を入れた格好で、与党内では、「インドネシアスマトラ沖大地震での救援活動では、自衛隊の活躍と、中国の存在感の薄さが対比されたが、逆になりかねない」と懸念する声も出ている。



シー・シェパードが日本の調査捕鯨を妨害、今季初(読売新聞 2008年12月21日(日))

シドニー=岡崎哲】日豪関係筋は20日、読売新聞に対し、調査捕鯨船「第2勇新丸」(747トン)が同日午前(日本時間同)、豪州タスマニア島沖の南極海で、米反捕鯨団体シー・シェパード(SS)」の抗議船「スティーブ・アーウィン号」に接近され、活動を妨害されたことを明らかにした。
日本の調査捕鯨船が、反捕鯨団体に妨害されたのは今季初めて。
勇新丸は調査捕鯨活動を中断し、現場海域を離れようと航行を続けているが、SS側の執拗(しつよう)な追跡を受けているという。
一方、SS側は「『腐ったバターの爆弾』を発射するため、乗員1人を乗せた小型船を向かわせたが、天候悪化のため引き返した」と明らかにした。発射しようとしたのは、原液が目に入ると失明する恐れもある酪酸の可能性もある。
スティーブ・アーウィン号は、今月4日に豪州東部ブリスベーン港を出港。豪州人や米国人など48人が乗船。妨害活動は「非暴力で行う」と発表していた。第2勇新丸を巡っては、昨秋から今春にかけての調査捕鯨でもSS側から妨害を受けた。



年末年始 コレステロールに注意(産経新聞 2008年12月20日(土))

■カロリーと比例せず/イクラ数の子…和食でも油断禁物
忘・新年会など外食が増え、家庭でもごちそうを食べることの多い年末年始。肥満予防でカロリーに気を付けても、食事のコレステロール値を気にする人は少ない。おいしい食事にはカロリーは高くなくてもコレステロールが高いものがあり、知らないうちに「脂質異常症」になる人も。健康で長生きするためにも、この年末年始はごちそうを食べる前のコレステロールチェックをお忘れなく。(平沢裕子)
脂質異常症は、血液中のコレステロール中性脂肪など脂質の量に異常がある状態で、以前は「高脂血症」と呼ばれた。放置すると、動脈硬化が進み、脳卒中心筋梗塞(こうそく)など突然死の危険が高まる。
心筋梗塞など血管が詰まる病気は、血管を流れるコレステロールが血管の壁にたまるタイプと、血管壁にできた塊(プラーク、粥(じゅく)腫)が破裂して、この血栓が血管を塞ぐタイプがある。前者は血管の状態を調べることで治療が可能だが、後者は前兆がないので心筋梗塞などを発症してからでないと治療できず、突然死となることも多い。
予防には動脈硬化の主要因である脂質異常症をなくすことが大事だ。ただ、脂質異常症があっても自覚症状はほとんどない。肥満の人に多いとはいえ、見た目は標準体形や痩(や)せている人もいる。異常を指摘されても「肥満ではないから大丈夫」「体調はどこも悪くないから平気」と、従来の食生活を続ける人は多い。
大阪大大学院医学研究科の森下竜一教授(臨床遺伝子治療学)は「日本人は見た目では米国人のように太った人は少ないが、血液中のコレステロール値は米国人とほぼ同じ。コレステロールの摂取量ではむしろ日本人の方が多いくらいだ」と指摘する。
森下教授によると、欧米の食事はカロリーは高いものの、コレステロールはそれほどでもない場合が多い。例えば洋菓子のケーキは、日本の方が甘さ控えめで量も少なくヘルシーな感じがするが、実際は生クリームをたくさん使っているので、コレステロールが高くなることも。また、日本人は霜降り肉を好むが、赤身に比べてコレステロールが多く、食べる量が少なくても多量のコレステロールを摂取することになる。
さらに、揚げた即席麺(めん)や電子レンジで再加熱した揚げ物には、質の悪いコレステロールが多く含まれており、LDL(悪玉)コレステロールを増やす原因になっている。「食事は量だけでなく、質を考えることも必要」と森下教授は忠告する。
和食は洋食よりもコレステロールが少ないと考えられがちだが、材料によっては洋食以上のコレステロールを含むことも。タラコやイクラ数の子、子持ちシシャモなどの魚卵、アナゴやウナギ、シラス、メザシなどの魚はコレステロールが高い。もちろんバターや卵、生クリームをたっぷり使った洋食や洋菓子、中でもケーキやプリン、アイスクリームは少量でもコレステロールが高いので注意が必要だ。また、イカコレステロールが多いが、コレステロール低下作用があるタウリンというアミノ酸を多く含むので、それほど気にしなくてもいい。
管理栄養士で女子栄養大栄養クリニック主任の蒲池桂子准教授は「おいしい食事にはコレステロールが高いものが多い。忘年会やクリスマスのごちそうを食べる前にはぜひ、含まれるコレステロール値を考えてほしい」と注意を呼びかけている。

【年末年始の料理に潜むコレステロール値(ミリグラム)】
●クリスマス料理
チキン(120グラム)    168
イカリング(50グラム)   140
マヨディップ(20グラム)   12
ロールケーキ(120グラム) 187
チョコレート(10グラム)    2
シャンパン            0
ミニトマト            0

おせち料理など 年越しそば1杯  (エビ天、かまぼこ入り)   53 もち               0 ニシンの昆布巻き(20グラム)  6 田作り(15グラム)      58 伊勢エビ(30グラム)     57 かまぼこ2切れ(30グラム)   5 栗きんとん            0 伊達巻き3切れ(60グラム) 180 数の子(25グラム)      92 イクラ(15グラム)      72 にぎり寿司マグロ赤身(15グラム)8 にぎり寿司マグロとろ(15グラム)8 にぎり寿司イカ(15グラム) 147 にぎり寿司コハダ(15グラム) 10 にぎり寿司カッパ巻き(15グラム)0 (栄養計算は蒲池准教授)



マイコプラズマ肺炎にご注意! 高熱とせき、市販薬効かず(産経新聞 2008年12月20日(土))

インフルエンザが流行する一方、高熱や激しいせきが長く続く「マイコプラズマ肺炎」にかかる人も増えている。市販薬は効かず、治療が遅れると重症化する恐れもあり、専門家は注意を呼び掛けている。
国立感染症研究所(東京)によると、定点観測している全国約450の医療機関から報告された患者数は、11月10日から今月7日までに857人で、昨年の同じ時期より96人増えた。
病原体は「肺炎マイコプラズマ」と呼ばれる細菌の一種。気管支で増殖し、炎症を引き起こす。感染すると高熱が出て、乾いた激しいせきが長く続くのが特徴だ。同研究所の荒川宜親・細菌第2部長は「晩秋から春にかけて流行する傾向がある」と指摘する。
せきのしぶきでうつるため、学校や会社などで集団感染するケースが多い。治療が遅れると、体力が弱い幼児や高齢者は死亡する恐れもある。予防には手洗いやうがい、マスクをすることが有効という。



残した仕事が気になって…リストラされた元勤務先に不正アクセス(産経新聞 - Yahoo! 2008年12月19日(土))

元勤務先の上司のメールサーバーに不正アクセスしたとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは、不正アクセス禁止法違反の疑いで、東京都品川区中延、会社員、亀井仁司容疑者(38)と国立市富士見台、同、北島勝也容疑者(52)を逮捕した。
調べでは、亀井容疑者は今年7月9日から10月30日ごろまでの間、退職した土木設計会社の上司(48)や社員のIDとパスワードを使って、16回にわたり不正アクセスした疑い。北島容疑者は7月9日、同じ上司のIDとパスワードを使って、5回にわたり不正アクセスした疑い。
両容疑者は昨年8月、勤務先からリストラされており、「引き継いだ自分の仕事が順調に進んでいるか確認したかった」などと供述している。2人は同じ動機で、同じ上司のIDを使って不正アクセスをしていたが、それぞれ別に犯行に及んでおり、共犯ではないという。
元上司が、「メールが受信できないことがある」とレンタルサーバー会社に連絡したことから発覚した。



磁気シールドに破れ、太陽嵐の影響懸念(ナショナルジオグラフィック公式日本語サイト - Yahoo! 2008年12月19日(土))

最新の研究によると、地球の磁場の内側に予想外の太陽粒子の厚い層が存在していることが判明し、太陽に対する地球の防御体制に大きなほころびが存在する可能性があるという。
可能性が現実になった場合、太陽活動が活発化する時期になると、地球では過去数十年で最悪の太陽風が吹き荒れることになる。次の太陽活動極大期は2012年に始まると予測されている。
太陽から流れ出る荷電粒子は太陽風と呼ばれ、ときおり地球の極地上空に美しく輝くオーロラを作り出す。しかし、激しい太陽風が生じると人工衛星の動力源で干渉が発生し、船外活動を行う宇宙飛行士は危険にさらされ、場合によっては地上の電力網が全滅する可能性もある。
アメリカのメリーランド州にあるNASAゴダード宇宙飛行センターに所属する宇宙天気の専門家デイビッド・シベック氏は、「次のような事態が予想される。太陽粒子が侵入してエネルギーを蓄えると、巨大な磁気嵐が吹き荒れ、見たことのないほど美しいオーロラが輝き、地球の放射線帯に大きな乱れが生じる。すべてが本当に起きたら、極大期を迎えた後の11年間は非常に厳しい時代となるだろう」と話す。
NASAの観測衛星テミス(THEMIS)のデータにより、地球の磁場が作る球状の防御壁である磁気圏の最も外側の部分よりも内側のところに、厚さ 6500キロほどの太陽粒子の層が形成されており、急速に成長していることが明らかになった。通常、磁気圏は時速約160万キロで太陽から流れ出る太陽風のほとんどを遮断する。
サンフランシスコで今週開催中のアメリカ地球物理学連合2008年秋季集会でシベック氏は、「太陽風は絶えず変化している。そして、地球の磁場は、強風にもまれる吹き流しのように太陽風の流れに応じて前後に大きく揺れ動く」と話している。
地球の磁場線は地域によって向きが異なるが、太陽風の影響を最も受ける赤道付近では磁場は北向きになっている。一方、太陽風も磁場線を地球に送っており、太陽からの磁場線の向きは11年周期の太陽活動に合わせて変化する。
従来の学説では、太陽からの磁場線が北向きの場合、地球の北向きの磁場に対する補強材となり、太陽風に対し“盾を掲げる”効果があると考えられていた。南向きのときにオーロラの輝きや宇宙天気由来の災害が増すという事実がこの説の1つの根拠となっている。
しかし、観測衛星テミスは真実が逆であることを示した。この事実に初めて気付いたカリフォルニア大学バークレー校に所属するテミス研究員のマリート・ウエロセット氏は、「テミスのデータにより、2つの磁場が同じ方向に向いているときの方が、太陽粒子の層がはるかに厚くなることが判明した。このとき、地球の磁気シールドを通過する粒子の量は20倍以上になる」と話す。
この発見の裏にあるメカニズムを解明するため、ウエロセット氏とシベック氏はテミスが観測した状況をシミュレーションするコンピューターモデルを構築した。アメリカのニューハンプシャー州ダーラムにあるニューハンプシャー大学の物理学者でシミュレーション構築のサポートを行ったジミー・レーダー氏は、「コンピューターモデルにより、北向きの磁場線と地球の磁気圏が結び付いてこの現象が引き起こされている可能性が高いことがわかった」と話す。
磁場線は地球に接近すると極地に取り付き、タコが獲物を捕らえるように地球を包み込む。磁気再結合として知られるこの現象は、磁気圏を切り裂いて大きなほころびを作り出し、太陽プラズマが流れ込む手助けをする。ただし、太陽粒子の厚い層があっても、それ自体では地球に対して地磁気上の問題を生み出すことはない。
現在、太陽活動は極小期にあるが、磁気圏の内部では太陽風に運ばれた北向きの磁場線により着々と太陽粒子の層が作られている。次の太陽活動サイクルにおいて、太陽風が運ぶ磁場線の向きは南向きに変わることが予測されている。その磁場線は地球の磁気圏と結び付いて地球の磁気シールド内部のプラズマを荷電する。
レーダー氏は次のような例えを用いて起こりうる事態を説明する。「旧式のガスストーブのようなものだ。ガス栓をひねってすぐに火を付ければなにも問題はないが、栓をひねった後しばらく放置してから火を付けたらどうなるか?“ドカン!”となるだろう」。



通勤電車、せき・くしゃみの射程実験 新型インフル想定(朝日新聞 2008年12月22日(月))

新型インフルエンザの大流行に備え、国土交通省の国土交通政策研究所が鉄道輸送実験を22日、東京都足立区にある東京メトロの検車区で行った。実験は、新型インフルエンザの感染者が見つかった場合、首都圏でどれぐらいの輸送力が確保できるかを試算するために行われた。
政府のガイドライン案によると、せきやくしゃみによる感染防止には乗客同士で1〜2メートルの間隔を開ける必要がある。今回は実際の車両を初めて使い、マスクをした約20人の「乗客」が座る位置や立つ場所など様々な乗車パターンを確認した。
研究所によると、1日500万人が鉄道を使って都内に通勤や通学している。研究所がJR東海道線(川崎―品川間)をモデルに行った図面上の試算によると、平日、最も混雑する午前8時台に6万1172人が乗車しているが、間隔を広げて乗せた場合、約2割の1万1400人しか乗車できなかった。



社民党、大分キヤノンに申し入れ 1千人解雇で(朝日新聞 2008年12月22日(月))

大分県大分キヤノン国東市)や大分キヤノンマテリアル杵築市)の減産に伴い、1千人を超える非正規社員の解雇が進められていることを受け、社民党の国会議員団が22日、大分市内でキヤノン側と会合を持ち、解雇された請負社員らの優先雇用などを申し入れた。
同党幹事長の重野安正衆院議員と副幹事長の保坂展人衆院議員が、キヤノンの諸江昭彦専務と大分キヤノンの飯塚守社長に申入書を手渡した。減産のために失業した非正規社員を優先的に再雇用することや、県や地元の自治体が進める雇用対策への協力などを求めている。
重野幹事長は「結果として1千人を超える労働者の仕事を奪うような短絡的な対処は問題。大きく期待を裏切られた」と訴えた。キヤノン側は、県など関連自治体が雇用対策のための基金を創設した場合、支援のために拠出を検討する考えを示した。



再犯防止やネットパトロールに力点 政府が行動計画(朝日新聞 2008年12月22日(月))

政府の犯罪対策閣僚会議は22日、今後5年間の治安対策の指針を示した「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」を策定した。刑法犯の認知件数は02年をピークに減少傾向にあるが、振り込め詐欺や食の安全に関する偽装事件などが後を絶たないことから、「消費者目線に立った対策の強化」などを打ち出している。
再犯者による犯罪が約6割を占める現状を踏まえた服役後の就労支援などの再犯防止策や、インターネットや携帯電話をめぐる犯罪に対応するため「サイバーパトロール」の強化によるネット上の違法・有害情報の排除などの取り組みを進めることに力点を置いている。さらに、振り込め詐欺などの捜査を迅速におこなうため、「(通常3カ月程度とされる)防犯カメラや携帯電話の通話記録の保存期間を延長するよう事業者に理解を求める」としている。
麻生首相は会議で「かつては日本は世界で一番安全な国と言われた。その復活を目指してがんばっていかねばならない」と指示した。



テルアビブ乱射、日本謝罪の舞台裏 アラブ反発に苦慮(朝日新聞 2008年12月22日(月))

72年5月30日、日本人3人が100人近くを殺傷したイスラエル・テルアビブ空港乱射事件。日本政府が発生直後、イスラエルに特使を派遣・謝罪し、犠牲者に見舞金を払ったことに、中東各国では賛否が分かれた。22日付で公開された外交文書からは「日本的対応」への反発に戸惑う日本の外交官の姿が浮かび上がる。
事件は、岡本公三容疑者(61)=国際手配中=ら日本赤軍メンバー3人が、テルアビブのロッド空港(現ベングリオン空港)で自動小銃を乱射するなどしたもの。死者は犯人2人を除き24人。日本赤軍が海外で次々と起こしたテロのはしりとなった。
発生直後の5月31日、在サンフランシスコ総領事が「大至急」扱いで出した公電は「日本の誠意を至急示して悪い反応が起こることを防止することが必要」と訴えた。翌6月1日には「日本のイメージが著しく損なわれる」との懸念も在ホノルル総領事から出た。
日本政府は遺憾の意を表明イスラエルの首相と旧知の福永健司衆院議員(当時)を特使として派遣。福永氏は4日、メイア首相と面会し、弔慰金、見舞金を贈ることを申し出た。総額は150万ドル(当時約4億6千万円)に上った。
この対応はイスラエルで好意的に受け止められたが、中東紛争で敵対関係にあったアラブ諸国には波紋や反発が広がった。
駐シリア大使が8日に出した公電はシリア側の見方をこう伝えた。「日本独自の事情で行動されることは危険。イスラエルの(アラブ侵略という)非人道的行いに由来する弱みは、日本の陳謝で目下に消え去る」
駐エジプト大使は10日、エジプト政府上層部の意見として「日本人3人の行為にこれ程(ほど)まで日本政府がアポロジイ(謝罪)する必要があるのか。政府は何等(なんら)責任のないこと。対日経済ボイコットが議題とされつつある」と伝え、「総理または大臣のアラブ向け声明の発出方至急御考慮を」と要望した。
同大使は翌11日エジプト高官を訪問。「日本側の措置が純然たる人道的見地より出たものをるる説明、誤解に基づく措置が取られることなきよう強く要請」と報告している。
その後沈静化したが、外務省中近東課がこの時期にまとめた文書にはこう記されている。「(アラブ諸国は)未(いま)だ内心は釈然としないものを有しているやであり、背景の複雑さ、極めて感情的な問題となっている」(松村北斗

東京大学池内恵准教授(イスラム政治思想)の話〉日本政府が欧米の反応を気にしていた様子がうかがえる。先進国の仲間入りを果たそうとする時期にイメージの悪化を避けようと、最大限の対応をしたのだろう。一方、アラブ諸国は、日本赤軍がテロを実行したため、自らは手を下さずに大義は海外から支持されたことになり、歓迎した。日本政府の謝罪はその大義を否定されたように映った。とはいえ、公然とは日本を批判しづらい。アラブ諸国政府はパレスチナ勢力と敵対している場合があり、公電からは各国のパレスチナ勢力に対する立場の違いによって、日本への不満の表明も度合いが異なっていることがうかがえる。

日本赤軍重信房子被告(63)=殺人未遂罪などで上告中=が中心となって71年、革命拠点をつくる「国際根拠地論」構想の一環としてレバノンで結成された。当初パレスチナの過激派組織などと共闘関係を展開した。
テルアビブ事件後も各地でテロを引き起こした。74年、オランダ・ハーグの仏大使館を占拠、75年、クアラルンプールの米国大使館を武装占拠。さらに77年にパリ発東京行き日航機をハイジャックしたダッカ事件と続いた。
90年代後半からメンバーの逮捕が相次ぎ、重信被告も00年、大阪府内で逮捕された。
他のメンバー7人は現在も国際手配されている。テルアビブ事件の岡本公三容疑者はイスラエル当局に逮捕され、終身刑を言い渡されたが、服役中に捕虜交換で釈放。後にレバノンへの政治亡命が認められた。



浜岡原発:1、2号機を廃炉、6号機新設 中部電力が決定(毎日新聞 2008年12月22日(月))

中部電力は22日午前、運転停止中の浜岡原子力発電所静岡県御前崎市)1、2号機(出力計138万キロワット)を廃炉にし、6号機を新設する計画を取締役会で正式決定した。1、2号機は今年度中に解体手続きに入り、6号機は15年に着工、18年以降の早い時期の運転開始を目指す。複数原子炉の同時廃炉と、同じ原発廃炉と新設を同時に進める計画(リプレース計画)はともに国内初。中部電力の三田敏雄社長は同日、地元の御前崎市に計画を申し入れた。
1、2号機の運転終了に伴い、中電は09年3月期決算で約1550億円の特別損失を計上するため、同期の最終(当期)損益予想を従来の220億円の黒字から780億円の赤字に下方修正した。同社の最終赤字は80年3月期以来29年ぶりとなる。
浜岡原発は1〜5号機があり、合計出力は488.4万キロワット。1号機(出力54万キロワット)は01年の配管破断事故後、2号機(出力84万キロワット)は04年の定期点検から運転を停止している。
同社は1、2号機について耐震補強を施した後、11年度に運転再開する計画だった。しかし、運転開始から30年以上が経過し、主要部品の交換などで耐震工事費用が約3000億円、工事期間も約10年間と原発新設レベルに達する見通しになったため、最新型の原子炉を建設した方が経済的と判断した。
6号機は同原発東側の隣接地に用地を取得し、新設する。原子炉は5号機と同じ出力140万キロワット級の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)とし、15年に着工する予定。発電能力は1、2号機の合計出力と同規模となる。
また、同原発内に中電初の使用済み核燃料貯蔵施設(ウラン貯蔵能力約700トン)を建設し、16年度に使用を開始する。専用容器(金属キャスク)に収納した使用済み燃料を再処理施設に搬出するまでの間貯蔵する。【中井正裕】
御前崎市に協力を要請…中部電力社長
中部電力の三田敏雄社長は22日午前10時半、静岡県御前崎市の石原茂雄市長を訪問。「経済性と安全性を総合的に検討した結果、1、2号機の運転停止と6号機を新設することを決めた」と計画を伝え、協力を要請した。
これに対し石原市長は「地元の関係者に納得のいく説明をしてほしい」と要望。「個人的には、企業の考えとしては理解できる」と答えた。午後には静岡県庁を訪れ、石川嘉延知事に計画を伝える。【舟津進】



犯罪対策行動計画:治安回復に地域の力を活用 財政支援も(毎日新聞 2008年12月22日(月))

政府の犯罪対策閣僚会議は22日、今後5年間の指針となる「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」を決めた。治安回復のために警察の捜査力の強化だけではなく、地域社会の力を活用することを強く打ち出した。
政府行動計画の策定は03年以来。
計画では「安全なサイバー空間の構築」「テロの脅威等への対応」など7項目を重点課題として掲げた。
捜査に関しては、振り込め詐欺対策として、▽現金自動受払機(ATM)コーナーで携帯電話が使えなくするための環境整備▽詐欺グループのアジト探索のため携帯電話の全地球測位システム(GPS)の導入−−など被害防止と徹底検挙のための方策を掲げた。
また、食の安全をめぐる犯罪に対し、食品表示Gメンなど行政機関の体制強化や、食品表示110番を活用した国民からの情報提供促進を打ち出した。
この他、自治会などを母体とした全国の自主防犯団体(約3万7000団体、07年末)に対し、パトロール備品代を支給するなど財政面で支援。出所者の社会復帰支援のため、保護司の活動拠点作りや自立支援センター作りに関係省庁や自治体が積極的に取り組む。
また、総務・法務省が来年の通常国会にも関連法案の提出を検討している外国人を対象にした住民票制度に合わせ、生活情報の提供の仕組みや交流の場作りなど、外国人との共生を促す施策の実施も盛り込んだ。【河嶋浩司】



イラン:ノーベル平和賞・エバディ氏の事務所、警察が封鎖(毎日新聞 2008年12月22日(月))

テヘラン春日孝之】イラン警察当局は21日、03年にノーベル平和賞を受賞したイランの女性弁護士、シリン・エバディ氏が代表を務める人権団体「人権擁護センター」事務所を強制的に封鎖した。ナルゲス・モハンマディ副代表は毎日新聞の取材に「司法当局の令状も、説明も何もなかった」と語った。
副代表によると、事務所で21日夕、世界人権デー(12月10日)を記念する集会を予定し、政治家や学者、学生ら約300人を招待していた。数十人の警官が、事務所を囲む一方、事務所に入って集会開催を妨害し「封鎖する」と告げたという。
集会では元政治囚にエバディ氏が賞を授与し、10人の招待者が人権問題を巡り講演する予定だった。
当局はビデオカメラで来場者を撮影し、エバディ氏らセンター幹部に出頭を求めたが、センター側は「令状がない」と拒否した。けが人が出るなどの混乱はなかった。
センターは02年に設立。反体制派や政治犯への支援を続けてきた。モハンマディ副代表は「弾圧にひるまず、人権擁護活動を一層強化する」と語った。



採決は24日へ 野党の雇用関連4法案(産経新聞 2008年12月22日(月))

衆院厚生労働委員会は22日午前、「派遣切り」防止策や内定取り消しの規制強化などを盛り込んだ民主党など野党3党が提出した雇用関連4法案について審議を始めた。
当初は22日午後に採決が行われる見通しだったが、自民党大島理森国対委員長は同日午前、民主党山岡賢次国対委員長に対し、党内調整に時間がかかることなどを理由に委員会での採決を見送りを伝えた。
ただ、24日には委員会で否決し、同日中に衆院本会議でも与党の反対多数で否決され廃案となる見通しだ。
民主党は法案が衆院本会議で否決された場合、衆院解散を求める決議案を国会に提出して対抗する構えだ。
野党3党が提出した雇用関連4法案は採用内定取り消しの規制▽雇用継続のための企業助成策の対象を拡大▽雇い止めや解雇で職を失った派遣労働者への住宅貸与▽期間従業員らの契約期間中解雇を制限する雇用保険制度の拡充などが柱。
野党側は18日の参院厚生労働委員会は与党の反対を押し切って採決を強行し、19日の参院本会議でも野党単独で可決した。自民、公明党は同法案の内容は政府がすでに取り組んでいる対策が多いと批判している。



消費税上げ:与党PT、合意できず 座長らに対応一任(毎日新聞 2008年12月22日(月))

税財政改革の道筋を示す「中期プログラム」に関する与党プロジェクトチーム(PT)は22日午前、消費税率引き上げを含む税制抜本改革の実施時期をめぐって合意できず、自民党額賀福志郎財務相(座長)と公明党坂口力厚生労働相に対応を一任した。公明党は「2011年度」を明記することは容認しているが、「3年後に消費増税」と受け取られないような文言修正で合意できるかどうかが焦点だ。
政府原案は「経済状況の好転後に消費税を含む税制抜本改革を2011年度(3年後)より実施し、15年度までに段階的に行う」としていた。しかし、次期衆院選への影響を懸念する公明党が反発して調整は難航。22日の会合では、プログラムの責任者の与謝野馨経済財政担当相が税制抜本改革の前提となる景気回復の道筋について説明した。
自民、公明両党は幹事長・政調会長会談を経て同日中の合意を目指す。政府は24日にプログラムを閣議決定する。【犬飼直幸】



自民:「立党以来、最大の危機」 09年運動方針案に明記(毎日新聞 2008年12月22日(月))

自民党の「09年運動方針」の原案が22日、明らかになった。内閣支持率の急落といった政治状況を受け、党の現状について「(1955年の)立党以来、最大の危機に直面している」と危機感を表明。そのうえで、次期衆院選に向けて「戦う党組織」の再構築、広報活動の強化まで、党の総力結集をうたっている。運動方針は来年1月18日の党大会で正式決定する。
原案は運動方針案起草委員会(委員長・坂本剛二組織本部長)を中心にまとめた。
党の現状に危機感を示す一方、党の性格をめぐっては「責任ある保守政党」といった表現をちりばめ、政権与党の責任を強調。民主党に対しては「政権交代は幻想にすぎない」と批判し、政権担当能力に疑問をはさむなど強い対抗意識を示している。
衆院議員の任期満了が来年9月に迫る中、次期衆院選に関しては「世界的な経済危機の打開に向け、何より政治の安定が不可欠」と強調。具体的な選挙対策として、弱体化が指摘される党組織について「わが党のかけがえのない財産であり、最大の政治決戦である次期総選挙で勝利するための強力なエンジン」と明記。新たな支持層拡大に向け、大都市部の無党派対策の一環で政令指定都市の議員との連携、労働組合との交流の強化などを盛り込んでいる。【近藤大介】



元素周期表:アニメキャラで表現、萌え〜て覚える本人気(毎日新聞 2008年12月22日(月))

118個の元素を、アニメ風のキャラクターにして紹介する解説書「元素周期 萌(も)えて覚える化学の基本」(PHP研究所)が人気を呼んでいる。斬新な発想が口コミで話題となり、発売から1カ月半で1万7000部を発行した。化学を学ぶ学生だけではなく、科学と縁遠かったアニメファンが手にとるなど、元素の世界を理系以外の人に広げるきっかけになっている。
元素はあらゆる物質を構成する基本的な要素。だが、元素記号がずらりと並ぶ周期表は、一般に敬遠されがちだった。出版元のコミック担当の編集者がアイデアを出し、武蔵工業大(東京都)で化学を教える満田深雪(みつだみゆき)非常勤講師が協力。満田さんが各元素の化学的性質やイメージを伝え、33人のイラストレーターが分担して、元素ごとに「擬人化」した。
キャラクターは全員女性で「エレメントガールズ(元素娘)」と名付けられた。看護師やメイド、女王様、戦闘服などの装いで、「萌えキャラ」と呼ばれる表現方法だ。
元素それぞれにキャッチフレーズをつけ、水素は「一番軽くて小さな妖精さん」、金は「輝き続ける元素の女王」、腐食しにくい金属イリジウムは「おカタいお嬢様はいつまでも美しい」。解説には、原子量や電子の軌道図、利用法など最新のデータを盛り込んだ。
満田さんは「元素の個性が上手に出ている。親しみやすく知識も得られる解説書になった」と話している。定価1995円。【元村有希子】