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6月の漢検実施 5月中の改善実現が必要 文科相が強調(朝日新聞 2009年4月21日(火))

財団法人・日本漢字能力検定協会京都市)をめぐる問題で、塩谷文部科学相は21日、閣議後の記者会見で「5月中の改善は難しいという見通しならば、6月に予定されている漢字検定試験は中止してもらわざるを得ない」「できるという報告を受ければ実施する状況もある」と述べた。予定通りに実施するためには、「5月中の改善実現」がタイムリミットだとする考え方を強調した。
文科省は、▽前理事長が代表を務め、協会との取引の必要性が無いのに委託費を受け取っていたとされる2社への損害賠償請求の検討▽前理事長らが業務委託継続を決めた関係2社との取引解消の検討▽協会人事の刷新――といった点について、週内にも正式な文書で協会に通知を送る予定だ。(上野創)



学力調査、教育事務所長「学校の名誉にかけて頑張って」(朝日新聞 2009年4月21日(火))

21日に始まった全国学力調査で、熊本県教委菊池教育事務所(菊池市)の所長が「1年に1回の学力の全国大会。学校の名誉と誇りにかけて頑張ってほしい」と記した文書を管内の小中学校45校にファクスで送っていたことがわかった。県教委義務教育課は「競争をあおるような誤解を与える可能性もある」と指摘している。
県教委などによると、文書は17日午前、各校に送信され、児童生徒に読み聞かせるよう要請があったという。児童生徒に配った学校もある一方、県教委に「問題があるのではないか」と指摘した学校もあり、義務教育課は17日中に各校に回収するよう指示した。
菊池教育事務所によると、所長は「『全国大会』『誇り』という表現が競争をイメージさせてしまった」と話しているという。文部科学省は学力調査について「地域間の点数競争になってはならない」と強調している。



茨城・神栖市と千葉・旭市で震度3(朝日新聞 2009年4月21日(火))

21日午前7時54分ごろ、茨城県沖を震源とする地震があり、茨城県神栖市と、千葉県旭市で震度3を観測した。気象庁によると、震源の深さは約30キロ、地震の規模を示すマグニチュードは4.5と推定される。



漢検「停止・延期含め検討を」 文科省、新理事長に指導(朝日新聞 2009年4月21日(火))

財団法人・日本漢字能力検定協会京都市)をめぐる問題で、文部科学省は20日、大久保昇・前理事長が代表を務め、協会との取引の必要性が無いのに委託費を受け取っていたとされる2社に対し、損害賠償請求を検討するよう協会の鬼追(きおい)明夫・新理事長(74)=元日弁連会長=に指導した。同省はさらに「漢字検定を含めた対外活動」についても「停止・延期を含めた総合的な検討」を求めた。
6月に迫っている漢字検定について、文科省は後援や文部科学大臣賞の交付の中止を決定。銭谷真美事務次官も同日の定例記者会見で「社会的信頼を損なっている現在の状態で実施するのは問題がある」「総合的な判断が必要だ」と述べた。漢字検定は昨年度約286万人が受検した代表的な検定試験。文科省側は「影響が大きく『中止ありき』ではないが、予定通り実施するには早期の改善が必須だ」としている。
この日の指導は、同省を訪れた鬼追氏に清水潔生涯学習政策局長が口頭で伝達。広告業務を委託したことになっているメディアボックス(08年までの委託費36億3千万円)、調査業務を委託したことになっている文章工学研究所(同約6千万円)の2社に損害賠償請求を検討▽前理事長らが今後も取引を継続すると決めた出版業務委託のオーク、検定業務委託の日本統計事務センターについては取引解消を検討――などを促した。
文科省は、大久保前理事長と息子の浩・前副理事長が提出した改善策が不十分で、より厳しい指導が必要と判断したという。
これに対し、鬼追新理事長は「検定業務は続けさせて下さい」と要望。報道陣に対し、前理事長らの会社から被った損害額が把握できた場合、2社に訴訟か交渉で賠償を求めるとした。前理事長が継続を決めた2社との取引は「世間の誤解を避ける意味でも絶つべきだ」と述べた。(上野創、松谷慶子)



国会デビュー 橋下氏「中小企業のオヤジ感覚では…」(朝日新聞 2009年4月21日(火))

「言われたままの請求書を(地方は)何もチェックもせずに払ってきた。僕みたいに中小企業のオヤジ感覚からすれば、あんな請求書で何百億(円)というお金を払うのは信じられない」「国と地方は奴隷関係。奴隷はご主人に文句は言えない」。大阪府橋下徹知事が21日、衆院総務委員会に参考人として出席し、国の直轄事業の地方負担金について、いつもの橋下節で改めて廃止を求めた。
知事就任後、初めて国会審議に登場した橋下氏。「直轄事業負担金を突破口として、国民の皆さんに問題提起をして、霞が関一極集中で全国津々浦々を仕切るのではなく、色とりどりの日本のありようをめざしていく」と地方分権の必要性も訴えた。
地方分権には、省庁側に立つ国会議員から慎重論も根強い。橋下氏は「国会議員の先生方が、巨大な公務員組織をコントロールできるのかというと非常に疑問だ。自らの権限や財源が少なくなってしまうと考える方もいるかもしれないが、役割分担ということで、国家戦略というか国土全体のことに集中していただきたい」と注文もつけた。(今村尚徳)



投票先、民主がわずかにリード 朝日新聞4月世論調査(朝日新聞 2009年4月21日(火))

朝日新聞社の全国世論調査で、「いま投票するとしたら」として聞いた衆院比例区の投票先は自民27%(前回27%)、民主32%(同31%)とほとんど変わらなかった。違法献金問題で小沢代表の秘書が逮捕された後、民主は前々回(3月7、8日)、前回(同28、29日)と投票先としての支持を大きく減らしたが、一応下げ止まった形だ。
背景には政権交代を望む声が根強いことがありそうだ。
自民中心の政権が続くのがよいか民主中心の政権に代わるのがよいか、二者択一で聞くと、「民主中心」が41%で「自民中心」の29%を上回った。「民主中心」は昨年12月以降は40%台を維持し、「自民中心」を引き離している。「民主中心」と答えた人の6割強は投票先に民主を選び、民主が自民に対しわずかにリードを保つ要因になった。
とはいえ、2月の時点で比例区投票先が自民22%対民主42%と、圧倒的に民主有利だったのと比べれば様変わりだ。無党派層でも民主に投票24%(自民に投票15%)と、無党派層に強みを持つ民主としては低い水準だ。
麻生首相と小沢代表のどちらが首相にふさわしいかでは、麻生氏の37%(前回30%)に対し、小沢氏は23%(同26%)と水をあけられた。「民主中心」の政権を望む人でも小沢氏を挙げる人は43%にとどまり、42%は「その他・答えない」だった。民主への期待の一方で、小沢氏への逆風は依然強い。



内閣支持率26%、やや回復 朝日新聞4月世論調査(朝日新聞 2009年4月20日(月))

朝日新聞社が18、19の両日実施した全国世論調査(電話)によると、麻生内閣の支持率は26%で前回調査(3月28、29日)の22%からやや回復した。不支持は57%(前回64%)だった。首相が打ち出した追加の景気対策については、「評価しない」が60%で、「評価する」の25%を大きく上回った。
内閣支持は、2月19、20日の調査で13%まで下落。民主党の小沢代表の秘書が西松建設からの違法献金問題で起訴された後の前回、今回と徐々に持ち直している。自民支持層の内閣支持は前回の56%から65%に上がった。
追加の景気対策は、財源として国債を発行することを説明した上で評価を聞いた。「評価する」は、全体の半数近くを占める無党派層で20%にとどまる。自民支持層でも「評価する」44%、「評価しない」39%と割れ、追加対策が内閣支持を大きく押し上げるには至っていない。
小沢代表は秘書の起訴後も、代表を当面続ける考えを表明した。小沢氏の進退について聞いたところ、「代表を辞める方がよい」との意見は61%を占め、「続ける方がよい」は28%だった。質問の形式はやや異なるが、前回調査では「辞める方がよい」は63%だった。
また、アフリカのソマリア沖で多発する海賊の襲撃から貨物船などを守るため、海上自衛隊が派遣されている問題について聞いたところ、派遣に賛成は61%、反対は26%だった。さらに停船命令に従わない場合に攻撃できるように武器使用の範囲を拡大することについては、賛成50%が、反対36%を上回った。



橋下知事「猪瀬さんと戦う」 第2名神の早期着工要望(朝日新聞 2009年4月21日(火))

「猪瀬さんと戦う」――。大阪府橋下徹知事は20日、新名神高速道路(第2名神)の早期着工を河村官房長官や金子国土交通相に要望し、小泉政権時に「新名神無用論」を展開した作家の猪瀬直樹氏と対決する姿勢を示した。地方分権改革で橋下知事と共闘する猪瀬氏は「橋下知事は当時の状況について詳しくないのではないか」と反論している。
地方分権ではタッグを組んでいますが、新名神では真っ向から対立します」
橋下知事はこの日、新名神の建設促進を求める国会議員連盟総会でこうあいさつし、その後、首相官邸国交省を訪ね、早期着工を求めた。
名古屋市と神戸市を結ぶ新名神は06年、国交省国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)で、大津市京都府城陽市、同府八幡市大阪府高槻市の計36キロの建設が見送られた。道路関係4公団民営化推進委員だった猪瀬氏が、名神高速京滋バイパスが並走していることなどから「不要」と主張した経緯がある。
橋下知事は「猪瀬さんが命がけで取り組まれ、世間も後押しした経緯もあるが、国土軸を貫く基幹道路ということを説得したい」と報道陣に述べ、近く開かれる国幹会議を前に必要性を訴えていく意向を示した。
猪瀬氏は朝日新聞の取材に「京滋バイパスは実質的な第2名神高速道路であり、第3名神高速道路をつくる必要はないというのが当時の理解だった」と述べ、新名神は不要との考えを改めて示した。(渡辺哲哉、吉浜織恵)



ニジマス論争:「富士宮市の魚に」×「悪影響ある外来種」(毎日新聞 2009年4月20日(月))

ニジマスを巡り静岡県富士宮市と日本生態系協会(東京都豊島区)が論争となっている。「市の魚」に制定したい市に、協会が20日、「外来種であり、生態系に悪影響を与える可能性がある」との意見書を出し、かみついた。養殖の盛んなニジマスを観光PRに役立てたい思惑のある市は、思わぬ反発に「市民には親しまれているのに」と困惑しきりだ。
ニジマスは、北米太平洋岸の河川が原産。富士宮市では約60年前から養殖が本格化し、年間生産量は全国一。出荷量も全国の約6分の1にあたる約1300トンを誇る。これまでもイベントの釣り大会などに限定して放流することがあり、市は3月から「市の魚」制定をにらみ、市民の意見募集を始めていた。
一方、国などにも環境保護政策を提言している日本生態系協会の主張はこうだ。「ニジマスはサケ科の魚類の産卵床を掘り起こすなどの可能性があり、環境省要注意外来生物に指定している」「教育現場でもニジマスなど外来種の放流はやめて駆除していこうと教えており、混乱を引き起こす」
市秘書広報課によると、20日までに約150件の意見が寄せられたが、制定反対は4、5件。担当者は「積極的に放流はしないと話し、理解を働きかけたいのだが……」と頭を抱えている。【松久英子】



移植法改正に「第4案」 年齢撤廃、定義厳格化が柱(産経新聞 - Yahoo! 2009年4月20日(月))

今国会での改正機運が高まっている臓器移植法について自民、民主両党内の衆院厚生労働委員会理事らを中心に、継続審議中の3つの議員立法の要素を取り込んだ「第4案」の検討が進んでいることが20日、分かった。
15歳以上に限定されている年齢制限を撤廃して子供への臓器提供を可能にする一方で、「脳死は人の死」とすることに慎重な立場の人たちにも配慮して脳死の定義を厳格化するのが柱。
世界保健機関(WHO)が5月に海外渡航による臓器移植手術の自粛を促す指針を決定することを受け、国会は法改正の必要性に迫られている。だが現在の3案とも過半数に届かずに“共倒れ”に終わる可能性もささやかれており、より確実に今国会で改正させることを目指した動きだ。
ただ「人の死」の定義は議員個人の生命倫理観や宗教観に密接にかかわる問題だけに調整は難航するとみられている。
臓器提供を国内で完結することを目指す立場から、本人の拒否がない限り家族の同意で臓器提供でき、年齢制限もない「A案」が検討の軸。これに慎重派から提出されている脳死の定義を厳格化する「C案」の理念を一部組み入れ、脳死判定開始要件を法律に明記することや第三者によるチェック機能を強化することなどを想定している。
しかし、A案の提出者の間では脳死判定基準を厳しくすることに抵抗感が強いとされる一方、C案の関係者の1人はA案との折衷に難色を示しているなど、各案の提出者らの説得には困難が予想される。



松本死刑囚が「絶対的影響力」=オウム団体規制法報告−公安・警察(時事通信 - Yahoo! 2009年4月21日(火))

公安調査庁警察庁は21日午前の閣議で、オウム真理教(現アレフ)の活動をまとめた昨年の団体規制法施行状況を報告した。国内の信者数は前年並みの約 1500人だが、松本智津夫麻原彰晃)死刑囚と、同死刑囚の説く教義が依然として「絶対的とも言える影響力を有している」と強調している。
また、教団から脱会した上祐史浩前代表が率いる新団体「ひかりの輪」について「松本死刑囚に帰依する者によって、観察処分を免れる目的で組織されたもので、教団の重要な一部を構成している」と指摘した。



初日から大荒れ=イラン大統領演説に各国退席−差別撤廃会議(時事通信 - Yahoo! 2009年4月20日(月))

ジュネーブ20日時事】国連主導の世界人種差別撤廃会議の再検討会議が20日ジュネーブの国連欧州本部で開幕した。イランのアハマディネジャド大統領が演説し、持論のイスラエル批判を展開したところ、欧州各国の代表団が退席。抗議活動家が議場に乱入するなど初日から大荒れの展開となった。
演説でアハマディネジャド大統領は「占領地パレスチナに徹頭徹尾、人種差別の体制を築こうと欧州や米国から移民が送り込まれた」とイスラエルを批判。同国を「最も残虐で人種差別を行う体制」と形容した。欧州の代表団が退席する一方で、議場に残った代表団からは拍手も起きた。



改善困難なら漢検中止=5月中の対応求める−塩谷文科相(時事通信 - Yahoo! 2009年4月21日(火))

財団法人日本漢字能力検定協会京都市)が6月に予定している次回の検定について、塩谷立文部科学相は21日の閣議後の記者会見で「関係企業との取引などを速やかに改善してもらうことが大事。5月中に明確にすることが難しければ中止してもらうことになる」との考えを示した。
文科相は、協会が大久保昇前理事長らが代表を務める企業のうち2社と取引を継続するとした点などを疑問視。「今の状態のままで検定を実施するのは問題だ」と強調した。



燃料電池 電力・ガス激突 余剰電力買い取り範囲めぐり(フジサンケイ ビジネスアイ - Yahoo! 2009年4月20日(月))

今国会に政府が提出しているエネルギー供給構造高度化法案に盛り込まれている太陽光発電からの余剰電力買い取り制度について、電力業界が燃料電池併設家庭を買い取り対象外にするよう主張しているのに対し、野村明雄日本ガス協会会長は20日の会見で、「家庭用燃料電池の導入家庭からであっても買い取ってもらえたら」と要望した。
買い取り対象の電力は、経済産業省が法案成立後に決めることになっているが、買い取り対象の可否は両業界の収益にも直結するだけに、5月以降の家庭用燃料電池販売開始を控え、両業界の対立が強まりそうだ。
ガス業界が買い取り対象にするよう求めているのは、東京ガス大阪ガスなどが予定している家庭用燃料電池の売れ行きに直結するためだ。家庭用燃料電池は都市ガスや灯油などから燃料となる水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電し、排熱を給湯に利用する。
発電量は最大1キロワット程度と、通常の家庭に設置される太陽光の発電量3〜3.5キロワットに比べて少ないが、燃料電池は夜間の給湯需要に向けて日中から稼動させる。太陽光も昼間に発電するため、家庭の電力需要の少ない昼間の余剰電力が燃料電池分上乗せされることになる。
仮に燃料電池と太陽光の併設家庭が買い取り対象外になれば、燃料電池を導入するメリットが大幅に減少するだけに、野村会長は「両方の余剰電力を買うことが政策を推進するインセンティブになる」と指摘し、燃料電池併設家庭からの買い取りを求めた。
一方、電気事業連合会森詳介会長は17日の会見で、「(燃料電池の分まで)買い取ることになれば、すべての客が(電気料金の値上げを)負担することになり、エネルギー間の公平性からも適切でない」と指摘している。
各電力会社は、余剰電力を1キロワット時24円程度で自主的に購入しているが、買い取り制度では50円程度での買い取りが義務づけられる見込みで、標準世帯の電気料金は数十〜百円程度上がると予想されている。



スパムによる世界年間エネルギー消費量は240万世帯の電力消費量に相当、とマカフィーが発表(japan.internet.com - Yahoo! 2009年4月20日(月))

マカフィー株式会社は、2009年4月20日スパムメール温室効果ガス排出(GHG)の大きな要因となっていることを明らかにする調査結果を発表した。
これは米国 McAfee Inc. が15日に発表した「スパムメール二酸化炭素排出量」に関する研究レポートをマカフィーが翻訳し20日に発表したもの。
同発表によると、気候変動を研究している ICF とスパム専門家が、スパムの送信、処理、フィルタリングに使われる世界の年間エネルギー消費量は33TWh(テラワット時)になると算出したとのこと。
これは、240万世帯が使用する電力に相当し、310万台の乗用車が75億リットルのガソリンを使用したときの温室効果ガス排出量と同等になるという。
また、同調査結果では、スパムメール1通の平均的な温室効果ガス(二酸化炭素)排出量が 0.3g になること、スパムのフィルタリングにより、年間 135TWh の電気が節約できることなどについて触れている。
製品開発および McAfee Avert Labs 担当シニアバイスプレジデントの Jeff Green 氏は、「世界が拡大する気候変動の問題に直面している中、今回の研究により、スパムが企業と個人に対して経済的、個別的、そして環境的に多大な影響をおよぼしていることが浮き彫りになりました。スパムを元から絶ち、最新のスパムフィルタリングテクノロジを導入することにより、時間とお金を節約すると同時に、二酸化炭素排出量を減らすことで、地球環境にも貢献できます」と述べている。



2年後にはアンテナパニック! 地デジ導入の落とし穴(japan.internet.com - Yahoo! 2009年4月17日(金))

2011年7月24日のアナログ放送停波に向けて、地デジ普及への動きが加速している。新聞のテレビ番組表も地デジのチャンネル順へと表記が変更され、普及具合が身近に感じられる。
だが、2009年1月時点での地上デジタル放送の受信機導入世帯は2455万世帯。世帯普及率は49.1%。政府が普及目標として掲げていた2900万世帯、58%の普及率を下回っている。
この状況を打破するため、政府は様々な施策を打ち始めた。平成21年度の補正予算案にエコポイント制度の導入を盛り込んだのもその一つだ。対象となる冷蔵庫、エアコンは5%のポイントが付与されるが、デジタルテレビはさらに5%を追加した。それにリサイクルにおける3%の還元を加えると、デジタルテレビには13%ものポイントが付与されることになる。
短期的には制度実施前の買い控えを招くという状況にはなっているが、制度実施が想定される7月以降には、大きな追い風となるのは間違いない。
政府は小中学校における地デジ対応テレビの導入も促進しようとしている。約40万校の小中学校における地デジ対応テレビの導入は、テレビメーカーにとっては大きな市場だ。
業界関係者の間からは、「学校のテレビに比べて、家のテレビの映像品質が劣るという状況になれば、家庭のテレビのデジタル化を促進させることにつながるのではないか。少子化の影響もあり、子供の要求を聞いてテレビを買い替えようという動きもあるはず」と期待を寄せる。
このように、政府、業界をあげて、テレビのデジタル化に向けた施策が加速している。
だが、地デジ普及においては、大きな懸念材料がある。
それは、視聴するための受信設備。つまり、アンテナの設置である。
都市部の住宅では主にアナログ放送の受信にVHFアンテナを設置している。地デジはVHFとは別にUHFアンテナが必要となり、新たにアンテナを設置しなければならない家庭が少なくない。この工事は地域の電気店、電気工事会社に頼む必要があるため、工事依頼が集中すると対応できない事態が起こりうる。
2011年7月のアナログ停波ギリギリになって、テレビを買い替えればいいと思っている人もいるだろう。ただ、アンテナ工事が間に合わず、テレビがあってもアンテナ工事が間に合わず、放送が受信できないという事態に陥る可能性もあるのだ。
テレビは今後も高性能化、低価格化が進む可能性があるが、アンテナ設置に関する費用は、政府の促進策などがない限り、それほど変わらないはずだ。テレビよりもアンテナの設置準備を先に進めておくべきだ。
一戸建てならば、自分の意思でアンテナ設置を検討できるが、集合住宅などの場合は、さらに準備が必要だ。
集合住宅では、共同でアンテナを屋上に立て、各戸に放送電波を分配するという仕組みが一般的だ。だが、新規にアンテナを設置するには管理組合の同意が必要という集合住宅が多い。その決議までに数々の手順を踏んで、積立金の中から予算を計上する必要がある場合もあるだろう。手間と時間がかなりかかるのを覚悟しなくてはならない。
あるマンションの管理組合では、アンテナ設置の決定までに2年かかった例もあるという。早い段階から検討を始めないと、2011年7月のアナログ停波時にドタバタすることになる。
大家がアンテナを設置してくれないために、テレビを購入しても、アナログ放送を見ざるを得ないという問題も既に発生している。今後は、この問題がさらに顕在化してくると関係者は予測している。
障害対策地域でも問題が発生しそうだ。
障害対策地域とは、ビルなどの建築物に放送電波が遮られ、受信障害が発生しているエリアのことである。障害となっている建築物の所有者などが障害対策として共同受信設備を設置することで、問題を解決している例が大半だ。
情報通信審議会の試算によると、アナログ放送では障害対策地域であったが、デジタル放送では受信可能地域になるエリアは、実に9割に達する。だが問題は、どこがデジタル放送を受信できて、どこで受信できないのかといったことが明確でない点だ。
そのため、それぞれの場所で実測し、それに基づいて結論を出すことになる。これも実費と時間と手間がかる。実測で「受信可能」と分かった場合はいいが、もし受信できないとなった場合、次にどのビルが障害となっているのかを特定する必要がある。実は、都市部のように、ビルが林立している場合、それを特定することが難しく、設備費用負担の協議で時間がかかる可能性も想定される。
政府は、施設の改修への一部負担補助、受信調査費およびそれに関する事務費の全額補助に向けて、今年度予算を計上する予定だが、現場での混乱は必至と言えよう。
地デジ対応は、薄型テレビばかりに目が行きがちだが、むしろ、アンテナのことを先に考えておく必要がある。
テレビがあっても、アンテナがないという“地デジ難民”にならないように、できる範囲で今からアンテナの準備をしておくべきだ。(文/大河原克行)