人を「機械」「装置」と

女性は「産む機械、装置」 松江市で柳沢厚労相(東京新聞 2006年1月27日(土))

柳沢伯夫厚生労働相は27日、松江市で開かれた自民県議の決起集会で、「産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」と女性を機械に例えて少子化問題を解説した。
(中略)
出生率の低下に言及し「機械って言っちゃ申し訳ないけど」「機械って言ってごめんなさいね」との言葉を挟みながら、「15−50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」と述べた。
(後略)



とんでもない発言だ。
この程度の認識しか持っていないことを露呈した。人を「機械」とか「装置」と例えるとは、まったくもって政治家として最低限の資格すらないのではないだろうか。
さらに言うならば、なぜ人口が減る、少子化では困るのか。彼らはいったい語ったことがあるだろうか。本音のところは、人口が減れば税収が減り自分らが自由にできるカネが減ってしまう、カネにまつわる権益も減る、「美しい日本」を「守る」人材を確保できなくなる…


「失礼なので取り消した」 柳沢厚労相(東京新聞 )

(前略)
「人口統計学の話をしていて、イメージを分かりやすくするために子供を産み出す装置という言葉を使った」と説明。「(発言の後)すぐに、大変失礼なので、どういう言葉で取り消したか記憶にないが、取り消して話を続けた。その場で適切でないと、とっさに何度か言い換えた」と話した。



「失礼だから取り消した」で済む問題ではなかろう。まったくなげかわしい。厚労相はおろか政治家にふさわしくない。即刻辞めてもらうしかない。
社共両党は辞任を要求している。


共社、厚労相の辞任を要求=「女性は産む機械」と発言、民主も批判(Yahoo!ニュース - 時事通信 2007年1月28日(日))

柳沢伯夫厚生労働相が27日、松江市内での会合で、少子化問題に関し、女性を「産む機械、装置」などと発言したことが28日、明らかになった。これに対し、共産、社民両党は同日、厚労相の辞任を要求。
(中略)
共産党市田忠義書記局長は同日、「厚労相としての資格に欠ける。辞任に値する」とのコメントを発表。社民党福島瑞穂党首も党本部で開かれた政策セミナーで、「してはならない最低の発言だ」と非難した上で「このような閣僚がいる内閣は是認し難い」と語った。
(後略)



民主党からは鳩山氏のコメントが伝えられている。


「産む機械」発言に 鳩山幹事長「女性に大変失礼」(Sankei Web 2006年1月28日(日))

民主党鳩山由紀夫幹事長は28日、柳沢伯夫厚生労働相が「(女性は)産む機械」などと発言したことについて「謝っているとしても、女性に対して大変失礼な発言だ」と批判した。都内で記者団の質問に答えた。
同時に「産む、産まないは女性の、あるいは家庭の自由だ。出生率の低下は厚労省が子どもを産み育てやすい環境をつくってこなかったことに原因があり、女性の権利をもっと尊重してほしい」と指摘した。



発言の内容はもっともだとしても、やはり出生率の低下を「悪いモノ」と見ているように思う。野党であれ、それが何をもたらすのか、きちんと説明する必要はある。ただ「とんでもない発言」というだけでなく、どのような視点で臨んでいるかの表明もしてみたらどうだろうか。