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いよいよ解散、選択の夏 「気を緩めずに」「逆風覚悟」(朝日新聞 2009年7月21日(火))

衆議院が21日、解散された。議員たちは議場で「万歳」をすると、政権選択が最大の焦点となる真夏の選挙戦に向け走り出した。自民党では解散ギリギリまで両院議員懇談会などで執行部に厳しい指摘があった。政権交代を訴える民主党は、追い風ムードのなか引き締めに躍起だ。
午後1時に開会した衆院本会議で解散が宣言されたが、選挙区に向かう自民党衆院議員たちは厳しい表情を崩さなかった。河野太郎氏(神奈川15区)は「逆風の中で厳しい選挙を覚悟しているが、何が何でも勝ち抜くしかない」と議員バッジを外して国会議事堂を後にした。
午前11時半すぎに始まった両院議員懇談会。麻生総裁は「おわびと反省を述べないとならない」と頭を下げたが、一部から「なぜ議員総会を開かないのか。納得できない」との声もあがった。
約30分の懇談会後、鳩山邦夫氏(福岡6区)は「首相がおわびと反省をしたのは評価できる」とする一方で「一致団結という言葉はよく出てくるが、自民党が変わらないと世論は変わらない。その空気が出てきていない」との見方を示した。
「懇談会は軸のぶれない自民党の範囲内にギリギリ収まったと思う。あと30分くらいやってもよかったが、我々の選んだ執行部だから仕方がない」。片山さつき氏(静岡7区)は淡々と述べた。
両院議員総会を求めていた加藤紘一氏(山形3区)は「選挙前だからこんなものでしょう」。石破農水相鳥取1区)は「みんなが公開の場で、いいたいことを言って、これで固まった」と語った。
閣議後の記者会見で舛添厚労相は「政策づくりを公開していない。戦をする前に負けている。猛省を促したい」と党執行部を批判。「政調会長の号令を聞いたことがない。幹事長も党をまとめない」。与謝野財務相(東京1区)は「民主党はいまや毎晩シャンパンをぬいて前祝いをやっている状態。我々は浮ついた気持ちではなく、粛々と静かに努力していく」と語った。
東京都議選自民党批判の厳しさを痛感した平沢勝栄氏(東京17区)は「解散が遅すぎた。地滑り的敗北を覚悟しないといけない。自民党は下野してもしょうがない」と危機感を募らせる。
細田博之幹事長(島根1区)は自民党本部前で「任期切れの選挙のようだから、戦い方はこれから考えます」。
一方、民主党衆院議員は追い風に期待をかける。野田佳彦氏(千葉4区)は午前6時から地元のJR船橋駅前に立ち、「いよいよ解散」と書いたビラを配った。地方選挙での勝利が続くが、「総選挙まで40日もあり、気を緩めないことが大事。失速しないよう一人でも多くの人に声をかけていく」と話した。
笠浩史氏(神奈川9区)は「政策やマニフェスト有権者にじっくりと説明する時間がとれる」と長い選挙戦を歓迎する。
社民党保坂展人氏(東京8区)は「民主の勢いの中で、社民党は埋没しないように戦わないといけない」と危機感をあらわにした。
国民新党綿貫民輔氏(比例北陸信越ブロック)は「今回は小泉郵政選挙後の日本が良くなったかを検証する選挙だ」、共産党の志位委員長(比例南関東ブロック)は「国民が待ちに待った総選挙だ」と語った。



衆院解散・総選挙へ 8月18日公示、30日投開票(朝日新聞 2009年7月21日(火))

衆院は21日午後の本会議で解散された。政府はただちに臨時閣議を開き、総選挙の日程を「8月18日公示、同30日投開票」と決めた。自民、民主の2大政党が激突する「政権選択選挙」が事実上スタートする。民主党が政権を奪取するか、自民、公明両党が過半数を確保して連立政権を維持するのかが最大の焦点だ。
麻生首相は21日朝、衆院解散を決めた閣議で、「未来に向かい、安心で活力ある社会を責任を持って実現しなければならない。国民のさらなる理解が必要で、国民の信を問うため解散を決断した」と述べた。解散書類には、与謝野財務相を含む全閣僚が署名した。首相はこの後、首相官邸公明党の太田代表と会談して結束を確認。夕方に記者会見し、総選挙に臨む決意を国民に訴える。
衆院本会議は午後1時から開かれ、河野洋平議長が冒頭、解散詔書を朗読した。今回の解散は、内閣の助言と承認による天皇の国事行為を定めた憲法7条を根拠にしている。総選挙は05年9月、小泉首相(当時)の下、郵政民営化を争点として自民、公明両党が圧勝した郵政選挙以来、約4年ぶり。
1955年の保守合同以来、細川、羽田両内閣での約11カ月を除き、一貫して政権与党の座にある自民党が政権を維持できるかどうかが最大の焦点。細田博之幹事長は21日の記者会見で「勝敗ラインは自公で過半数」と述べた。
一方、官僚主導からの脱却と「しがらみのない政治」の実現を掲げる民主党は21日午前、両院議員総会を開き、鳩山代表が「国民総参加、政治主導で新しい政治を起こす、大きな革命的な総選挙だ。歴史的使命感をもって臨まなければならない」と政権交代への決意を語った。解散直後に全立候補予定者に公認証書を渡し、鳩山氏が記者会見する。同党は参院単独過半数に達していない現状を考慮し、総選挙で衆院過半数を獲得しても、社民、国民新両党と連立を組む方針だ。



両院議員懇談会、30分で終了 首相への批判空振り?(朝日新聞 2009年7月21日(火))

自民党衆院本会議に先立ち、麻生首相が出席して両院議員懇談会を開いた。首相は冒頭、「私の発言やぶれたと言われる言葉が、国民に不安、不信を与え、自民党の支持率低下につながった」と反省とおわびを表明。首相を強く批判する声はなく、首相は最後に「我々は一致結束して戦う以外にない」と訴えた。
首相は東京都議選を含む一連の地方選敗北についても、「これらの選挙で示された民意、批判を真摯(しんし)に受け止め、謙虚に反省し、出直さなければならない」と強調した。一方で、民主党社会保障や安全保障政策、景気対策を批判し、「財源を伴わない空理空論で日本の経済を任せるわけにはいかない」と総選挙への決意を語った。
懇談会は、冒頭発言をした細田博之幹事長を除き、10人が発言し、約30分で終わった。当初は非公開の方針だったが、21日朝の閣僚懇談会でも公開を求める意見があり、首相の判断で一転して公開することになった。
この後、国会内で開かれた党代議士会では、麻生降ろしの急先鋒(きゅうせんぽう)だった中川秀直元幹事長が「今日の総理のあいさつはよかった。潔く受け入れる気持ちになった」とあいさつ、首相と握手を交わした。



自民党両院議員懇談会での麻生首相らの発言要旨(朝日新聞 2009年7月21日(火))

麻生首相 本日、衆院を解散し、総選挙に臨むにあたり、私の決意と覚悟を申し述べる。冒頭、反省とおわびを申し上げなければならない。一つは私個人についてだ。私の発言やぶれたと言われる言葉が、国民に政治への不安・不信を与え、結果として自民党の支持率低下につながったと深く反省している。もう一つは都議選をはじめ一連の地方選で目的を果たせなかった。多くの方々に多大なご迷惑をかけた。私に対する評価や自民党内の結束の乱れが良くない影響を与えたことは否めない。党内をまとめ切れなかった私の力不足について申し訳なく思っている。
私は「政局より政策」「解散・総選挙より景気対策」と確信し、この半年余りに4度の予算編成を行った。その成果が少しずつ見えつつあるが道半ばだ。解決しなければならない問題が残っている。経済対策一本でやってきた私にとって、景気回復が確かになるまで総理・総裁の職務を投げ出すわけにはいかない。全治3年と申し上げた。必ず日本の景気を回復させる。
政治の責任は安心社会の実現だ。行き過ぎた市場原理主義から決別する。社会保障予算の無理な削減はやめる。徹底した行革をする。国会議員や公務員の削減、天下り・わたりの廃止、行政の無駄を根絶しなければならない。自民党の改革もおろそかにできない。国民から厳しい目を向けられている。国会議員の世襲候補も特別扱いはしない。
民主党自民党に反対するだけで具体的な政策は見えない。財源を伴わない空理空論だ。今回の総選挙は、どの党が責任をもって日本の未来を判断し、運営していけるのかを選ぶ大切な機会だ。自民党は真の保守党だ。結党以来多くの困難に直面したが、そのつど総裁のもと一致団結してきた長い歴史がある。自由闊達(かったつ)な論議を大切にしているが、結論が出た後は一致団結して外と戦ってきたのが長い伝統だ。歴史と伝統に培った力強さを実践し、底力を発揮して難しい局面を先頭に立って立ち向かう決意だ。
原田令嗣氏 総理の発言は誠に心強いが、なぜそんなに心強い決意であれば、堂々と両院議員総会を開かないのか。納得できない。
高市早苗氏 総理はしばらく自民党株式会社の経営に手を抜かれていた感があるんじゃないか。ライバル社が粗悪品を弁舌たくみに消費者に売りつけている。夏の商戦に向け、皆さんに喜んでもらえる製品を持って回りたい。
稲田朋美氏 総理の政策は間違っていなかった。永田町の騒ぎはなんだ。何ガタガタやっているんだ。鳩山幽霊献金を批判できるのか。麻生降ろしは党を出て行ってやるべきだ。
関芳弘氏 国民は本当は自民党が大好きなんだと思う。我々は左系統に政権を渡してはいけない。国民が今、ものすごく不安がっている。
古賀誠氏 選対委員長として足らざることをおわびしたい。自民党が歴史の中でどういう役割を果たしてきたか。自民党だから平和を確立できた。さあ、今日から戦場に行きましょう。支持者が待っている戦場で、酷寒の地ではない。わが自民党しか平和を約束できる党はない。
■首相 自民党の結束がいまだ乱れたままである状態は残念で、断固避けねばならぬ。異論はあるだろうが、開かれた形でここに一致結束ができあがったと私は思う。私の願いは一つだ。衆院議員の立候補予定者が全員帰ってくることだ。そのために一致結束して戦う以外にない。皆様方のお力添えを重ねてお願いし、総括にさせていただく。



首相「ぶれた言葉、深く反省」、両院議員懇談会で謝罪(朝日新聞 2009年7月21日(火))

麻生首相は21日午前、自民党本部で開かれた両院議員懇談会でのあいさつの冒頭、「私の発言や、ぶれたと言われる言葉が、国民に政治に対する不安、不信を与え、自民党の支持率の低下につながった。深く反省する」と述べた。東京都議選をはじめとする地方選敗北についても、反省とおわびを述べた。そのうえで、「私は必ず景気を回復させる」と総選挙に臨む決意を表明した。
同懇談会は当初、非公開の予定だったが、21日になって首相の指示で急きょ、公開が決まった。



「待ちに待った解散」「責任政党示す」 各党が気勢(朝日新聞 2009年7月21日(火))

衆院が解散された21日、与野党各党は両院議員総会などを相次いで開き、気勢を上げた。態勢立て直しを急ぐ与党に対し、麻生内閣に早期解散を求め続けた野党にとっては「待ちに待った解散」(民主党幹部)。満を持して総選挙に走り出す。
民主党鳩山代表両院議員総会で、明治維新を引き合いに、「今回の総選挙は単に自民党政権を終焉(しゅうえん)させる、そんな小さな話ではない」と政権交代の意義を強調。続く党代議士会では「ここにいる人たちが全員小選挙区で勝たなければ政権交代はない。その覚悟を決めて欲しい。新たな政治が作られる。政権交代はスタートラインだ。スタートラインに立つための選挙を行おう」と訴えた。
自民党細田博之幹事長は両院議員懇談会で、「北朝鮮のミサイル、核開発など日本の安全保障を脅かす問題が山積している。麻生総理を先頭にこれからも頑張っていかなければならない」と訴えた。公明党の太田代表は麻生首相との党首会談後、首相官邸で記者団に「生活を守り抜く、日本の未来をひらく責任。責任政党ということを示していくことで必ず国民の理解を得たい」と語った。
民主党以外の野党は、「自公政権打倒」で足並みをそろえつつ、独自色のアピールに懸命だ。共産党の志位委員長は議員団総会で「自公政治を退場させていく。退場する際に共産党がうんとのびていたら、その後の日本の政治を前に進める力になる」。社民党の福島党首は議員総会で「生活再編、生活立て直しで戦う。自民党政治は終わっている。受け皿として民主党が考えられているが、社民党が勝たないと真の政策、政治転換にはならない」と訴えた。
国民新党綿貫代表は議員集会で「郵政民営化で日本がよくなったのか、検証する選挙だ」と強調。新党日本参院議員の田中代表が衆院兵庫8区にくら替え出馬し、衆院での議席確保を狙う。



7月解散、史上初 107年ぶり「真夏の総選挙」(朝日新聞 2009年7月21日(火))

8月18日公示、30日投開票となる今回の総選挙は、戦後24回目、現憲法下で22回目。7月解散は史上初めて。暑さが過酷なため、避ける傾向の8月投開票は、これまで、帝国議会時代の1898年と1902年の2回あったが、戦後は初めて。107年ぶりの真夏の選挙になる。
8月30日は衆院議員の任期満了(9月10日)のわずか11日前で、76年12月の任期満了選挙を除くと前回選挙との間隔が最も長い。選挙戦は事実上、21日から幕を開けるが、解散から投開票まで40日間ある。これは、憲法の規定による限度いっぱいで過去最長。長期間の選挙戦で、風向きがどう変化していくか。



マニフェスト遅れ「執行部は猛省を」 厚労相が痛烈批判(朝日新聞 2009年7月21日(火))

舛添厚労相は21日の閣議後の記者会見で、「政策づくりをきちんと公開してやっていない。自民党執行部はきちんと反省しないといけない。戦(いくさ)する前に負けている。猛省を促したい」と述べ、マニフェスト政権公約)をオープンな形で作成していないと激しく非難した。また、舛添氏は「政調会長の号令も聞いたことがない。幹事長が党をまとめない。執行部のガバナンス(統治)が欠けている」と保利耕輔政調会長細田博之幹事長を名指しで批判した。



自民、両院議員懇談会を公開に(朝日新聞 2009年7月21日(火))

自民党は21日午前、当初は非公開とする予定だった同日午前11時半からの両院議員懇談会を、公開とする方針を決めた。麻生首相東京都議選など地方選の結果を総括し、衆院解散・総選挙への決意を語る。



低い支持率、自民に「超逆風」 「受け皿」民主に追い風(朝日新聞 2009年7月21日(火))

麻生首相は10%台後半という極めて低い内閣支持率衆院の解散に踏み切った。これまでも低支持率下での選挙戦はあったが、自民党の支持率が他党を下回っている状態で迎えるのは初めて。自民党はかつてない厳しい戦いに挑むことになる。
衆院解散の時期は、時の政権が最も勝ちやすいタイミングが選ばれるとされる。例えば、72年の田中首相の解散直前の内閣支持率は62%、86年の中曽根首相は53%、03年の小泉首相は59%と、比較的支持率の高い時期に解散している。麻生首相も昨年9月の政権発足直後は48%だったが、その後は、自らの失言などもあり、09年2月には13%にまで低迷。結局、衆院議員の任期満了まで2カ月を切る段階まで解散できなかった。
これまで10%台の内閣支持率で解散した事例としては、00年6月の森政権(19%)がある。しかし、この時の政党支持率は、民主党の10%に対して自民党は29%と大きくリード。その結果、自民党は総選挙で233議席を獲得。公明、保守両党との連立政権を維持することができた。
内閣支持率は、首相の失言や失政などの影響を受けやすく、変動が激しい一方、政党支持率は変化が少ない。中選挙区制時代の自民党支持率は40〜50%台で推移。96年に小選挙区比例代表並立制に移行してからは退潮傾向にあるものの、20%台後半から30%台後半の間に収まってきた。
00年の自民党の「辛勝」も、首相は支持しなくても自民党は支持する層が支えた面がある。自民党の派閥領袖(りょうしゅう)の一人が「内閣支持率よりも政党支持率が大事だ」と気にするのも、こうした事情があるからだ。
一方、98年に旧民主党と解党した旧新進党の一部などと合併した民主党は、小沢一郎代表代行が当時率いていた旧自由党社民党など非自民票の受け皿が分散。「追い風」だけでは厚い保守基盤を突き崩せない状態が続いた。
ところが、03年に旧自由党と合併。民主党自民党に代わりうる勢力としての立場を固めた。05年の郵政総選挙では惨敗したが、07年参院選で大勝し、与党を過半数割れに追い込んだ。とくにこれまで自民党が強かった1人区で、民主党は17勝で自民党の6勝に大きく勝ち越し、保守基盤が厚い地方での戦いにメドをつけた。
この参院選後の民主党の支持率は、ほとんど20%以上で自民党の支持率と拮抗(きっこう)。秘書が違法献金事件で起訴された小沢氏から鳩山由紀夫氏に代表が代わった直後からは自民党の支持率を上回っている。今月18、19両日の世論調査でも自民党20%に対し、民主党は31%。民主党の支持率が30%を超えるのは07年の参院選の直後以来で、自民党にとっては「超逆風」の総選挙と言えそうだ。(関根慎一)



衆院解散を閣議決定 8月18日公示、30日投開票へ(朝日新聞 2009年7月21日(火))

衆院は21日午後の本会議で解散される。衆院解散は、小泉内閣での05年8月の「郵政解散」以来、3年11カ月ぶりで、7月解散は史上初めて。政府は解散後直ちに臨時閣議を開き、総選挙の日程を「8月18日公示、30日投開票」と決定。選挙戦が事実上スタートする。
小選挙区比例代表並立制の導入から5回目となる今回の総選挙は、自民、民主の二大政党による初の本格的な政権選択選挙。選挙戦で麻生首相は、昨年9月の就任以降に実施した自公連立政権の経済対策などを国民に問う。民主党鳩山代表は、社民、国民新両党との連立政権を視野に、政権交代の実現を訴える。
8月投開票は戦後初めてで、帝国議会時代の1902年8月10日以来、107年ぶり。8月30日は衆院議員の任期満了(9月10日)のわずか11日前で、76年12月の任期満了選挙を除くと前回選挙との間隔が最も長い。解散から投開票まで40日も最長。異例の「真夏のマラソン選挙」になる。
政府は21日午前8時からの閣議で解散を決定。当初、署名するかどうか、態度をあいまいにしていた与謝野財務相を含む全閣僚が解散書類に署名した。午後1時からの衆院本会議では、河野議長が解散詔書を朗読。同2時の臨時閣議で総選挙日程を正式に決め、首相は夕方に記者会見する。
自民党は21日午前、当初は非公開とする予定だった同日午前11時半からの両院議員懇談会を公開とする方針を決めた。
麻生首相はこの懇談会や記者会見で、東京都議選など地方選惨敗や党の支持率低下を招いたことへの反省と謝罪を前面に打ち出し、党の結束を呼びかける。同時に、経済対策の実績や社会保障の充実などを訴え、民主党との政権担当能力の違いをアピールする。反省を強調するのは、「国政と地方選挙は別」として、これまで責任を認めてこなかったことに、与党内から強い反発が出ているためだ。
ただ、総選挙の投開票まで1カ月余、内閣支持率の低下に歯止めはかかっておらず、自民党支持率も大きく下落。首相と自民党を取り巻く状況は極めて厳しく、投開票までに形勢を逆転する方策はまだ見えていない。



民主・鳩山氏、普天間の県外移設へ「積極行動」(朝日新聞 2009年7月20日(月))

民主党鳩山代表は19日、沖縄市で講演し、日米両政府が合意した米軍普天間飛行場の県内移設について、「日米の政府がまとめたものは何も変えてはならないと県民に押しつけられるとしたら、違うのではないか。県外移設に皆様が気持ちを一つにするなら、その方向へ積極的に行動を起こさねばならない」と語った。
鳩山氏の発言は地元の意向をふまえ、民主党政権が実現した場合は合意の見直しを米政府に提案する考えを示したものだ。同党は県外移設の方針を昨年に確認済み。
一方、米政府は現在の合意に基づき在日米軍再編を進める方針だ。



民主、来年度から「公立高無償化」 学費分12万円支給(朝日新聞 2009年7月20日(月))

民主党は、総選挙で政権交代が実現した場合、来年度からすべての国公立高校生の保護者に授業料相当額として年間12万円を支給し、事実上無償化する方針を固めた。私立高生の保護者にも同額を支給し、年収500万円以下なら倍の24万円程度とする。高校進学率が98%まで達する中、学費を公的に負担すべきだと判断したといい、マニフェスト政権公約)に盛り込む考えだ。
民主党はかねて高校無償化を主張していたが、不況が深刻になり、高校進学を断念したり、入ったものの中退したりする生徒が増える中、具体案を詰めて優先課題に位置づけた。多くの企業が業績を落とし、収入が減って不安が広がっており、所得制限をかけず支給するよう判断したという。15日の「次の内閣」の会合でも衆院選の主要政策とすることを確認した。
実現には年間約4500億円の追加予算が必要と試算しており、国の事業の無駄を洗い出し、不要と判断したものを廃止・縮小することで財源の確保は可能としている。
ただし、同党は一方で、高速道路無料化、ガソリン税などの暫定税率撤廃といった「目玉政策」も来年度から実施する方針だ。これらに7兆円程度を見込んでおり、全体の予算編成の中で本当に財源が確保できるか、現段階では不透明だ。
他にも、中学生までの子どもがいる家庭に対し、月2万6千円の「子ども手当」を支給する方針で、政権公約では来年度に半額支給からスタートさせるとしているが、その財源確保策として配偶者控除を廃止するため、妻が専業主婦で子どものいない65歳未満の世帯は負担増となる。
親の年収が400万円以下の学生に生活費相当額の奨学金を貸すなどの奨学金拡充、幼稚園や保育園の無償化推進なども検討しているが、教育・子育て支援は一方で子どものいない世帯の負担増にもつながり、議論になりそうだ。
同党は他にも、マニフェストの母体となる09年版の党政策集に盛り込む教育政策を固めている。教員の質を高めるため大学の教員養成課程を医歯薬系並みの6年制とし、教育実習を1年間に大幅延長する▽学校の風通しをよくするため保護者や住民らが参加する「学校理事会制度」を創設する――などとしておりマニフェストへ盛り込むことを検討している。(青池学)



自民支持率、最低の20% 朝日新聞緊急世論調査(朝日新聞 2009年7月19日(日))

朝日新聞社が18、19の両日実施した緊急の全国世論調査(電話)によると、自民党の支持率は20%で、前回(7月4、5日)の24%から下がり、現在の調査方法になった01年4月以降で最低となった。一方、民主党の支持率は31%(前回25%)と自民党に大きく水をあけた。「いま投票するとしたら」として聞いた衆院比例区の投票先も民主42%、自民19%と民主が圧倒。内閣支持率は17%で、前回の20%から下落した。
自民党の支持率は、前回総選挙が行われた05年9月以降しばらくの間は40%を超えていた。安倍内閣のもとで惨敗した07年7月の参院選直後に、現行の調査方法で最低の21%まで下がったが、その後持ち直し、08年9月の麻生内閣発足当初は34%だった。調査方法が違うので単純に比較はできないが、結党した55年以降、自民支持率が最低だったのは、橋本内閣末期の98年7月の19%。
これに対し民主党の31%は、過去最高の07年7月の34%と翌月の32%に次ぐ高い水準だ。
総裁選の前倒しを求める行動など、麻生首相による解散宣言後に自民党内で起きた一連の動きで、同党への印象が変化したかどうかも聞いた。「悪くなった」が50%と多く、「変わらない」の43%を上回った。自民支持層でも「悪くなった」が43%いた。
望む政権の形を聞いた質問では、「民主中心の政権に代わるのがよい」が49%で、「自民中心の政権が続くのがよい」は22%にとどまった。前回はそれぞれ47%、24%だった。他の回答傾向と合わせ、政権交代を求める機運がさらに高まっている。
また、衆院選の投票にあたって、民主党鳩山代表の政治資金問題を「重視する」と答えた人は26%にとどまり、「重視しない」が62%だった。「自民に投票する」人の間でも「重視しない」との答えが55%と多かった。



実績より「今後の期待」で投票76% 朝日新聞世論調査(朝日新聞 2009年7月18日(土))

衆院選で投票先を決めるときの判断材料について、朝日新聞社は郵送による世論調査を実施した。政党の「これまでの実績」と「これからの期待」では、「期待」を重視する人が76%と、「実績」の20%を圧倒した。投票した政党が政権を担当し、実績が期待外れだったとき、次の選挙では「別の政党に投票」が59%で、「同じ政党に投票」の24%を大きく上回った。
これまでの国政選挙で投票先の政党がだいたい同じだった人は79%いるが、今後の見通しを聞くと、「だいたい同じ」は55%に下がり、「そのたびに変えることが多くなる」が37%になる。これまで「だいたい同じ」だった人でも約3割は変えることを予想している。
政党への期待や実績評価によって、投票先を比較的簡単に変える「流動化」が進みそうだ。
投票する政党や候補者を決めるとき、一番重要な判断材料を5項目から選んでもらうと、「政党のこれからの期待度」を挙げた人が47%で最も多かった。他は「政党のかかげる公約」19%、「候補者本人」16%、「政党のこれまでの実績」12%、「党首」3%だった。公約や党首など特定の要素で判断するより、それらもふまえて総合的にみた「期待度」を重視する姿勢がうかがえる。
次の衆院選で投票先を決めるとき、「政権選択」を「大いに意識する」人は34%いる。このうち比例区投票先として民主を挙げたのは66%、自民は21%だった。
自民党民主党にそれぞれ政権担当能力がどの程度あると思うかを聞くと、自民党は「大いにある」「ある程度ある」合わせて44%だった。民主党は合わせて59%で自民党の評価を上回った。
調査は全国3千人を対象に6月中旬〜7月中旬に実施した。有効回収率は74%。(石原幸宗)



総会できず、離党もできず… 反麻生勢力、次の手見えず(朝日新聞 2009年7月18日(土))

麻生首相による21日の衆院解散をめぐり、もめにもめる自民党。解散直前の連休初日となった18日、議員たちは地元で、テレビ番組で、それぞれに思いを語った。「麻生降ろし」を狙った両院議員総会開催を阻まれ、反麻生勢力には脱力感が濃い。今のところ党を飛び出すエネルギーもないようで、混迷のなかであえいでいる。
反麻生勢力は小泉チルドレンから反小泉派、首相の元盟友まで含む混成部隊だった。行き詰まれば結束がほどけるのも早い。
脱小泉を掲げながら、小泉派の中川秀直元幹事長と組んで総会開催の署名集めに走った加藤紘一元幹事長は、18日のテレビ番組で1週間の「党内闘争」をこう総括した。
「三木降ろしの時、僕は当選1回だった。大平、福田元首相が対決した時は官房副長官だった。それに比べると今回はそんなに激しいものではない。激しく戦うエネルギーが残っていない。理由は小選挙区制度だ」
反旗を翻して党公認を外され、無所属で小選挙区に出馬すれば、比例区復活の目はなくなる。ただでさえ民主党優勢が伝えられるなか、自民党議員にとって比例区での復活は命綱だ。よほど耳目を引く新党でもできない限り、いくら麻生自民党が不人気でも離党には踏み切れない――。そんな足元を党執行部に見透かされていたというわけだ。
選挙地盤の強い加藤氏でさえ「私も心のどこかに万が一という不安感がある。全国を見れば目も当てられない。150議席を超えられるかという状況だ」。今は300議席を超す自民党が半減する可能性もあるとの見立てだ。
中川氏も18日、別のテレビ番組で「政界再編が期待されているが、私はまだ自民党を新しい国民政党にするために頑張らないといけないと考えている。選挙結果を見て国民の願いに応えていく」と述べ、総選挙は「自民党」で戦う考えを強調。首相と決別した鳩山邦夫総務相も17日夜、地元・福岡県久留米市で講演し、「自民党を立て直さなければならない。選択肢をいっぱい持っているが、まだ出せる状況ではない。党内で新しい旗を立てる」と自民党へのこだわりをみせた。
反麻生勢力には自民党にとどまりつつ、党とは別の「マニフェスト」を作る動きもあるが、首相周辺は18日、「有権者を欺くことになる。場合によっては公認しない可能性もある」と牽制(けんせい)した。



民主の勝敗ライン「第1党で政権交代」 鳩山代表(朝日新聞 2009年7月18日(土))

民主党鳩山代表は18日に高松市で記者会見し、衆院選の勝敗ラインについて「第1党になる。自民党よりも1議席でも多く勝ち、憲政の常道として政権を担当するのが国民の声だという理解で行動していきたい」と述べた。
さらに「政権交代が実現できるかどうかが勝敗ライン。下回れば敗北になる。一番分かりやすい数字で言えば過半数だ」と語り、連立政権への参加を見込む社民、国民新両党と合わせて過半数を獲得することも目標に掲げた。



鉄砲水:消防隊員10人流され安否不明 山口・防府の国道(毎日新聞 2009年7月21日(火))

山口県防府市消防本部に入った情報によると、21日午前11時45分ごろ、同県防府市下右田の国道262号で、「鉄砲水に3台の車が流され、土砂に埋まっている」と119番があった。消防隊員が救助に駆け付けたが再び鉄砲水が起き、消防隊員10人が流され、その後、発見されたが安否は不明。県によると、子ども2人は救出されたが、他の人が巻き込まれた可能性もあり、県警などが確認を進めている。
現場は、山陽自動車防府東インター近くの国道両側が山に挟まれた山間部。県内各地で21日朝から大雨が降っていた。



衆院解散:迷走続けた「選挙の顔」 首相、遅すぎた決断(毎日新聞 2009年7月21日(火))

麻生太郎首相は内閣支持率の低迷と自民党内の「麻生降ろし」に苦しみながらも、最後まで自らの手による衆院解散にこだわった。「選挙の顔として総裁に選ばれたのに、ここで辞任すれば自民党はさらに窮地に陥る」(首相周辺)との思いからだ。しかし、解散当日の21日、党両院議員懇談会で、東京都議選など地方選の敗北について頭を下げ、結束を訴えなければならなくなった首相に「選挙の顔」の面影はない。【高塚保】
副総理格の与謝野馨財務・金融担当相から両院議員総会の開催を求められた翌日の16日、首相は河村建夫官房長官に「経済はまだ立ち直っていない。与謝野を一番大事にしてきた。経済政策を二人三脚でやってきたのに」と語り、ショックを隠しきれない様子だった。
祖父・吉田茂元首相は、閣内ナンバー2の緒方竹虎副総理ら多くの閣僚、与党幹部から解散に反対され、1954年12月、内閣総辞職に追い込まれた。
祖父と同じ轍(てつ)を踏むまいと考えたのか、首相は折れなかった。「政策は間違っていない。胸を張っていいと思っている」。与謝野氏とたもとを分かっても、経済対策に取り組んだ実績を掲げて衆院選を戦う決意の表れだった。
首相が解散を真剣に考えたことは08年9月の就任以来、少なくとも3回あった。最初は「08年10月初旬解散−11月2日投票」。総裁選で高まった「麻生人気」を武器に衆院選で勝利し、長期政権を狙う算段だった。しかし、政権発足直後の毎日新聞世論調査内閣支持率は45%と期待したほど上がらず、党の情勢調査も厳しい数字だったため断念した。
次いで「10月末解散−11月30日投票」を検討したが、首相に近い中川昭一財務・金融担当相(当時)、菅義偉選対副委員長らが選挙情勢の悪化を理由に先送りを主張。細田博之幹事長らは解散を求めたが、首相は中川氏らの意見を受け入れた。9月に米証券大手リーマン・ブラザーズの経営が破綻(はたん)し、世界的な経済危機に発展。首相は解散先送りの理由に「経済対策優先」を掲げたが、その後も経済と支持率の低迷に苦しみ、「選挙の顔」は迷走を続けた。
3度目に検討したのが、6月末から7月初旬にかけて党役員人事・内閣改造後に解散し、8月2日ないし8日、9日を投票日とする案。これは党内だけでなく公明党の強い反発もあって不発に終わり、首相が最後に選んだのが7月12日の東京都議選惨敗後の解散だった。解散を先送りすれば「麻生降ろし」に火がつきかねないため、先手を打って解散するしかないと判断した。
結果的に党内の「反麻生」勢力を抑え込むことには成功したが、自民党内には分裂の火種が残り、こうした混乱が党への不信感をさらに増幅させた。首相の遅すぎた決断により、自民党は最悪の状況で解散・総選挙に突入することになった。



衆議院:本会議で解散 8月30日投開票へ(毎日新聞 2009年7月21日(火))

衆院は21日午後1時からの本会議で解散された。05年9月の「郵政選挙」以来4年ぶりとなる第45回衆院選(定数480=小選挙区300、比例代表180)は「8月18日公示−30日投票」の日程で行われる。オバマ米大統領の誕生など世界の政治潮流が大きく変化する中、自民、公明両党が10年間に及んだ連立政権を維持できるか、民主党を中心とする政権が誕生するかが最大の焦点となる。「政権交代」を目指す高揚感に包まれる民主党に対し、自民党麻生太郎首相が両院議員懇談会でおわびと反省を表明する混迷の中で解散を迎えた。
麻生首相は21日午前の閣議で、憲法7条(内閣の助言と承認による天皇の国事行為)に基づく衆院解散を決定。閣議の冒頭、「未来に向かって安心と活力ある社会を責任をもって実現しなければならない。それには国民のさらなる理解と協力が必要だ。解散を断行して国民の信を問うことにした」と語った。
閣議書に署名するか明言していなかった与謝野馨財務・金融担当相を含む全閣僚が署名した。与謝野氏は記者会見で「スタート時点においては混乱がないようにしなければならない」と語った。
この後、首相は公明党太田昭宏代表と会談。午後の衆院本会議で河野洋平議長が解散詔書を読み上げ、衆院は解散された。政府は解散後の臨時閣議衆院選日程を決定する。【高塚保】



衆院解散:民主「過半数」に壁 129議席増が必要(毎日新聞 2009年7月21日(火))

自民党が大勝した郵政選挙から4年。今回の衆院選は自民、公明両党合わせて過半数の241議席以上を維持するか、民主党が連立相手に想定する社民、国民新両党と合わせて過半数に達するかが焦点となる。
21日の解散時で与党は自民303、公明31の計334議席。ここから94議席以上減らせば過半数を割り込み、政権維持が難しくなる。この場合、公明党が解散時議席を確保すると仮定すれば、自民党は209議席以下に落ち込む大敗となる。
攻める民主党の解散時議席は112。単独過半数には129議席の大幅な積み増しが必要。連立で過半数に達する場合でも、社民党7、国民新党5の解散時議席維持を前提に117議席以上という倍増を超える大躍進をしなければならない。
自公と民主など3党がいずれも過半数に達しなかった場合にカギを握るのが共産党(解散時9議席)や小政党・無所属議員の存在だ。その場合、民主党が第1党になって主導権を握るためには、公明党の解散時議席確保を前提として自民党の最大議席209を上回らなければならず、民主党は98以上の議席増が必要となる。



衆院解散:民主みなぎる緊張感「楽観は禁物」と引き締め(毎日新聞 2009年7月21日(火))

民主党は21日午前、衆院解散の閣議決定を受け、党本部で両院議員総会を開いた。鳩山由紀夫代表は「国民総参加の新しい政治を起こす、明治維新以来の大きな革命的な総選挙だ。全候補者が小選挙区で勝利を果たさなければ目的は達成されない」とあいさつ。菅直人代表代行が「鳩山政権樹立を目指そう」と音頭を取ってガンバロー三唱し、世論調査での高い支持率を背景に「政権獲得前夜」の高揚感に包まれた。
党本部には21日午前9時過ぎから鳩山氏や岡田克也幹事長、小沢一郎代表代行ら幹部が続々と入った。既に解散が閣議で決定された後で、皆緊張感に引き締まった表情。ある幹部は「40日は長い。何が起こるか分からないから気を付けないといけない」と語った。
午前11時から衆参全国会議員が出席して開かれた両院議員総会で、鳩山氏は「今回の選挙は単に自民党政権を終焉(しゅうえん)させるという小さな話ではない。受け身型の官僚主導の政治から、国民が主体になる政治を作る。歴史的使命感を持って臨まなければならない」と強調。報道各社の世論調査民主党への高い支持率が示されていることには「楽観だけは禁物。いつ国民の思いが動くか分からないのが選挙だ」と引き締めた。
これに先立つ役員会と常任幹事会では、候補擁立方針ながら空白区だった、岩手4区▽東京12区▽兵庫8区−−の3選挙区を中心とした調整について、代表一任となった。岩手4区は小沢氏が立候補し、兵庫8区は新党日本代表の田中康夫氏が民主党の支援を受けて立候補する公算が大きくなっている。東京12区については幹部が同日午前、「今週中には発表する」と語った。
同日午後には党本部で公認証書授与式を開催。現職と新人・元職に分け、鳩山氏が立候補予定者一人一人に公認証書を渡す予定だ。また、22日には全国の都道府県連幹事長らを党本部に集めて全国選挙責任者・実務者会議を開くなど、選挙準備を着々と進めている。
マニフェスト政権公約)については「中身は大体固まっているが、自民党の方がどういう物を出すか分からない」(岡田氏)として、正式発表は今月末の予定。候補者向けには既に主要政策の「ポイント解説集」を配布。財源策のほか▽子ども手当▽高校無償化▽年金記録▽年金制度改革▽医療改革▽雇用政策 ▽地域主権▽高速道路無料化▽暫定税率廃止▽農業者戸別所得補償制度▽地球温暖化▽中小企業政策▽郵政事業改革−−の計14項目を有権者に訴えている。【上野央絵】



衆院解散:私はこう名付ける 「デッドエンド」…識者(毎日新聞 2009年7月21日(火))

「与党ぼけ」「がけっぷち」「バンザイ」。永田町でそんな呼び方も飛び交う今回の解散を、どう読み解くか。それぞれの分野で活躍する3人に名を付けてもらった。
◇デッドエンド 作家・高村薫さん
自民党も解散日程も国民感情も、すべてがデッドエンド(行き止まり)の解散だ。
自民党は、麻生政権が誕生してすぐ解散があるように言ったが、年を越し、春が来てもまだしなかった。決断を先送りし、解散せざるを得ないところまで引っ張った。待たされた国民も、気分的に行き場のない状態になっってしまった。
過去の選挙では、野党がどれだけ躍進しようが、自民党が下野しようが、自民党そのものは生き残ってきた。今回はそれも難しい。麻生首相が就任してすぐに解散していれば、たとえ負けたとしても内部崩壊まではしなかったと思う。今回の選挙で自民党は終わるかもしれない。いつもとは選挙の意味合いが違うと思う。
◇笛吹き男 独協大教授・森永卓郎さん
麻生さんはみんなを道連れに自民党を破滅させてしまうだろう。小泉チルドレンも壊滅かもしれない。ねずみ退治の笛吹き男が、子供たちを街から連れ去り消えてしまったグリム童話ハーメルンの笛吹き男」のようだ。
救いの神になるはずだった麻生さんには秘策もなくて、結局は自分のことしか考えていなかった。一日でも長く首相をやっていたかったのだろう。小泉元首相は「自民党をぶっ壊す」と宣言して延命したが、麻生さんは黙って壊してしまった。
もっと早く解散していたら打撃は少なかったと思うが、もはや立ち直れないだろう。選挙後は大量に脱藩者が出る可能性があるし、今のような自民党は消えるかもしれない。歴史に残る解散になる。
タイタニック 放送プロデューサー・デーブ・スペクターさん
古い自民党が沈没しようとしている。麻生自民党はずいぶん前から目の前にある氷山に気づいていたのに、何もしないまま衝突してしまった。楽観的な船長が「そのうち氷山は解けるはず」とかじを切らず、助言する人もいなかった結果だ。
映画は大ヒットしたが、今の自民党にはレオナルド・ディカプリオのようなヒーローがいない。出演者は中年の政治家ばかりでドラマとして絵にならず、同情も集められない。国民には魅力のない映画だろう。
ただ、今回はムードや政治家個人への賛否ではなく、首相に誰がふさわしいか考えて投票する選挙になる。自民党にとっても、長く続きすぎた帝国を内側から治療できる好機になるのではないか。



衆院解散:40日間真夏の決戦 逆風、追い風…審判へ(毎日新聞 2009年7月21日(火))

4年ぶりの審判に向け、立候補予定者たちが本格的に走り出す。衆院解散の21日、直前までゴタゴタが続いた自民党では1時間の予定で両院議員懇談会が開かれたが、執行部への批判はほとんどないまま、「セレモニー」は40分弱で終了。一方、追い風に乗る民主党議員からは「政権交代」の言葉が相次いで飛び出した。自公政権維持か、政権交代か。8月30日の投開票日に向け40日間に及ぶ真夏の決戦が事実上スタートした。
午後1時過ぎ、衆院本会議場で解散詔書が読み上げられると、議場から「バンザイ」の声があがった。
「首相は自民党株式会社の経営者。経営に手を抜いていたのではないか」。午前11時半から自民党本部で開かれた両院議員懇談会。一部から首相批判の声が漏れたが、一致団結をアピールする「ガンバロー」の声にかすみがちだった。
静岡7区片山さつき氏は、前回選挙で郵政造反組への刺客として初当選。自民躍進の象徴となり、今回は厳しい選挙戦を迎える小泉チルドレンの一人だ。懇談会前は「今と4年前は単純には比べられない」と危機感をにじませたが、終了後は「これで戦える」と満足そうだった。
佐賀3区から出馬を目指す広津素子氏は、「できるだけのことをして、何らかの形で戻って来ないといけない」と淡々と決意を語った。前回選挙で刺客として保利耕輔氏に挑み、比例で復活したが、今回は公認すら得ていない。支持者回りを重ねるが「公認がなければ応援できない」と断られる日々が続く。
山梨3区から出馬する小野次郎氏も前回、郵政造反組保坂武氏と戦って敗れ、比例で復活した。その後、復党した保坂氏が市長に転身したため、今回も公認候補として選挙に臨む。前回の分裂選挙のしこりを心配する声もある中、小野氏は「自分が信任を受けられるかどうかの問題。チェンジ自民党、チェンジ日本を声がかれるまで訴える」と話す。
前回、比例代表東京ブロックで初当選した安井潤一郎氏は、早稲田大の先輩、武部勤・元幹事長に請われて政界入りしたが、比例の順位がまだ決まっていない。
零細商店街復興のために全国を回った。東京では約1400軒ある食肉業者のうち、約1000軒を新たな党員として獲得した。「比例順位は議員の通知票」と考える安井氏は「納得できない」と不満を抱きながらも、解散直前には「自民党を信じている」と語った。
◇  ◇
各種世論調査で支持率が上昇し勢いに乗る民主党。06年4月に行われた千葉7区の補欠選挙で、自民候補を破った太田和美氏は、「民主党ジャンヌ・ダルク」と呼ばれた。今回は福島2区へのくら替えが決まっており、「待ちに待った解散・総選挙で、やっと国民の信を問える。新天地で政権交代を果たしたい」と笑顔をみせた。
閣僚や党の役職を経験した自民の「大物」に挑む候補予定者からも「射程圏にとらえた」との声が相次ぐ。
前回は北海道12区で武部元幹事長に2万票差まで迫った松木謙公氏。「相手は『横綱』だが石にかじりついてでも勝ち抜く」と意気込んだ。
「もうろう会見」で財務・金融担当相を引責辞任した中川昭一氏と戦う北海道11区の石川知裕氏も「絶対に勝てないと何十人に言われてきたが、地元では民主党の農業や年金政策への関心が高まっている」と手応えを感じている様子。「ここで勝てないと政権交代はないという決意で頑張る」と力を込めた。



自民:両院議員懇公開で開催 退陣要求は出ず(毎日新聞 2009年7月21日(火))

自民党は21日午前、衆院解散を前に、党本部で両院議員懇談会を開いた。麻生太郎首相は冒頭、地方選挙の敗北などによる党内の混乱を謝罪したうえで、「景気回復が確かなものになるまで、総理・総裁の職務を投げ出すわけにはいかない」と述べ、自らが先頭に立って次期衆院選に臨む決意を表明した。出席議員からは首相の退陣要求など表立った批判はなく、予定の1時間を待たずに終了した。
議員懇は21日午前11時半過ぎに開始。自民党は当初、会合を非公開とする方針だったが、首相が閣議後の閣僚懇談会で「自分もいろいろ熟慮に熟慮を重ねてきた。正面から話をし、みなさんの意見をしっかり聞きたい。公開で結構だ」と公開を決め、細田博之幹事長に指示した。
議員懇で首相は「私の発言や『ぶれた』と言われる言葉が国民に政治への不安や不信を与え、自民党の支持率低下につながったと深く反省している」と陳謝。東京都議選など地方選の連敗についても「残念ながら所期の目的を果たせず、多大のご迷惑をかけた」と反省の弁を述べた。細田氏は「麻生首相を先頭にこれからも頑張っていかなければならない」と呼びかけた。
これに対し、「なぜ堂々と両院議員総会を開かないのか」(原田令嗣衆院議員)との指摘は出たものの、首相への直接の退陣要求はなく、石原伸晃幹事長代理が約30分で質疑を打ち切った。首相批判を強めていた中川秀直加藤紘一武部勤の3元幹事長は発言しなかった。
首相は最後に「私の願いは一つ、立候補予定者に(衆院選後に)全員帰ってきてもらうことだ。そのためにわれわれは一致結束して戦う以外にない」と締めくくった。会合後、菅義偉選対副委員長は党本部で記者団に「敵は民主党で、自民が団結して戦う意思統一ができた。ようやく戦う態勢ができた」と評価した。
一方、中川氏は記者団に「首相のあいさつは、今までになく比較的よかった。潔く支持する」と表明。加藤氏も「かなりの犠牲が出るかもしれない戦いに行くわけだから、(首相のあいさつで)不安が解消できたかどうか分からない」と述べるにとどめた。衆院選前の党内の「麻生降ろし」はこれで完全に収束した。
首相と細田氏、保利耕輔政調会長ら党幹部は20日夜、党本部で会談し、「議員懇での発言をみたうえで、公認問題に毅然(きぜん)とした態度を取るべきだ」との見解で一致した。公認権をたてに「反麻生」の動きを事前にけん制する構えをみせたことも、議員懇が波乱なく終わる一因になった。【近藤大介】
◇両院議員懇談会の発言要旨
21日午前、自民党が開いた両院議員懇談会の発言要旨は次の通り。
麻生太郎首相>
本日衆院を解散し、総選挙に臨むにあたって決意と覚悟を申し述べる。まずおわびを申し上げる。私の発言や、ぶれたと言われる言葉が国民の方々に政治への不安、不信を与え、結果として自民党の支持率の低下につながった。深く反省をしている。都議選をはじめ主要選挙において支援者の方々にお力添えをいただきながら所期の目的を果たせなかった。多大のご迷惑を掛けた。
私は政局より政策、解散よりは景気対策、そう確信してこの半年ほどの間に4度の予算編成を行った。まだ道半ばであります。まだまだ解決しなければならない問題が残っている。経済対策一本でこれまでやってきた私としては景気回復がたしかなものになるまでは総裁の職を投げ出すわけにはいかない。
雇用、医療、年金、子育て。(国民は)多くの不安に囲まれている。子供に夢を若者に希望を、高齢者には安心を。雇用に不安のない社会、老後に安心できる社会を実現する。行き過ぎた市場原理主義からは決別する。
原田令嗣衆院議員>
ただいまの麻生首相の発言はまことに心強い。しかし、ではなぜ堂々と両院議員総会を開かないのか。納得できない。開かれた自民党。自由な議論をすべきであります。断固として民主党に勝たないといけない。そのためには開かれた自民党として、開かれた議論をやっていかないといけない。
西川京子衆院議員>
十分に開かれている。今回この議員懇談会は麻生総理の決断で公開にしてくれと、これは麻生総理の覚悟、決断だ。公開の場できっちりこれだけの議論が行われている。
先ほど、麻生首相が大事な自民党民主党の違いを言った。安全保障の問題が一番大事だ。あの全英オープンに最年少で出場した石川遼君に「今一番印象に残っていることは何ですか」と聞いたら、「北朝鮮のミサイル発射です」と言った。17歳の少年でさえ、国家意識を持っている。安全保障の問題で日本の国を守るということを党内一致してやっている政党はどちらか。一致団結して戦わないでどうするのか。ナンセンスだ。
高市早苗衆院議員>
政治を国家経営と考えると麻生首相は日本国株式会社の経営には成功している。しかし、自民党株式会社となると、しばらく経営に手を抜かれていた感があるのではないか。次の選挙、すべての自民党候補者が自民党候補であることを堂々と打ちだして、未来へのビジョンを打ちだしていく姿勢でみんなで戦いたい。
今はライバル社が粗悪品を弁舌たくみに消費者に売りつけてまわっている。私たちは今売っている商品はかなり品質はいいが、ちょっと時代遅れ、これから夏の商戦に向けてそれなりにみなさんに喜んでもらえる商品を持って回りたい。自民党経営者として、有権者に示せるマニフェストをできるだけ早く、良いものを打ち出してほしい。
古賀誠選対委員長>
主要選挙について、選対委員長としても足らざるところをお許しいただきたい。戦後史の中で自民党だから平和を確立できた。民主党が平和を約束するということを言えるか。
麻生首相の総括>
自民党の結束が乱れたままである状態は残念だが、断固避けなければならぬと選挙のために強く思っていた。異論は当然あるだろうが、開かれた形でここに一致結束ができあがった。私の願いは一つ。ここにいる衆院選候補予定者は全員帰ってもらうことだ。我々は一致結束して戦う以外にない。



麻生首相:閣議で衆院解散を決定 全閣僚が署名(毎日新聞 2009年7月21日(火))

麻生太郎首相は21日午前の閣議で、憲法7条(内閣の助言と承認による天皇の国事行為)に基づく衆院解散を決定した。閣議書に署名するかどうか明言していなかった与謝野馨財務・金融担当相を含む全閣僚が署名した。同日午後の衆院本会議で、河野洋平議長が解散詔書を読み上げ、衆院は解散される。政府は解散後の臨時閣議で、第45回衆院選を「8月18日公示−同30日投票」の日程で行うことを決定する。



ASEAN外相会議:スーチーさん解放要求 政権にも理解(毎日新聞 2009年7月20日(月))

プーケット(タイ南部)西尾英之】タイ南部プーケットで開かれた東南アジア諸国連合ASEAN)外相会議は20日、共同声明を採択して閉会した。焦点のミャンマー民主化問題では、共同声明に民主化運動指導者、アウンサンスーチーさん(64)の名前を明記して解放を求める一方、「外部からの圧力や経済制裁民主化の足かせになる」とのミャンマー軍事政権の見解を盛り込み、政権の立場に理解を示した。
共同声明は軍事政権に、来年の総選挙の「自由・公正な実施」を要請。「スーチーさんを含むすべての政治犯の即時解放」を求めた。一方で「ミャンマー政府は多くの複雑な問題に取り組んでいる」と擁護し、「ミャンマーへの建設的なかかわりを継続する」と強調した。
声明はまた、北朝鮮による核実験やミサイル発射を「6カ国協議の合意や国連安保理決議に明確に違反する」と非難。北朝鮮6カ国協議への早期復帰を求めた。



老人ホームを土石流が直撃、1人死亡4人不明(読売新聞 2009年7月21日(火))

21日午後1時50分頃、山口県防府市真尾の特別養護老人ホーム「ライフケア高砂」を土石流が直撃し、入所者が生き埋めになったと県警防府署に連絡があった。
防府市消防本部によると、入所者は約100人で、午後3時30分時点で、うち87人が屋上などに避難し救助を待っている。
また、同県長寿社会課によると、入所者のうち、7人が生き埋めになり、3人を見つけたが、うち1人が死亡。残りの4人は行方不明になっている。同ホームから「1階の食堂に土石流が流れ込んできた」と連絡があったという。



麻生首相が陳謝「発言ぶれたと言われ支持率低下。深く反省」(産経新聞 - Yahoo! 2009年7月21日(火))

麻生太郎首相は21日午前、党本部で開かれた両院議員懇談会で、「冒頭、反省とおわびを申し上げなければならない。私の発言や『ぶれた』といわれる言葉が国民に政治への不安、不信をあたえ、結果として自民党の支持率の低下につながった。深く反省している」と陳謝した。
地方選挙での敗北についても「都議選を始め一連の地方選挙で、多くの党員・党友を始め支援者に多大な力添えをいただきながら、所期の目的は足せなかった。多くの方々に多大の迷惑をかけることになった」と述べた。
また、党内の結束の乱れについても「党内をまとめきれなかった力不足は申し訳なかった」と語った。その上で麻生首相は「経済対策一本でやってきた。経済回復まで首相、自民党総裁の職務を投げ出すことはできない」と述べ、政権運営への意欲と総選挙に向けた支持を訴えた。



解散前夜の麻生首相、自民党幹部らと最終調整(産経新聞 - Yahoo! 2009年7月20日(月))

麻生太郎首相(自民党総裁)は20日夜、東京・永田町の党本部で河村建夫官房長官細田博之幹事長ら党執行部と会談した。
首相は21日午後の衆院解散を控え、次期衆院選自民党マニフェスト政権公約)について「思い切った、国民が納得できるものを作るように」と述べ、「安心社会の実現」などを柱に民主党など野党との差別化を図るよう指示した。執行部は取りまとめを急ぎ、来週中に公表する方針だ。
また、解散に先立って21日午前11時半から党本部で開かれる両院議員懇談会について、方針通りマスコミに非公開とすることを確認した。首相は懇談会で東京都議選など地方選6連敗を謝罪し、党が結束して衆院選に臨むよう呼びかける方針だ。ただ中川秀直加藤紘一武部勤の各元幹事長ら反麻生勢力は地方選6連敗の総括などを求めて首相を徹底追及する構えで、紛糾する可能性もある。
首相は21日朝の閣議で解散の意向を正式に表明し、閣僚が解散の閣議書に署名する。これを受け、衆院本会議が午後1時から開かれ、河野洋平議長が解散詔書を読み上げ、衆院は解散される。その後の臨時閣議で「8月18日公示、30日投開票」が正式決定する。首相は午後6時から記者会見を行い、選挙戦に臨む所信を述べる。



無駄排除で財源捻出=民主代表(時事通信 - Yahoo! 2009年7月20日(月日(火))

民主党鳩山由紀夫代表は20日、神奈川県相模原市で街頭演説し、同党の政策は財源面の裏付けが不明確と与党が批判していることについて「自民党政権が続いているからお金が足りなくなる。官僚にコントロールされて、みんな大事な予算だと思わされてしまっているからだ」と述べ、歳出の無駄を徹底的に排除することで財源捻出(ねんしゅつ)は可能と反論した。
鳩山氏は「官僚任せの政治ではなく、優先順位の高い政策から世に出す。そんな世の中をつくるために大きな手術が必要だ」と述べ、衆院選での政権交代に向けて支持を訴えた。