日本脳炎予防接種

いつも読ませてもらっているところで日本脳炎の話を読んだので、気になって改めて少し調べてみた。ずいぶん前に書いた記事でも悩んでいる。
日本脳炎とは何か。「日本脳炎」(Wikipedia)によると「高熱を発し、痙攣、意識障害に陥る。発症してからの治療方法は対症療法のみ。致死率は20%程度だが、半数以上は脳にダメージを受け麻痺などの重篤な後遺症が残る」とある。罹ったら5人に1人は死に、2人に1人は重篤な後遺症に見舞われるという怖い病気だ。
厚労省では「蚊に刺されないで」という(何というかムチャな)ポスターを全国に配布するという。


日本脳炎予防、厚労省がポスター作戦 全国配布へ((asahi.com 2007年7月19日(木))

日本脳炎の定期予防接種が事実上中断されている問題で、厚生労働省は19日、免疫を持たない子どもがウイルスを媒介する蚊に刺されないよう呼びかけるポスターの電子データをメールで都道府県や日本医師会に配布し、医療機関などに掲示するよう通知する。新型ワクチンの開発が遅れているなかでの苦肉の策だが、蚊のシーズンが本格化する前に注意喚起が必要と判断した。
日本脳炎はウイルスを持つブタの血を吸った蚊に刺されて感染し、西日本で患者が多い。このためポスターは「西日本地域(中国、四国、九州等)でブタの多い場所や、蚊が発生する水田、沼地の周辺では特に気をつけましょう」とし、長袖、長ズボンの着用▽防虫薬の使用▽人から人への感染はない、などと呼びかけている。
(後略)

発生率の低い地域だからだと思うけれど、娘の小学校からは予防接種に関する通知は来ていないが、8月のアタマに山口へ帰省する予定でいるし、娘がこれまた蚊によく刺されるタチなので心配なのだ。防虫スプレーを使っても、効果はさほど望めまい。今までに受けた予防接種でどの程度の防げるのかもよくわからない。2005年の5月に予防接種の「事実上の緊急中止勧告」をしているわけで、今さら安全性のよくわからない追加接種をするのも気が進まない。
インフルエンザや麻疹など他の予防接種について「車や飛行機には乗るのに予防接種しないなんて」などという事を言い放つ方々は、この「日本脳炎」の状況についてはどのように語るのだろうか。車にしろ飛行機にしろ事故が起これば命に関わることが多い(飛行機事故に至ってはほとんどが関わる)し、何しろそれらには「保険」という救済制度が用意されている。
ところが予防接種に関しては、日本のケアシステムはまったくと言っていいほど機能しないのではないかと考えている。「日本脳炎ワクチン接種に係るQ&A」(厚生労働省)を読んでみても、「万が一、予防接種で重い副反応が起こったら補償はありますか?予防接種が原因と特定されなければ補償されないのでしょうか?」という問いに対し、回答は以下の通りだ。

予防接種法に基づく予防接種により疾病、障害、死亡等の健康被害を生じた場合には、被害者に対して予防接種健康被害救済制度によって、医療費の支給、障害年金の支給等を行うこととなります。
なお、救済制度の対象となる健康被害は、厚生労働大臣が予防接種との因果関係を認定したものに限ります。

前段では手厚い救済制度のようなことを書いておきながら、「大臣決裁なんだよ」なんて高ぁ〜い壁をどぉんと立ちはだからせることを忘れない。いったいこの制度が始まってからどの位の人たちが救済されてきたのかよくわからないし。第一、こんな制度があるということ、受ける予防接種がこの制度の対象になっているかどうか、万一の時にはどんな手続きをしたらいいかについて、一度でも説明を受けたことはない。こんな状態で車や飛行機と比べられたって、納得できるわけがない。