暮らしそのもの『国の基本』全103条 <第53条> 臨時国会内閣に召集権限
内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
(前略)
閉会した後に、国会の審議が必要となった時のために、臨時会(臨時国会)が存在する。
臨時国会は、内閣が召集を決めることができるが、議員側も召集を求めることが可能だ。旧憲法では、議員の召集要求権はなかったが、現憲法を制定するにあたり、野党など少数勢力の意見をできるだけ尊重するために加えられた。
(中略)
召集要求は、戦後三十二回あった。だが、一回だけ「無視」されて、臨時国会が開かれなかった例がある。
二〇〇三年十一月の衆院選後、野党三党は小泉純一郎首相の所信表明演説や、イラクへの自衛隊派遣に関する議論のために召集を求めたが、内閣は予算編成に支障を来すなどとして応じなかったのだ。
政府は、合理的な期間内に通常国会が召集される場合には、臨時国会を召集しなくても憲法違反にならないと解釈している。しかし、憲法で認められた野党の権利が聞き入れられなかったことは、形骸(けいがい)化が叫ばれて久しい国会の現状を象徴しているようだった。
「合理的な期間内」とはいったいどの程度の期間なのか、この手の問題は常に曖昧模糊としていて、国民にとっては霧の中にいるのに等しい。しかし、実質的に無視されながら、その後憲法判断を問う動きはあったのだろうか。当然の権利が聞き入れられなかったときに何もアクションしなければ、「現状を象徴」するも何も、形骸化に自ら拍車をかけているのと同じだ。