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ソマリア沖海自派遣の準備を指示 防衛相(朝日新聞 2009年1月28日(水))

政府は28日、首相官邸安全保障会議(議長・麻生首相)を開き、ソマリア沖の海賊対策に海上自衛隊を派遣するため、海上警備行動を発令する方針を決めた。これを受け、浜田防衛相は同日、海上幕僚長らに派遣準備を指示した。海警行動発令は過去2例あるが、日本沿岸を離れ遠洋で活動するのは初めて。
安保会議での方針決定を受け、麻生首相は浜田防衛相に「しっかりやるように」と指示。浜田防衛相は斎藤隆統合幕僚長や赤星慶治海上幕僚長らに対し「遺漏なきようしっかり対応して頂きたい」と、派遣部隊の編成や現地調査、訓練、装備品の調達などの準備に入るよう指示した。
防衛省は今後、調査のため現地に隊員を派遣し、護衛艦の補給を行う寄港地の選定などを進める。海賊対処の基本計画や、具体的な武器使用基準を定めた部隊行動基準(ROE)の作成も急ぐ。3月上旬にも海警行動が発令され、護衛艦2隻が派遣される見通し。現場海域まで20日ほどかかるため、実際に活動を始めるのは3月下旬〜4月上旬になりそうだ。
一方、与党海賊対策プロジェクトチームは28日、海賊対策新法の法案作成に入った。本来は日本沿岸の警備を想定した海警行動に基づいて派遣することには「拡大解釈」との批判があるうえ、保護する対象や武器使用に制約があるため、新法を制定して派遣根拠や行動基準を明確にする狙いがある。



なじみ薄いフグ、東北6県に規制条例なし…山形で7人中毒(読売新聞 2009年1月28日(水))

山形県鶴岡市の飲食店でフグの白子(精巣)を食べた7人が意識障害になるなどした中毒事故で、店長(65)は白子料理を作ったのは初めてだった。
フグに関する知識もほとんどなかったという。
26日夜に中毒が起きた「鮮魚料理きぶんや」は、地元の人によると「魚料理がおいしい」と評判で繁盛していた。県警の調べに対し、店長は白子を出した理由を「常連客で以前にフグの空揚げを出したことがあり、同じ料理だと申し訳ないと思った」などと話しているという。
さらに、「トラフグ以外の白子に毒はないと思っていた」と打ち明け、捜査員を驚かせた。実際は逆で、トラフグの白子には毒がなく、今回出されたヒガンフグの白子には毒がある。
フグの毒に詳しい東京医療保健大の野口玉雄教授は「フグ毒の正体はテトロドトキシンという化合物。青酸カリの500〜1000倍の強い毒性があり、2ミリ・グラム程度の摂取で成人が絶命するとされる。加熱しても、分解しない」と言う。
中毒になると、5分ほどで舌と唇がしびれ始め、次第に全身に伝わっていく。致死量を食べた場合は、嘔吐(おうと)などの末、6〜8時間で呼吸困難に陥り絶命する。解毒剤がなく、治療は毒を吐き出させ、人工呼吸器を着けるしかないそうだ。
このため、フグの販売や調理は、都道府県の条例などで規制されている。しかし、厳しさには差がある。
東京、京都、山口など19都府県は免許が必要で、専門の試験がある。東京の試験は、5種類のフグを選別し、20分以内に毒のある部位を取り除いて皮を引き、刺し身にしなければならない。無免許で販売、調理すると懲役などの罰則もある。一方、学科や実技の講習を受けて登録するだけでいい自治体もある。
東北6県にはこういった条例そのものがない。山形県は要綱で資格制を定めているが、違反しても罰則はない。「東北地方はフグに対するなじみが薄く、規制の必要がないため」と県では説明する。1955年以降、山形県内で起きたフグ中毒事故は6件。すべて自分で釣るなどして家庭で調理したもので、飲食店での発生は初めてだ。
店長は、県が定めたフグを扱うための講習を受けておらず、資格もなかった。調理師の免許さえ持っていなかった。フグは市内の鮮魚店から仕入れていたが、鮮魚店側も店長の資格の有無を確認していなかった。野口教授は「調理を資格者に任せるのは常識。その信頼を裏切る飲食店があるとは」とあきれる。(山形支局 古屋祐治、地方部 北出明弘)



「草薙本に公共性ない」講談社元編集長が証言…調書漏示公判(読売新聞 2009年1月27日(火))

奈良県田原本町の放火殺人事件で少年(18)の供述調書などを漏らしたとして、刑法の秘密漏示罪に問われた精神科医崎浜盛三被告(51)の公判が27日、奈良地裁(石川恭司裁判長)であった。
調書を引用したフリージャーナリスト草薙厚子さん(44)の著書が講談社から出版された当時、社内で唯一、出版に反対したとされる同社の週刊誌「週刊現代」の加藤晴之・元編集長(53)が弁護側証人として出廷、「本に公共性、公益性がないのが一番の問題だと思った。出版するべきではなかった」と述べた。
弁護側から、出版に反対した理由を質問されると、加藤元編集長は「知る権利とプライバシーのバランスを欠いていたため」と話し、「結果として公権力の介入を招いた」とした。
さらに、「草薙さんは情報源を明かしましたが、あなたはどうしますか」と問われると、「しません。情報源は必ず守らなければいけない」と答えた。
石川裁判長が「本になる前に、あなたが担当していれば何をアドバイスしていたか」と質問。加藤元編集長は「どこかで編集者がブレーキを踏む必要があった」と述べた。
証人尋問の終了後、加藤元編集長は「崎浜被告には無罪を勝ち取ってほしい。表現の自由を妨げるような判例を残すべきではない」と話した。元編集長は現在、同社学芸局次長。
講談社が設置した第三者調査委員会の調査報告書によると、週刊現代は、本の出版に先立つ2006年10月、調書を基に草薙さんが書いた事件の記事を、崎浜被告にチェックしてもらった上で掲載。一方、本は07年5月の出版前に、崎浜被告に意見を求めないまま、編集作業を進めた、としている。加藤元編集長は、出版1週間前に宣伝記事の掲載を依頼されたが拒否、出版に反対したとされる。