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降灰、煙と勘違い? JR八高線止まる 浅間山噴火(朝日新聞 2009年2月2日(月))

2日未明に噴火した浅間山。ふもとの自治体では朝から住民に警戒を呼びかけ、被害の有無の確認に追われた。これまで大きな被害は出ていないが、火山灰は関東地方や長野の広い範囲で確認された。火口は今も白い煙を吐く。専門家は「しばらく続く可能性がある」としている。
■「ゴゴゴー」と地響きのような音
火口から南東10キロ足らずにある長野県軽井沢町
噴火当時、町内の国道18号で検問中だった県警軽井沢署員は「ゴゴゴー」と地響きのような音を聞いた。軽井沢測候所は、噴火によって空気が振動する「空振」を観測した。午前2時ごろには「サー」という音とともに灰が降った。
浅間山の北側にある群馬県嬬恋村では、未明の噴火直後に職員15人を招集。夜が明けると防災無線で村民に注意を呼びかけた。
火山灰は風に乗って関東南部にも届いた。
東京都羽村市では2日午前5時10分ごろ、JR八高線の下り始発電車が走行中、車両外の床下から煙が出ているのに乗務員が気づき、停車した。車両に異常はなかったが、線路付近に灰のようなものが積もっていた。JR東日本は「線路に積もった火山灰を電車が巻き上げ、煙に見えた可能性がある」としている。
埼玉県秩父市でも0.5ミリほど積もった。市危機管理課によると、午前5時すぎにバイクの新聞配達員から「灰で前がよく見えない」と電話があったという。
■「しばらく続く可能性」
浅間山の今回の噴火は、08年8月に約400メートルの噴煙を上げた小規模噴火と一連の活動とみられる。東京大学地震研究所の中田節也教授(火山学)は「昨年開いた火口の下にマグマがたまり噴火したのだろう。しばらく噴火が続く可能性がある」と話す。
浅間山は観測体制が充実している。今回も火山性地震や山の斜面がふくらむ様子などを捕らえ、事前に噴火警戒レベルを上げ、注意を呼びかけることができた。今回の噴火は今のところ、噴石が約2.7キロ飛んだ04年の噴火より規模が小さい。荒牧重雄・東京大名誉教授は「明治期以降の観測実績から、浅間山の噴石が及ぶ範囲はほぼ4キロ圏内。あまり心配することはない」と話す。
ただ、武尾実・同研究所火山噴火予知研究推進センター長は「ここ数十年間続いていた活動と少し違う」と指摘する。20世紀初頭から1960年ごろまでは、1年で200日以上噴火を繰り返す活発な時期があった。その後、活動は停滞し、04年9月まで小〜中規模の噴火の発生は約10年間隔。だが、今回はわずか数年で噴火に至っている。
1783年には、火砕流や泥流が発生し、千人以上が死亡する大規模な噴火も起きている。武尾センター長は「活動パターンが変わる可能性もあるので、今後も観測を続けていく」と話している。



浅間山噴火、噴煙2000m 都内などで降灰観測(朝日新聞 2009年2月2日(月))

群馬県と長野県の境にある浅間山(2568メートル)が2日未明、噴火し、噴煙は2千メートルに達した。噴火は小規模で、08年8月の小規模噴火以来。正午現在、人的被害の情報はないが、気象庁は「今後、小規模から中規模な噴火が繰り返される可能性が高い」と注意を呼びかけている。
気象庁によると、火口から南約8キロにある軽井沢測候所で午前1時51分、噴火に伴う空気振動が観測され、50センチほどの噴石が1キロほど離れた山の中腹まで飛ぶのも確認された。また火口から火柱が上がっているのが監視カメラで確認された。
浅間山は今年1月に入って短周期の地震が多くなり、山体が盛り上がったことなどから、気象庁は2月1日午後1時、噴火警戒レベルを2から3に上げる火口周辺警報を出し、入山を規制していた。
今回の噴火で噴出した火山灰は、群馬県の安中、富岡、藤岡の各市や長野県軽井沢町などの周辺自治体に降った。さらに北西の風に乗って、午前4時から午前6時にかけて100キロ以上離れた千葉県君津市横浜市川崎市、東京都千代田区でも降灰が観測されている。
火口周辺4キロでは、雪を溶かして泥流が発生する可能性がある。このため、気象庁は2日午前、機動調査班2人を派遣。上空からはヘリコプターで火口内や周辺の噴出物、温度を観測している。
正午現在、体に感じない周期の短い地震の回数は減少傾向にある。また白色の噴煙が100メートルほど上がっているが、水蒸気と火山ガスを含むもので、灰は混じっていないという。山体は依然、盛り上がりつつあるが、そのスピードは落ちているという。(神崎卓征)



浅間山、火口周辺警報を「入山規制」に引き上げ(朝日新聞 2009年2月1日(日))

気象庁は1日午後1時、浅間山(長野県・群馬県)について火口周辺警報を出し、噴火警戒レベルを、入山規制が必要な「3」に引き上げた。中規模の噴火が切迫し、火口から4キロの範囲で直径50センチ程度の噴石が飛び、風下では火山灰が降る危険があるとみて注意を呼びかけている。
警報の対象となる地域は、群馬県嬬恋村、長野県小諸市御代田町軽井沢町の一部。浅間山の噴火警戒レベルが3になるのは、5段階の噴火警戒レベルが導入された07年12月以来初めて。
気象庁の観測によると、この日午前7時ごろから体に感じない地震が多くなり、午後2時ごろからは山がわずかに盛り上がったという。
浅間山では1月から火山性地震が多い状態が続いている。火山性ガスの噴出量も増え、マグマが浅いところまで上がってきていると推測されるという。噴火すれば、火口周辺4キロで、雪を溶かして泥流が発生する可能性もある。
浅間山は活動が活発だった04年、中規模の噴火が4回起きた。いずれも今回の観測と同様に、噴火の前に山が盛り上がり、周期の短い地震が多くなった。また大きな噴石が2.7キロ飛び、直線で約250キロ離れた福島県相馬市でも降灰が観測された。最近では昨年8月に小規模な噴火があり、警戒レベルは火口周辺への立ち入り規制が必要な「2」に引き上げられた。
気象庁の横山博文・火山課長は「これまでの観測結果から、大規模噴火につながるようなことはないとみられる」と説明している。



鹿児島・桜島も噴火=入山規制に警戒強化−気象庁(時事通信 - Yahoo! 2009年2月2日(月))

気象庁は2日午前、鹿児島・桜島の噴火警戒レベルを5段階で2の火口周辺規制から3の入山規制に引き上げたと発表した。対象は鹿児島市桜島の昭和火口では1日から2日午前8時までに爆発的噴火が8回発生し、大きな噴石が5合目まで飛んだ。今後も噴火活動が活発化する恐れがあるという。
 昭和火口と南岳山頂火口から約2キロの範囲では、大きな噴石が弾道を描いて飛散したり、火砕流が起きたりする恐れがある。風下側では降灰と小さな噴石に注意が必要。雨が降ると、泥流や土石流が発生する可能性がある。



月:永久日照地域「なし」 「かぐや」データで判明(毎日新聞 2009年2月2日(月))

◇日当たりの率は北極89%、南極86%
月面上に1年を通して太陽光が当たる地域が存在しないことが国立天文台の研究で初めて明らかになった。月探査衛星「かぐや」のデータを分析した。自転軸の傾きが小さく高い山がある月の表面には、常に日が当たる永久日照地域があると考えられ、そこは太陽光発電を備えた月面基地の有力候補地になると期待されていた。成果は米地球物理学会誌に発表した。
研究チームは、月の北緯85度以北と南緯85度以南の地域の地形を、かぐやの高度計データを基に再現。2000年1月1日から毎日午前0時の日照を、2000日分にわたって分析した。
その結果、最も日当たりのよい地点の日照率は北極で89%、南極で86%となり、どの地点も影になる時期が存在することが分かった。地球の1年に当てはめると、北極では324日、南極では314日が日に当たる計算になる。1年のうち80%以上、日に当たる場所はクレーターの周縁部に多かった。
一方、常に影になる地域は従来の予測通り、今回の分析でも南北両極ともに存在が確認された。
今回の分析で、永久日照地域の存在は否定されたが、極地は氷が存在する可能性が高いだけに引き続き月面基地の候補になる。野田寛大・国立天文台助教(惑星科学)は「発電装置や実験施設などの設計に役立つだろう」と話す。【永山悦子】



若麒麟に退職金…相撲協会の処分「甘すぎる」(読売新聞 2009年2月2日(月))

協会が出した結論は「解雇」だった。
大麻事件で逮捕された若麒麟真一(本名・鈴川真一)容疑者(25)に対し、日本相撲協会の理事会は2日、解雇処分を決めた。理事会決議としては最も重い処分だが、退職金を支給しない「除名」という選択肢は見送られたことで、識者からは「甘すぎる」との指摘も出ている。
理事会が開かれた東京・両国国技館には、約50人の報道陣が詰めかけた。同日正午前から開かれた記者会見には、武蔵川理事長と協会広報部長の九重親方が出席。フラッシュがたかれる中、冒頭、武蔵川理事長が顔を紅潮させながら、「多くのファンに心配、ご迷惑をおかけし、心からおわびします」と謝罪し、深々と頭を下げた。九重親方は終始無言で、厳しい表情のままだった。
武蔵川理事長によると、処分は「議論はあったが、満場一致の結論」。今後、協会改革を進めていくにあたっては、外部の意見を取り入れることや、薬物検査も回数を増やすなど、徹底する考えを示した。
報道陣から、「(若麒麟容疑者を)除名にすべきという意見はなかったのか」と問われると、武蔵川理事長は「除名を求める声もあったが、若麒麟はまだ若く、第2の人生もある。除名はかわいそうだということで、解雇に決まった」と苦渋の表情を浮かべた。会見は5分ほどで終わった。
また、元警視総監で、外部から監事に就任した吉野準氏は「出席者の半分くらいは除名という意見が出たが、最終的に全会一致で解雇とした」と説明した。
会見に先立ち、理事会から退席した師匠の尾車親方は、待ちかまえていた報道陣に「処分は言われましたが、私からは言えないので、会見で」とだけ言い残して立ち去った。
日本相撲協会の再発防止検討委員会委員を務める漫画家のやくみつるさんは「(退職金を払わなくていい)除名でないことに合点がいかない。ロシア人力士の時にも『何をやっているんだ』という声が上がっていたのに、なぜ同じ愚を繰り返すのか。除名に必要な手続きの手間を惜しんだとしか思えない」と解雇処分に疑問を呈した。その上で、「こうした犯罪行為だけでなく、品格の問題なども同時進行で律していかなくてはいけないのに、今回の問題で他の問題が棚に上げられてしまった感があり、残念だ」と話した。
ノンフィクション作家の長田渚左さんは「当然の処分。ただ最近、不祥事が立て続けに起き、関係者を処分しているのに、全く次につながっていない。たがが緩みきっている。相撲界は根本的な改革を本気でやらないと、衰退の一途をたどってしまう」と指摘。さらに「一連の不祥事の根はすべて同じで、新弟子よりも親方の再教育が必要だ。相撲をしばらくやめて、内部で徹底的に話し合い、自分たちの根っこを見つめ直すべきだ」と語った。
相撲ファンの反応も様々だ。国技館近くにいた三重県桑名市の主婦藤崎千鶴子さん(57)は「ロシア人力士の時も解雇処分だったので、今回だけ除名になると不公平。処分は納得出来るが、大好きな相撲でこういう不祥事が続くと、ファンとして悲しいので、個々の力士が『国技を担っている』という誇りを持ってほしい」。茨城県石岡市の男性会社員(62)は「我々サラリーマンが不祥事を起こした時は、退職金も出ずに首になる。それに比べると甘いのではないか」と憤っていた。