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発がん性物質、都公表の115倍 築地市場移転先(朝日新聞 2009年1月26日(月))
東京都中央区にある築地市場の「移転先」にされている江東区豊洲の土地から極めて強い発がん性を持つ化学物質が公表値の115倍の濃度で検出されていたにもかかわらず、都が汚染対策を話し合う公開の専門家会議にその結果を報告していなかったことが分かった。会議の座長は「情報隠しと受け取られかねない」と問題視している。
高濃度で検出された化学物質はベンゾ(a)ピレン。都は07年5月、土壌汚染への対応のための有識者による専門家会議を開始。ここで同年11月、土壌1キログラムあたり最大5.1ミリグラムのベンゾピレンが検出されたと報告した。ベンゾピレンについての環境基準や指針は国内にはないが、会議の座長は「米国やドイツなどでは2ミリや3ミリがリスク評価のための基準」と発言している。
都は、08年3月から改めて土壌汚染調査を実施し、同年6月末までにその結果を把握。同年7月の専門家会議で、それまでに測定されていた最大値を下回るか、増えても数倍程度のベンゼンやシアン化合物などの結果は公表したが、ベンゾピレンの結果には触れなかった。
ところが、調査を請け負った業者が同年9月末に都に提出した報告書を朝日新聞が情報開示請求で入手したところ、ベンゾピレンの最大値は590ミリで、07年の最大値の115倍に達していた。検出個所は151地点あり、そのうち50ミリ以上が15地点、5ミリ以上も58地点あった。
都は会議終了後4カ月近くたった08年11月、ベンゾピレンの新濃度について専門家会議の元委員らにメールで報告し、見解を求めた。元委員らは「水に溶けにくく、地下水が気化して起こる大気汚染の心配はない」としながらも、「環境基準がないので土壌の掘削・搬出の際には自主的な基準を設けて適切に処理し、再汚染に注意すべきだ」と助言したという。
専門家会議は都民らと情報を共有しつつ移転に向けた合意形成を図るために都が設置。公開で08年7月まで9回開かれたこの会議でベンゾピレンの新濃度を明かさなかったことについて、都側は「法で定められた汚染対策の対象物質でも正式な調査項目でもなく、委員からも汚染対策のためにデータを持っておく方がよいと言われた程度だったので、この時点では報告を考えていなかった。後でメールで報告したのは、それまでの最大値を超えたため、汚染対策の留意点が聞きたかったからだ」としている。
豊洲地区は東京ガスが88年まで30年余り、石炭などから都市ガスを製造。跡地の土壌からベンゼンなどの高濃度汚染が見つかり、都は専門家会議を開催。その意見公募手続きで「調査結果はすべて公表している」と説明していた。(香川直樹)
回収ギョーザ、20社に転売 省当局仲介か 新華社報道(朝日新聞 2009年1月26日(月))
【北京=坂尻顕吾】昨年1月に日本で発覚した中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品(中国河北省石家荘市)が回収したギョーザが昨年4月、河北省内の約20社に売り渡されていたことを新華社通信(英語版)が24日夜、伝えた。
新華社電は、国有企業を監督する同省国有資産管理監督委員会の当局者らの話として、承徳鋼鉄で男性1人が会社から配布された天洋の回収ギョーザを食べ体調不良を訴えたこと、唐山鋼鉄では天洋のギョーザを食べた社員に食中毒がなかったことを明らかにしている。
これら鉄鋼メーカー2社はいずれも天洋と同じく省内の国有企業。同委が苦境にある天洋の支援策として回収ギョーザの購入を仲介したものとみられている。
事件をめぐっては昨年7月初旬、中国側が「回収ギョーザを食べた4人が6月中旬、健康被害を起こした」と日本側に通報していたが、関係者によると、この被害は承徳鋼鉄で起きたものだった。
猫、育ての「親犬」に恩返し 熱心に子犬の世話 和歌山(朝日新聞 2009年1月25日(日))
拾われた雑種猫のマリモ(8カ月、メス)は、和歌山県白浜町の会社員林宜伸(よしのぶ)さん(44)宅でマルチーズ犬のベンジー(4歳、メス)に育てられた。最近、ベンジーが赤ちゃんを出産したところ、今度はマリモがせっせと育児のお手伝い。育ての親に恩返しをしている。
昨年春、近所の人が生まれたばかりの子猫を拾った。人間に捨てられたのか、親とはぐれた野良なのかはわからないが、林さんが引き取ってマリモと名づけた。先住のベンジーも元捨て犬で、林さんに拾われた。ベンジーは母親代わりにマリモを育て、おっぱいに吸い付かれると妊娠していないのに母乳が出てきた。
その後、ベンジーは交配で妊娠し、クリスマスの夜に2匹の子犬が生まれた。マリモはトカゲや小鳥を捕まえてくるおてんば盛り。林さんと妻の広美さん(48)は子犬が危ないと思い、ベンジーと一緒に囲いに入れてマリモから隔離した。ところが2日後、囲いに飛び込んだらしいマリモが仲良く犬たちと寝ていた。
そのうち、マリモは子犬のお尻をなめて排便を促したり、毛づくろいをしたりと熱心に世話を始めた。そんな姿をベンジーは優しく見守る。
とはいえ、甘えん坊のマリモ。子犬と一緒にまだベンジーのおっぱいを吸っている。(杉山敏夫)
「うどんの起源は中国でなく日本」伝承料理研究家が新説(朝日新聞 2009年1月25日(日))
うどんのルーツは中国ではなく、日本だった?――うどんは、日本で独自にできた食べ物とする新説を、伝承料理研究家の奥村彪生(あやお)さん(71)が30年がかりの現地調査でまとめた。これまで、うどんは漢字表記の変化などから、中国のワンタンが原型というのが有力な説だった。
ワンタンの中国表記である「コントン」のコンは、食へんに「昆」と書き、トンは饂飩(うどん)の飩。だが、コンを食へんに「軍」と書くことがあり、ウントン、ウンドンとも読む。これが読みの同じ温飩になり、饂飩に変わった――。この説は、昭和初期の中国研究者・故青木正児(まさる)京都大教授が「饂飩の歴史」という論文で発表し、広まった。
だが、奥村さんはこの説に疑問を持ち、中国の二十数都市でめん料理を現地調査した。日本の文献にあるめん料理の製法とも比べた。
その結果、中国には、めんを湯につけて温め、付け汁につけて食べる、うどん本来の食べ方がなかったという。「饂」という漢字も中国にはない。また、平安時代の日本の文献には「コントン」という食べ物があったが、肉のあんを小麦の皮で包んだもので、うどんとは似ていなかった。うどんを示すと考えられる表記が日本の文献に初めて登場するのは南北朝時代で、カタカナで「ウトム」とあった。
これらの結果から、奥村さんは、うどんは中国から伝わった「切り麦」から日本独自に進化したと推測。切り麦はいまの冷や麦で、細いので湯につけるとのびやすい。うどんは、温めて食べる専用の太いめんとして生み出された可能性が高いと結論付けた。
日本うどん学会長の佃昌道高松大教授によると、うどんの起源は中国説が有力だが、いつ、どんな形で入ってきたのか、諸説あるという。讃岐うどんは、空海が中国から持ち帰ったという俗説もある。
中国のめんの歴史に詳しい石毛直道国立民族学博物館名誉教授は「これまでの研究ではないほど、関連する文献をよく調べ、中国各地でも実地調査をしている。妥当な説だと思う」としている。(鍛治信太郎)
生活保護申請3割増 「派遣切り」影響 指定市・23区(朝日新聞 2009年1月25日(日))
「派遣切り」など雇用危機が深刻化する中、「最後の安全網」としての生活保護制度を利用しようとする失業者が急増している。朝日新聞社が全国の17政令指定市と東京23区に取材したところ、昨年12月の保護申請数が前年同月比で32%増えていた。派遣社員が大量解雇された企業城下町や都市部で増加傾向が著しい。各自治体は保護費の増額を検討するなどの対応に追われているが、景況の悪化で、今年はさらに保護希望者が増える可能性もある。
40自治体の申請数は計8936件。07年12月は計6754件だった。金融危機が発生した昨秋以降、伸びが目立ち始め、9月は前年比17%増、10月は13%増、11月は6%増。契約打ち切りが続発した12月に一段とはね上がった。
スズキやヤマハなど輸送機器の関連工場が多い浜松市は申請が67件で、前年の32件から2倍超となった。年が明けてからも15日までで67件寄せられ、08年1月の同期比で約4倍に上る。市によると、窓口に相談に訪れた人のうち、派遣切りの対象になった労働者が全体の3割を占めた。
「トヨタショック」に見舞われた名古屋市の12月分は647件で前年比44%増。今月も住居を失った派遣労働者ら100人を超す人が連日、名古屋駅に近い中村区役所に詰めかけた。
マツダの工場がある広島市にも昨年12月、44%多い305件の申請が寄せられた。このうち少なくとも44人はマツダなどで派遣切りに遭った労働者で、市は30日まで窓口を延長する異例の対応を取った。さらに、年度内に13億円の補正予算を組む方針で、前年度補正の5億円から倍増。担当者は「マツダの経営悪化で本体工場だけでなく、関連企業や町工場に深刻な影響が出た」と分析する。
保護世帯数が全国最多の大阪市。昨年12月は前年比で30%増え、1707件の申請があった。市は「リストラや大幅な賃金カットなど、今後の動向次第では保護費の増額も視野に入れなければならない」とみる。
今年に入っても状況は変わらない。12月の申請が前年より41%増えた札幌市には、今月も5日から5日間で169件の申請があった。前年1月を6割近く上回るペースだ。 「年越し派遣村」があった東京都千代田区。派遣労働者らが集団で申請し、約400だった保護世帯が年明けの1週間程度で1.5倍に増えた。区は「補正予算で対応しなければならないのは明白だが、どれだけの額になるか予想がつかない」としている。
生活保護は国が決める「最低生活費」を収入が下回り、貯金や資産でも生活できないうえ、家族の援助などが受けられない人が利用できる。親子3人標準世帯の生活扶助額は、東京23区や大阪市などで月16万7170円。(永田豊隆、山内深紗子)
民主・河村衆院議員、名古屋市長選への立候補表明(朝日新聞 2009年1月25日(日))
4月の名古屋市長選で、民主党の河村たかし衆院議員(60)=愛知1区=は25日、立候補する意向を同党県連の伴野豊代表に伝えた。河村氏は「伴野氏に『立候補したい』と正式にお伝えした。26日の幹事会で、政策もきちっと出します」と述べた。
同党県連の推薦候補として、元愛知県弁護士会副会長の伊藤邦彦氏(55)がすでに内定しているが、河村氏も党推薦を求める。県連は26日に幹事会を開き、伊藤氏と河村氏のどちらを推薦候補とするか話し合うが、調整が難航する可能性もある。
党推薦が得られなかった場合について、河村氏は「あくまで党推薦を求めていく」と、離党してでも立候補するかどうかについて言及を避けた。
河村氏は現在、衆院議員5期目。4年前の同市長選にも立候補を表明したが、当時政策として掲げた「議員報酬の引き下げ」などが市議団から反発を受け、党内の支持が得られなかったことから、結局立候補を断念している。
同市長選には、共産党や労働団体などでつくる「革新市政の会」が推薦する愛知県商工団体連合会長の太田義郎氏(64)も立候補を表明している。
山形知事選:「自民敗北」衆院選へまた打撃(毎朝日新聞 2009年1月26日(月))
25日の山形県知事選は民主党など野党が支援した吉村美栄子氏が接戦を制した。野党が「次期衆院選に弾みがついた」と自信を深める一方、自民党は「国政には影響しない」と平静を装う。ただ、保守地盤の強い山形での事実上の「敗北」は麻生政権への逆風の強さを示しており、毎日新聞調査で内閣支持率がさらに低下したのに加え、自民党は二重の打撃を受けた。【上野央絵、中田卓二】
自民党分裂となった前回知事選のしこりを考慮し、自民党本部は斎藤弘氏を推薦しなかった。幹部で応援に入ったのは24日の石原伸晃幹事長代理だけ。23日に小沢一郎代表が山形市入りした民主党に対し、後手に回った印象は否めなかった。
山形県選出の岸宏一参院議員が吉村氏を支援したこともあり、自民党幹部は「全く地元事情による結果」と指摘。党選対幹部も「現職が1期で落選するのは、本人の資質に難があった」と語るなど、「過小評価」に躍起になっている。
しかし、これらは野党を勢いづかせないための詭弁(きべん)にすぎない。実際には、古賀誠選対委員長は20日の党役員連絡会で「岐阜、山形両県知事選の対応をしっかりしていきたい」と表明していた。敗北を受け、細田博之幹事長は当面の国政への影響は否定しながらも、「しっかりと敗因を分析していく必要がある」と衆院選に向けた危機感を示した。
一方、民主党は「追い風が吹いた」と歓迎し、鳩山由紀夫幹事長は25日、毎日新聞などに「政権をチェンジさせたいという思いが表れた」と述べた。
小沢氏が乗り込むなど民主党が終盤にテコ入れしたのは、情勢調査などから「勝てる」と判断したためとみられる。23日に吉村氏の選挙事務所で小沢氏は「予定はなかったが、『あと一息で山形を変えることができる』『非常に盛り上がっている』と聞いたので激励に来た」と語った。
内閣支持率低下:くすぶる党内政局 自民「とにかく我慢」(毎日新聞 2009年1月26日(月))
毎日新聞が24、25日に実施した全国世論調査(電話)で、焦点の内閣支持率はさらに下がり、19%と2割を割り込んだ。このほかも麻生太郎首相と自民党にとって、下げ止まり感が見えない数字ばかり。11年度からの消費税率引き上げをめぐり自民党内を二分した消費税攻防をしのぎ、当面の政局は落ち着いたが、次期衆院選をにらんだ「麻生降ろし」はなおくすぶり続けている。【中村篤志、白戸圭一】
「施政方針演説で首相の考えや政策を見てもらい、国民の理解が深まる。政策実行の環境は整いつつあり、今週から反転攻勢に出ていきたい」。自民党の細田博之幹事長は25日、毎日新聞の取材に対し、27日にも行われる首相の施政方針演説など政府4演説を通じ、政権浮揚を図る考えを強調した。
消費税攻防は先週末でひとまず決着。09年度税制改正関連法案の採決時に大量の造反が出る可能性は小さくなり、現時点で党内政局は、なぎ状態になりつつある。自民党の笹川尭総務会長は「支持率は上がった方がいいが、少し下がったぐらいで一喜一憂してもしょうがない」と冷静に受け止めてみせたが、党内が「低支持率慣れ」をしていることの裏返しでもある。
消費税攻防をしのいだ首相にとって支持率回復に向けた当面の戦略は、08年度第2次補正予算案と09年度予算案の早期成立を図り、経済対策の実績を重ねることだ。特に重視するのが2次補正に盛り込んだ総額2兆円規模の定額給付金。支給が始まる今春をにらみ、首相周辺からは「給付金が国民に行き渡るまで、とにかく我慢」との声が漏れる。
ただ、給付金への評価は依然低い。毎日新聞調査では74%が「評価しない」と答えている。2次補正、09年度予算を成立させても景気回復につながるかは未知数。「給付金を受け取ったからといって政権の評価が変わるのか」との疑心暗鬼もくすぶっている。
首相に近い閣僚経験者は、予算成立後の09年度補正予算案提出や内閣改造の可能性を政権浮揚策としてあげている。しかし、消費増税反対で動いた自民党中堅・若手の本音は、次期衆院選前の麻生降ろしにこそある。景気後退を受け、当面は予算成立を優先せざるをえないものの、「麻生さんではやはり戦えない」(若手)との声は切実さを増している。
与党内からは「現内閣の支持率が下がるところまで下がれば、次の首相が光り輝いて見える。米国のブッシュ前大統領の後のオバマ大統領、森政権の後の小泉政権。麻生政権でぎりぎりまでいって『チェンジ』だ」との声も出ている。
消費税攻防に続く党内政局の「第2幕」が開こうとしている。
◇政党支持、民主がリード拡大
政党支持率や次期衆院選に関する質問への回答は、「自民党と民主党」「麻生首相と小沢一郎民主党代表」の差が広がり、民主党優位がさらに強まった。
政党支持率は民主支持率が08年12月の前回調査比2ポイント増の26%、自民支持率が3ポイント減の20%など。両党の数字は08年10月の前々回調査から3回連続で民主が上回り、差は6ポイントに拡大した。ただ、「支持政党はない」が5ポイント増の42%で、自民からの離反層を民主が十分に吸収し切れていないこともうかがえる。
「麻生首相と小沢代表のどちらが首相にふさわしいと思うか」という質問への回答は、麻生首相が3ポイント減の16%、小沢氏が4ポイント増の25%。両者は前回調査で初めて逆転し、小沢氏が今回リードを9ポイントに広げた。「どちらもふさわしくない」が1ポイント増の55%で、依然多数を占めた。
「次の衆院選で自民と民主のどちらに勝ってほしいか」は、自民が2ポイント減の27%、民主が4ポイント増の50%で、やはり両党の差が拡大。「望ましい政権の形」を尋ねたところ、「今の自公連立政権」は4ポイント減の8%、「自民単独政権」は2ポイント減の6%だったのに対し、「自民と民主が協力する大連立」が4ポイント増の34%で最多となった。
これらの質問への回答を詳しく見ると男女差が顕著。男性の方が女性よりも自民党に厳しい見方をしている傾向がうかがえた。
政党支持率は、男性が自民20%、民主33%、女性が自民19%、民主18%で、「勝ってほしい政党」も男性は自民25%、民主57%、女性は自民30%、民主42%だった。「どちらが首相にふさわしいか」で、麻生首相を挙げたのは男女とも16%だったが、小沢氏を挙げたのは男性29%、女性20%だった。
労働保険:5閣僚事務所が未加入 秘書・バイト分「強制」知らず(毎日新聞 2009年1月26日(月))
河村建夫官房長官ら麻生内閣の閣僚5人の資金管理団体が、雇用する私設秘書や短期アルバイトについて強制加入の労働保険に未加入だったことが毎日新聞の調べで分かった。5人の事務所は取材に法令の理解不足から未加入だったとし、うち3事務所は先月末以降に06年度にさかのぼって加入。労働問題が政治課題となる中、閣僚から関係法令違反が発覚した。【稲垣衆史、秋山信一、中村かさね】
全閣僚の資金管理団体について所管の労働局から開示された労働保険料の申告書類(05〜08年度提出分)を基に、今月21〜24日に各事務所に確認した。河村官房長官▽塩谷立文部科学相▽金子一義国土交通相▽浜田靖一防衛相▽甘利明行政改革担当相−−の5人の団体が保険未加入か最近まで加入していなかった。未加入は長年続いたとみられるが、労働保険料徴収法でさかのぼって徴収できるのは2カ年度分。
金子、浜田両氏の団体は私設秘書分などが未加入で、先月25、26日に加入した。他の3氏の団体は短期アルバイト分が未加入で、甘利氏の団体は今月16日に加入、河村、塩谷両氏の団体も近く加入するとしている。
金子氏事務所は「強制ということを失念していた」、浜田氏事務所は「認識が甘かった」、他の3氏事務所は「アルバイトは加入の必要がないと誤解していた」などと釈明した。
◇国交相団体では推計52万円未納
政治資金収支報告書によると、5団体の05〜07年の人件費は▽飛友会(金子一義国土交通相)1億1554万円▽至幸会(浜田靖一防衛相)4343万円▽建友会(河村建夫官房長官)2505万円▽甘山会(甘利明行政改革担当相)2284万円▽塩谷政治経済研究会(塩谷立文部科学相)1321万円。
このうち金子氏の団体は私設秘書8人分、浜田氏の団体は私設秘書ら5人分が未加入だった。両団体の05〜07年の人件費と労災保険料率(賃金の0・45%)から毎日新聞が推計したところ、労災保険料だけで05〜07年の未払い額は金子氏が約52万円、浜田氏が約20万円だった。河村、塩谷、甘利の3氏の団体は、短期アルバイト分で6万〜11万円だった。
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■ことば
◇労働保険
労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の総称。労災補償や失業給付などを行う。法令で労災保険はアルバイトも含め一人でも労働者を雇用していれば加入義務がある。雇用保険は、1週間の労働時間が20時間未満のアルバイトなど一部の労働者は適用除外となる。保険料は、賃金(給料や手当)の総額に業種ごとに定められた保険料率をかけて算定する。
民主「海賊対策」視界不良 他の野党に配慮、方針打ち出せず(産経新聞 2009年1月25日(日))
アフリカ・ソマリア沖の海賊対策として海上自衛隊の護衛艦を派遣する政府方針への民主党のスタンスが定まらない。党内の意見集約ができていないことに加え、政権交代時の連立相手と想定している社民党、国民新党が自衛艦派遣に強く反対しているためだ。安全保障論議は、かねてから民主党のアキレス腱(けん)と呼ばれてきたが、海賊対策で、また一つその危うさが露呈した形だ。(原川貴郎)
自民、公明両党が自衛隊法の海上警備行動による自衛艦のソマリア沖派遣を正式了承したことを受け、麻生太郎首相は近く、浜田靖一防衛相に派遣準備を指示する。防衛相は月内に海自に準備指示を出し、3月には護衛艦が派遣される見通しとなっている。
これに対し、野党では共産党に加え、社民、国民新の両党が「一義的には海上保安庁で対応すべきだ」などと反発している。
23日には両党の幹事長が、民主党の鳩山由紀夫幹事長に「反対」で共同歩調をとるよう求めた。鳩山氏は野党共闘を重視し、「できる限り一致していけるように努力していきたい」と応じた。
だが、鳩山氏の言葉をそのまま実現するのは容易ではない。民主党は保守系からリベラル派まで幅広い意見を抱えており、公式見解をまとめようとしても意見調整が難しいからだ。
皮肉なことに、自衛艦派遣問題の発火点となったのは、民主党議員の国会での質問だった。
昨年10月17日の衆院テロ防止特別委員会で民主党の長島昭久氏は、「海上保安庁の巡視艇がソマリア沖の海賊対策に当たるのは困難」との趣旨の答弁を政府から引き出したうえで、「自衛隊艦艇のエスコート(護衛)は海賊対策にかなり効果がある」と提案したのだ。
首相は「こういったご提案をいただけるのは、ものすごくいいことだ」と両手を挙げて歓迎した。
ところが民主党内ではその後、海賊対策論議は遅々として進まず、政府・与党の対応を遠くから眺めているだけの状況だ。
長島氏のアイデアも党内議論にはならず、鳩山氏は23日の記者会見で「なぜ海上保安庁じゃだめなのか、なぜ自衛隊なのかというところが、判然としていない」と長島質問を否定するかのような姿勢もみせた。
党内の幹部の一部は、海賊問題に関心すらない。
昨年中のソマリア沖の海賊事件は100件を超え、23人の乗組員が乗った日本郵船の大型原油タンカー「高山」が小型不審船から発砲を受け被弾した事件も含め日本関係船舶関連では3件の海賊事件があった。
ところが、民主党の平田健二参院幹事長は20日の記者会見でこんな驚くべき発言をしてみせた。
「海賊というのは漫画で見たことはあるが、イメージがわかない。ソマリア沖で、日本の船舶が海賊から襲撃を受けて被害を受けたということがあったのか」
同党の安全保障政策の不安な一面を、浮き彫りにしているといえそうだ。
アニメの下請け 「疲弊」浮き彫り(フジサンケイ ビジネスアイ - Yahoo! 2009年1月24日(土))
取引条件があいまいで、下請け会社は発注内容の変更を押しつけられることもしばしば−。「クール・ジャパン」の代表格として世界から注目される日本のアニメーション産業のこんな実態が、公正取引委員会が23日にまとめた調査報告で明らかになった。経済産業省は世界をリードする産業として育成する方針だが、現場は疲弊している。
調査は2007年11月から昨年12月にかけて制作会社553社を対象にしたアンケート(有効回答114社)と、テレビ局や広告代理店など44社4団体へのヒアリングで行った。
それによると、アニメ作品の企画、制作はテレビ局などから転々と再委託が行われる構造で、制作会社の62.8%が資本金1000万円以下の小規模事業者。42.4%が「十分に協議することなく著しく低い制作費を押しつけられたことがある」と回答した。
制作会社からさらに下請けに出す場合、発注書面を交付するのは17.1%。あいまいな取引慣行を背景に、発注取り消し(22件)、内容の変更(46件)、やり直し(47件)が横行。代金減額も16件あった。
深海魚の3科、実は1つだった=DNA解析で判明・国際チーム(時事通信 - Yahoo! 2009年1月26日(月))
19世紀末から20世紀半ばにかけて3つの科に分類された深海魚が、実は1つの科の子、雄、雌であることが、DNA解析などで分かった。東大海洋研究所や千葉県立中央博物館などの国際研究チームが25日までに英王立協会の生物学誌バイオロジー・レターズ電子版に発表した。科は種の2段階上の分類。陸上動物ならイヌとネコが仲間だというのと同じぐらい、意外な発見だ。
子、雄、雌と判明したのは尾が1メートル近いリボンイワシ科(3属5種)、全長わずか6センチ程度で嗅覚(きゅうかく)器官が発達したソコクジラウオ科(4属9種)、最大40センチ程度で頭部が巨大なクジラウオ科(9属20種)。
子はひものようなクシクラゲ類に姿を似せるなどして身を守り、プランクトンを食べて成長。雄は食道と胃がなくなり、肥大化した肝臓にためたエネルギーで、フェロモンを頼りに雌探しに専念すると考えられている。
海洋研所長の西田睦教授や同博物館の宮正樹上席研究員らが、最近採集された標本から細胞小器官ミトコンドリアのDNAを抽出し、全遺伝情報(ゲノム)を解読したところ、3科が非常に近いと判明。米国立自然史博物館やオーストラリア博物館の研究者が頭骨などの形態を詳細に比較し直し、子と雄、雌と結論付けた。種レベルの対応関係はまだほとんど分かっていない。
深海魚は網で海上に引き揚げると死んでしまうため、生態の解明が難しい。しかし、これまでも、ソコクジラウオ科は雄、クジラウオ科は雌しか捕まらないことが不思議に思われていた。日本魚類学会長でもある西田教授は「魚類は種類が多く、形態も変わったものが多い。DNA解析を進めれば、今後も教科書を書き換える成果が出てくるだろう」と話している。
化学物質で遺伝子の一部置き換え、iPS細胞づくり加速へ(読売新聞 2009年1月25日(日))
様々な細胞に変化できる「新型万能細胞(iPS細胞)」作製に必要な遺伝子の一部を、人工的な化学物質に置き換えることに米ハーバード大学などの研究チームがマウスの実験で成功した。
24日に東京大学で開かれたシンポジウムで発表した。米スクリプス研究所グループに次ぐ成果で、遺伝子を使わない、より安全性の高いiPS細胞づくりが加速しそうだ。
山中伸弥京都大教授が当初開発したのは、4遺伝子を組み込んだウイルスを体細胞に入れてiPS細胞を作製する方法。だが、ウイルスを使った細胞を臨床応用した場合、がん発症の危険性が指摘されている。すべてを化学物質に置き換えれば、ウイルスを使わずにすむ。
ハーバード大のケビン・エッガン准教授らのチームは、4遺伝子のうちiPS細胞作製の中核的な役割を果たす「Sox2」と置き換えられる化学物質を探し出すことに成功。これと残りの3遺伝子で、Sox2よりも効率よくiPS細胞を作製できた。
ノロウイルス:宮城の小学校で集団感染 60人下痢や腹痛(毎日新聞 2009年1月25日(日))
宮城県は24日、県北部にある加美郡内の公立小学校(児童数257人)で、児童59人と職員1人の計60人が下痢や腹痛を訴え、うち4人からノロウイルスを検出したと発表した。感染性胃腸炎の集団感染とみている。全員が軽症で、快方に向かっているという。
県疾病・感染症対策室によると、16〜23日の間、1年生4人▽2年生7人▽3年生3人▽4年生29人▽5年生5人▽6年生10人▽特別支援学級1人−−の59人が症状を訴え、4年生は22、23日の両日、学年閉鎖にした。吐しゃ物を処理する際に感染した可能性があるという。
国立感染症研究所によると、感染性胃腸炎は例年11月ごろから急増する。【伊藤絵理子】
ネット閲覧者、世界で10億人突破=中国が国別首位−米調査(時事通信 - Yahoo! 2009年1月24日(土))
【シリコンバレー23日時事】米調査会社コムスコアが23日発表した世界のインターネット利用状況調査によると、昨年12月のネットサイト閲覧者は10億0773万人と、月間ベースで初めて10億人の大台を突破した。
推計67億人に上る世界総人口の15%に相当する。同社幹部は「20億、30億人の大台には、これまでの想定より早く到達する」との見通しを示した。
調査は15歳以上を対象に、ネットカフェや携帯電話を除き、自宅、職場のパソコン経由の接続者総数を算出。国別ではトップの中国が1億7971万人で全体の約18%を占めた。2位は米国の1億6330万人、3位は日本の5999万人で、以下ドイツ、英国、フランスと続いた。
消費増税、衆院選で争点化も=河村官房長官(時事通信 - Yahoo! 2009年1月26日(月))
河村建夫官房長官は26日午前、都内で講演し、2011年度からの消費税引き上げを目指す政府方針について「民主党といかに違うか明確だ。そのことをテーマに選挙戦を戦うべきではないかという意見もある」と述べ、次期衆院選の争点になり得るとの認識を示した。
また、小泉内閣当時の04年に基礎年金の国庫負担割合引き上げを決定したことに触れ、「財源の手当ても十分せず、(消費税率を)上げる方向だけ決めて(政権)交代した。この手形を麻生内閣は落とさなければいけない」と語り、増税の必要性に理解を求めた。
出生届不受理、岡山の女性が提訴 民法300日規定(朝日新聞 2009年1月26日(月))
離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する民法の規定により、現夫との間に生まれた女児の出生届を不受理としたのは憲法などに違反するとして、岡山県内の20代の女性が26日、不受理とした市と国に対し損害賠償を求め、岡山地裁倉敷支部に提訴した。また、同市の市長が同日午後、森英介法相と面会して法改正を要望し、女児の救済を求める。
提訴したのは08年11月に生まれた女児。母親の女性が法定代理人となり、規定を理由に出生届が不受理とされたのは「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反するとして、市と国を相手取り慰謝料など330万円の損害賠償を支払うよう求めている。
訴えでは、女性は前夫の暴力がもとで06年9月に別居。同10月には岡山地裁から配偶者暴力防止法(DV防止法)の保護命令を受けた。07年10月に岡山家裁で離婚が認められた後も前夫が控訴し、08年3月の離婚成立まで訴訟が長期化した。
女性はその間の同2月ごろに、現夫との間に女児を妊娠した。女児は、「離婚後300日以内の子でも、離婚後に妊娠した子と証明されれば届けを認める」との07年5月の法務省通達でも救済されず、市側は出生届を受理しなかった。
原告側弁護人によると、女児は無戸籍の状態を解消するため認知調停を申し立てており、近く成立する見込み。この問題では、市側が昨年12月、女児の救済に協力的な姿勢を示したため、女性側が提訴を一時見送っていた。
ウイルス仕掛けネット預金900万円詐取、容疑の男逮捕(朝日新聞 2009年1月26日(月))
他人の銀行口座の個人情報をもとにインターネットバンキングにアクセスし、預金を移し替えて約900万円をだまし取ったとして、警視庁築地署は、住所不定、無職近藤隆昌容疑者(37)=詐欺罪で公判中=を不正アクセス禁止法違反と電子計算機使用詐欺の疑いで再逮捕したと26日発表した。同署は、近藤容疑者が被害者の自宅に侵入し、パソコンにウイルスを仕掛けてネットバンクの個人情報を不正入手したとみている。
同署によると、近藤容疑者は昨年1月、東京都中央区の男性会社員(36)のネットバンク口座に不正にアクセスし、実在する他人の身分証明書を使って開設した架空口座に約900万円を移し替えた疑いがある。複数の架空口座に移動させながら、金を引き出したという。
勝手に口座に名義を使われた人の自宅からはパスポートや健康保険証などの身分証明書が盗まれていたという。近藤容疑者は「被害者らの自宅に侵入し、一部の人のパソコンに『バグベア』と呼ばれるウイルスを仕掛けた」などと供述しているという。
バグベアはパスワードなどの個人情報を収集し、特定のアドレスにメール送信するウイルスで、同署は、近藤容疑者がこれを使って個人情報を入手したとみている。
近藤容疑者は昨年7月、男性会社員のカード番号でホテルを予約したなどとして、詐欺容疑で3回逮捕、起訴されている。