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作業台に別人の受精卵 取り違え担当医が検証(朝日新聞 2009年2月19日(木))

待望の生命を授かったと喜んだ夫婦は、すぐに、悲しみに突き落とされた。香川県立中央病院(高松市)で、不妊治療中の夫婦の受精卵を取り違えていた可能性が19日、明らかになった。細心の注意が求められる治療で、何が起きたのか。
「あってはならないこと。妊娠という喜びの絶頂で中絶をしなければならなかった心中は、想像を絶する。大変申し訳ない」
香川県立中央病院の松本祐蔵院長、米沢優・産婦人科主任部長ら3人は香川県庁で記者会見。冒頭、松本院長が謝罪の言葉を述べ、頭を下げた。
病院によると、女性は07年春から別の医療機関不妊治療を受け始めた。昨年4月に県立中央病院で初めて受診し、女性の体内から卵子を取り出し、受精させる体外受精に進んだ。
担当医は61歳の産婦人科医で、同病院に約20年勤めるベテラン。不妊治療の専門家で、これまでに体外受精を約1千例手がけているという。
この担当医が昨年10月中旬、女性の経過が順調なことに「この女性は受精卵が発育しにくい傾向があるのに」と自らのミスを疑い始め、自分で検証した。その結果、作業台で受精卵の成熟状態を確認した際、別人のシャーレに入った受精卵と取り違えた可能性が高いと判断したという。
女性の妊娠が確認されてから2週間後の昨年10月31日、院長に「他人の受精卵を移植した可能性が高い。どう対応すればいいか」と報告。11月7日に産婦人科主任部長と担当医が夫婦に病院で面会し、別の患者の受精卵を子宮に戻した可能性があると説明し、謝罪した。
「別人の可能性」という説明に対し、夫は「自分たちの本当の子どもではないのか」と強い口調で確認を求めた。医師らは「妊娠9週目ではわからない。15週目になればDNA鑑定などでわかるかもしれないが、その時点での中絶は母体に負担が大きい」と答えた。女性はうちひしがれた様子で、何も話さなかったという。
その後、院長が夫婦に改めて謝罪し、翌日に夫婦は人工妊娠中絶をしたという。
米沢部長は「(担当医は)この道一筋でやってきたので、自分がこういうミスをするのはありえないと思っていたのではないかと推測する」と話した。また、女性の体への影響については「中絶が身体的なひどいダメージを与えたとは考えていない」とした。
病院は、医師の処分を今後検討するという。夫婦の提訴については「事実関係は認められるが、2千万円の賠償額で折り合っていない」としている。
同病院は香川県の中核病院。産婦人科のほか、内科、外科、脳神経外科、歯科など約20の診療科目があり、病床数は631床(03年11月現在)。



岩永元農水相事務所「返金、秀明会了解」 秀明会は否定(朝日新聞 2009年2月19日(木))

農水相岩永峯一衆院議員(67)の事務所担当者が宗教法人「神慈秀明会」(滋賀県甲賀市)から計6千万円を受け取り、岩永氏本人が朝日新聞の取材を受けた翌日に、同氏側が秀明会本部に現金を持参していた問題で、岩永事務所は19日、秀明会の事務局長が返済について了解していた、とするコメントを発表した。秀明会は「了解した事実はない」と否定している。
朝日新聞は今年1月27日、秀明会が03年と05年に提供した計6千万円について岩永氏本人に初めて取材。秀明会によると、翌28日に岩永氏の事務所関係者が秀明会本部を訪れ、現金3300万円入りの紙袋を受付に置いていったという。岩永氏側は07年6月にも6千万円の残高がある通帳と印鑑を同会に持参したが、いずれも岩永氏側に返却された。
「2月19日付 朝日新聞朝刊掲載の記事について」と題されたコメントによると、「取材を受けて、弁護士とも相談の上、改めて返済受け入れの意思を確認する目的」もあって、秀明会に「返済をしたい旨の連絡を入れた」と説明。「(同会)事務局長からその返済について了解」があったとし、事務局長が「自分は出張中なので、事務局に預けて欲しい」と話した、とも主張している。
一方、秀明会の広報室長は19日、「事務局長に改めて確認したが、本人は『返済を了解したというのはまったく事実に反する。金を預けてほしいと話したことはない』と話している」と岩永氏側の主張を否定した。
岩永氏側はコメントのなかで朝日新聞の報道について「岩永事務所が献金隠しのために寄付金を取材の翌日あわてて返還したかのような印象を与えるもの」で「極めて不適切な記事としか言いようがない」などと批判している。



厚労相「説明受け、何ができるか検討」 受精卵取り違え(朝日新聞 2009年2月20日(金))

香川県立中央病院で不妊治療中の女性に過って別の患者の受精卵を移植した疑いから女性が人工妊娠中絶に追い込まれた問題で、舛添厚生労働相は20日、「せっかく妊娠して中絶。その気持ちを考えると心が痛む。詳しく状況説明をしてもらった上でどういう指導ができるのか、厚労省として何ができるかを考えたい」と述べ、再発防止に取り組む考えを示した。閣議後の記者会見で語った。
小渕少子化担当相も記者会見で「自分の子ではないかもしれないと聞いた時のお気持ちを考えると本当につらくなる。その後の精神的、肉体的な負担を考えると、絶対にこんなことはあってはならない」と話した。



「本当にこの1件だけか」受精卵取り違えで野田科技相(朝日新聞 2009年2月20日(金))

香川県の病院が不妊治療中の夫婦の受精卵を取り違えた可能性がある問題について、野田科学技術担当相は20日の閣議後会見で「厚生労働省不妊治療をしている施設の実態把握がまだできていないはずだ。(取り違えの可能性は)本当にこの1件だけなのか、疑念の思いが大変強い。これを機に不妊治療の全国の状況を徹底的に調べてほしい。こうしたケースを未然に防ぐために、国がきちっと指導監督していかなければならない」と述べた。野田科技相は病院や不妊治療などの所管大臣ではないが、自ら不妊治療を受け、その体験をつづった著書もある。体験者の一人として記者の質問に答えた。



自民、首相交代論強まる 森元首相にも変化の兆し?(朝日新聞 2009年2月20日(金))

自民党内で麻生首相交代論が強まってきた。反麻生勢力にとどまらず、首相を支える派閥領袖(りょうしゅう)や幹部にも「麻生首相では総選挙は戦えない」との認識が広がっている。大勢は今春の09年度予算成立までは首相を支える構えだが、総選挙に備え、「ポスト麻生」をめぐる調整も本格化しそうだ。
19日の麻生派総会で中馬弘毅座長は「麻生を助けるということではなく、予算を通すことが何よりも大事」とあいさつ。18日朝の派閥領袖級の会合で「予算成立に全力を挙げ、その後のことはその後のことで一致した」ことを明らかにし、予算成立後の首相退陣の可能性を示唆した。
18日の会合には、中馬氏のほか、町村信孝官房長官津島雄二税調会長、古賀誠選対委員長、山崎拓元幹事長、伊吹文明元幹事長、二階経済産業相が出席。冒頭、中馬氏が中川前財務相辞任など相次ぐ政権の失態について陳謝した。
領袖の一人が「麻生首相では選挙を戦える状況にない。その後のことを考えないといけない」と発言すると、別の領袖が「今は予算成立が何よりも重要だ」と抑え、予算成立までは各派が協力して首相批判を封じる方針を確認したという。
18日夜には、森元首相青木幹雄参院議員会長、山崎氏が会談。渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長らも同席した。出席者によると、この席でも「麻生首相では選挙にならない」との意見が出て、首相を支持する森氏は聞き役に徹したという。森氏に近い議員は19日、「森氏の麻生支持は中川前財務相辞任前の話」とし、森氏の姿勢にも変化の兆しがあるとの見方を示した。
ただ、自民党内に「ポスト麻生」の有力候補は見あたらず、首相自身が政権維持に意欲を示す限り交代させるのは極めて難しい。閣僚の一人は「首相は辞めない。自分で解散するという一点は絶対ぶれない」と見る。首相が退陣しなければ、9月に任期を迎える自民党総裁選を前倒しすることは難しく、「麻生降ろし」への道筋は不透明だ。
首相は予算成立後に追加景気対策を打ち出し、「麻生降ろし」を封じる考えで、09年度予算案が衆院を通過すれば、首相の進退をめぐり、官邸と自民党の駆け引きが始まる様相だ。



麻生首相「中川氏、もっと早く切る選択肢もあった」(朝日新聞 2009年2月20日(金))

麻生太郎首相は19日夜、首相公邸で浜田靖一防衛相、自民党の林幹雄幹事長代理らと会食した。出席者によると首相は、記者会見で醜態を演じて辞任した中川昭一財務相について「もっと早く切る選択肢もあったが、まだ若いし今後のこともある」と説明した。
浜田氏ら出席者がそれぞれの地元での麻生内閣に対する厳しい有権者の声を伝えたところ、首相は黙って耳を傾けていたという。党内の「麻生降ろし」の動きや、衆院解散・総選挙に関する話題は出なかったという。(時事)



お酒自重?それとも心労? 首相の帰宅、90分早まる(朝日新聞 2009年2月20日(金))

麻生首相が東京・神山町の自宅から首相官邸に隣接する公邸に引っ越して、19日で1カ月。引っ越し前の1カ月と比べると、平日の平均帰宅時刻(年末年始、外国出張時を除く)は、午後10時35分から午後9時4分に1時間31分も早くなった。夜の会合が減ったのが大きな要因だ。
首相の夜の会合には批判が強く、自民党総裁特別補佐の島村宜伸・元農水相も「寝酒のつもりか気分転換か知らないが、酒は間違える。あなた個人の問題ではない」と繰り返し進言。実際、公務後に料理屋やホテルのバーで飲食する回数は、引っ越し前の25回から15回に、首相が好きなバー通いも10回から4回に減っている。
一方、この1カ月、内閣支持率の低迷で首相の心労がたまっていることも、首相の夜日程に影響しているとの見方もある。首相就任直後、「とても68歳には思えない」と繰り返していた側近は最近の首相について「疲れ始めてきている」。日課ウオーキング以外、一歩も外に出なかった日もある。公邸内で要人と密会の可能性もあるが、周囲は「最近眠れないらしい。いろいろ悩んでいるんじゃないか」と気をもんでいる。(石塚広志)



中川氏、もうろう会見後バチカン観光 体調不良おして?(朝日新聞 2009年2月20日(金))

中川前財務・金融相が14日の「もうろう会見」後、現地大使と財務省の玉木国際局長らを伴い、会場に近いバチカン博物館を訪れ、2時間近く観光していたことがわかった。関係者によると、中川氏はG7会合後のバチカン訪問の予定を入れ、楽しみにしていたという。
同博物館は、カトリックの総本山のローマ法王庁があるバチカンの世界的に有名な観光スポット。中川氏は会見などで不調の原因を風邪薬の飲み過ぎなどと説明しているが、体調不良をおして観光したようだ。観光後、午後7時半にローマを去った。



首相に与党から「友情もほどほどに、孤独に耐えて」(朝日新聞 2009年2月19日(木))

19日の衆院予算委員会では、中川前財務・金融相の辞任に至る経緯と首相の任命責任について、野党だけでなく与党からも厳しい質問が出た。麻生首相は「一番の問題は体調。あの映像の問題は体調から起きた話」と薬による中川氏の体調悪化を強調するなど苦しい釈明に追われた。
首相は、主要7カ国財務相中央銀行総裁会議G7)後の中川氏のもうろう会見について、「薬による部分は非常に大きく、酒がすべてかと言われれば、それは少し違っている」と説明。そのうえで「(G7の)会議まで悪かったというイメージを与えることになった。誠に遺憾だ」「良くない印象を世界に与えた」と改めて陳謝した。
首相は、中川氏の帰国後3回にわたって連絡をとった内容を紹介。16日夜、首相官邸で「体調を万全にして予算成立に全力を尽くしたい」と述べた中川氏に、「健康管理はしっかりしなきゃダメ。着実に仕事の成果を出してもらいたい」と語ったという。
また、中川氏が17日昼前、09年度予算案と関連法案の衆院通過後の辞任を申し出た時については「本人のやれるという意思は尊重すべきだ」と判断したといい、同夜の即時辞任については「大変厳しい判断を政治家としてされた。その意思を尊重することにさせていただいた」と胸中を明かした。
一方、予算委で民主党枝野幸男氏は「全世界に映像を通じたメッセージが発せられた。大失態をやらかした大臣を選んだのは首相だ。首相から国益を損なっているようなおわびと責任の言葉がない」と批判。公明党池坊保子氏も「総理は友情もほどほどになさって、孤独に耐えていただきたい」と首相の判断を批判した。



首相憔悴 盟友・中川氏辞任で涙目(朝日新聞 2009年2月19日(木))

中川前財務・金融相が閣外に去り、麻生首相が憔悴(しょうすい)している。政権運営上の痛手にとどまらず、信頼しきった「盟友」を失った精神的なダメージが大きいようだ。
「厳しい決断を自分でされた。意思を尊重したい」。17日の中川氏の辞任表明直後、記者団とのやりとりで、首相に覇気はなく、目は潤んでいた。
首相は、自民党政調会長経済産業相を歴任した中川氏の政策面の力量を信頼していた。ただ、首相にとっては、「お友達」としての存在の方が大きかった。福岡の財閥の長男として生まれた首相は「金目当てに近寄ってくる人間も多い。他人を簡単に信頼するな」と育てられたという。同じ世襲議員で政治思想も似ていた中川氏は数少ない心を許せる友人だった。
かつて中川氏は、麻生氏の会合で「こんな下品な会合は初めてだ」とあいさつしたことがある。痛烈なユーモアを好む首相の性格を知り尽くした発言に、周辺は「麻生のことをよくわかっている」。
首相は、自分が小泉元首相の下で首相候補になったのと同じように、中川氏を引き立てようとした。腰痛に苦しむ中川氏を「休んでいい。手術でも何でもしろ」と何度も気遣った。今回の問題でも、首相は当初、「絶対に中川を守る」と周囲に語っていた。
しかし、予算審議への影響を危惧(きぐ)した大島理森国会対策委員長が中川氏に辞任を促し、流れが決まった。19日の衆院予算委員会で経緯の説明を求められることになった首相は、18日、側近の大島氏に珍しく怒りをぶつけた。「なぜ中川が辞めたのに、予算委に出なくてはいけないんだ」
その19日の予算委では、17日には「特にない」と否定していた中川氏辞任の政権への影響について、こうこぼした。「政権の印象を悪くした。全然影響がなかったなんて、言うつもりはない」(蔵前勝久)



自らの手で解散を?「はい」 19日の首相(朝日新聞 2009年2月19日(木))

【小泉元首相の発言】
――ロシアで昨日、小泉元総理が第2次補正予算関連法案の再議決に欠席すると明らかにしましたが、総理はこの発言についてどう思われますか。
「あのー、ちょっと正直、それ僕、詳しく聞いていませんから、その話を、あなたの話だけ聞いて、その詳しい内容がわかりませんので、何とも言えませんが、基本的には、党議手続きをきちんと踏んで最終的に決定したものです。したがって、最終的に国会、与党所属の国会議員として、党議で決まったものというんであれば、それに従っていただくというのが筋だと思います」
――前回の小泉元総理の発言の時は「叱咤(しった)激励だ」と受け止めるとおっしゃっていましたが、郵政民営化の話とこの定額給付金の話について叱咤激励だと考えますか。
「あの、叱咤激励の話は郵政民営化の話で申し上げたと思いますが」
――郵政民営化の話について叱咤激励だと。
「叱咤激励だと思いました、はい。3分の2の時に叱咤激励と申し上げたことはないと思いますよ」
――あの時は両方について発言されたと。
「両方については、質問した?」
――はい。小泉さんが両方について言及されたので。
「僕は叱咤激励は、3分の2の話については叱咤激励だと思ったつもりはありませんし、もしそう言ったとすりゃ、それは間違い。僕は郵政の話だと思ってましたんで、郵政の話は叱咤激励とお答えしたと思いますが、あのー、この、なに、3分の2の定額給付金の話は、これは基本的には今申し上げた通りです」
――この発言について、自民党の笹川総務会長などは「(衆院で与党が有する)3分の2の議席は郵政だけで決めたわけではない」という趣旨で、小泉元総理の発言を批判されていますが、総理も同じように思われますか。
「あのー、なに、3分の2の議席というのは、これはあの、何回も言いますけど、憲法上認められた議席数であって、これはみんなで頑張って取られた3分の2議席だと思っております。したがって、いろいろなご意見があるんだと思いますが、小泉総理が取られたから、その3分の2をって話と、この定額給付金の話とは脈絡が通じていないように思いますが」
――小泉元総理は再議決に欠席するとおっしゃってますが、自民党内に同調した動きが出るとは思われませんか。
「あー、思いませんね」
【中川前財務相の辞任】
――中川前財務大臣の辞任に関連して、自民党の若手などから「麻生総理では選挙は戦えない」というような声が上がってきていますが、それをどう思われますか。
「あの、今、あの、なんてえの、そういった批判というのは、常に党内にある、いろいろ意見が出るというのは、私は正直申し上げて、ある意味、健全なんだと思っています。誰も言わないで黙っている方が、よほど問題なんだと私は思いますんで、そういった意味では、いろんな声が聞かれるというのは、私は決して、それはそれとして、批判を受け止めるべきもんなんだと思っています。しかし、今やるべき一番大事なことは、きちんとして予算をあげ、予算関連法案をあげ、もって景気対策に専心するというのが、与党に与えられている一番大きな義務であって、そこが優先順位としては一番なんだと、私はそう思っておりますんで、それに全霊、全力をあげて頑張っていくのが、私の基本的な態度です。これはずっと同じこと言っていると思いますが」
――総理では戦えないという声は特に意に介さないと。
「はい」
――ご自身の手で解散をされると。
「はい。それもずっと同じことを申し上げていると思います」
世論調査
――共同通信社が中川財務大臣の辞任を受けて、昨日、おとといと、世論調査を実施しました。その結果、内閣支持率は前回調査より4.7%低下して、13.4%になりました。さらに「首相の任命責任がある」との回答は80.8%にのぼり、中川大臣をめぐる一連の辞任問題が、内閣支持率の低下を招いた格好になりましたが、首相はこの結果についてどのように受け止められるでしょうか。
任命責任についてはもう、予算、予算委員会でしたか、で、答弁を申し上げたとおりで、任命責任はあります。あの、中山(成彬・前国土交通)大臣のときにも同じことを申し上げたと記憶します。したがって、任命責任はあります。その結果、えー、支持率が落ちたということですけれども、あの、支持率が落ちたということより、中川大臣の一連の、なに、記者会見で、非常な、イメージというものをダウンさせた、などなど、いろいろな問題点が指摘されているところだと思いますんで、これはもう、はなはだ遺憾に思うと申し上げております。直ちに、与謝野大臣、いうのに兼務をお願いして、その対応を図っているということでして、いずれにしても予算担当大臣でありますんで、早急に予算を、なに、仕上げる、関連法案含めて、いうのに全力を挙げて、今言われたような、なに、不信っていうか、不安っていうか、そういったものの解消に努めていきたいと思います」
【予算案の衆院通過】
――国会の審議日程についてですが、今日与党の国対委員長、幹事長が官邸に来て、総理がアメリカから帰国された後に、来年度当初予算案について衆院を通過させるという報告を受けたと思います。ただ、総理はアメリカの緊急経済対策法案がスピーディーに可決されたことをうらやましいとおっしゃっていることもあって、アメリカに行かれる前に衆院を通したかったのではないかと思うが、これについてどのように思われますか。
「あの、朝日新聞の予想だと思いますけれども、あの、全然、私は年度内にあがるのが一番だと思っています。これがすべてです。4月1日から粛々と執行できるようにする。これが一番ですから、国会の日程等々、年度内に仕上がる。これが私にとって、ましては、すべてですから、何日までということに関しましては、国会対策委員会にお任せしているというのが基本的なことです。これ、ずっと、これも同じことしか言ってないと思いますけどね」



かんぽの宿問題、総務相「対抗馬の方が好条件」(朝日新聞 2009年2月20日(金))

鳩山総務相は20日、「かんぽの宿」を落札したオリックス不動産より、対抗馬のホテルマネージメントインターナショナル(HMI)の方が好条件を出していたとの考えを示した。閣議後の会見で、「事業継続や雇用について、オリックスが常に最高の条件を出してきたと郵政が言っているのは間違いだとそろそろ断定できる」と述べた。
総務省日本郵政から提供された入札資料を精査している。これまで日本郵政は、正社員の雇用条件の維持についてオリックスのほうが良い条件を示していたと説明。オリックスに売却を決める根拠の一つにしていた。しかし、総務省側が入札資料を読み込んだところ、そうした説明に疑問が出てきたという。
また、選考過程で日本郵政を「ROME(ローム)」、オリックスを「ORGAN(オルガン)」、HMI社を「HARP(ハープ)」と呼ぶ隠語が使われていたことも明らかにした。



与謝野氏、中川氏後任に選ばれたのは「友達でないから」(朝日新聞 2009年2月20日(金))

与謝野財務・金融相が20日の衆院財務金融委員会で、中川昭一前財務・金融相の後任に選ばれた理由について「お友達じゃないからじゃないですか」と語り、委員会室がどよめく一幕があった。古本伸一郎氏(民主)が「(麻生首相は)『お友達』で中川大臣を選んだと巷間(こうかん)いわれている。どういう理由で(与謝野氏は)選ばれたかと思うか」と質問したのに対する答弁。
与謝野氏はまた、佐々木憲昭氏(共産)への答弁で、中川氏の主要7カ国財務相中央銀行総裁会議G7)後のもうろう会見について「日本の代表としてあるべき姿ではないと確信した。職を辞するのは当然のことだった」と語った。中川氏が辞任するまで映像は見ていなかったと説明したうえで「中川氏は私の友人。友人としてはきわめて残念なことであった」とも気遣った。



首相秘書官が「口利き」 医学部進学で元文部官僚に文書(朝日新聞 2009年2月20日(金))

麻生太郎首相の政務秘書官村松一郎氏が昨夏、東京都内の歯科医から息子の大学進学について相談を受け、元文部官僚(65)を紹介していたことが分かった。村松氏はこうした経緯を認めているが、金品などの謝礼はもらっていないとし、「何ら恥じることはないと思っている」と話している。
村松氏の説明などによると、08年春ごろ、歯科医から、浪人中の息子が都内にある私立大医学部へ進学を希望していることについて相談を受けた。村松氏は知り合いだった元文部官僚に相談の趣旨を口頭で伝えた上で同年7月、「宜(よろ)しくお取り計らいの程お願い申し上げます」などと手書きの文書を郵送したという。当時は麻生氏が首相に就く前で、村松氏は麻生氏の政策秘書だった。
元官僚は文部省(現文部科学省)で、臨教審主任調査官や審議官などをした後、98年の参院選自民党公認で立候補して落選。その後、宮城県の学校法人の副理事長も務めた。07年には、麻生氏が会長をしている「バスケットボール女子日本リーグ機構」の専務理事に就任。同機構によると、麻生氏の紹介だったという。
元官僚は朝日新聞の取材に対し、「文書をもらったが、何もしなかった。そうした話は他にもいろいろある」とし、歯科医との接触や入学の便宜についても否定している。
元官僚によると、麻生、村松両氏とは、麻生氏が文部政務次官だった88年ごろからの付き合いだという。村松氏からは以前にも、別の人物の相談も持ち込まれたことがあったといい、「遠からず近からずの関係。私の選挙でも支援は受けていない」と話している。
村松一郎氏の話 (元文部官僚を紹介したのは)私大の経営に携わっていたことがあり、予備校の選び方など適切なアドバイスをしてくれると思ったから。その後は、2人の間の話には関知していない。(歯科医の)奥さんからは今月、相談を受けた時の第1志望校も含めて「複数校に受かりました」と連絡があった。(金品などの謝礼は)一切ない。総理には今朝、電話で報告し、「疑念を持たれるようなまねは慎むように」と言われた。



糖尿病:診断基準を見直しへ 2カ月平均の数値に(毎日新聞 2009年2月20日(金))

糖尿病の診断で使われている血糖値は食事や運動の影響を受けやすく、検査前の一時的な節制や過食でも簡単に数値が変わる。このため、日本糖尿病学会(門脇孝理事長)は19日、長野県松本市で理事会を開き、診断基準を見直す検討委員会の設置を決めた。過去1〜2カ月の平均的な血糖の状態を示す血液検査値「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」の導入を検討する。
現在の診断基準は、99年に策定された。空腹時血糖値が血液1デシリットルあたり126ミリグラム以上または食後血糖値(ブドウ糖負荷後2時間血糖値)が同200ミリグラム以上の場合、糖尿病と診断される。だが、血糖値は検査前数日の食事や運動の影響が強く表れるため、変動が大きい。
HbA1cは、赤血球に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結びついたもので、赤血球の寿命が長いため、過去1〜2カ月の血糖状態を把握できる。このため、世界保健機関(WHO)や米国糖尿病学会もHbA1cを診断基準に導入する検討を進めている。
ただ、ヘモグロビンに異常があると正しい血糖状態が分からなかったり、検査費用が割高になるとの課題がある。門脇理事長は「血糖値とHbA1cは、長所短所がある。日本にあった新しい診断基準を検討したい」と話す。【永山悦子】



麻生氏秘書口利き:文科相が調査の意向(毎日新聞 2009年2月20日(金))

麻生首相政務秘書官村松一郎氏が歯科医の息子の大学医学部進学を巡り元文部省(現文部科学省)審議官を歯科医に紹介していたことについて、塩谷立文科相は20日の閣議後会見で「そういった口利きはあってはならないことで、もしあれば大変遺憾なことだ。(省内で)事実関係を確認したい」と述べた。
塩谷文科相は、村松秘書官と元審議官の関係について「『(OBだから)なんとかしてくれるだろう』とか、そういう状況がもしあればよくないと思う。OBであろうがなかろうが口利きはしてはならない」と述べた。一方で「相談の内容が(息子への)指導(をしてほしい)という範囲であれば問題はないと思う」との見解を示した。
また、河村建夫官房長官閣議後会見で「今朝、村松秘書官本人から『報道の通りだが大学に直接働きかけたのではないし金銭授受もない』と説明を受けた。常識の範囲内で行動した」とした上で「政治家の秘書にはいろいろなことが持ち込まれるが、疑惑を持たれないように細心の注意を払わなければならない」と述べた。
舛添要一厚生労働相閣議後の会見で「私のところにもいろいろなお願いが来る。申請書類の書き方が分からないという時に『分かる役人がいるので、そこに行って聞いてください』と、これくらいはいいと思うが、職務権限が絡むことは論外で、絶対ないようにしないといけない」と語った。
自民党法務部会長の桜井郁三衆院議員は「今は入試システムも変わり、合否結果の問い合わせはあるかもしれないが、入学のお願いは100%ない。政権への影響はそれほどないと思うが、印象は悪いね」と話した。
◇鳩山民主幹事長「国会で追及」
民主党鳩山由紀夫幹事長は20日午後、「麻生首相あるいは関係者から正確な情報を聞き、口利きが事実とすれば、報酬を受け取っていたかどうかも含め、国会で追及していく」と記者団に述べた。



不正アクセス:顧客情報を入手、容疑者を逮捕…警視庁(毎日新聞 2009年2月20日(金))

警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは20日、東京都多摩市豊ケ丘、元モバイルサイト企画管理会社「エンターモーション」(目黒区)社員、八木塁(るい)容疑者(28)を不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕したと発表した。
逮捕容疑は、昨年10月14日、新宿区内のインターネットカフェからエンター社のサーバーに侵入し、同社が管理する携帯サイト運営業者6社の顧客情報(メールアドレスや年齢、職業など)約18万人分を入手した疑い。
このうち、約8万6000人分を知人らを介して大阪市の出会い系サイト業者に渡したという。「約220万円の借金があり、金が欲しかった」と供述しているという。【武内亮】



与謝野氏の「3大臣」兼任、公務に支障で早期解消へ(読売新聞 2009年2月20日(金))

与謝野財務・金融・経済財政相について、兼任ポストを早期に分離する見通しが強まってきた。
複数の政府関係者が19日明らかにした。
2009年度予算案の国会審議や国際会議が重なり、公務に支障が出てきたためだ。09年度予算案が今月下旬にも衆院を通過した後にポストを分離し、新たな閣僚を任命するとの見方が出ている。
与謝野氏は中川昭一前財務・金融相が17日に辞任したことを受け、急きょ後任として兼務した。
だが、いずれのポストも本来兼務はそぐわないとされる要職で、与謝野氏の公務の量が増えている。すでに22日にタイで開かれる東南アジア諸国連合日中韓ASEANプラス3)の財務相会合への欠席が決まった。世界的な金融危機に対処するため3月14日にロンドンで開かれる、20か国の先進国と新興国によるG20財務相会合への出席も、現時点では未定だ。
具体的な分離の方法としては、与謝野氏を財務・金融相に専念させて、新たに経済財政相を起用する案と、与謝野氏を経済財政相とし、財務・金融相に財政に通じた閣僚経験者を起用する案などが取りざたされている。
与謝野氏は19日の衆院予算委員会で、民主党菅代表代行から兼務について聞かれ、「菅さんほど体力があるかどうか分からないが、体力の限りを尽くして職責を全うしたい」と強調した。ただ、政府・与党内には、「国会審議を円滑に進めるため、09年度予算成立まで与謝野氏の3ポスト兼任を継続すべきだ」との声もある。



権力継承本格化?金総書記三男が最高人民会議選に候補者登録(読売新聞 2009年2月19日(木))

【ソウル=浅野好春】韓国の聯合ニュースは19日、北京の北朝鮮消息筋の話として、北朝鮮金正日総書記(67)の三男、正雲氏(26)が3月8日に投票される最高人民会議(国会に相当)代議員選挙に候補者登録した、と報じた。
この動きは「権力継承作業が本格化したことを意味する」という。
聯合電によると、金正雲氏の「後継者内定」は選挙後に公にされ、同筋は「4月の人民大会で労働党と人民軍の主要職責を任される模様だ」と語ったという。人民大会がどんな会合なのかは不明。
北朝鮮専門家らは「北朝鮮で最近、『白頭山の血統』『万景台の血統』などの用語を使い出したのは、父子3代の世襲を前に対内宣伝を始めたものだ」と指摘。また、2008年11月6日付の党機関紙・労働新聞が「歴史の主人公の平均年齢は25歳だ」などとする政論を掲載したのも、「当時、25歳だった正雲氏を浮かび上がらせるものだった」としている。
聯合電は1月15日にも、金総書記が後継者に正雲氏を選んだと伝えている。



麻生首相 「北方4島の帰属問題が一番肝心だ」(産経新聞 - Yahoo! 2009年2月19日(木))

麻生太郎首相は19日午前の衆院予算委員会で18日に行ったロシアのメドベージェフ大統領との首脳会談に関連し、「北方4島の帰属の問題が一番肝心だ。ロシア領か日本領か、その帰属の問題を解決しなければ、いろいろな作業を進めてもあまり意味はない」と述べ、4島の帰属を確定させる必要があるとの立場を主張したことを説明した。
また、大統領に対し「日露両国の信頼醸成がなければ話は前に進まない。次に会うまでに帰属問題のきちんとした答えを示してほしい」と次回の首脳会談までに回答を求めたことを明らかにした。
質問に立った新党大地鈴木宗男代表が「4島の帰属が確定しない限り平和条約は締結しないということか」と確認したところ、首相は「言われた通りだ」と述べ、従来の政府方針に変更はないとの考えを強調した。
北方領土問題をめぐっては、首脳会談後に首相が記者団に「向こうが2島、こっちが4島では全く進展しない」と述べたことから、日本がこれまで主張してきた「4島返還」という原則を転換するものと受け取られかねないとの指摘が出ている。



「麻生降ろし」戸惑う民主 本音は“麻生首相のままで選挙”(産経新聞 - Yahoo! 2009年2月19日(木))

自民党内で「麻生降ろし」の動きが表面化し始めたことに、民主党が戸惑いをみせている。中川昭一前財務・金融担当相の辞任などで、麻生太郎首相を土俵際に追い込んだものの、自民党総裁選が前倒しで実施され、新首相が誕生すれば支持率などで息を吹き返すのではないかと懸念しているためだ。政府・与党に対する追及も今一つで、他の野党から「弱腰」との批判が噴出している。
民主党輿石東参院議員会長は19日の記者会見で、自民党内で首相退陣を求める声が出始めたことについて、「こういう政権にかじ取りを委ねていいのか。一日も早く国民の審判を受けてもらいたい」と述べ、早期に衆院解散・総選挙を実施するべきだと強調。菅直人代表代行も「自民党政権担当能力は完全に欠落してきた」と述べた。
民主党には、中川氏の辞任や郵政民営化をめぐる首相の見直し発言など政府側の敵失が相次ぎ、「こちらから仕掛けなくても、首相が勝手につまずいてくれる」(若手)との声が出ている。求心力低下で窮地に立たされた首相が、平成21年度予算案の成立後に「解散カード」を切らざるを得ない状況に追い込むことが民主党にとって「最高のシナリオ」(同)だ。
小沢一郎代表も「いたずらに審議を引き延ばすつもりはない。予算が成立した後の4月に選挙だ」とあおり続けている。
その一方で、首相が自民党内の「反麻生勢力」の圧力に抗しきれず退陣を余儀なくされ、新政権が発足すれば、世論の風向きが変わるとの懸念もある。
民主党幹部は「私たちがやるべきことは首相を守ることだ。いたぶるけど辞めさせないことが大事だ」と本音を漏らす。
19日午前の衆院予算委員会では、中川氏の任命責任について首相を攻め立てる一方で、首相に対する問責決議案の参院提出に尻込みしているのは、こうした事情が背景にある。
他の野党との足並みも微妙なズレが生じており、社民党又市征治副党首と国民新党亀井久興幹事長らは同日の会談で「自民党の自壊を待てば衆院選につながるという見通しは甘い」との認識で一致。政府・与党が平成21年度予算案の修正協議に応じない場合、問責決議案を提出するよう迫る考えだ。ただ、民主党山岡賢次国対委員長は「ただちに問責を出すとか、いつやるとかは考えていない」と慎重姿勢を崩していない。



小泉発言に閣僚から批判続々「残念」「筋が通らない」「ツーレイト」(産経新聞 - Yahoo! 2009年2月20日(金))

小泉純一郎元首相が定額給付金の財源に関する特例法案を含む平成20年度第2次補正予算案の衆院再議決に欠席する考えを表明したことを受けて、閣僚から批判や苦言が相次いだ。
石破茂農水相は20日午前の記者会見で「党員である以上は党の方針に従うべきだ。今回の(再議決の方針)決定はちゃんとしたプロセスを踏んだものだ。党の中がゴタゴタしているのは決していいことではない。残念だ」、塩谷立文部科学相は「(1月の衆院採決は)賛成だったのに筋が通らない」と反発した。
鳩山邦夫総務相は「プレミアム付き商品券を発行したいという市町村が急増し、やっと高まりを見せている。大変立派な先輩として心から尊敬をしていただけに大変残念だ」、舛添要一厚生労働相は「意見があれば政策決定の過程で出すべきだ。ツーレイト(遅すぎる)だ」、中曽根弘文外相は「元自民党総裁だから特に党の方針には従ってもらいたい」と述べた。
公明党の斉藤鉄夫環境相も「政治家としてぶれのない行動をすると信じている」と語った。
一方、河村建夫官房長官閣議に先立ち、小泉氏への「過剰な反応」は控えるよう各閣僚に要請した。



韓国との戦争準備はできている=北朝鮮(ロイター - Yahoo!2009年2月19日(木))

[ソウル 19日 ロイター] 北朝鮮は19日、韓国との戦争の準備はできていると表明した。クリントン国務長官はこの日韓国を訪問し、北朝鮮問題を協議する。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)によると、匿名の軍関係者は「裏切り者である(韓国大統領の)グループは、(北朝鮮)人民軍が完全に全面対決の準備ができていることを忘れてはならない」と述べた。
北朝鮮は長距離ミサイルの発射準備を進めているとみられているが、専門家は、米国の新政権の関心を引き、韓国政府に圧力をかけることが狙いではないか、との見方を示している。
アジア歴訪中のクリントン国務長官は17日、北朝鮮がミサイルを発射すれば、非常にマイナスになるとの見方を示している。



fMRIスキャンで心が“読める”?(ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト - Yahoo!2009年2月19日(木))

磁場と電波を用いて生体内部の情報を画像化するMRIは、いずれ人の心まで読み取れるようになるのだろうか。
新しい研究によると、MRI装置の進化型であるfMRI(機能的核磁気共鳴画像法)という技術で脳の機能を画像化すると、人の考えが驚くほどの精度でわかるという。
実験は、まず2つの異なる模様を被験者に提示し、その後どちらか一方を心に思い描いてもらうという方式で行われた。そして11秒後にfMRIで脳をスキャンし、各被験者がどちらの模様を記憶に留めているか予測したのである。その結果は80%以上という驚くべき的中率だった。
fMRIの画像データから血流を測定することで、活性化しているニューロンのグループを特定できる。アメリカのテネシー州ナッシュビルにあるヴァンダービルト大学の教授であり、今回の研究を主導した神経科学者のフランク・トング氏によると、視覚野には縦方向の模様と関連が強いニューロンと、横方向あるいは斜めの模様と関連しているニューロンがあるという。
被験者の思い浮かべる模様を予測できたのは、ニューロンにこのような機能の違いがあるためである。「脳の視覚にかかわる部分は、能動的な記憶にも関与していることが判明した。これは今回初めて確認されたことだ。おそらく、視覚野の非常にかすかなレベルの活動によって、直前まで視覚に存在した情報が保持されているのだろう」とトング氏は言う。
同氏の研究は2月18日付の「Nature」誌オンライン版に掲載された。
ニューヨーク大学医学部で放射線医学を研究しているヘンリー・ルシーネック氏によると、一次視覚野(V1)は脳のほかの領域とは独立して複雑な機能を果たしていると考えられているという。例えば、意識の集中などだ。一次視覚野は目から視覚信号を受け取り、その信号を高次の視覚領域へと送り出すという役割を持つ。
ルシーネック氏はこの研究について、「V1を中心とするネットワーク、つまり目から離れた位置にある少数のニューロンに短期的な記憶力があることを示す説得力のある証拠だ」と賞賛している。