行政の職責と任命責任は別モノ

遠藤農水相がすったもんだのすえ辞任した。農水大臣の交替は安倍政権になってから4回目となる。他にも大臣2人の交替を含め、政府・自民党にはカネにまつわる不祥事が絶えない。実にこまめに沸き上がってくる。
これらの「適材」を「適所」に配置したのは安倍首相・総裁である。自身もその責任があることに自覚はあるようだが、その質・内容についての認識はどうも国民とはかけ離れたところにあるようだ。
「辞めよ」とも言えず辞任を待っていた安倍氏だが、ようやくこの件について口を開いたらしい。


安倍首相「任命責任は私にある」 農水相辞任(朝日新聞 2007年9月3日(月))

安倍首相は3日昼、首相官邸で記者団に対し、遠藤農水相の辞任について「任命者としての任命責任はすべて私にある。残念だが、農水行政に遅滞が起こらないよう全力をつくすことで責任を果たしていきたい」と語った。さらに「補助金の給付、運用は公正でなければならない。国民に対しても、こうした問題が指摘された時に説明できなければならない」と述べ、遠藤氏の説明が国民に十分理解されなかったことが辞任につながったとの認識を示した。
任命前の「身体検査」が不十分だったのではないかとの指摘に対しては「適材適所で人事を行ったが、こうした結果になり大変残念だ。今後も政治家は身を引き締めていくことが大切だ」と述べるにとどめた。
(後略)



以前にも何度か指摘したことがあるが、行政に課せられた職責というモノは人事責任とはまったく別のところにある。あるポストに就いて求められる職責を全うすることは、元々そのポストに就いたときから当然のものとして果たすべきものであって、不祥事により信頼が失墜したからといって、それを取り戻すために躍起になって取り組むべきものではない。不祥事が起きなければ職責を全うすることができないのであれば、そもそもそのポストに就くべき資格がない。
内閣人事については首相に全権があり、安倍氏自身が口にしているように「適材」を「適所」に配することによって行政の職責が遅滞なく全うされ得るものだ。それを為すことができなければ、全責任が首相にあるのは当然のことだ。安倍氏は数え切れないほど人事で失敗した。つまり「適材」を「適所」に配する能力が著しく劣る、ということだろう。「適材」が「適所」に配されていないのであれば、行政が全うすべき職責を果たせようハズがない。つまりは、このような人物に内閣のトップを任せておくわけにはいかない、ということになる。
一刻も早く総辞職し、衆院を解散して国民に信を問うていただきたい。