元自衛官現職参議院議員の驚くべき認識と発言

すでに方々で話題になっているが、現職自衛官を退いて自民党から参院選に打って出、当選した佐藤“ヒゲの隊長”正久参議院議員が、イラクでの陸自指揮官当時、とんでもないことを考えていたことを披瀝した。


「駆けつけ警護」認めるべきで一致(TBS News i 2007年8月10日(金))

(前略)
こうした事例について、イラクに派遣された陸上自衛隊の指揮官だった佐藤正久氏は、当時現場では、事実上の「駆けつけ警護」を行う考えだったことをJNNの取材に対して明かしました。
自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊に対する批判というものは、ものすごく出ると思います」(元イラク先遣隊長 佐藤正久参院議員)
佐藤氏は、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだったといいます。
「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」(元イラク先遣隊長 佐藤正久参院議員)
(後略)



自衛隊員は国家公務員であるはずで、であるならば憲法遵守の義務を負う立場だ。現地で批判が出るからといって、現場で勝手に判断して戦闘に「巻き込まれ」、自分らの銃器で人を殺す選択をするつもりでいたとは、あまりにもとんでもない認識だとしか言いようがない。「あえて巻き込まれる」のであれば正当防衛でも何でもない。つまり入り口から憲法違反なワケで、そのようなやり方ではどこをどうひっくり返したって「憲法に違反しない形で警護する」ことはできない。
しかも「日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろう」と考えていたのであれば、そもそも憲法違反だという前提があったということだ。「正当防衛」に見せかけた結果、部下の命を危険に晒すことになることについても「すべてオレが責任を取る」とでも言うつもりだったのか。どうやって人間の命について責任を取ろうというのか、それも問いただしてみたいものだ。
日本には憲法があり、国家公務員はそれを厳しく遵守する義務を課せられている。しかも自衛隊文民による統制下におかれている。例え目の前の他国人を助けたかろうと、どんなにトンチを効かせようとなんだろうと、ダメなものはダメなのだ。そんなこともわからずに、あるいはわかっていて、自衛官を辞めて政治家になったというのにこのような発言を堂々とするというのはいったいどういうことか。
佐藤正久氏は国会議員たる資格はないと言わざるを得ない。即刻お辞めになるのがスジというものだ。顔を洗って出直してきた方がよい。