「議員の資格」での発言

従軍慰安婦問題:河野談話の見直し必要 下村官房副長官(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2006年10月25日(水))

下村博文官房副長官は25日、東京都内で講演し、従軍慰安婦問題をめぐり「おわびと反省の気持ち」を表明した93年の河野洋平官房長官談話について「もう少し事実関係をよく研究し、考えるべきではないか」と述べ、見直す必要があるとの考えを示した。ただ、同時に「修正するなら閣議決定をし直さなければならない。その時間が許されるのか」と述べ、安倍政権下での変更は困難との認識も示した。
河野談話」では従軍慰安婦について強制や旧日本軍の関与を認めており、安倍首相は今月3日の衆院代表質問で「河野談話を受け継いでいる」と答弁した。下村氏は「安倍首相は(日本の戦争・植民地支配を謝罪した)村山富市首相談話についても、河野談話についても100%そのまま(認める)というのではなく、首相の立場から(認める)答弁をしている」と指摘。「従軍慰安婦の問題は時間をかけて、客観的に科学的な知識を収集して、考えるべきではないか」と語った。

首相は本音では「100%認めているというわけではない」と代弁したつもりになっているようだが、無役の1議員ならまだしも、官房副長官という職務にありながら自分の発言に「個人の見解」などと注釈を付けなければならない無責任さには呆れ果てる。この内閣は閣僚でさえ同じような姿勢でいるわけで、それを見たこの下っ端が「オレも」とマネしたということか。



河野長官談話は「継承が政府の立場」 塩崎官房長官(asahi.com 2006年10月26日(木))

塩崎恭久官房長官「個人的な考え方ということで講演で触れたと聞いている。河野官房長官談話を受け継いでいくことが政府の基本的な立場だ」と説明した。また、「個人的な見解であれば問題ないのか」と問われたのに対し、「政治家、下村さんの判断することだ」と語った。
(後略)



従軍慰安婦問題:下村発言、首相の「本音」を代弁? 閣内不一致、与野党から批判(MSN-Mainichi INTERACTIVE 2006年10月27日(金))

(前略)
与野党から「閣内不一致」との批判があっても、首相は「議員個人の責任での発言。問題はない」と意に介さない。黙認か、統率力不足か。保守層から「首相の本音を代弁している」との見方も出ている。
首相は26日夕、首相官邸で下村氏から発言の経緯について事情を聴いた上で、記者団に「私も官房副長官時代に議員の資格でいろいろな意見を言った。全く問題ない」と強調した。
(中略)
首相は97年の衆院での質問で、河野談話について「談話の前提がかなり崩れてきている」と疑問視していた。しかし、就任後には「政府の基本的立場は河野談話を受け継いでいる」と軌道修正。「首相のファンが反発する」(山本一太参院議員)と指摘されていた。
下村氏の発言について、首相のブレーンの一人、高崎経済大の八木秀次教授は「首相の支持者は就任後の発言に違和感を持っていただけに、下村氏のような説明がほしいと願っていた」と歓迎している。
(後略)

「継承」を明確にしているのは首相と官房長官だけ、閣内は不一致どころか一致しているんじゃなかろうか。首相の態度を残念に思っているのは、下村博文氏と山本一太氏他にももちろんいるに違いない。


そして、開き直る。


「河野談話見直し」は個人の見解…下村官房副長官(gooニュース - 読売新聞 2006年10月27日(金))

下村博文官房副長官
「政治家下村博文としての発言だ」
「過去の事例においても、(内閣の構成員による)個人的政治家としての発言はあり得たと理解している」

「(内閣の構成員による)個人的政治家としての発言」で更迭なり辞任なりに追い込まれた事例も多々ある。要は発言内容によるのであって、何を発言してもいい、というわけではない。そこがわかっていないのなら、もとより「内閣の構成員」など務める資格はない。