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特捜、二階氏側も聴取へ 「西松資金」の認識が焦点(朝日新聞 2009年3月9日(月))

準大手ゼネコン「西松建設」が、ダミーの政治団体を通じて民主党の小沢代表側に多額の献金をしていたとされる政治資金規正法違反事件に絡んで、東京地検特捜部は、同じ政治団体にパーティー券を購入してもらうなどしていた二階経済産業相の事務所関係者から任意で事情を聴く方針を固めた模様だ。
経産相側への資金の流れを確認しつつ、パーティー券購入の原資が実際には西松建設の資金だったことを事務所関係者がどこまで認識していたかなどについて説明を求めるとみられる。
同社が社名を出さずに議員側に迂回(うかい)献金する際に使っていたのは、同社OBが代表だった政治団体新政治問題研究会」(06年解散)と「未来産業研究会」(同)。04〜06年の政治資金収支報告書によると、両団体は、自民党二階派(会長・二階経産相)のパーティー券計838万円を購入。この額は両政治団体の支出としては小沢代表側への支出に次ぐものとなっている。
一方、二階派は5日、このパーティー券代について全額返還する方針を決定。両政治団体西松建設との関係について「全く認識していなかった。報道で知ったが、知らなかったでは済まされないと判断した」としている。



益川教授「改憲は自由に兵器使うため」 9条に思い(朝日新聞 2009年3月9日(月))

ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英京都産業大教授(69)が8日、東京都千代田区の明治大で講演した。自身も呼びかけ人をつとめる「九条科学者の会」の発足4周年記念の一環。ユーモアを交えながら平和への思いを語った。
益川教授は「改憲派は、なぜ憲法を変えたがるのか」という問いを何度も投げかけた。「ぼくは物理屋因果律で考える癖がある。『なぜ』と。彼らは条文に不備があるからと言っているが、解釈改憲自衛隊ソマリアまで行く時代。条文不備のせいじゃない。9条があったのでは出来ないことをやりたいからに違いない。つまり自由に兵器を使うということです」
幼いころ名古屋で空襲に遭った経験を振り返った。名古屋大の先輩の被爆体験を話しながら、感極まって声を詰まらせた。「私は、子にも孫にもあんな思いはさせたくない。国家が国家の名のもとに始める戦争は嫌です。好きな人はやってください……あ、いや、それも困る」。ひょうひょうとした口ぶりに、床まで人で埋まった会場は、何度も笑いに包まれた。
講演は約1時間。戦争は突然起きるわけではないと訴えた益川教授は「最終的には理性の問題です。一つのかけらを見た時に、人間としてそこから何を想像できるか。鋭い目を持てば戦争の予兆は見える。その時、反応しなければならない」と締めくくった。(谷津憲郎)



タミフル以外も備蓄、東京都のみ 厚労省「別の薬必要」(朝日新聞 2009年3月9日(月))

新型インフルエンザ対策としてタミフル以外の薬を準備しているのは、都道府県別では東京都だけであることが、朝日新聞社の調べでわかった。タミフルは薬が効かない耐性が出る恐れもあるため、厚生労働省は、都道府県に対して新年度から、1割は別の治療薬で備えるよう求めている。
新型インフル発生に備えた薬の備蓄はタミフルが中心。だが、発生時に薬の効かない「耐性ウイルス」が広がっていれば治療に影響が出る。海外では、新型インフルへの変異が懸念される鳥インフルの一部で、タミフル耐性が確認されるなど危機感が高まる。このため朝日新聞社は2月、47都道府県にタミフル以外の薬の備蓄状況を聞いた。
その結果、タミフルと同じ抗インフル薬で、別の成分の薬「リレンザ」も備蓄していたのは東京都のみだった。昨年3月時点で2万人分。さらに10年度末までに治療薬の備蓄量を人口の60%にあたる800万人分に引き上げ、その半分をリレンザにするという。一方、46道府県の備蓄はタミフルのみだった。
国の行動計画では抗インフル薬の備蓄目標は人口の45%。国と都道府県はこれまでに計2800万人分のタミフルを備え、今年度補正予算で1330万人分を追加した。一方、リレンザは国が135万人分、補正予算で133万人分を追加するにとどまる。
国は飲み薬で使いやすいタミフルを第1選択としてきた。耐性への懸念を受け厚労省は、新年度から1割をリレンザにするよう都道府県に通知した。
鈴木宏新潟大学大学院教授(公衆衛生学)は「どんな薬でも耐性が発生する可能性は否定できない。新型インフル対策でも、複数の薬を備蓄しておくことが危機管理上、重要だ」と話す。



「アイデアあれば世界変えられる」ユヌス氏、神戸で講演(朝日新聞 2009年3月8日(日))

ノーベル平和賞を06年に受賞したバングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌス氏(68)が8日、神戸市中央区の神戸国際会議場で講演した。神戸大などが開いたシンポジウム「持続可能な社会づくりとソーシャルワーク」に招かれ、大学教員ら約700人を前に登壇。主に富裕な男性しか銀行融資を受けられなかった同国で、女性や貧困層に無担保融資するグラミン銀行を83年に設立した経緯を紹介し、「それまでの銀行がしなかったことをしただけだが、人々の習慣を覆すのは大変だった」「アイデアがあれば世界を変えることができるのだと若者たちに伝えたい」などと語った。



小沢氏支持が大勢、事件懸念も 民主地方幹部アンケート(朝日新聞 2009年3月8日(日))

大分県宇佐市宇佐神宮が後継ぎ争いに揺れている。昨年8月に死去した前宮司の後任を、神社本庁(東京都)が別の神社の宮司から選んだことに地元信者らが反発。地元側は2月下旬、長く宮司世襲してきた到津(いとうづ)家の長女を初の女性宮司に決め、神社本庁に脱退届を提出した。
宇佐神宮宮司は長く到津家と宮成家が務めてきたが、戦後は到津家だけで世襲してきた。73年から宮司を務めた到津公斉(きみなり)氏(今年1月死去)が体調を崩したため、06年5月、宇佐神宮とかかわりの深い同県中津市の薦(こも)神社の宮司だった池永公比古(きみひこ)氏が後任についた。世襲家以外からの異例の人事だったが、公斉氏の長女でナンバー2の権宮司を務める克子(よしこ)氏(40)が、十分な神職の経験を積むまでのピンチヒッター役と見られていた。
ところが、池永氏は昨年8月に病死した。宮司の選任は通常、信者らの責任役員会が人事案を決め、神社本庁の人事委員会で承認を得るのが慣例だ。責任役員会は克子氏を宇佐神宮で初の女性宮司に選ぶ考えだったが、神社本庁側は「克子氏ではまだ経験が浅い」と反対の意向だったため、宮司職は「空席」のままとなっている。
一方、克子氏以外の神職は、神社本庁に「後任宮司は、神社本庁や県神社庁からお願いしたい」とする嘆願書を提出。神社本庁は2月26日、県神社庁長で同県玖珠町の瀧神社宮司を務める穴井伸久氏(60)を後任宮司に決めた。
こうした動きに反発した克子氏と責任役員会は、穴井氏は責任役員会の承認を受けていないとして認めず、2月24日に開いた氏子総代会と責任役員会で克子氏の宮司就任を決定。28日には神社本庁に文書で脱退届を提出した。
克子氏は「宇佐神宮宮司には一子相伝の就任秘儀があり、私だけが受け継いでいる。それを行えない者は宮司になれない」と強調。「都」での動きに「否」の“ご神託”を突き付けた。一方の穴井氏は「争いごとに似つかわしくない舞台でこんなことになるなんて。胃の痛い思いです」と話している。

宇佐神宮〉 全国に約4万8千社ある八幡宮の総本社。皇室にとっては伊勢神宮に次ぎ格式が高いとされる。国指定史跡で、本殿は国宝。創立は725年。769年に称徳天皇の勅使として神宮を詣でた和気清麻呂が神託を受け、皇位を望んだ道鏡の野望を阻んだとされる。



小沢氏の自発的辞任求める声、民主党内に広がる(朝日新聞 2009年3月9日(月))

世論調査民主党の小沢代表の辞任を促す声が過半数となり、同党内でも辞任は避けられないとの見方が強まってきた。小沢氏は現時点の辞任を否定しているが、「小沢おろし」の激化を懸念する党内では自発的辞任を求める声が広がっており、進退を判断する時期が焦点となってきた。
民主党鳩山由紀夫幹事長は8日、NHKの報道番組で「進退問題が浮上しないだろうと言い切るつもりもない。新たな事実が判明すれば、新たな展開になる」と指摘し、現時点では執行部として小沢氏の説明を信じて支えるが、捜査の展開次第では進退に影響するとの見方を示した。
地元に戻った議員からは辞任論が噴き出している。小沢氏に近い議員でさえ「有権者の声は『一刻も早く代表を辞めさせるべきだ』が多い。もたないということになるんじゃないか」と危機感をあらわにしている。
党内の関心は進退判断の時期に集まっている。小沢氏が「現段階で進退については考えていない。いずれきちんと結論が出てからのことだ」と語り、捜査状況を見ながら判断する考えを示したためだ。
今月下旬に秘書が起訴された場合や、別の容疑につながる新事実が発覚した場合に判断するなど、党内では複数の見方が出ている。秘書が起訴されても小沢氏が代表のまま法廷闘争に突入すれば、民主党の印象がさらに悪化しかねないと懸念する声もある。



緊急世論調査―質問と回答〈3月7、8日実施〉(朝日新聞 2009年3月8日(日))

(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は、特に断りがない限り2月19、20日の前回調査の結果)
麻生内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持する  14(13)
支持しない 70(75)
◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ。左は「支持する」14%、右は「支持しない」70%の理由)
首相が麻生さん  16〈2〉 13〈9〉
自民党中心の内閣 41〈6〉 23〈16〉
政策の面     23〈3〉 54〈38〉
閣僚の顔ぶれ   12〈2〉 6〈5〉
◆いま、どの政党を支持していますか。
自民党22(25)▽民主党22(26)▽公明党3(3)▽共産党3(2)▽社民党1(1)▽国民新党0(0)▽改革クラブ0(0)▽新党日本0(0)▽その他の政党0(0)▽支持政党なし41(39)▽答えない・分からない8(4)
◆できるだけ早く衆議院を解散して、総選挙を実施すべきだと思いますか。急ぐ必要はないと思いますか。
できるだけ早く実施すべきだ 57(64)
急ぐ必要はない       32(28)
◆仮に、いま、総選挙の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか。
自民党24(22)▽民主党36(42)▽公明党4(3)▽共産党5(4)▽社民党2(2)▽国民新党0(0)▽改革クラブ0(0)▽新党日本0(0)▽その他の政党1(1)▽答えない・分からない28(26)
◆今後も、自民党を中心とした政権が続くのがよいと思いますか。民主党を中心とした政権に代わるのがよいと思いますか。(カッコ内の数字は1月10、11日の調査結果)
自民党中心の政権 24(24)
民主党中心の政権 45(44)
麻生首相民主党の小沢代表とでは、どちらが首相にふさわしいと思いますか。
麻生さん 22(19)
小沢さん 32(45)
民主党の小沢代表の秘書が、西松建設の違法な企業献金問題で逮捕されました。小沢代表は、「企業からの献金とは認識していなかった。やましいことはない」と説明しています。小沢代表の説明に納得できますか。
納得できる  12
納得できない 77
◆小沢さんは、民主党の代表を続ける方がよいと思いますか。辞める方がよいと思いますか。
続ける方がよい 26
辞める方がよい 57
◆小沢代表の政治献金をめぐる問題で、あなたの民主党に対する印象は、よくなりましたか。悪くなりましたか。それとも変わりませんか。
よくなった 1
悪くなった 40
変わらない 56

〈調査方法〉 7、8の両日、全国の有権者を対象にコンピューターで無作為に電話番号を作る「朝日RDD」方式で調査した。対象者の選び方は無作為3段抽出法。有効回答は1126人、回答率は62%。



無党派層、民主離れ 朝日新聞緊急世論調査(朝日新聞 2009年3月8日(日))

朝日新聞社の全国緊急世論調査で、衆院比例区の投票先として民主と答えた人が36%に減った。2月の2回の調査ではいずれも42%と、一昨年の参院選以降で最高に達していた。今回減った背景には、無党派層の一部が民主離れを起こしたことがある。民主支持層では9割以上が民主に投票するとしているのとは対照的だ。
無党派層は全体の49%を占め、麻生内閣発足後では、一番大きくなっている。無党派層で投票先を民主とした人は今回27%。前回調査(2月19、20日)で38%だったのと比べると大幅減だ。数字の上では、これが全体の減少理由の大部分を占める。
ただ、無党派層で自民に投票するという人は10%(前回9%)にとどまる。民主から自民へ、という流れがあるわけではなく、民主優位の状況は変わっていない。
小沢代表の政治資金をめぐる問題で民主党の印象が「悪くなった」という人は40%で、「変わらない」は56%。イメージダウンになったことは否定できない。「悪くなった」人でみると、投票先は民主30%、自民29%だった。
今回の調査で数字がもっとも大きく動いたのは、麻生首相と小沢代表のどちらが首相にふさわしいかの質問だった。小沢代表は32%(同45%)と大きく減らし、麻生首相は22%(同19%)でやや持ち直した。無党派層の小沢氏支持は前回の42%から24%に急減している。無党派層の離反は、民主党より小沢氏により激しいようだ。



「小沢代表辞任を」57% 朝日新聞緊急世論調査(朝日新聞 2009年3月8日(日))

朝日新聞社が7、8の両日実施した全国緊急世論調査(電話)によると、西松建設の違法献金問題で、小沢民主党代表の説明に「納得できない」が77%、代表を「辞める方がよい」57%と、小沢氏に厳しい見方が示された。「いま投票するとしたら」として聞いた衆院比例区の投票先では、民主は36%と前回2月19、20日調査の42%から減少した。自民は24%(前回22%)だった。
麻生内閣の支持率は14%(同13%)と極めて低い状態が続き、反転の兆しは見えていない。不支持率は70%(同75%)だった。
衆院比例区の投票先は、麻生内閣発足後、自民がじわじわと下げたのに対し、民主は昨年11月以降ほぼ順調に伸ばしてきた。今回、民主は36%に下がったとはいえ、昨年12月時点と同じ水準で、自民と比べてかなりの優位をなお維持している。
自民中心の政権と民主中心の政権のどちらがよいかでも、「自民中心」24%に対し「民主中心」が45%と上回っている。政党支持率は自民22%(同25%)、民主22%(同26%)など。自民、民主ともやや下げ、無党派層が49%(同43%)に達した。
小沢代表は公設秘書が政治資金規正法違反の容疑で逮捕されたことを受けて、「企業からの献金とは認識していなかった。やましいことはない」と述べた。この説明に「納得できる」とする人は12%しかいなかった。民主支持層でも「納得できる」は28%にとどまり、「納得できない」が60%を占めた。他の政党支持層や無党派層では「納得できる」は1割以下とさらに厳しくみている。
民主支持層は小沢氏の進退については「続ける方がよい」が49%で、「辞める方がよい」40%をやや上回った。だが、無党派層で「続ける」23%、「辞める」57%となるなど、全体では「続ける」は26%にとどまり、辞任論の57%が圧倒した。



漆間氏実名公表の官房長官「不適切な発言、厳重に注意」(朝日新聞 2009年3月8日(日))

河村官房長官は8日のフジテレビとNHKの番組で、西松建設の違法献金事件を巡り「自民党側は立件できない」と発言した政府高官が、官僚トップの漆間(うるま)巌官房副長官であることを明らかにした。河村氏は、漆間氏が元警察庁長官で特に誤解を招きやすいことから「極めて不適切な発言で厳重に注意した」と述べた。
実名公表の理由について、河村氏は記者団に「オフレコ懇談といえども、話が出た以上は、説明責任を果たさなくてはいけない」と説明。麻生首相も7日に「(捜査情報に基づいた発言は)あり得べきことではないから、はっきりしたほうがいい」と了承したという。
河村氏によると、漆間氏から「一般論を話した。断定的に捜査の趨勢(すうせい)を語ったものではない。検察の情報を持って言ったのでは断じてない」との報告を受け、公の場での説明を求めたという。漆間氏は9日の定例記者会見で真意を説明する。
民主党鳩山由紀夫幹事長は「漆間氏は元警察庁長官で一番情報が入りやすい。検察と内閣が通じ合っていたと思わざるを得ない」と批判。同党は9日の参院予算委員会で政府を追及する。



漆間副長官が発言否定 首相は「誤って報道」 西松事件(朝日新聞 2009年3月9日(月))

漆間(うるま)巌官房副長官は9日午前の参院予算委員会に出席し、西松建設の違法献金事件で、「自民党側は立件できない」とした自らの発言について、「特定の政党を挙げて、どうのこうのとか、そういう話はしていない」と否定する一方、「真意が伝わらない形で報道され、ご迷惑をかけた」と陳謝した。一方、麻生首相は「発言が誤って報じられた」と述べ、報道機関側が誤って伝えたとの見方を示した。
国会で官僚トップの事務の官房副長官が答弁に立つのは異例。首相は参院予算委の冒頭、「先例としない扱いで国会に出席をさせることにした」と述べた。
漆間氏はまず、記者との懇談はオフレコで、録音もメモもないため、「記憶の限りで話したい」と述べたうえで、(1)この種の事件では一般論として違法性の認識を立証することはいかに難しいか(2)金額の多寡は違法性の認識を立証するうえで大きな要素となる(3)検察は本人が否認しても起訴できるだけの証拠を持っているとみられる――の3点を指摘したと説明。「特定の政党の議員への捜査の帰趨(きすう)については発言していない」と述べた。
漆間氏はまた、「私の発言が記者にどう認識されたのかはわからない」「私が警察出身者であるので、誤解されたのではないかと思っている」と説明。ただ、「一般論であっても言う必要はなかった。申し訳ない」とも釈明した。
漆間氏の発言に対しては、民主党が「内閣の中枢と検察との間でやり取りがあったと思われても仕方がない」(鳩山由紀夫幹事長)と問題視。この点について漆間氏は「官房副長官就任後、検察当局とは接触していない」「この事件は新聞報道で知った」と述べた。
漆間氏の発言は、5日の記者とのオフレコの懇談で出た。オフレコ扱いであったため、発言者を「政府高官」などとして報道されたが、その後、民主党など野党が「官邸が検察情報を入手していると疑わせる」などとして、この発言を問題視。同党は発言者が漆間氏とみて、漆間氏を予算委員会に呼び、真意をただす構えを見せていた。
こうした事態をふまえ、河村官房長官が8日、この高官が漆間氏であることを明かした。河村氏は「極めて不適切な発言」と漆間氏を厳重注意していた。

麻生首相が9日の参院予算委で「発言が誤って報じられた」と答弁したが、朝日新聞は5日夕に首相官邸で行われた漆間氏との記者懇の内容をもとに6日付の朝刊で報じている。記者懇では、自民党でも西松建設関連の献金があったことが明らかになっていることについて、漆間氏は「自民党側は立件できないと思う。特に(違法性の)認識の問題でできないだろう」と語っていた。
この首相発言について、河村官房長官は9日の記者会見で、「記者団の受け止めと漆間副長官の言われたことにズレがあったんではないかという認識だと思う。そこのズレがあったということを『間違った』という表現をされたのだと思いますが、それは総理の本意ではないと思う」と釈明した。



漆間氏辞任要求も検討 民主・鳩山氏 首相発言を批判(朝日新聞 2009年3月9日(月))

9日の参院予算委員会で漆間(うるま)巌官房副長官が、西松建設の違法献金事件にからみ、「自民党側に捜査は及ばない」という趣旨のオフレコ取材の発言を否定したことについて、民主党鳩山由紀夫幹事長は同日、今後、漆間氏の辞任要求も検討する考えを示した。山形市で記者団に「(辞任要求は)必要に応じて出てくる可能性がある」と語った。
鳩山氏は「元警察庁長官の漆間氏がなぜ官房副長官に起用されたかを考えれば、政権中枢と検察のやり取りがあったと考える方が自然だ」とも述べた。
また、麻生首相が同日の参院予算委の答弁で、漆間氏の発言が「誤って報じられた」と述べたことについては「今日までの総理としての歩みからみると、また逃げられたなと。逃げの発言、ぶれた発言と思わざるを得ない」と批判した。首相のこの発言には、自民党内からも「余計な答弁だ。漆間氏個人の問題から総理の問題に飛び火する」(中堅議員)との懸念が出ている。



首相「漆間副長官と記者、受け止め方にずれ」 西松事件(朝日新聞 2009年3月9日(月))

麻生首相は9日午前の参院予算委員会で、西松建設の違法献金事件に絡んで「自民党側は立件できない」とした漆間(うるま)巌官房副長官の発言について、「オフレコの記者懇での発言が誤って報じられた」と述べ、報道機関の誤報であるとの認識を示した。首相が発言を否定する漆間氏を擁護したことで、批判の矛先は首相にも向かいそうだ。
首相は同日午後の同委で午前の自らの発言について「漆間副長官の記憶と記者の受け止め方の間にはずれがあったというのが正確なところだ」と釈明した。
漆間氏も同委に出席し、「特定の政党を挙げて、どうのこうのとか、そういう話はしていない」と公式に発言を否定。その一方で「真意が伝わらない形で報道され、ご迷惑をかけた」と陳謝した。国会で官僚トップの事務の官房副長官が答弁に立つのは異例。首相は「先例としない扱いで国会に出席をさせることにした」と述べた。
漆間氏はまず、記者との懇談はオフレコで、録音もメモもないため、「記憶の限りで話したい」と述べたうえで、(1)この種の事件では一般論として違法性の認識を立証することはいかに難しいか(2)金額の多寡は違法性の認識を立証するうえで大きな要素となる(3)検察は本人が否認しても起訴できるだけの証拠を持っているとみられる――の3点を指摘したと説明。「特定の政党の議員への捜査の帰趨(き・すう)は発言していない」と述べた。
自民党側に捜査が及ばない」という趣旨の発言をしたという報道について、「事実に反するのか」と問われた漆間氏は「私が警察出身者であるので誤解されたのではないか。マスコミ側が私の発言をどう認識されたのかはわからない。私が記憶している部分では(そういう発言はなく)、あとは記者の認識の問題だ」と述べた。
一方で漆間氏は「一般論であっても言う必要はなかった。申し訳ない」とも釈明。副長官就任以来、「検察当局とは一切の接触をしていない」「検察の捜査について事前に報告を受けたり、どうなっているかと聞いたりしたことはない。今回の件で私が情報を持っていたことは全くない」と強調した。
漆間氏の発言には、民主党が「内閣の中枢と検察との間でやり取りがあったと思われても仕方がない」(鳩山由紀夫幹事長)と問題視。この点について漆間氏は「官房副長官就任後、検察当局と接触していない」「この事件は新聞報道で知った」と述べた。
漆間氏の発言は、発言者を特定しないで報道できる記者との5日のオフレコ懇談で出た。そのため、報道各社は発言者を「政府高官」などとして報道。その後、民主党などが「官邸が検察情報を入手していると疑わせる」と問題視した。同党は発言者が漆間氏とみて、漆間氏を予算委員会に呼び、真意をただす構えを見せていた。
河村官房長官は8日、この高官を漆間氏と明かしたうえ、「極めて不適切な発言」と漆間氏を厳重注意していた。

麻生首相は9日の参院予算委で、5日夕に首相官邸で行われた漆間氏との記者懇の内容をもとにした記事について、「発言が誤って報じられた」と答弁した。しかし、報道各社の記事は、細かな表現に違いはあるものの、漆間氏が「自民党側に捜査は及ばない」という趣旨の発言をしたと一様に報じている。
朝日新聞も、自民党でも西松建設関連の献金が明らかになっていることについての漆間氏の記者懇での発言をもとに、「自民党側は立件できないと思う。特に(違法性の)認識の問題で出来ないだろう」と6日付朝刊で掲載した。
首相発言について、河村官房長官は9日の記者会見で、「記者団の受け止めと漆間副長官の言われたことにズレがあったのではないか、という認識だと思う。そこのズレがあったということを『間違った』という表現をされたのだと思う。それは総理の本意ではないと思う」と釈明した。



官房長官が陳謝 漆間発言めぐり政府与党連絡会議で(朝日新聞 2009年3月9日(月))

河村官房長官は9日昼の政府・与党連絡会議で、漆間官房副長官西松建設の違法献金問題をめぐる発言について、「誠に申し訳ない。捜査見通しについて断定的なことを言ったわけではない。誤解を招く不適切な発言で厳重に注意した」と陳謝した。
これに対し、自民党細田博之幹事長や公明党の太田代表は「誤解を招かないよう発言に注意してほしい」と苦言を呈した。



護衛艦乗船の8人を任命 ソマリア海賊対策で海上保安庁(朝日新聞 2009年3月9日(月))

海賊対策のため14日にソマリア沖へ出発する海上自衛隊護衛艦に、司法警察業務を担うため乗船する海上保安官8人の任命式が9日、東京・霞が関海上保安庁であった。
8人は直接海賊の制圧にはあたらないが、海自によって海賊の身柄が拘束された場合などは、逮捕して取り調べるなどの捜査をする。岩崎貞二長官は「海自と本格的に連携する初のケース。いい連携を」と訓示した。派遣捜査隊長を務める竹内行広・国際刑事課専門官(43)は「経験のない地域だが、しっかりと任務を遂行したい」と記者団に抱負を述べた。



違法献金:二階氏側、週内立件へ 西松建設前社長自ら窓口(毎日新聞 2009年3月9日(月)

準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)の違法献金事件で、前社長の国沢幹雄容疑者(70)が自ら二階俊博経済産業相側の窓口役になり、要望を聞いていたことが関係者への取材で分かった。国沢容疑者は東京地検特捜部に「二階氏側に年1〜2回、現金を渡していた」と供述しているとみられ、特捜部は今週前半にも政治資金規正法違反の疑いで二階氏側の担当者らを立件する方針を固めた模様だ。
西松建設では、公共工事受注に影響力を持つ与野党の有力政治家ごとに担当幹部を配置し、議員側を訪問したり、飲食を共にするなどして、献金やパーティー券購入の要望を聞き取っていたことが判明している。
同社関係者によると、二階事務所との窓口役は国沢容疑者の前任の社長が担当していた。国沢容疑者が二階氏と同じ中央大出身だったこともあり、国沢容疑者に引き継がれた。国沢容疑者も二階氏との関係を特に重視していたという。
西松建設のダミーとされる「新政治問題研究会」など二つの政治団体は04〜06年、二階派政治団体「新しい波」のパーティー券計約830万円分を購入している。金額は小沢一郎民主党代表の資金管理団体陸山会」への献金1400万円に次いで多く、特捜部は二階氏側との密接な関係に大きな関心を寄せている模様だ。
二階氏は6日の参院予算委員会で、国沢容疑者と面識があることは認めながら「政治資金規正法に基づいて適切な処理をしていると信じている」とし、2団体の代表者については「面識の記憶はない」と答えている。



小沢代表:「金庫番」は国会議員の登竜門(毎日新聞 2009年3月9日(月)

東京・赤坂のマンション「チュリス赤坂」7階にある小沢一郎民主党代表の個人事務所に、東京地検特捜部の係官が入って行ったのは、3日午後5時10分ごろだった。
事務所は小沢氏の資金管理団体陸山会」の所在地でもある。小沢氏の関係者によると、係官は室内に入ると同時に「大久保さんという人はいますか。どの人ですか」と尋ねた。小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規容疑者(47)が名乗り出ると、係官は「逮捕状が出ています。同行願います」と告げた。居合わせた者全員があぜんとする展開だった。
大久保容疑者の自宅は岩手県釜石市にある。普段は岩手県内で活動している大久保容疑者が上京していたのは理由があった。
実はこの日午後6時から小沢事務所の「金庫番」や「企業回り」を担当した歴代の秘書5、6人を集めた会議が予定されていた。特捜部の家宅捜索はその直前を狙って決行された。招集がかかっていた元秘書の中には、午後6時前にマンションを訪ねたものの、騒然とした様子を見て引き返した者もいる。
開かれなかった会議の目的は何だったのか。小沢氏に近い人物は「西松建設絡みの対策会議だった」と証言する。大久保容疑者らはダミーの政治団体を使った違法献金捜査が身近に迫っていることを察知していたとみられる。
一方、小沢氏はこの日午後4時過ぎから6時ごろまで、別の個人事務所で渡部恒三民主党最高顧問と囲碁を打っていた。渡部氏は事件が急展開しているとは知らず、終わってテレビのニュースを見て驚いた。「彼は当然知っていたと思う。普通は打ち方が乱れるものだが、いつも通りだった。肝っ玉が据わっているよ」と後に渡部氏は周辺に語った。
小沢氏は地検の動きを知らなかったのか。知っていても何らかの確信があっての静観だったのか。
会議には大久保容疑者の他に、00年から2期衆院議員を務めた樋高剛氏(43)や、07年に衆院比例北海道ブロックで繰り上げ当選した石川知裕氏(35)らも加わる予定だった。いずれも「陸山会」を担当したことのある元秘書だ。旧自由党衆院議員時代(比例選出)に小沢氏と決別し、今は自民党で小沢氏の対立候補になろうとしている高橋嘉信氏(55)も、かつては小沢氏の金庫番だった。
小沢氏の周辺が解説する。「小沢事務所では、突出して忠誠心の高い秘書に陸山会を担当させ、それを議員への登竜門とする流れが自然にできていた。小沢氏はリスクのある仕事をさせるのに、意識してそうやっていたはずだ」
小沢氏が囲碁の最中も泰然としていたのは、大久保容疑者の忠誠心を信用していたからではなかったか。ただし、事件をめぐるその後の報道は、小沢氏の態度を微妙に変化させていった。
◇「代表と道連れ」危機感
日曜の8日。民主党小沢一郎代表は東京・深沢の自宅から「チュリス赤坂」に向かい、午前11時に西岡武夫参院議院運営委員長の訪問を受けた。「我々には政権交代という大きな目標がある」と励まされたという。
午後4時半には側近の平野貞夫参院議員が別の個人事務所に小沢氏を訪ね、ロッキード事件などの昔話をした。平野氏は「代表は超然としていた。(起訴予定日の)24日が一つのポイントだ」と記者団に語った。
小沢氏の公設秘書が逮捕された3日以降、民主党は右に左に揺れ続けた。焦点は小沢代表の進退にある。
逮捕翌日の4日午前9時過ぎ、小沢氏は党本部で緊急役員会を開き「こういう形での強制捜査は前例がない。個人の問題ではない」として執行部の協力を要請した。さらに直後の記者会見では「政治的にも法律的にも不公正な検察権力の行使だ」と口を極めて捜査の不当性を訴えた。
鳩山由紀夫幹事長は「検察の対応は異常。小沢代表の説明に一点の曇りもない」との談話を発表し、小沢氏と完全に同一歩調をとった。しかし、小沢氏側が西松建設と協議してダミー団体経由の献金にしていたことなどが報道され、空気が変わる。小沢氏自身、6日には検察批判について「言葉遣いがまずかったなら訂正する」とトーンを弱めた。
「いったん弱気なところを見せたら、検察は付け込んでくる。代表はそれを体験的に知っている」。小沢氏側近は、ロッキード事件リクルート事件、金丸5億円脱税事件などの修羅場を見てきた政治家だからこそ、強気の記者会見をしたのだと解説する。
ただ、捜査の行方や世論の動向について確信があるわけではない。小沢氏の周辺では今、「自民党にも捜査のメスが入れば、代表にとどまっても持ちこたえられる」という主戦論と、「影響力を残して退き、政権を獲得した後に復権する」という撤退論が交錯している状態だ。
民主党内でも「強気一辺倒では乗り切れない」とみて、「小沢離れ」がひたひたと進む。小沢氏の「道連れ」となるのを回避しようという動きだ。
「進退問題が浮上しないと言い切るつもりはない。新たな事実が判明すれば新たな展開になる」。鳩山氏は8日、NHKの報道番組で、事件が小沢代表の進退問題に発展する可能性を初めて示唆した。小沢氏が目玉候補にしている太田和美衆院議員も同日、福島県郡山市での会合で「今は代表の言うことを信じるが、新たな次の話が出たら別。もしそうなれば潔く辞められると思う」と述べた。
◇ポスト小沢、選挙態勢に課題
じわりとせばまる「小沢包囲網」と連動して、「ポスト小沢」に浮上しているのが岡田克也副代表だ。
岡田氏は代表として臨んだ04年参院選を勝利に導いた実績がある。05年郵政選挙で敗北したものの、きまじめなイメージや落選候補者を地道に支援してきたことが評価されている。小沢氏もいずれかの時期に岡田氏への禅譲を考えてきたとの見方がある。
しかし、仮に小沢氏が代表を退いても、岡田氏への一本化はそう簡単ではない。特に小沢氏を支えてきた鳩山氏と菅直人代表代行は、「岡田代表体制」で実権を失いかねないことを警戒している。
鳩山氏周辺は「小沢氏が辞任したら、まず鳩山氏か菅氏のいずれかだ」と指摘する。ただ、岡田氏を支持する中堅議員は「執行部で小沢氏の続投を認めたんだから連帯責任だ」と反発する。
代表選の実施は、党内の亀裂に直結しかねない。小沢氏が無投票3選を決めた昨年9月の代表選も「政権交代を前に党内抗争は避けるべきだ」というのが、選挙を行わない大義名分となった。党内調整の難しさから、菅氏周辺では「代表空席で菅、鳩山、岡田3氏の新トロイカ体制で乗り切る」との奇策も浮上している。
さらに懸念材料は、小沢氏が一身に担ってきた「強い選挙態勢」を、他の人間が引き受けることができるかどうかだ。小沢氏は代表就任直後の06年4月、衆院千葉7区補選で勝利し、偽メール問題で地に落ちた党のイメージ回復に成功した。以来、07年参院選や08年4月の山口2区補選など、ポイントとなる選挙を押さえてきた。中でも特にカギを握るのが、小沢氏が地方行脚の中で作り上げた連合との密接な関係だ。
前代表の前原誠司氏は「労組依存からの脱却」を掲げ、連合との関係が悪化した。このため、連合幹部は「今までの誤解や不信を解いたのは小沢さんの功績だ。岡田さんも鳩山さんもこれまで築いた関係がないわけではないが……」と懸念する。
前原氏を中心とする党内グループ「凌雲(りょううん)会」はポスト小沢問題について沈黙を守っている。中心人物の一人である枝野幸男政調会長は7日、埼玉県連大会のあいさつで小沢問題には一言も触れず、記者団を避けるように会場を後にした。
小沢氏と親しいベテラン議員は「厳しい世論調査の結果で小沢氏の決断が早まるかもしれない」とみる。その時に備えた動きが静かに始まっている。

編集委員・古賀攻、上野央絵、佐藤丈一、野口武則、渡辺創が担当しました。



海賊対策:「軍と連携」求める 船舶向けマニュアル(毎日新聞 2009年3月9日(月)

東アフリカ・ソマリア沖の海賊問題で、国連決議に基づいて関係各国で設置した「コンタクト・グループ」が、タンカーなど商業船舶などに向けた海賊対策マニュアルをまとめた。同海域での軍との連携など、具体策を盛り込んだ海賊対策マニュアルが作られるのは初めて。17日にカイロで開かれる会合で正式決定される。海上警備行動護衛艦を派遣する海上自衛隊海上保安庁も、現地での活動の際には参考にするとみられる。
マニュアルは、ソマリア沖を航行中、海賊に▽襲撃された時▽乗り込まれた時▽武器で攻撃された時−−など、それぞれの段階で船員が取るべき行動を具体的に記述。海賊に襲われた時は、国際救助信号を発して15ノット(時速28キロ)以上でジグザグ航行し、海賊の乗り込みを防ぐ。海賊が乗り込んで来た時は、抵抗をせずに船内の1カ所に集まる。海賊が武器を使用した際は、カメラは向けず、姿勢を低く保ち、両手を頭の上に乗せる−−などとしている。
ソマリア沖で哨戒活動を行うEU(欧州連合)軍のホームページへの登録や、英国軍の「位置通報システム」への参加で、現地で展開する軍と連携することも求めている。
「コンタクト・グループ」は、日本や英米など24カ国と国際海事機関(IMO)など5国際機関で構成されている。同グループ作業部会が2月27日にロンドンで開いた会合でマニュアルをまとめた。【仙石恭】



イラク米軍:9月末までに1万2000人撤退(毎日新聞 2009年3月9日(月)

【カイロ高橋宗男】イラク駐留米軍は8日、現在イラクに展開する14個旅団約14万人のうち、戦闘部隊を主とした2個旅団1万2000人を9月末までに撤退させると発表した。AFP通信によると、イラク政府のダッバグ報道官もこれを確認した。
オバマ米大統領は先月、イラク駐留米軍の戦闘部隊を来年8月末までに撤退させる方針を表明しており、2個旅団の削減は撤退策の第1弾となる。米軍は来年8月以降も訓練要員ら3万5000人から5万人をイラク国内に残す方針だが、米国とイラクが結んだ地位協定では、これらの部隊も11年末までに完全撤退する。
駐留米軍報道官はまた、今後数カ月以内に約4000人の英軍部隊が撤退する見通しを明らかにした。



文科省:高校の新指導要領9日告示 「ゆとり」見直し完了(毎日新聞 2009年3月9日(月)

文部科学省は9日、10年ぶりに全面改定した高校の学習指導要領を告示する。言語活動や理数教育、伝統文化に関する教育の充実などが改定の柱。英語はコミュニケーション重視に方針転換し、授業を英語で行うことを基本とする。
小中学校の新指導要領(08年3月告示)に続き、前回改定で削られた内容の復活などが進められ、脱「ゆとり教育」への見直しが完了。各教科で小中学校の内容を復習する機会の設置を促進し、基礎学力不足の生徒への対応も充実させる。
13年度入学生から適用し、数学と理科については12年度から先行実施。教科書の要らない総則部分などは10年度から適用する。
また同日、特別支援学校の新学習指導要領も告示する。すべての幼児、児童、生徒について個別の指導計画作成を義務付けることなどが改定の柱。【加藤隆寛】



社説:海兵隊グアム移転 日本の負担に明確な根拠示せ(毎日新聞 2009年3月9日(月)

麻生太郎首相が7日、就任後初めて沖縄県を訪問し、仲井真弘多知事と会談した。知事が同県名護市に移設する予定の米軍普天間飛行場の代替施設の滑走路を計画より沖合に移動するよう改めて求め、首相は早期解決を約束した。
普天間移設は、在日米軍再編の一環として行われる在沖縄海兵隊8000人のグアム移転とパッケージになっている。先月来日したクリントン国務長官中曽根弘文外相は、「在沖縄海兵隊のグアム移転に関する協定」に署名した。政府は協定の承認案をすでに衆院に提出しており、今国会中の承認を目指す方針だ。
協定は、日本側がグアム移転費用の一部として28億ドルを上限に資金提供を行うことと、「資金の適正使用」つまり目的外使用の禁止が2本柱である。
協定の意味はグアム移転問題にとどまらない。協定前文は、06年に日米政府が合意した、再編全体を定める「ロードマップ」に基づいて移転が実施されるとしている。グアム移転で出資・融資を含めた日本側の提供を上限60・9億ドルとすることや、普天間飛行場の代替施設をロードマップに従って完成させることも明文化された。ロードマップは代替施設を名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部に建設するという内容だ。協定の承認は、政治合意であるロードマップを法的に確定することにほかならない。
この協定の実現で最大の課題は、普天間飛行場の移転問題である。移転が沖縄の負担軽減に結びつくのは間違いない。しかし、仲井真知事や名護市は騒音・環境対策で日米合意より沖合への代替施設移動を求め、米側は合意の変更に難色を示している。政府はどう調整しようとしているのか。その道筋は見えていない。
協定そのものにも問題点が残っている。まず、資金の「適正使用」だ。政府は09年度予算案に移転関連で346億円を計上し、グアムのアンダーセン空軍基地海兵隊と一体となって運用される施設整備や、海軍のアプラ港の基盤整備を行うことを国会で明らかにしている。しかし、空軍や海軍も利用する施設整備は資金の目的外使用にならないのだろうか。政府は「共用なら問題ない」(外務省)というが、「海兵隊移転に伴う資金提供に限定する」とのこれまでの姿勢と食い違うとの指摘がある。
また、移転のための日本側の負担額上限の算定根拠は、いまだにはっきりしていない。グアムに建設される家族住宅は日本側の出資・融資で建設されるが、その1戸当たりの建設費が高額すぎるのではないかとの疑念もある。多額の税金を投入するのだから、具体的な事業費を積み上げた負担額を国民に示すのは当然である。
政府は、承認案の国会審議でこれらの問題をきちんと説明する責任がある。



社説:視点=世襲議員制限 政党の公開度が試される(毎日新聞 2009年3月9日(月)

世襲議員への世論の反発は、日増しに強まっている。大半の世襲議員を抱える自民、民主両党もようやく規制が必要と、具体策作りに入った。
民主党は政治改革推進本部の公選法見直し小委員会(野田佳彦小委員長)で、検討を進めている。死亡、引退した政治家の資金管理団体は解散させ、相続を禁止する法案をまとめ、自民党にも同調を呼びかける方針だ。また、世襲の範囲を線引きするため、党内アンケートを実施し、具体案をまとめる。
一方、自民党では菅義偉選対副委員長を中心に議員連盟を設立、定数削減と並んで世襲候補の制限案作りに着手する。世襲の範囲などを詰め、党の公認候補決定段階で制限を加える党の内規を定め、次期総選挙でのマニフェストにも盛り込むことを目標にしている。
世襲批判がここに来て高まった第一の要因は、祖父、父が首相経験者のここ3代の首相のふがいなさにあるだろう。安倍晋三福田康夫両首相は1年ほどで退陣。麻生太郎首相も人気低迷にあえぎ、発足から半年で自民党内からも退陣要求が出されている。一方、スリムな政府を目指し、官僚の特権は見直されている。「世襲議員」は既存政治家の特権の象徴だ。このまま放置しては、政治不信は増大するばかりだ。
派閥政治全盛時の自民党政権人事は当選回数主義が基本だった。若くとも当選可能性が高い世襲議員は、年齢の割に閣僚、党役員などの要職を歴任しやすい。自民、民主両党の幹部に世襲議員が目立つのも、回数主義の名残と考えられる。
05年の総選挙で国会議員の現職か経験がある父母、祖父母(義理、養子先を含む)を持つ立候補者は毎日新聞の調べでは166人で、うち133人が当選している。新人の「世襲候補」の当選率は59%だが、自民、民主両党の「非世襲候補」は38%にすぎない。
世襲候補は当選の必須要件といわれる「カンバン(知名度、経歴)」「カバン(選挙資金)」「ジバン(後援会)」の整備が、容易だ。政党助成金制度の導入で政治資金には公的資金も含まれるようになった。にもかかわらず先代の政治資金管理団体や政党支部を事実上、世襲するケースも少なくない。当然、相続税は課税されていない。
変革期を迎え、政治家の資質が大いに問われている。人材源の拡大が急務なのに、世襲候補を放置したら、多様な人材の政治への進出は困難になるばかりだ。自民、民主両党の「開かれた政党」度が試されている。【松田喬和・論説委員



違法献金:漆間官房副長官が釈明 「自民波及せず」発言で(毎日新聞 2009年3月9日(月)

漆間巌官房副長官(63)は9日午前の参院予算委員会に出席し、西松建設の違法献金事件について「自民党議員には波及しない」と発言した問題について「検察捜査の中立性、公平性を否定するような発言をしていない。真意が伝わらない形で報道され、まことに申し訳ない」と釈明した。そのうえで「私も記者もメモ、録音をしないルールだ。記者がどう理解したかを私から申し上げることはできない」と述べた。鈴木寛氏(民主)への答弁。
麻生太郎首相は「オフレコの懇談の内容が誤って報じられている」と説明した。
漆間氏は「一般論として話した。検察の捜査の行方についてコメントする立場にないとも言ったので、問題になる発言ではないと思っていた」との認識を示し、「私が警察出身者なので誤解して受け取られた」と述べた。
漆間氏の出席は、同委員会直前の理事会で野党側の要求を受けて決まった。
一方、河村建夫官房長官は記者会見で漆間氏の進退について「今そういう問題ではないと認識している」と述べた。【三沢耕平】



漢字検定協会:理事長「謝るのいや」 会見なく1カ月(毎日新聞 2009年3月9日(月)

公益法人としては「もうけすぎ」と指摘されている財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市下京区)の大久保昇理事長が「謝りたくないので会見はしない」と評議員会で発言していたことが分かった。所管する文部科学省の実地検査が協会に入って9日で1カ月。漢検受検者は今や小中高校生らを中心に年間270万人にのぼるが、協会は説明責任を果たさぬまま、だんまりを決め込んでいる。
協会を巡っては、1月下旬以降、もうけすぎや約6億7000万円に上る邸宅購入など、問題が次々と報じられた。協会関係者によると、大久保理事長は問題の表面化から約2週間後の2月6日、京都市内であった評議員会の席上、「記者の態度が悪い」とマスコミを批判。「いろいろな記者会見を見てきたが、どれも最後には必ず謝っている。私は謝りたくないので会見はしない」と話した。長男の大久保浩副理事長が好きなプロ野球チームのユニホームに、協会が「漢検」のロゴマークを入れる計画が披露されるなど危機感はなかったという。
3日後に検査を受けた後も、記者会見をはじめ肉声での説明は一切なし。協会のホームページには「調査に協力する」などのコメントだけが残っている。
一方、協会の内情に詳しい関係者によると、レーシングチームへの資金投入が判明した協会の取引先の一つ「日本統計事務センター」代表の副理事長は、協会内の数人にメールで「辞めたい」と漏らした。これを聞いた理事長が激怒して止めたこともあったという。【木下武、広瀬登】



違法献金:二階氏側聴取へ 政治団体、パー券規制逃れも(毎日新聞 2009年3月9日(月)

準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)の違法献金事件で、同社が自民党二階派政治団体「新しい波」のパーティー券を購入した際に、ダミーとされる二つの政治団体名義を使ったのは、政治資金規正法が定めるパーティー券購入の上限規制(150万円以下)を逃れる目的だったことが、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は9日にも、二階俊博経済産業相側の担当者らから事情聴取し、西松による二階氏側への資金提供の実態を解明する方針。
政治資金規正法は、一つの団体(法人を含む)・個人が1回のパーティーで購入できるパーティー券の限度額を150万円以下と規定している。違反すると販売側、購入側とも50万円以下の罰金が科される。
政治資金収支報告書によると、西松建設のダミーとされる政治団体新政治問題研究会」(新政治研)と「未来産業研究会」(未来研)は06年に解散するまでの3年間に、「新しい波」のパーティー券計838万円分を購入している。
このうち05年12月にパーティー「躍進の集いin東京」が開かれた際は2団体で計162万円分を購入。さらに06年6月に開かれた「トップセミナーin愛知」では計180万円分、同8月の「躍進の集いin東京」では計160万円分を買っており、いずれも150万円を超えていた。
新政治研と未来研が政治団体であれば政治資金規正法の上限規制には抵触しないが、特捜部は両団体に活動実体はなく、パーティー券を購入していたのは実質的に西松建設で、上限規制の対象となると判断したとみられる。関係者によると、同社が両団体の名義を使ったのは、西松の名前を隠すとともに、上限額を超える額のパーティー券を購入する目的があったという。
複数の同社幹部は特捜部の調べに「両団体の献金やパーティー券購入はすべて西松が出したと相手先に伝えていた」と供述しているとみられ、特捜部は二階氏側も認識していた可能性が高いとみている模様だ。



生活実態調査:非行生徒の実名書かす 愛知の中学(毎日新聞 2009年3月9日(月)

愛知県春日井市の市立知多中学校(長江勝美校長)が、生徒の生活実態を把握するために行ったアンケートで、他の生徒の行動まで実名で書かせていたことが分かった。名指しで非行を指摘された生徒の中には「やっていない」と否定する生徒もおり、同校は「不適切な方法だった」と生徒と保護者に謝罪した。
アンケートは08年12月、1、2年生計約320人を対象に無記名で実施した。この中で「やめさせてあげたい友人の行動」を実名で書く項目があり、約10人が喫煙や万引きなどの非行を指摘された。担任の教師が確認したところ、4人が「やっていない」と否定した。
同校の古賀直人教頭は「全員が良くなっていけるような指導に役立てる目的だったが、調査の方法に配慮が欠けていた。反省している」と話している。【花井武人】



世論調査で厳しい結果、民主党内に動揺広がる(読売新聞 2009年3月9日(月)

民主党の小沢代表の資金管理団体陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件を受け、読売新聞社世論調査で53%が代表を辞任すべきだと回答するなど、各種世論調査で厳しい結果が出たことを受け、党内には動揺が広がっている。
輿石東参院議員会長は9日午前、「厳しい世論はある程度、想像していた。小沢氏を先頭に気を引き締める」と強調した。
だが、鳩山幹事長山形市内で記者団に、「収賄などの事実が判明すれば新たな環境になったと思わざるを得ない」と述べ、中堅議員も、「引きずり下ろすと、しこりが残る。自発的に辞めてもらうしかない」と語った。
一方、自民党菅義偉選挙対策副委員長は横浜市内で記者団に、「民主党の人たちが何も言わない。自浄能力がない」などと述べ、民主党批判を展開。
ただ、西松建設と二階経済産業相側の関係を巡る捜査が行われるとの見通しが強まり、自民党内には「他党批判より身内の心配だ」との声も相次いでいる。



携帯に便利!手のひらサイズ燃料電池、国内初の商品化(読売新聞 2009年3月日(土)

東芝は7日、外出先で携帯電話や携帯音楽プレーヤーの充電が容易にできる手のひらサイズの小型燃料電池を、国内で初めて商品化することを明らかにした。
4月にも売り出す方針で、近く発表する。
コンセントがない外出先で携帯電話を充電する場合、現在は乾電池式の充電器につなげるのが一般的だが、時間がかかる上、フル充電できないケースも多い。東芝燃料電池を使った充電器であれば、家庭のコンセントにつなぐのとほぼ同じ時間で充電でき、燃料として使うメタノールが満タンであれば、4、5回のフル充電が可能だ。
発売当初の価格は2〜3万円となる見通しで、将来的には1万円以下に引き下げる方向だ。別売りのメタノールを注入すれば、繰り返し利用できる。
東芝は2009年度中に、さらに小型化した燃料電池をノートパソコンや携帯電話に内蔵し、商品化する計画だ。
燃料電池は、水素と空気中の酸素を化学反応させて発電する仕組み。元のエネルギーの90%以上を電気や熱として活用でき、温室効果ガスの削減効果が大きいと期待されている。
家庭用や自動車用の大型電池はすでに商品化されており、小型電池も東芝のほか日立製作所パナソニックなどが開発中だ。民間調査会社の富士経済は、小型燃料電池の国内市場が20年度に145億円程度に拡大すると予想している。



女王シロアリ、子供は後継にせず…王の血を入れないワケは?(読売新聞 2009年3月8日(日)

女王の命は永遠? 日本に多いシロアリ「ヤマトシロアリ」の女王は、自分の死後の後継者となる新女王を、王と交配しない単為発生で産むことを岡山大の松浦健二准教授(昆虫生態学)らが発見した。新女王はこれまで、王と女王の娘と考えられてきたが、実は自分自身の“分身”で、女王の座を守り続けていた。17日から盛岡市などで始まる日本生態学会で発表する。
シロアリは最初に1匹ずつの王と女王が巣を作り、働きアリや兵アリ、生殖能力を持つ羽アリなどを産む。
松浦准教授らが、ヤマトシロアリの生態や遺伝子を詳しく調べたところ、女王は通常、王と交配して産卵するが、うち2〜5%は単為発生で産み、それが新女王になることがわかった。
巣が大きくなると、働きアリなどを増やす必要が出てくるが、女王だけでは産卵数が不足しがちになると新女王たちが王と交配し、家族を増やす。20〜30年生きる王に比べて女王の寿命は5〜10年と短いが、分身がさらに分身を産むため、巣が存続する限り、初代女王と同じ遺伝子の女王が君臨し続けることになる。



北海道のラッコ、なぜか増加中…カニ・ウニなど漁業被害も(読売新聞 2009年3月8日(日)

釧路市の幣舞橋に現れたラッコの「クーちゃん」。
珍現象として注目されているが、北海道にやって来るラッコは今後さらに増える可能性があるという。漁業被害を心配する声もあり、研究者らは、北方4島にある繁殖地の調査を急ぐべきだと訴えている。
◆目撃件数は増加◆
明治以前の北海道でラッコは珍しい動物ではなかった。「ラッコ」という言葉はアイヌ語起源であり、道内の遺跡からラッコの骨も見つかっている。また、江戸時代に北海道を探検した松浦武四郎の文献にも登場する。しかし、毛皮を求めて乱獲され、20世紀初頭には北海道から一時期姿を消したとされている。
道内で再び目撃されるようになったのは1980年代からだ。90年代半ばからは根室市納沙布岬を中心に目撃数が急増。7年前からは襟裳岬にも定着しており、ラッコの出没は珍しい現象ではなくなった。
ただ、警戒心が強いラッコが、人の多い街中の川に現れることは、めったにない。ラッコの専門家で水産総合研究センター北海道区水産研究所の服部薫研究員はクーちゃんについて、「人慣れしすぎており、特異な例だ」としている。
◆増えすぎ?餌枯渇?◆
道内の太平洋岸にラッコが現れるようになった理由の一つとして、歯舞群島などで個体数が増え、分布域を広げているとの説がある。服部研究員は、「このまま増えれば、もっと頻繁に北海道に来るようになる。今後、道内漁業との摩擦も考えられる」と懸念する。
というのも、ラッコは一部漁業者にとって厄介な動物だからだ。えりも漁協では2003年、放流した約4トンの養殖用ウニがラッコの食害で全滅した。ラッコは貝だけでなく、カニやウニも食べる。1日に食べる量は体重(成獣で約40キロ)の20〜33%という大食漢だ。
しかも、ラッコが漁網を破ったり、養殖のホタテを食い荒らしたりしても、漁業者には講じる手段がない。国際的な絶滅危惧(きぐ)種であるラッコを捕獲することは、臘虎膃肭獣(らっこおっとせい)猟獲取締法で禁じられている。03年の被害の際も、えりも漁協では養殖場を他へ移すしかなかった。
一方、4島でカニやウニが激減し、餌を求めて来遊している可能性も指摘されている。現に、根室税関支署によると、昨年、ロシア船による花咲港へのカニの輸入量は前年比で61%も減っている。
◆カード問題も調査の壁に◆
昨年7月の日露首脳会談で、オホーツク海の日露近隣海域などでの「生態系保全プログラム」として、北方4島で両国研究者が共同調査を行うことを合意した。実現すれば、ラッコの繁殖の実態も明らかになる。
調査はビザなし交流事業の枠組みで行われる。しかし、ロシア側は4島へ上陸する日本人に「出入国カード」の提出を求めているため、このままではプログラムが実行できない。カード問題の早急な解決は、ラッコの保護管理を進めるためにも必要だ。
東京農大生物産業学部(網走市)の小林万里講師は、「餌の枯渇か、個体の増えすぎか、繁殖地を見ることができないのでわからない。現地を調査しないと、何の手も打てない」と話している。

臘虎膃肭獣猟獲取締法とは=1912年制定。ラッコやオットセイを許可なく捕獲することを禁じ、罰則もある。乱獲により北太平洋のラッコの数が激減したのを受け、前年11年に日露米英が保護条約を締結し、これに伴う国内法として明治政府が定めた。



漆間氏「捜査及ぶか述べた記憶はない」 発言内容を否定(産経新聞 - Yahoo! 2009年3月7日(土))

漆間巌官房副長官は9日午前の参院予算委員会で、西松建設の違法献金事件をめぐり「捜査は自民党議員に波及しない」と発言したとされたことについて、「特定の政党や議員について捜査が及ぶかどうか述べた記憶はない。メモを取らないオフレコの内容が誤って報じられた」と述べ、発言内容が誤って報じられたと釈明した。
漆間氏は、問題の発言が3月5日夕刻の記者懇談会だったことを認めた上で「同日の夜になって共同通信が配信し、真意が伝わっていないと大変驚いた」と強調。「発言は、一般論として(1)違法性の立証はいかに難しいか(2)金額の多寡は違法性の認識を立証する上で大きな要素。(被疑者から西松建設側への)請求書があるからといって立件できるかは疑問だ(3)検察がこの時期に逮捕した以上、被疑者が否認しても、起訴に持ち込めるだけの証拠を持っているのだろう−という3点を指摘した」と説明した。
その上で「懇談会は録音を取っておらず、今から立証はできないが、私の記憶では発言していない。マスコミが私の発言をどう取ったか、記者の認識の問題だ」と述べた。
また「検察捜査について事前に報告を受けたり、事後に聞くことはない」とも述べ、捜査への圧力をかけた事実はないことを強調した。



「首相も襟を正して」 各社世論調査に河村官房長官(産経新聞 - Yahoo! 2009年3月9日(月))

河村建夫官房長官は9日午前の記者会見で、報道各社の世論調査麻生太郎首相と民主党小沢一郎代表の支持率がそれぞれ低いことについて「国政に身を置く者として非常に不幸なことだ。首相自らも襟を正して、こうした状況を厳しく受け止めながら前向きに前進していただくことが大事だ」と述べた。



抗鬱薬で攻撃的反応 5年で42件 厚労省、副作用調査へ(産経新聞 - Yahoo! 2009年3月7日(土))

鬱病(うつびょう)治療のため、「パキシル」といった抗鬱薬を服用した患者の中に、服用後に暴力をふるうなど人を傷つける恐れのある他害行為の症状が表れたという報告が平成16〜20年にかけて計42件、厚生労働省に寄せられていたことが6日、分かった。殺人事件を起こしたケースもあり、投与にかかわった医師らからは薬の副作用の可能性を指摘する声が出ている。厚労省は近く、専門家から意見を求めるなど因果関係の調査に乗り出す。
厚労省によると、他害行為の報告が把握されている抗鬱薬は「パキシル」のほか、「ジェイゾロフト」「デプロメール」「ルボックス」の4種。
主な報告は「バイクをけったり、車を殴る」「男子高校生が『このままでは人を殺してしまう。刑務所に入れてくれ』と要望した」など。鬱病を併発した認知症の70代の男が、パキシル投与後に妻を殺害したり、45歳の男が妻の頭を金属類で殴り重傷を負わせたりするなど、刑事事件に発展したケースもあった。
42件のうち、もっとも広く流通している「パキシル」に関する報告は28件あり、製造販売元のグラクソ・スミスクラインによると、処方した医師は5件で薬剤との因果関係を「確実」とし、18件で「疑われる・否定できない・関連あり」と判断した。
そのため、厚労省では専門家から意見を求めるとともに、他の抗鬱薬でも同様の報告が寄せられていないか、薬の安全情報をとりまとめる医薬品医療機器総合機構を通じて把握を急いでいる。因果関係が強く疑われれば、添付文書の注意書きや副作用に「攻撃的反応」などと明記する。
ただ、鬱病以外の患者への誤投与や、別の薬との飲み合わせにより他害行動が誘引されたケースも考えられ、精査が必要となる。
厚労省医薬食品局安全対策課は「他害行為が薬の影響によるものか、慎重に調べている。ただ副作用を過剰に恐れて急に薬の服用をやめると、使用者の命にかかわる副作用が発生する場合もある。個人で判断せず、担当医と相談してほしい」としている。

【用語解説】抗鬱薬
国内では30種類以上が承認されている。鬱病患者数の統計はないが、躁(そう)と鬱の状態を繰り返す躁鬱病を含む気分障害患者は約92万人前後といわれる。鬱病患者のほとんどが薬の処方を受けている。鬱病を自覚していない潜在患者も多いとみられる。躁鬱病の患者が、医療現場で「鬱病のみ」と診断され、投与された抗鬱薬躁状態の時に服用し、異常な興奮状態に陥るケースも報告されている。



3月のMSパッチは「緊急」と「重要」の計3件(ITmediaエンタープライズ - Yahoo! 2009年3月6日(金))

Microsoftは3月10日(日本時間11日)に3件の月例セキュリティ情報を公開し、Windowsの深刻な脆弱性に対処する。深刻度は最大レベルの「緊急」が1件、上から2番目の「重要」が2件。5日の事前通知で明らかにした。
いずれもWindowsが対象で、再起動が必要。緊急レベルの1件は、脆弱性が悪用されるとリモートからコードを実行される恐れがある。重要レベルの2件は脆弱性を突かれるとスプーフィングに利用される可能性がある。
通常通り、悪意のあるソフトウェアの削除ツール更新版と、セキュリティ以外の更新も同時にリリースする予定だ。