今日の記事

農水官房長、汚染米問題で引責辞任(朝日新聞 2008年12月26日(金))

石破農林水産相は26日、岡島正明官房長(54)が辞任し、後任に佐藤正典・消費・安全局長(55)が就く人事を発表した。来年1月5日付。
岡島氏は、汚染米を工業用のりの原料として売ると決めた時の総合食料局長。食糧政策の最高責任者の立場にあり、責任を取る形となった。岡島氏は将来の次官候補とみられていた。石破農水相は26日の閣議後会見で「大きな節目の時期に、本人から辞任の申し出があった。行政責任とは関係ない」と語った。
汚染米問題をめぐっては9月に当時の太田誠一農水相と白須敏朗・農水事務次官が辞任している。



陸自、秘文書紛失を報告せず 誤破棄扱いで2年半(朝日新聞 2008年12月26日(金))

陸上自衛隊富士学校静岡県)で、自衛隊法で「省秘」に指定された文書19種類63点を紛失していたことがわかった。紛失は06年5月から07年5月までに発覚していたが、陸自は報告義務のない「誤破棄」とし、今月上旬まで防衛相に報告していなかった。防衛省訓令では、文書を紛失した場合はただちに防衛相に報告するよう定めており、警務隊が公文書毀棄(きき)の疑いで捜査を進めている。
紛失したのは、災害派遣や有事でのヘリコプターの運用に関する「地誌資料」という文書。防衛出動にかかわる内容も含まれていたため、「省秘」に指定されていた。
防衛上の秘密文書には、「特別防衛秘密」「防衛秘密」「省秘」がある。防衛省の「秘密保全に関する訓令」では、省秘指定の文書を紛失した時は防衛相への報告を必要としているが、誤破棄の場合は07年8月まで、外部流出などがなければ報告は必要なかったという。
「地誌資料」は00年から02年にかけ、富士学校が部内の教材として各部隊から集めていた。管理者の2等陸曹が保管簿への記載を怠っていたため、紛失に気づかなかったという。
06年5月、省秘の指定期限が切れたとして部隊が返還を求めたところ、4点の文書が保管金庫にないことがわかった。2曹が「私物と一緒に焼却した可能性がある」と話し、外部流出もなかったことから、陸自側は誤破棄と判断。2曹らを処分しただけで、防衛庁長官(当時)には報告しなかった。
07年5月にも、同様の経緯でほかの資料の紛失が判明。内部調査で同年11月、新たに59点の紛失が確認された。この際も誤破棄とし、防衛相には報告しなかったという。
警務隊が今年秋ごろから捜査を進めていることがわかった今月上旬、陸上幕僚長が経緯を防衛相や防衛事務次官に報告したという。



基準外の水、夏から使用 伊藤ハム工場、塩素処理誤る(朝日新聞 2008年12月26日(金))

伊藤ハム兵庫県西宮市)の東京工場(千葉県柏市)が、水道法の基準を超すシアン化合物を含む地下水でウインナーなどを作っていた問題に関連し、同工場で使った水は6〜9月に塩素酸がしばしば基準値を超えていたことが25日、わかった。水道法違反の水による製造は夏から続いていたことになる。
調査対策委員会(委員長=藤巻正生・東京大名誉教授)が明らかにした。
それによると、三つの井戸すべてで1リットル中に0.6ミリグラム以下と定められている塩素酸が計6回、0.62〜0.91ミリグラムと基準を超えた。違反は報告されなかった。
工場の水質検査担当者が塩素酸の発生を抑えようと独断で塩素処理用の次亜塩素酸ナトリウムの投入量を減らした結果、9月の検査で一つの井戸でシアン化合物の発生を招いたらしい。担当者はシアン化合物のできる仕組みを知らなかったという。
塩素酸の基準値超えについて今月半ばまで知らなかったという岩本信剛・生産事業本部長は「水道法違反だが、食品衛生法違反ではない」と述べ、新たな製品回収はしない考えを示した。委員会は、担当者の基準違反に対する判断の甘さや、社内に法令順守の意識が薄いことなどを厳しく指摘、従業員教育や連絡体制の再構築を求めた。
伊藤ハムは試験稼働中の東京工場について、1月6日に柏市保健所による製造品の検査を受け、合格すれば出荷を再開したいとしている。(熊井洋美)



小浜市、オバマ氏へ若狭塗箸 託された首相「宅配便か」(朝日新聞 2008年12月26日(金))

福井県小浜市の松崎晃治市長は25日の定例会見で、オバマ米次期大統領の当選祝いに贈る若狭塗箸(ぬりばし)の受け渡しを麻生首相に頼んだことを明らかにした。安全上の理由で同氏の事務所には贈り物が届きにくくなっているといい、確実な手段として17日に首相と面会し、日米首脳が会う機会に内閣官房から本人に渡るよう約束を取り付けたという。
箸はオバマ氏夫妻と2人の娘用の4膳(ぜん)で、それぞれのネーム入り「マイ箸」。松崎市長によると、首相は「おれを宅配便代わりに使うのか」と言いながら快諾したという。
これとは別に市は、えびすと大黒をあしらった縁起物の若狭塗り「吊(つ)り額」(縦約40センチ、横約30センチ)も知人を介して贈る。同市湯岡の城越清さん(76)が制作、裏に就任を祝う言葉が入っている。
松崎市長は「1月20日の就任式に参列できないか様々なルートであたっているが、世界中から希望が殺到しているようで、実現は難しい」と話した。



ウナギ産地偽装事件、詐欺立件は断念 魚秀など3社起訴(朝日新聞 2008年12月26日(金))

ウナギ輸入販売会社「魚秀」(大阪市)などによる中国産ウナギの産地偽装事件で、神戸地検は25日、法人としての魚秀と親会社「徳島魚市場」(徳島市)、水産物卸売会社「神港魚類」(神戸市)の3社を不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪で起訴した。
起訴状によると、3社は2〜6月、「愛知県三河一色(いっしき)産うなぎ蒲焼(かばやき)」などと表示された中国産冷凍ウナギ約256トンのうち、約15トンを市場に流通させたとされる。
一方、兵庫、徳島両県警は同罪で起訴された魚秀社長の中谷彰宏被告(44)らを詐欺容疑でも捜査していたが、偽装ウナギを国産として買った仲卸業者の一部が「偽装とうすうす気づいていた」と説明したことなどから、詐欺の被害を認定できないと判断、立件を断念した。



知事の独自判断でHPに公表 秋田県の学力テスト結果(朝日新聞 2008年12月26日(金))

秋田県は25日、県内25市町村の全国学力調査の科目別平均正答率を、県のホームページで公開した。これまでに県教育委員会が情報公開請求に対し、市町村名を伏せた形で結果を開示していたが、今回は、寺田知事自らの判断で公開に踏み切った。それだけに県内の市町村教委は強く反発し、県教委内からも戸惑いの声があがった。
公表されたのは、07、08年度の小6と中3の結果。寺田知事は25日の記者会見で、「公教育はプライバシーを除いて公開が原則だ」などと公表理由を述べた。
文部科学省は、知事や都道府県教委に、市町村や学校が分かる形で開示しないよう求めており、来年度の実施要領でも、この方針の踏襲を決めたばかりだった。一方で、市町村教委が自らの結果を公表することは認めていた。秋田県内で、自主的に正答率の公表を決めた自治体はないものの、県教委は10月、情報公開条例に基づく請求に、市町村名が分からないように成績を開示していた。
しかし、今回の公開は、あくまで知事の独自判断によるもの。このため、北林真知子・県教育委員長は「大変驚いている」。また、小中学校がともに1校という県内自治体は6あり、事実上学校の特定につながるとして市町村教委側の批判は強い。
学力調査の公開議論は、文科省と、一部知事との間で対立が激しくなっていた。寺田知事は「私の責任で公表せざるをえない」と発言するなど公開積極派だった。
文科省の方針が変わらない中、鳥取県では今月18日に来年度以降、市町村別、学校別の結果を条件付きで開示するよう条例が改正されるなど、公開の流れは強まっている。(岡林佐和、葉山梢)



日教組加入、29万人割れ 組織率28.1%(朝日新聞 2008年12月26日(金))

日本教職員組合日教組)に加入する公立学校の教職員が28万4859人(前年29万152人)と、初めて29万人を割り込んだことが、文部科学省が25日発表した公立学校の教職員向け調査で分かった。調査開始以来、最低を更新し、加入率も前年より0.2%減の28.1%だった。
今年10月時点の調査。新規採用の教職員の加入率は、全体で27.5%と前年より1.2ポイント増え、このうち日教組は22.4%と0.7ポイント増えた。しかし、退職者からすると、新規加入者は少なく、全体として減少する結果になった。



「家賃滞納でドア施錠」は違法 福岡地裁「占有権侵害」(朝日新聞 2008年12月26日(金))

賃貸アパートの家賃を滞納したことから部屋のドアをロックされ退去を迫られたのは違法だとして、東京都の男性が、家主に慰謝料など110万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、福岡地裁であった。前沢達朗裁判官は賠償請求は棄却したものの、補助参加人として訴訟に加わった家賃保証会社(東京)がドアをロックした行為については、「男性の占有権を侵害し、不法行為にあたる」として違法と判断した。
家賃保証会社が絡むトラブルは最近目立ち始めており、今月5日には、違法な手段で退去を迫られたとして大阪府兵庫県の入居者4人が慰謝料などを求めて大阪簡裁に一括提訴。福岡でも司法書士らが電話相談会を開くなど、被害回復を目指す動きが活発化している。
判決によると、男性は05年5月から、福岡市南区のアパートを借りた。その際、仲介業者から「県内在住の親類」か「家賃保証会社」を連帯保証人にする必要があると説明され、同社と保証委託契約を結んだ。
男性は06年6月ごろから家賃を滞納し始め、07年1月からは3カ月続けて滞納。男性に代わって滞納分のうち9万6千円を家主に支払った同社は同年5月、家主の委任を受け、男性に賃貸契約の解除を通知。さらに翌月には部屋のドアをロックし、男性は出入りできなくなった。結局、同年7月に荷物を運び出し、退去した。
前沢裁判官は、同社が家賃の肩代わりを最小限に抑えるためにドアをロックしたと指摘。同社は「契約上、男性はドアロックや鍵の取り換えなどを許諾している」と主張したが、前沢裁判官は「法律で原則禁止されている『自力救済』に当たり、例外的に許される、緊急で、やむを得ない事情があったとは認めがたい」と退けた。
賠償請求については「ドアロックについては家主の関与が認められない」として請求を棄却した。



「呼び出し断る手続き代行」 裁判員制度絡み詐欺未遂(朝日新聞 2008年12月26日(金))

裁判員制度にからみ、「裁判所からの呼び出しを断る手続きを代行する」などとうそを言って手数料をだまし取ろうとする事件が、岩手県一関市内で相次いだことが25日、わかった。県警は詐欺未遂事件として調べている。
県警によると、防犯協会を名乗る男2人組が17日、同市内の高齢の女性宅を訪問。「あなたの名前が裁判所に登録されている」などとうそを言い、「仙台や盛岡の裁判所から呼び出されると、交通費などの実費がかかる。だが、断ることもできるので、費用を払えば手続きを代行する」と現金を請求したという。
18日にも、同市内で2人組の男が別の高齢者の女性宅を訪れ、同様の手口で金をだまし取ろうとしたという。
いずれの女性も裁判員の候補者には選ばれておらず、金は支払わなかったという。
県警は2件とも同じ人物による犯行とみている。男2人は、40〜50代くらいに見えたという。



雇用「どげんかせんと」 宮崎県、60億円の補正編成へ(朝日新聞 2008年12月26日(金))

宮崎県は26日、悪化する経済情勢や雇用への緊急対策として、総額60億円を増額する一般会計補正予算案を組む方針を発表した。公共事業の前倒しが中心で、来月の臨時議会で提案する方針。
公共事業の前倒しは43億円で、河川堆積(たいせき)土砂の除去のほか、道路改良や維持補修工事を予定。県の中小企業向け融資枠も15億円拡大する。また、雇用創出事業として、耕作放棄地の再整備事業など1億5千万円を計画している。
60億円の財源は、当面は財政調整基金を取り崩す。東国原英夫知事は同日の記者会見で「財政規律を守りながら、雇用確保に当たりたい」と話した。
補正予算以外にも予備費から臨時職員ら100人を雇用するほか、住居喪失者用に県営住宅30戸、県職員宿舎20戸を充てる。



対海賊、海自派遣の検討指示 首相、防衛相に(朝日新聞 2008年12月26日(金))

麻生首相は26日、アフリカ東部・ソマリア沖の海賊対策として海上自衛隊の艦艇を派遣するため、浜田防衛相に自衛隊法に基づく海上警備行動の発令を含めた具体的な対応を検討するよう指示した。
防衛省海上警備行動の発令による海自護衛艦の派遣の可能性を探るほか、政府が来年の通常国会に提出予定の外国商船の保護も含めた海賊対策新法(一般法)に基づく具体的対応を検討する。
首相は同日の閣僚懇談会で「自衛隊が海賊対策に早急に対応できるよう、防衛相に検討作業をさらに加速するよう指示した。関係大臣も連携してもらいたい」と述べた。
ただ浜田氏は記者会見で、海上警備行動の発令については「日本国籍の船だけ(守る)ということで本当に国際協調の面からいいのか」と述べ、慎重な姿勢を見せた。
与党は新法について海賊対策のプロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、具体的な検討に入る方向。だが海賊対策での海上警備行動の発令は前例がなく、公明党から慎重論が出ている。(山田明宏)



ソマリア沖海賊、海自派遣 首相、新法「考える」(朝日新聞 2008年12月26日(金))

政府は25日、アフリカ東部・ソマリア沖の海賊対策のため、海上自衛隊艦艇の派遣を可能にする新法案を来年3月までにまとめ、国会に提出する方針を固めた。ただ、ねじれ国会で審議の難航は必至。当面の「つなぎ」として、現行自衛隊法に基づく海上警備行動を発令し、艦艇に日本船を護衛させる案も検討している。
ソマリア沖の海賊はロケット砲などで武装しており、取り締まりの際に戦闘になる恐れもある。政府はすでに、自衛隊の艦艇が海賊に武器を使っても憲法が禁じる「武力行使」にはあたらないという見解をまとめており、警察や海上保安庁に認められている範囲の武器使用は可能との立場だ。ただ、具体的な使用基準をどう定めるかなど、派遣に向けた課題も多く残されている。
麻生首相は25日夕、首相官邸で記者団に対し、新法について「考えてもいい」と述べた。さらに「(新法は)時間がかかると思うので、取り急ぎということであれば、海上警備行動で対応するということ」と語った。
新法については、河村官房長官が26日、自民党保利耕輔政調会長と会い、法案を検討する与党プロジェクトチーム(PT)を立ち上げるよう要請する。自衛隊海外派遣に慎重な公明党もPTでの議論は容認する構えだ。
政府が検討している新法はソマリア沖に限らず海賊行為全般を自衛隊艦艇が取り締まるための「一般法」。これまで国内法にはなかった「海賊罪」を新たに設け、日本人や日本の積み荷を載せていない外国船への海賊行為も取り締まり対象とする。国連平和維持活動(PKO)参加に続く、自衛隊による国際貢献の新分野と位置づける考えだ。
ただ、法案を提出しても、本格審議は来年度予算成立後の4月以降となる可能性が大きい。そこで浮上したのが、自衛隊法82条に基づく海上警備行動の発令だ。海上警備行動は、武器を持った外国の艦艇、不審船などへの対処について、海上保安庁の能力を超えると判断される場合、防衛相の命令で発令する。これまで99年の能登沖・北朝鮮不審船事件、04年の中国原子力潜水艦領海侵犯事件の2件で発令された。
海上警備行動は日本国民の生命や財産を守るのが目的で、外国商船を襲う海賊への対処はできない。自衛艦が日本船に並走して護衛するといった運用が想定されている。
対応を急ぐ背景には、ほかの主要各国が海賊対策に乗り出していることへの焦りがある。主要8カ国(G8)で、ソマリア沖の海賊対策に艦船を派遣したことがないのは日本だけ。中国が海軍艦船を26日に派遣すると決めたことで、政府内で「対応を急がねばならない」(河村長官)との意見が強まった。(金子桂一、丹内敦子)



中川秀・渡辺喜両氏が連携確認 独自の選挙公約作成で(朝日新聞 2008年12月26日(金))

自民党中川秀直元幹事長と渡辺喜美元行革担当相が25日、電話で協議し、同党の選挙公約に縛られない独自の公約作りなどで連携していくことを確認した。麻生政権に距離を置く2人が関係を強化し、今後の政局で協調すれば、党内の「非麻生勢力」の結集軸となる可能性もある。
渡辺氏は同日、記者団に「政界再編は必至。選挙前に旗を立てるのが大事だ」と語り、独自の公約を作る考えを表明。中川氏も「自民党内で30年先の日本を描くビジョンの旗を立て、後は天命に従って動く」と主張し、総選挙後の政界再編につながる独自の政策ビジョンを掲げる考えを示している。



自民「立党以来最大の危機」 09年党運動方針案で指摘(朝日新聞 2008年12月26日(金))

自民党が来年1月の党大会で正式決定する09年党運動方針案が明らかになった。「立党以来最大の危機」と位置づけ、「民主党が振りまく『政権交代』が幻想にすぎないことを訴えかける」と対決姿勢を鮮明に打ち出した。麻生首相がこだわる消費税増税については言及を避けた。
運動方針案起草委員会(委員長・坂本剛二組織本部長)がまとめた案では、党の現状について、07年の参院選惨敗や国会のねじれ現象に触れたうえで、前年の表現を踏襲して「立党以来最大の危機が続いている」と指摘した。
政策面では、経済危機について「今後の大きな課題は『内需拡大』に結びつく強力な政策をいかに打ち出せるかだ」と指摘。「大きな財政出動が必要であることは言うまでもない」と訴えた。
一方、「持続可能な『中福祉・中負担』の社会保障制度を構築するため、バランスの取れた社会保障安定財源を確保すべきだ」としたが、政府の中期プログラムに盛り込まれた消費増税には言及せず、行政・公務員改革やムダ遣い撲滅などで「『まず隗(かい)より始めよ』が大切だ」とするにとどめた。(山下剛



田母神氏論文「文民統制面で不適切」 防衛省が報告書(朝日新聞 2008年12月26日(金))

防衛省は25日、先の戦争の正当性を主張する論文を発表した田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長の更迭問題に関する調査報告書を、有識者らによる防衛省改革会議に提出した。同氏の論文について「文民統制の面からも適切ではない重大な事案」としながらも、ほかの隊員の応募に同氏の指示はなかったと結論づけた。
再発防止の具体策については「更に検討する」とし、明らかにしなかった。
田母神氏が最優秀賞を取ったホテルチェーン「アパグループ」主催の懸賞論文では、田母神氏のほか、航空自衛隊から97人の隊員が応募した。
報告書は、田母神氏の論文について「先の大戦に関する政府の認識と明らかに異なる見解や憲法に関連する重要事項について不適切な形で見解を述べた」と改めて認定。「空幕長という要職にある者が防衛省自衛隊の信頼を傷つけた」と批判した。田母神氏が論文を書いた経緯については言及していない。
また、論文の案内を全国の部隊に紹介した航空幕僚監部の教育課長と当時の人事教育部長を25日付で注意処分としたことを明らかにした。一方、隊員に論文作成を指示した空自小松基地トップの第6航空団司令や、97人の投稿経緯も「(教育課長らからの)紹介などがあった」とし、内容も含めて「問題はなかった」との見解を示した。
隊員教育については、田母神氏が統合幕僚学校長時代の03年度に新設して「東京裁判」などをテーマにした「歴史観・国家観」の講義を「バランスを欠いていた」と指摘し、改めて見直しを掲げた。また、隊員教育の教材の一部に「誤解を招くおそれのある表現があった」ともしたが、自衛隊での歴史教育は「ほとんどは客観的事実などを教える戦史教育」とした。
再発防止策については、職責を自覚した幹部を任命するよう適切に選考する▽隊員教育を適切に実施するための措置を検討する、など基本的な方向性を示すにとどまった。



「私の指示、ぶれていない」 首相がメルマガで反論(2008年12月25日(木))

「『ぶれている』という声もありました。しかしながら、最終的には私の指示はすべて実現できた」。政策方針が迷走して求心力を失った首相だが、年内最後となる25日付の麻生内閣メールマガジンでこんな反論をした。
首相は自らの手法について、「大きな方針を示し、それを踏まえて政府・与党で検討してもらい、最後に私が決断する」と説明。来年度の予算編成をめぐり、(1)「地方が使いやすい1兆円」の確保(2)基礎年金の国庫負担割合を来年度から2分の1へ引き上げ(3)社会保障費の伸び2200億円抑制(4)2011年度からの消費増税方針――の4点を盛り込んだ、と誇示した。
ただ、(2)については引き上げ開始時期が二転三転。(3)は抑制枠を圧縮し、実質的に230億円にとどまった。



造反「広がる感じがしない」 首相、渡辺氏を批判(朝日新聞 2008年12月25日(木))

渡辺喜美元行革担当相が民主党提出の衆院解散要求決議案に賛成した問題で、麻生首相は25日、首相官邸で記者団に「(自民)党で、きちんとまとめた話に反しておられるわけですから、党員としては、いかがなものかと思う」と渡辺氏を批判した。
渡辺氏は第2次補正予算案に盛り込まれた定額給付金について「非常に評判が悪い」として、採決で造反議員が増える可能性を指摘している。これに対し、首相は「その段階で、党の執行部としてしかるべき対処をされると思います。もっと(造反議員の)輪が広がる、そんな感じはありません」と自信を見せた。



官房長官、「造反予備軍」を牽制 2次補正案巡り(朝日新聞 2008年12月25日(木))

河村官房長官は25日の記者会見で、自民党渡辺喜美行政改革担当相が民主党提出の衆院解散要求決議案に賛成したことについて「あくまで個人的な行動だろう」と静観する考えを示した。次期通常国会に提出する第2次補正予算案の採決については「党議拘束をかけ、記名投票になると思う。この時の違反行為はそれなりの対応を幹事長室でおやりになるだろう」と、造反には厳重な処分が下されるとの見通しを示し、党内の造反予備軍を牽制(けんせい)した。



大阪府幹部が知事メール相次ぎ削除、「公開対象」報告受け(読売新聞 2008年12月26日(金))

大阪府橋下徹知事が府政運営に伴う指示や連絡に使っている電子メールについて、府情報公開室が「公開対象の行政文書として扱う」と判断し、庁内会議で報告したところ、幹部職員らが公用パソコンに保存していた「知事メール」を相次いで削除していることがわかった。
府の行政文書管理規則では、メールを保存対象として想定しておらず、削除しても法令上の問題はないが、専門家らは「情報公開制度が骨抜きになりかねない」と指摘する。ネット時代に対応し切れていない同制度をめぐる実情が浮かび上がった。
知事メールは、行政運営の迅速化を目指す橋下知事が重要案件に関する指示や伝達事項を記載し、幹部らに直接送信している。思いついた施策の検討を求めるなど、就任直後から多用されているという。
府民から情報公開請求を受けた同室は、知事が各部長らに一斉送信していることから、「組織的に管理している文書にあたり、情報公開条例に基づく公開対象になる」と判断した。
今月19日、庁内の各部次長による会議に同室長が出席し、「数件の情報公開請求を受けている」としたうえ、知事メールが公開対象になったと説明。会議後、保存していたメール削除の動きが幹部の間で広がった。
出席者の一人は「なるべく早めに削除しなければならないと受け止めた」と説明している。
同管理規則では、行政文書の保存期間は重要度によって1〜10年などと定められているが、メールは「一時的かつ補助的な用途」にあたるとして、保存が義務づけられていない。このため削除後は、公開請求をしても「不存在」扱いとなる。
岩田教之・府情報公開室長は「会議での報告は、メールも文書であることを意識してもらうのが目的だった。削除されたのは曲解で、残念だ」と話している。



赤外線カメラで発熱チェック NEC、新型インフルエンザ対策で実験(ITmediaニュース - Yahoo! 2008年12月26日(金))

NECは12月25日、新型インフルエンザ対策の実証実験として、体表面温度を測定できる「赤外線サーモグラフィシステム」を、本社(東京都港区)の入り口に設置した。入場者の発熱をチェックし、インフルエンザ発生時の拡大防止につなげる。
サーモグラフィーで測った入場者の体表面温度が所定の温度(38度を想定)を超えた場合は、非接触型の電子体温計などで正確な体温を測定し、マスクの着用を促すなどして感染拡大を防ぐ。
実証実験の結果を受け、新型インフルエンザが発生した場合には、本社、事業所、支社の入口への設置を検討する。
システムは、グループ会社のNEC Avio赤外線テクノロジーが開発。政府の「新型インフルエンザ対策ガイドライン」に対応し、設置を決めた。



うまみ:昆布、かつおだしの相乗効果…仕組み解明(毎日新聞 2008年12月26日(金))

昆布だしに含まれるうまみ成分のグルタミン酸かつおだしに含まれるイノシン酸を合わせると、うまみが増す「相乗効果」が起きる仕組みを、米国の研究グループが分子レベルで解明した。「米科学アカデミー紀要」に掲載された。
人の舌の細胞表面には、味を感じる「味覚受容体」と呼ばれるたんぱく質があり、これまで、うまみ、苦み、甘みを感じる受容体が見つかっている。
研究グループは、グルタミン酸イノシン酸が「T1R1」という受容体に作用すると推測。この受容体は二枚貝のような葉を閉じて虫を補える食虫植物の「ハエトリグサ」に形が似ており、受容体のどの部分に結合するかを、人やラットで調べた。
グループは、グルタミン酸は「ハエトリグサ」が開く際のちょうつがいの部分に、イノシン酸は先端の開閉部にそれぞれ結合することを突き止めた。イノシン酸が結合すると、閉じた構造になり、グルタミン酸が安定して中にとどまるため、うまみを増強させると結論づけた。
味覚を研究している三浦裕仁・鹿児島大准教授は「受容体に働くうまみ増強物質を探せば、おいしさを増す調味料が開発できるだろう。また、甘みや塩味をより強く感じさせる物質を見つければ、食事の塩分や糖分を減らすことも可能だ」と話している。
味覚には「甘み」「苦み」「酸味」「塩味」「うまみ」の5つの基本味がある。うまみ成分のグルタミン酸イノシン酸、しいたけのグアニル酸はいずれも日本人が発見したため、うまみという言葉は「umami」として国際的に使われている。【下桐実雅子】



橋下知事、指示メール「削除ありうる」 公開請求が膨大(朝日新聞 2008年12月26日(金))

大阪府橋下徹知事は26日、府幹部と日常的にやりとりしているメールについて、「行政文書であり、基本的には全部公開」と報道陣に述べる一方、情報公開請求に応じるための事務量が膨大だとして「削除ということはありうる」との考えを示した。
橋下知事は今年2月の就任以来、幹部職員への指示や報告のやりとりを頻繁にメールでしている。橋下知事は、個人情報の有無など点検の手続きが膨大で、情報公開請求に応じるには「職員100人くらい雇わないと無理」と述べ、「メールはメモ書きと一緒で、保存しているわけじゃないと理解して頂けたらありがたい」と語った。
府情報公開室は、府の行政文書管理規則ではメールを保存対象の行政文書と規定していないため、削除しても問題ないとしている。だが、府情報公開条例ではメールも電磁記録の一種として公開対象になっており、これまでも一部のメールは行政文書として公開している。



道路予算確保の署名、11首長応じず 与党への不満背景(朝日新聞 2008年12月26日(金)

全国の市町村長でつくる道路整備促進期成同盟会全国協議会(道全協)が集めた「道路整備を求める切実な声」の署名に、11市町の首長が応じなかったことが分かった。道路特定財源一般財源化が不十分だという政府・与党への不満などが背景にある。
道路財源不足を懸念した道全協は11月、地方道路整備臨時交付金制度の基本的枠組みの堅持や道路予算全体の確保を求めて署名活動を開始。全体の98.3%にあたる1752市町村長が署名し、今月、政府・与党に提出した。
署名がなかった30市町の首長に朝日新聞社が理由などを尋ねた結果、今月中旬までに3市を除いて回答があり、13市町が「提出が遅れた」などの事務的な理由を挙げた。署名文に「まちづくりにすべからく使えるように」と書き加えるなど、趣旨の一部に反対したり条件付きで賛成したりした結果、署名簿に載らなかったのが3市町あった。
署名を拒んだのは11市町で、医療、福祉、教育などの優先課題に充当できる財源を求める声が多かった。兵庫県加西市の中川暢三市長は「国や都道府県の顔色ばかり気にするのではなく、首長には、地方の実情を政府や国会に伝え、社会システムを変革していく責務がある」と回答。政府・与党に対し、「一貫性がない」「政策の本質を大きく変えるのなら、解散・総選挙を経て国民に信任された内閣で舵(かじ)を切るべきだ」などの批判もあった。(向井貴之、松川敦志)



学力テスト:結果公開に「対抗する法を」…塩谷文科相(毎日新聞 2008年12月26日(金))

秋田県寺田典城知事が全国学力テストの市町村別平均正答率などを公表したことについて、塩谷立文部科学相は26日の閣議後会見で「情報がどんどん公開されると(市町村教委の)参加が少なくなることも考えられる。情報公開条例に対抗するためには法律みたいなものを作らないといけないのかなと思う」と述べ、データ開示に対する法的規制も視野に入れるべきだとの考えを示した。
寺田知事は25日、07年と08年に実施された全国学力テストの市町村別結果を全国で初めて公表。「公教育はプライバシーを除き公開が基本」と述べた。文科省は24日、都道府県教委による市町村・学校別結果公表を禁止する09年度の実施要項を発表したばかりだった。【加藤隆寛】



ソマリア派遣:「早急に」…首相、防衛相に対応指示(毎日新聞 2008年12月26日(金))

麻生太郎首相は26日午前、首相官邸浜田靖一防衛相に対し、アフリカ・ソマリア周辺海域の海賊対策について「自衛隊が早急に対応できるよう作業を加速してほしい」と述べ、自衛隊法に基づく海上警備行動を発令し、海上自衛隊護衛艦などを派遣するための具体的な対応策をまとめるよう指示した。
首相は同日午前の閣僚懇談会でも「関係閣僚も防衛相と連携して、検討を早めてもらいたい」と発言した。
また、浜田氏は同日午前の記者会見で、「国際協力の観点や海賊が重火器で武装していることなど部隊派遣には十二分の検討が必要だ」と述べた。
海上警備行動では、国内法が適用できない外国船籍の護衛は困難なため、政府は海賊対策の新法も検討している。ただ、ねじれ国会で与野党対決が強まる通常国会で成立する見通しは立たず、各国が軍艦の派遣を決定するなか、迅速に派遣が可能な同行動での派遣方針を固めた。
一方、河村建夫官房長官は26日午前の記者会見で「野党側からも(海賊対策に自衛隊を派遣すべきだという)指摘があった。国を挙げての態勢が取れることを願っている」と語り、民主党などにも協力を求めていく考えを明らかにした。【松尾良】



日本から護衛艦派遣 ソマリア沖 麻生首相、対応明言(産経新聞 - Yahoo! 2008年12月26日(金))

政府は25日、海上警備行動発令によるアフリカ・ソマリア沖での海賊対策について、日本から新たに護衛艦を派遣する方針を固めた。インド洋に派遣されている海上自衛隊護衛艦を活用すると補給活動に支障が出る可能性があり、海賊対策に特化した派遣の方が、より実体的な任務が行えると判断した。ただ、派遣準備に十分な時間が取れないなどの問題もあり調整を急ぐ。
麻生太郎首相は同日夜、首相官邸で記者団に対し「取り急ぎ日本も対応すべきだ。取り急ぎということであれば海上警備行動で対応する」と述べ、海警行動の発令で海自艦艇をソマリア沖に派遣することを正式に表明した。
さらに首相は「他国の船は助けませんではいかがか」と述べて、海賊対策の一般法の早期制定に意欲を示した。
政府は護衛艦1、2隻に補給艦1隻の陣容を検討。ソマリア沖の海賊多発海域に艦を配置し、通行する日本関係船舶から危険情報が入った場合に現場に急行することを想定している。
また、一義的に海上での治安維持を担当する海上保安庁との連携を強化するため、日本で海上保安官を同乗させて出航する。武器使用については、警察官職務執行法を準用し威嚇射撃や海賊側と同程度の武器での応戦を認める。
アジア諸国のうち、中国は海軍艦艇をソマリア沖のアデン湾に派遣、海賊対策で各国と足並みをそろえる姿勢を強めており、日本の存在感を示す意味でも海賊対策に特化した護衛艦の派遣は重要となりつつある。ただ、日本籍船の護送任務を優先する外務省と、海域での警護を念頭に置く防衛省との調整はついておらず、年内にも派遣する政府調査団の報告を踏まえ、さらに検討を進める。